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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2251
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  JUNK HEAD 《ネタバレ》 
輪廻転生を描きながら、生きる意味を問う物語。と見せかけて、実は全然違うのかもしれません。監督の狙いは別にあるのかも。説明不足を自分勝手に脳内補完している可能性も否定できません。そういう意味では、映画の完成度は決して高くないと思います。無駄な描写が多いですし、ストーリーテーリングも上手くありません。必要以上にグロテスクですし、結末も尻切れトンボ。しかしながら、本作の訴えかける力はズバ抜けていました。画面の端々から謎の迫力が溢れていました。全ての芸術作品の使命は観客に何かを感じさせる事。その観点で本作は(私にとって)満点に違いなく、もう諸手を挙げて賞賛したいです。映画の出来の良し悪し等とは、また別次元の話。こういう映画こそ傑作と呼びたい。こんな気持ちになったのは、湯浅政明監督の『MIND GAME』、内田けんじ監督の『運命じゃない人』を観た時以来であります。
[インターネット(邦画)] 10点(2022-02-21 19:16:10)(良:1票)
2.  自転車泥棒 《ネタバレ》 
心の中で何度主人公に“耐えろ!”“踏ん張れ!”と叫んだことでしょうか。魔が差すとは、まさしくこういう事を言うのでしょう。しかし、だからといって主人公を擁護する気にはなれません。彼自身が盗みを働いてしまったら、窃盗自体を肯定する事になってしまうのですから。辛い思いをした“自分自身”に申し訳が立たない。理不尽さの中にある因果応報と道理が、痛心地よい不思議な感覚でした。子供に見せられない事はしてはいけないのです。60年以上前に製作された所謂『名作映画』に、これほど心を掻き乱されるとは予想だにしませんでした。いや『名作映画』というカテゴリー自体が陳腐と感じてしまう程“良いものは良い”としか言いようがありません。素材と調理法はシンプルながら、随所に監督の技量を感じさせる奥深い一品でした。『素晴らしき哉、人生!』も勿論素晴らしいですが、本作と『ミスト』は反面教師として、全ての大人が親になる前に観て欲しい映画だと思います。粘り強さは最強の武器。迷ったとき、落ち込んだときには、子供の笑顔の中に答えがあるはずです。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2013-07-13 22:20:02)(良:1票)
3.  七人の侍 《ネタバレ》 
子どもの頃大好きだったTVアニメ『ガンバの冒険』と同じプロット。当然本作が元ネタです。導入部で早くも胸が熱くなりました。弱きを助ける好漢7人の英雄譚に期待を膨らませました。ところがどうも様子がおかしい。農民たちは野伏せりの襲撃に怯える無力な羊ではなかったからです。菊千代が言うように、狡猾で、強か者だった。野伏せりが狼なら、7人も狼。そして農民たちもまた狼でした。お上によって飼いならされているだけ。勧善懲悪の娯楽活劇ではなく、農民と野伏せりの生存権を賭けたリアルな戦争と捉えるのが正しい見方だと感じます。例えば何故侍たちが農民に加勢したのか。農民たちの必死さと勘兵衛の人柄にほだされたのは事実。でもそれだけじゃない。武士は戦いが本分。剣を振る機会があれば振るいたい。それが証拠に久蔵は益の無い立会いでも刀を抜いている。外科医が技術維持のためにオペを望むように。あるいはスポーツカーのオーナーが愛車を乗り回したいように。利害が一致したから侍たちは農民の話に乗ったのです。戦の有様にもリアリティを感じました。農民VS野伏せりの戦が、国同士の合戦と違うのは大将が居ないこと。野伏せりは1匹狼が徒党を組んでいる状態。いくら戦いの玄人でも、個々の力はタカが知れている。素人でも団結をすれば玄人を凌ぎます。ましてや潰し合いともなれば、頭数がモノを言う。地の利もある。あとは竹槍を突く勇気があるかどうか。この戦の性質を見抜いていた勘兵衛の作戦勝ちでした。