2. SPIRIT スピリット(2006)
《ネタバレ》 個々の存在を尊重し、復讐や力では決して物事はうまくすすまない。そして、この映画は武術の極みは己に打ち勝つことだと示す。国際社会、ひいては現在の中国に対してもある意味で警鐘を鳴らす映画だと思います。それでいて説教臭くはない、武術映画としてもよくできています。 ユエン・ウーピンが手がけたアクションシーンは趣向に富んでいて大いに楽しめる。ワイヤーも使っていて“あり得ない”動きもあるものの、それほど気にならずに見ることができます。主人公の霍元甲を演じるリー・リンチェイはこの作品で様々な技を披露しており彼のファンなら大いに楽しめます。体術、刀術、三節棍、槍術などなど武術家としての能力の素晴らしさが印象的。演技も渾身のものでリンチェイの総決算と言っていいかもしれません。 助演では最後の最後までとことん良い人であり続ける霍元甲の幼馴染役の董勇の存在がこの作品を引き締めていますね。カンフー映画お約束の「周囲の家具を破壊しながらの闘い」も彼の自慢の店で行われて、思わずハラハラしてしまいます。一方の原田眞人は相変わらずの大根ぶり。中村獅童はいちばんの儲け役で、武士道精神を持った潔い日本人として描かれていて好印象ですが、ちょっと出番が少ない…。さらにいうなら前座の対決ももうちょっと見たかったです。かつての宿敵を殺めてしまった霍元甲必殺の突き、最後に繰り出されたこの技を田中安野が感じ取り自分の負けを認めるところは胸が熱くなります。 もっと高得点にしたいのですが、あまりにフォーカスの甘いロングショット、多用しすぎたスローモーション、大根原田と改悪された主題歌を考えて7点です。 [映画館(字幕)] 7点(2006-04-14 22:17:46)(良:1票) |