1. ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
《ネタバレ》 この「石油を掘って金持ちになった男」という、どう料理しても美味しそうな作品にはなりそうもない材料で作ったにしては、映画としての面白さは味わえる作品に仕上がっていたと思う。 子供への思いの絶妙な揺れ幅の描き方は圧巻。 私にも子供がいますが、実子であっても、想いが揺れることがある。 自分の時間やお金が、大量にかかること。 キャリアが育児で中断されること。 運動が苦手なことにがっかりしたり、成績が悪いと怒ったりもする。 でもそれを遥かに上回る愛情があるから、親でいられる。 ダニエルの場合、実子ではない。 けれど愛はある。 「この子供は石油事業を円滑にする道具でしかない」と、彼は必死に自分に言い聞かせている。 けれど確かに愛はあって、結果彼はその愛に負けてしまう。 ダニエル・デイ=ルイスの演技は、新作が出るたびに「もうこれ以上はない至高の到達点だろう」と思うのに、次の作品では更に磨きのかかった演技を見せてくれる。 ブッチャーの演技がわざとらしく思えてしまうほどの今回の演技は、神業の域に達している。 8点献上! [DVD(字幕)] 8点(2009-02-06 22:18:31) |
2. 世界中がアイ・ラヴ・ユー
狡い映画。すごく凡人を描いているのに、その凡人がジュリアだったりノートンだったりドリューだったりして、彼らがとても楽しそうだから、ついつい引き込まれてしまう。ウッディ・アレンというブランドが確立されているから、会話の粋さを楽しむのがアレン映画さ、みたいな感じが漂っていて、なんだか判らないけどムカつく。歌や踊りも、シカゴのレニー・ゼルウィガーはあのレベルで「下手」だの「ゼダにボロ負け」だの言われまくっているのに、この映画のノートンは「可愛い」と言われる。絶対狡い。でもつい最後まで見て、ほのかに温かい気持ちになる。やっぱり狡い。 5点(2004-03-25 22:00:13) |
3. セックスと嘘とビデオテープ
最近のどっ散らかしたソダーバーグ映画は好きじゃない私ですが、たった四人の登場人物を、じっくり掘り下げた本作は興味深く見る事が出来ました。「セックスなんか重要じゃないわ」と言いながら、性に捕われているアンと、「セックスが好き」公言して、自由なようでいながらしみったれた生活をしている妹との対比が、女性心理を深く的確に描いています。アンが「世界中で餓えた子供が苦しんでいる時に、私の悩みなんて」という台詞は、金持ち専業主婦のすごく良い所を突いていて、監督の観察眼の深さを感じます。ただ、妹のピアスを見つけて掃除機で叩くとか、夫が「女房より仕事だ~」と雄叫びをあげるとか、やや芝居がかった(いや、芝居なんだけどさ)シーンが苦笑を誘われました。 8点(2003-12-05 19:04:26) |
4. 千年女優
私はアニメといえばジブリかディズニーしかみない人なのですが、これは面白かった! クオリティーが高い。構図と色彩がすごい。アニメは日本が世界に向けて誇れる数少ない物の一つですね。一時間半、あっという間でした。個人的には、最後の台詞が大好きです。女の本質を突いていますねっ! 8点(2003-10-04 14:25:14) |
5. セレンディピティ
どーでもいい映画。退屈。 2点(2003-09-08 16:25:00) |
6. 千と千尋の神隠し
ナウシカに熱狂した世代ですが、とても面白く見ました。親を大事にとか、自立しろとか、他人に流されちゃいかんとか、意志はつらぬけとか、かなり説教臭いことを、面白く楽しく摩訶不思議に見せる手腕はさすがジブリです。千尋の、親しみやすいキャラクターにも好感が持てました。崇高なナウシカから等身大の千尋へ・・・すごく時代を読んでいるなぁ。アニメーションの進歩にもびっくり。最初の山道のシーンでの、ABSが効いてるガタガタ感の表現とか、遠近法の使い方とか、本当に凄い。ディズニーが紙芝居に見えちゃう。 9点(2003-05-19 09:08:27) |
7. 戦場のメリークリスマス
あの坂本教授といい、たけしといい、ボウイといい、まさに劇画のキャラクターの様にディフォルメされた過剰な「らしさ」が、戦争の狂気をよく顕わしている。その中で唯一、観客の側の存在であるロレンスがまた良いのです。随所にちりばめられた美しい背景と虚脱した兵士姿のコントラストが、目に焼き付いて離れません。視覚と聴覚を全快にして観るべき映画です。こういった「恥」を、日本人でありながら描き切った大島監督はすごいです。ただ-1点は、あまりにも聞き取りずらい教授とたけしの台詞・・・・・ 9点(2003-04-16 14:34:49) |