農民たちは十分な勝算のもと、勝つべくして勝った。日常を取り戻し、農作業に勤しむ農民たちの生き生きとした姿を前に、勘兵衛の胸に去来したものは何だったか。飼いならされていたのは農民だけか。いや侍たちとて同じこと。生きる糧を得る術を奪われている彼らの方が、より事態は深刻かもしれない。勘兵衛の最後の台詞「今度もまた負け戦であったな」は、実の無い生き方を強いられている武士全てに向けられていると感じました。もし、自分があの村の百姓だったらどう決断したか。米と女を差し出し命乞いをしたか、土地を捨て逃げ出したか、はたまた彼らと同じように戦ったか。平和を望むなら刀を抜いてはいけない。そう私たちは教えられてきました。その考え方は間違ってはいないと思う。でも刀を捨てるのが正しいのだろうか。農民たちを観て何も感じなかったらウソだと思う。日本人は全員この映画を観るべきです。
[DVD(邦画)] 10点(2011-01-04 21:26:13)(良:2票)
4.  シムソンズ
少なからず本作をなめていました。「カーリング娘」こと「チーム青森」人気にあやかったブーム便乗作品であると。美少女を主役に配し、彼女ら目当ての男性客を見込んだ作品であると。事実、そういう側面を持った作品だとは思います。しかしだからといって、作品の質が低いと決め付けるのは大きな間違いだと知りました。何といっても4人娘が素晴らしい!正直彼女たちが役者として上手いのかどうかは分かりません。でもハツラツとしています。表情も豊か。嫌味がありません。大泉洋をはじめ、脇を固める役者陣もみな味がある。ストーリーに意外性はありませんが、丁寧にドラマをつくっている印象。4人がちゃんと悩んで、自ら答えを出していきます。カーリングの描写も然り。地道な努力をしっかり見せること。スポーツ作品で一番大切なことが守られていました(最近、これが欠けている作品がホントに多い)。カーリングに対する愛情、地元北海道に対する敬意も感じます。作品に気負いがなく自然体。だから爽やか。元気が出ます。大いに笑えて素直に泣ける、上質なスポーツ青春ムービーでした。これから何度も観ることになるでしょう。本作に携わった全ての人に感謝したい、握手してまわりたい、そんな作品でした。
[DVD(邦画)] 10点(2006-12-04 17:52:22)(良:4票)
5.  十二人の怒れる男(1957)
もう20年近く前になるでしょうか。家の近くに初めてレンタルビデオ店が出来ました。そのとき初めて父が借りてきたビデオがこの作品でした。「これ面白いんだぞ。まあ観ろ。」めずらしく家族揃ってこの作品を観たのを覚えています。派手なアクションも笑いも涙もない、モノクロの作品がなんと面白いことか。ただのドラマだけでこれほどドキドキする感覚になったのはこの作品が初めてでした。お金をかけなくても面白い作品は出来るという見本のような作品です。自分も子供が年頃になったら、父と同じようにこの作品を教えてあげたいと思います。未見の方はぜひ観てくいただきたい、これぞ名作中の名作です。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-22 21:42:01)(良:1票)
6.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
観たい人はほぼ観終えたであろうタイミングでやっと劇場鑑賞。それも私自身久々の映画館来訪で、ノーラン監督の『テネット』以来のご無沙汰ぶり。今回出張で地元を抜け出したついでに念願を叶えました(生活圏内には新作が公開される映画館はありません)。空白の約2年間の間に料金も値上がりしたようで、ちょっとした浦島太郎気分です。コロナ恨めしや。早く気軽に劇場鑑賞やライブに行ける世の中になって欲しいものです。すみません、舞い上がって前置きが長くなりました。感想に入ります。 率直に言うと想像以上に「面白くなかった」です。少なくとも『シン・ゴジラ』のようなエンタメ性は感じられず、ひたすらマニアックなオタク志向のエピソードが続きました。間口は狭く、敷居は高く。物語に起伏が無いので、ともすれば退屈してしまうかもしれません。しかし面白くないから駄目だとは思いません。少なくとも本作にはウルトラマン愛が詰まっていました。