3. セントアンナの奇跡
《ネタバレ》 スパイク・リー監督作はこれが初めてなので、今までの作品群と比べて本作がどうなのかは知りませんが、巧くてとても見応えあり、佳い映画でした。ファシスト(の残りっぽい爺さん)と以外のイタリア人との陰の反目もあれば、冷酷なドイツ軍人もいる一方で温情なドイツ軍人も存在し、責任と悔恨に揺れるパルチザンと裏切るパルチザンもいる。そんな中に、米軍での黒人の被差別的立場もある。登場人物全員、当たり前だけど、同じ国籍・同じ肌の色であっても、一人一人の持つ考えやら思いやら信条は異なる。その部分を巧みに描き、故にドラマがあり悲劇があり奇跡がある様を表現しており、いやはや何とも見応えありました。虐殺のシーンも少々キツかったですが、4人がパーラーで侮辱される場面も見ていて厳しかったです(色は違えど有色人種としてはね。劇中、時代背景を示す言葉ではあっても、ニグロ、ニガー、ジャップには抵抗感がありました)。その後の、イタリアのショットに変わっての4人の眼差しは、私たちに何かを問いかけてるような気も。オバマ大統領就任となった今、何かが変わっただろうし変わることを願いますが。しかし最後の海のシーンは、何となく読めはするものの、ホッとするしよかったという気持ちに。チョコレートの巨人と少年の場面も温かでした。上映時間2時間半強、内容は厳しいながらも優しさもあり、考えさせる一作。できれば劇場で鑑賞して下さい。あとジョン・タトゥーロ出てたんですね。気づかなかった…。 [映画館(字幕)] 9点(2009-07-30 11:28:06) |