本気でウルトラマンを空想科学で検証し、現代にアップデートさせた努力に拍手を送りたいです。メフィラス星人やゼットンの新解釈とその帰結。ゾフィーではなくゾーフィの呼称。その拘りはリスペクトに値します。ただし、長澤まさみさんのケツ叩き癖など、おじさん丸出しのギャグは如何なものでしょう。センスは欠片も無く、シラケる御仁も多いに違いありません。それが分からぬ監督ではないでしょうに。あるいは監督は腹を括ったのでしょうか。おじさんの、おじさんによる、おじさんのためのウルトラマン宣言。その判断が賢明とは思いませんが、かつてウルトラマンに心を奪われたおじさんである私が、本作を否定できるはずもありません。「そんなに人間が好きになったのかウルトラマン」その台詞を聞けただけでもう何も言いますまい。見事な「大人だまし」映画でありました。
[映画館(邦画)] 9点(2022-07-08 20:59:46)(良:3票)
7.  地獄の花園 《ネタバレ》 
学園ヤンキー漫画の世界をOL社会の派閥争いに置き換えたナンセンスコメディ。いや、元ネタだってナンセンスである事に変わりはなく、突き詰めれば本職の皆さんの縄張り争いだって右に同じ(だから『アウトレイジ』はコメディと見紛う)。現代社会(法治国家)において暴力を是とする価値観は、すべからく滑稽なのだと思います。とはいえ、そんな真面目ぶった考察は本作には不要であり、「大島の雑な口紅」とか「強面ベテラン男優の卑怯なキャスティング」に注文通りバカ笑いしながら、マトリックス風(意外と見せ方が上手い)バトルアクションを素直に楽しむのが正しい鑑賞姿勢と思われます。個人的には、コーンロウ菜々緒嬢の異次元フォルムに心を奪われ(何かに似てる。そうだ。狩猟犬ボルゾイだ!)、永野芽郁様の「全員まとめて殺してやる!」に魂を射抜かれました。誰が何と言おうと傑作認定いたします。ちなみに「全員まとめて殺してやる!」はあまりに好き過ぎて、着信音に設定しました。
[DVD(邦画)] 9点(2021-12-14 18:19:37)
8.  人狼ゲーム マッドランド 《ネタバレ》 
(重大なネタバレ含みます。大変面白い映画ですので、結末のヒントにつながる知識は何も入れずにご覧になることをお勧めします。なお、レンタルDVDのパッケージには、『人狼シリーズは一話完結となっておりますので、どの巻からご覧頂いてもお楽しみ頂けます』とアナウンスされていますが、シリーズ前5作を鑑賞済みの方が、より楽しめるのは間違いありません。ご留意ください。)  村人絶対不利の条件下における主人公の立ち回り方(生き残り戦略)に注目したいところですが、真の見どころは然にあらず。本作で常に問われていたのは人間性でした。“如何に生き抜くか”が全てと言っていい殺人ゲームの中にみる“どうしたら人として死ねるか”の価値。シリーズを見慣れた人ほど痺れる見事な“裏切り”に、どうぞ震えてください。シリーズ6作中、随一の人間ドラマであり、良脚本でありました。そして本作に限りませんが、若手俳優の皆さんの素晴らしい熱演にも、心から拍手を送りたいと思います。
[DVD(吹替)] 9点(2017-10-10 21:20:35)
9.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
ついに話題作を劇場鑑賞いたしました!なるほど、なるほど、こりゃヒットするワケです。下品な言葉使いで失礼しますが「クソ面白い!」が私の心情にピッタリ。キャッチコピーが的確かつ秀逸です。「現実VS虚構」。嘘っぱちをモチーフにした大真面目なリアルシミュレーション。『空想科学読本』の社会科編といったところでしょうか。こんな大人のお遊び大好きです。大御所&実力派&クセモノ揃いのキャストがこれまた抜群でした。オジサン俳優は漏れなくイイ味出しまくりですし、豪華脇役陣もきっちりスパイスを効かせた良いお仕事ぶり。巷で話題の尾頭さんも素晴らしいですが、個人的にツボに入ったのは高橋一生。あの演技はクセになります(佐藤二朗、荒川良々クラスの怪演技!)。作品のクオリティを下げる役者が一人も見当たらない奇跡の配役は、お見事の一言に尽きます。勿論、これも含めて監督のお手柄かと。庵野節炸裂、いやゴジラ版エヴァンゲリオン。監督の作家性が強烈に打ち出されているところも高評価いたします。はてさて、続編はあるのでしょうか。これだけの金脈を映画業界が放っておくとは思えませんが、続編で本作を超えるのは至難の業でしょう。それくらい満足度の高い作品でした。
[映画館(邦画)] 9点(2016-09-10 19:28:04)(良:1票)
10.  人狼ゲーム ビーストサイド 《ネタバレ》 
(本作は桜庭みなみ主演『人狼ゲーム』の続編です。もし未鑑賞でしたら、必ずご覧になってから本作にお臨みください。前作の予備知識必須です。B級和製サスペンスのパッケージですが、あっと驚く傑作シリーズです。以下、2作とも鑑賞済みの方のみお目通しいただければ幸いです……)最重要ポイントは生還要件と考えます。「ゲームに勝利すれば1億円」とのアナウンスですが、これが“正しくない”ことは前作で証明済み。まず拉致されたプレイヤーは「村人」として最初のゲームを戦います。生き残れたら、今度は「人狼」役でネクストゲームが始まります。ここまでは前作終了時点での確定事項。では「人狼」側で勝利を収めれば、晴れて1億円を手にして開放されるのでしょうか。これを確認するための「ビーストサイド」であったワケですが、生還要件にはもう一つ条件が付されていることが伺えます。「1人で勝ち残ること」。村人側で1人勝ち残りは在りえないので、必然的に「人狼」側で、かつ仲間の「人狼」を失うことが条件となります。高いハードルです。この裏ルールに気づいていたからこそ、主人公は仲間の人狼を「予言者」に仕立て上げるという危険な賭けに出たと推測されます。失敗すれば、自分にも疑いがかかる大博打。果たして彼女は窮地に追い込まれながらも、このミッションをやり遂げました。人狼1人、村人2人で迎える最後の夜。誰もが主人公の勝利を確信した直後に待っていた驚きの展開。そして意外な結末。震えました。目を疑ったのは、主人公が最後の夜に友人を襲おうとした決断。好きだから、決着は自分の手で。悲しいけれど、確かな友情が、其処には在りました。麗子が主人公の正体を明かさなかったのも同じ。一緒に死地を潜り抜けた連帯感が友情の礎。そして彼女の矜持。極限状態の中で輝く絆に、胸を打たれました。さて、最後の疑問。美海に問い詰められて主人公が告白した「自分は3度目、麗子は2度目」の真偽について。目が泳いでいるので嘘かもしれませんが、「由佳の嘘は見飽きた」という美海が信用しているので真実とも受け取れます。主人公の1戦目は「村人」側3人以上の勝利だったので、2戦目も「村人」を引いたと。ここで麗子が参戦。共に生き残れば、2人のゲーム経験数が違うことも説明が付きます。さらに彼女が「人狼」での勝利ではなく「1人勝ち」が必要と判断した裏付けにもなるのではないかと。修羅場を潜り抜けた経験値と生への執着心が勝敗を分けた納得の結末でありました。ラスト、仲間の形見を次々と捨てる主人公の胸中や如何に。無慈悲?冷血?いいえ、犯人を殺りに行くと腹を括ったロッケンローラーに、感傷なんてロックじゃないもの、要らないのです。(以下余談)今を時めく土屋太鳳。私は本作で彼女を知りました。そんな私からすると、最近の(?)普段の(?)彼女の喋り方が〝猫を被っている”ようにしか見えないのです。何、裏声で喋ってるんだよと。本作の土屋はとにかく強烈。そして凄まじく魅力的です。彼女の裏の素顔をどうぞご堪能ください。
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-16 22:20:24)
11.  女子ーズ 《ネタバレ》 
ノリノリでアドリブ(?)をかます佐藤二朗の怪演を頂戴出来るだけで、個人的には十二分に満足なのですが、それに負けない若手女優の熱演にも心打たれました。5人とも持ち味を如何なく発揮し、輝いていたと思います。中でも目を惹いたのは桐谷と高畑。桐谷の「うえっ」顔の口のかたちはまさに絶品。クロエ・グレース・モレッツはたらこ唇で世界を魅了しましたが、桐谷は“歪んだお口”で世界を獲れると思います。割とマジで。あと『チャン・グンソクに似ている時点でイケメンじゃない!』は近年邦画史に残る名台詞であると断言します。高畑のコメディエンヌとしての才能は本物。ボケもツッコミも両方イケる万能タイプです。スゴイと思いました。『数えを笑う者は数えに泣きますよ』をあの空気感で言える女優さんは、そうはいないはずです。シュールとベタミックスの福田雄一監督の流儀は好き・嫌いが分かれそうですが、私はドハマリしました。なんと『HK/変態仮面』の監督さんでしたか。どおりで手が合うワケです(笑)。これから大物女優に成長していくであろうキャストの皆さんがオファーを受けてくれるうちに、是非是非、続編をお願いします。
[DVD(邦画)] 9点(2015-03-29 18:27:15)(良:3票)
12.  シュガー・ラッシュ 《ネタバレ》 
王様がラルフに話したヴァネロペの境遇は、十分腑に落ちるものでした。ゲーム開発途中に発生したバグが原因で、キャラクターがお蔵入り。そんな話、聞いたことある気がします。“死にたくないなら余計な冒険はしない”は真理です。しかしラルフから命の危険性を説かれてもなお、ヴァネロペの意志は揺るぎませんでした。渡辺美里の歌詞ではありませんが『死んでるみたいに生きたくない』ということ。そのへんのガキが同じ台詞を吐いたとしても、「命の有難味が本当に分かっているのか?」と説教したくなります。しかし不死のゲームキャラクターにとっては切実な悩みです。何も起きない日々が永遠に続く。それは正に地獄でしょう。ヴァネロペがどんな気持ちでレースにエントリーしたのか理解出来たとき、私もゲーム世界の仲間になれた気がします。では、ラルフの心情はどうでしょうか。彼がメダルに固執したのは、周りに認めてもらいたいから。それだけです。肯定されない人生は暗闇に違いありません。ラルフとヴァネロペは、共に闇の中に居たのです。願いは同じ。“人生を価値あるものに!”たった一人に認めてもらうだけで、人生は輝きます。2人の友情に胸を熱くしました。勿論、伏線見事な脚本があってのこと。王様の正体、滅亡回避奇跡のクライマックス。全てのピースがピタリとハマる快感は格別でした。人生の目的、友情の価値、社会的役割、騙される心理。豊富な示唆が含まれている物語を堪能いたしました。(以下余談)私が本作の観賞に至った経緯は、ヒロインがももクロの有安杏果(緑担当)にソックリとの噂を聞きつけたから。サイズ感、カラーリング、ヘアースタイル、どれをとっても杏果にしか見えません(笑)。挿入歌はAKBですけど、日本語吹き替えを彼女にお願い出来ないかしら。『「ちゅがー・らっちゅ」って、ほら言えてんじゃん!』そんな杏果を想像して一人ニヤニヤしてしまいます(重症)。
[DVD(吹替)] 9点(2014-09-12 18:28:10)
13.  純喫茶磯辺 《ネタバレ》 
ブラマヨ小杉ではありませんが『俺の気持ちもてあそぶやん!』と大声で叫びたい気持ち。前半は小気味いいギャグを連発し観客の心のガードをガラ開きにさせておいて、中盤以降グイグイと監督お得意のエグいのを入れてくる。親父、娘、ヤリマンの切ない気持ちが入り乱れる修羅場の最中、わき腹をくすぐる『もしかしてあなた九州の人?いえポルトガル人です』を放り込んでくる監督の悪ノリぶり。もう、大好きだ!!もちろん意地悪いだけでなく、ちゃんと物語のツボを心得ているのもニクイ限り。田舎へ帰るというヤリマンからの手紙。親父はやせ我慢でそ知らぬふり。そこで一旦、代わりに娘を走らせておいて、(走るのはお前じゃないだろう!と観客に突っ込ませておいて)きっちり親父を走らせるお約束。くぅ~泣かせるねえ。でもこの恋を成就させないのが監督の流儀。心得ていますよ。1年後のシーケンスは本来ならいらない。でも監督は観客に甘い幻想を抱かせることはさせない。キッチリ落とし前をつけ、それでいて一歩前へ進ませる。純喫茶磯辺は失敗だった。当然の成り行き。でもだからと言ってあの喫茶店が無かった人生を考えてみると寂しい気がする。痛い経験も、恥ずい思い出も、死ぬ手前になりゃみんな同じ宝物。何も無いより100倍は得でしょうよ。誰の心の中にだって、純喫茶磯辺は眠っているんじゃないかな。とくに思春期あたりに。自分の場合は当分鍵を掛けておきますけども(笑)。それにしても監督は役者の長所を引き出すのが滅法上手い。宮迫は味出しまくりだし、仲や麻生の肩の力の抜け具合が絶妙でした。愛すべき人物に囲まれた物語は観ていて最高に気持ちいいです。楽しかった!(注意)本文中にあるヤリマンとは麻生久美子嬢のことであります。念のため。
[DVD(邦画)] 9点(2010-06-27 19:11:38)(良:2票)
14.  少年メリケンサック 《ネタバレ》 
劇場鑑賞後の帰り道の話。自分の前を一組のカップルが歩いていた。ズボンがずり下がってパンツが見えそうな男。靴の踵は潰していた。しきりに女のうなじを撫でている。とりあえず延髄切りを食らわすことにした。腹が空いたのでラーメン屋へ入った。「本場博多とんこつ」と暖簾にある。隣の席のカップルの会話。「私軽め目に、トンコツじゃなくて醤油にしとくわ。セットは唐揚げごはんね」「僕もあんまりお腹空いてないから野菜ラーメンにする」2人の額を紅生姜色に染めることにした。これは実話です(ごく一部フィクション)。普段はこの程度でムカついたりしない。身が持たないから。それに、どちらかと言うと『少年アラモード』系な自分ですから。でも本作に触れて素直になれた気がする(暴力映画に感化されたとも言う)。「パンク」の定義は知らないけれど、映画を通じて感じた「パンク」はこういうこと。キザな言い方をすれば“心の開放”。叫んで、跳ねて、心を軽くしよう。そういう意味では、気持ちのいい映画はみんな「パンク」なんだと思う。中年男たちの醜態がどうしようもなく愛おしくて、主人公の境遇に同情しつつも羨ましくて、『ニューヨークマラソン』の歌詞に涙を流して笑った。ヤングはイイ奴だと思ったし、TELYAには本気で惚れた。アンドロメダのフレーズが耳から離れません。そうそう、久々にペヤ○グを食べてみました。死ぬほど美味かった。観終えて笑顔になれました。それで十分。だから声を大にして言いたい。好きです!『少年メリケンサック』!可愛いぞ!宮崎あおい!許します!障害手当不正受給!嘘です!
[映画館(邦画)] 9点(2009-03-10 19:25:05)(笑:2票)
15.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 
小洒落たタイトル、妻夫木くんが主演、池脇千鶴のヌードの話題先行など、個人的に食指が動かない作品でした。(すいません。嘘です。最後のセンテンスには興味津々です。)でも観てみるとコレが自分のツボ。もう大好き。ほんとに好き。妻夫木を初めて上手いと思いましたし、池脇も魅力的でした。ばあちゃん、板尾、「いてまうど」の兄ちゃん、荒川良々等の濃いキャラも旨味を発揮していました。重いテーマですが、物語と向き合わせる手法に長けていたと思います。死別や結婚という安易な結末に逃げなかったのも好印象。とくにジョゼの気持ちが心に沁みます。動物園で虎の見学。恐怖に対峙したときに、自分を守ってくれる人がいること。これほど心安らかなことはありません。でもこの幸せが長く続かないことも彼女は承知しています。いずれ彼は去っていく。だから車椅子を買おうとしなかった。少しでも長く彼の背中に触れていたいから。乳母車を新調しなかったのも、押してくれる人がいなくなるのを知っていたから。彼女が妻夫木に言う「私をおぶえ」という台詞。それは遠まわしなプロポーズでもあったと思います。頭では彼との別れを予期していたとしても、幸せな結婚生活を夢見ないはずがありません。しかし彼女の願いは叶わなかった。その直後のシーンもたまらない。トイレに入ったジョゼを覗く妻夫木。彼女は「あっち向いてて」と言います。「出て行って」ではなく。その想いに胸がつまります。水族館で見られなかったお魚たちをラブホテルの映写装置で見る彼女。自由に泳ぐ魚たちの中で、至福の時を過ごすジョゼ。貝殻ベットの中の彼女は、まるで人魚姫。幸せを知ってしまった彼女は、もう海の底へは戻れないと言います。彼と過ごした日々を受け止めようとする彼女。切ないほどに強い。いや、強くあろうとする姿に心打たれます。それに比べると男のほうは情けない。でも彼を責める気にはなれません。彼が怖気づいたのも分かる。彼は彼が思う幸せを求めて生きていくでしょう。でも心の傷はずっと残るはずです。それも仕方がない。悲しいこと、苦しいこと、切ないこと。人生には嫌なことの方が多いかもしれない。でもそれを知らずして、幸せを知ることもありません。ラストは料理をするジョゼの姿。食べることは生きること。海の底とは違う世界を、喜びも悲しみもある世界を、彼女はこれから生きていく。ジョゼは死を選ばなかった人魚姫です。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2007-06-18 18:02:04)(良:9票)
16.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
パステル調の住宅・衣服、メルヘンチックな音楽とは裏腹に人間の暗部が強烈に描かれているティム・バートン流のおとぎ話。ファンタジーではありますが、その内容は現実と重なります。自分達とは違うエドワード。初めはその特異な風貌に興味を抱き観察し、利用できると分かるととことん利用、賞賛さえする。だが、わずかな出来事で手のひらを返して非難を始める人々。現実の社会でも日々同じようなことが繰り返されています。異質なものを集団で排除する機能。集団の結束の確認。そこには個人の意思とは別に集団の意思が存在します。人間が安全に生きていくために獲得した知恵かもしれません。しかし、このことに嫌悪を感じるのが普通だと思います。「エドワードは悪くない」「なんて酷いことをするんだ」そう感じます。なぜなら自分とエドワードを重ねているから。排除される恐怖をいつも感じているのが人間だからです。結局エドワードは街外れのお城に戻ります。誰もいない廃墟。そこが安住の地だという悲しい現実です。自分の意思に反し人を傷つけてしまうハサミ。同時に彼の心も傷つきます。一人でいれば人を傷つけることもなければ、自分が傷つくこともない。ただ、誰とも出会わず傷つくことのない人生より、愛する人と出会って傷つく人生のほうが遥かに素晴らしい。それがこの物語の救いです。
[DVD(字幕)] 9点(2006-06-19 18:24:28)(良:3票)
17.  ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
ゾンビ映画は数々あれど、本作ほど“ゾンビとは何?”という問いに明確に答えている映画は無いと思う。いや、おバカ映画ですよ。くだらないです。それは胸を張って言える。でも一周すると、いろんなものが見えてくる。それが何とも楽しい。例によって原因不明のまま、いつの間にかゾンビで溢れる世界。圧倒的に人間の能力のほうが上なのに、多数に圧倒されて食われてしまう。これって実生活でも経験している気がする。多数決で負けたり、世論に流されたり。理不尽なことも多い。人間は群れると、集団という別の生き物に変わります。大いなる意思に従い、盲目的に動かされる。まさにゾンビだと思う。それが、人間という生き物の本質だと言われているよう。結末も皮肉が効いています。でも本作では終始一貫、人間とゾンビを並列に扱っています。ゾンビも人間も否定していない。愛すべき存在として受け入れています。エドなんか、生前の生活とちっとも変わっていません。人に対する優しさがある。だから嫌味がない。屈託なく笑えるのだと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-16 19:52:32)(良:3票)
18.  下妻物語 《ネタバレ》 
本作をとても心地よく、そして清々しく感じるのは、主人公に思い入れが出来たからだと思います。自分も2人と同じ。もちろん、かつて美少女だったわけでも、ヤンキーやゴスロリファッション愛好者だったわけでもありません。同じなのは孤独だということ。人は誰かと共にいることを願う生き物。飾りなく言うなら「社会生活を営む動物の性」。その願いの形が「友人」です。強制的に所属する「家族」や、生殖活動を伴う「恋人」とは少し違います。しかしこの願いは、なかなか叶いません。望む友には簡単に出会えません。でも一人ではいられません。ですからとりあえず数多くの友を得ようとします。質より量で勝負。でも本作の主人公2人はそれをしません。そういう生き方をしてこなかったのです。不器用なのでしょう。桃子はファッションに、イチゴは単車と族に傾倒することで、心のバランスを保っていました。でもそれは代替手段でしかありません。イチゴのいた族も彼女の心を満たすものではなくなりました。やはり心の隙を埋められるのは友達。それも本当に信じられる友なのだと思います。親友、いや真友とめぐり合えた2人。清々しくも羨ましいお話でした。独創的な青春コメディを見事に体現した主役2人。土屋アンナは確かに良かったですが、個人的には深田恭子の方が印象に残りました。まだ役を選びますが、はまった時の爆発力が深田にはあります。今後の日本映画界に必要不可欠な女優になってくれることでしょう。笑って感動でき、何度も観たいと思う作品にはなかなか出会えないもの。オッサンが年端の行かない小娘に共感してしまう。それだけで結構凄いことだと思います。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-04-16 19:30:23)(良:3票)
19.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 
庵野監督がイニシャル『シン』で仮面ライダーを創ったら、まあこうなるわなという映画。基本的に納得しかありません。おそらく歴代シンシリーズの中でも圧倒的に間口は狭く肩幅ほど、ハードルは棒高跳びレベルと推測しますが、案外「こんなの楽しめるのは俺だけだろ」な層も相当数いるのでしょう。じゃなきゃこれだけ大掛かりなメディアミックス企画は成立しないですもんね。あるいは多くの大人が「儲かりまっせ」の口車に乗っかたのか。どうなんでしょう。 あれこれ考察を楽しむのが庵野映画の鑑賞流儀かもしれませんが、個人的には「仮面ライダーが死ぬ程カッコよくて」「浜辺美波さんが神がかり的に美しい映画」という理解で十分という気がします。特に浜辺美波さんファンは爆増したに違いありません。『最優秀キャメル革ロングコート女子』と『気絶担がれ女神オブ・ザ・イヤー』の2冠受賞の快挙は史上初なのでは。 (以下余談)ついに買ってしまいました変身ベルト。2号バージョンを。コミュ障で陰キャの本郷猛にはシンパシーを感じますが、惚れるのは一文字隼人の方。陽キャの仮面に隠された孤独や愁いに惹かれるのかなあ。一文字の笑顔はライダーキック以上の破壊力があったようです。
[映画館(邦画)] 8点(2023-03-19 11:58:25)(笑:1票) (良:1票)
20.  新感染 ファイナル・エクスプレス 《ネタバレ》 
低予算から大作まで、猫も杓子も『ゾンビ映画』だらけ。それだけ魅力的かつ作り易い題材なのでしょう。『噛まれたらアウト』のシンプルなルール、荒廃した世界、サバイバル、アクション、ゴア描写、そしてヒューマンドラマ。この組み合わせは『奇跡のレシピ』と言ってよく、まさに映画界の『カレー』であります。上手い監督が作れば極上品が拝めますし、素人監督でもそれなりに形になる魔法のジャンル。そんな数多あるゾンビ映画の中にあって本作が特別なのは、ゴア描写を完全に排除したことです。お約束ともいえる『捥がれた手足』や『飛び出す内臓』なんてグロテスクな表現は一切ありませんし、血飛沫を浴びたシャツはオレンジに染まり、まるで『ナポリタンをこぼした人』のよう。お子様でも安心なファミリー映画仕様でありました。事実、私は家族揃って(最年少は小3女児)お茶の間で鑑賞しています。そう、本作はゾンビ映画界の『カレーの〇子様』でした。しかも本家『カレーの王〇様』は大人の口には合いませんが、本作は辛味こそ無いものの旨味やコクは一級品なので大人が楽しめる優れもの。ただし、『流れ的にこのあたりで主要キャストが退場するな』とか『ここはこうやって切り抜けるんだろうな』みたいな予想はことごとく的中します。あの人なんて、ドラマチックにする為だけに“噛まれにいってる”ものなあ。『期待を裏切らない』とも言えますが『驚きがない』とも言えます。まさに既製品クオリティです。普段使いのお家カレーとしては満点で十分コレで満足ですが、心を鷲掴むサムシングは独創性の中にこそ存在するため9点や10点にはなり得ません。よって8点満点で8点映画との評価です。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2021-10-30 16:58:19)(良:2票)
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