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コメント数 85
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自己紹介 映画を観る楽しみ方の一つとして、主演のスター俳優・演技派俳優、渋い脇役俳優などに注目して、胸をワクワクさせながら観るという事があります。このレビューでは、極力、その出演俳優に着目して、映画への限りなき愛も含めてコメントしていきたいと思っています。

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1.  センチュリアン 《ネタバレ》 
この映画の監督は、「トラ! トラ! トラ!」「マンディンゴ」等のハリウッドの職人監督リチャード・フライシャー。 原作は、ロスアンゼルス警察の部長刑事ジョセフ・ウォンボー。 したがって、アメリカの警察活動を内部から的確に描き出している点でも、とても興味深い作品だ。  警察もの、刑事ものは、その活動の対象が、庶民的な犯罪、特に社会の底辺から生まれる、喧嘩、売春、麻薬、窃盗、不法入国といった、浜の真砂のような諸悪であり、それが貧困と人種問題とを温床としていることから、この映画のように社会性の強いドラマとなる。  この点、「ゴッドファーザー」は、犯罪閥と言えるマフィアの巨大悪の、優雅な豊かさを描いていて対照的と言える。 そして一方、これに立ち向かう警官自体も庶民であり、仕事一途であればあるほど、次第に家庭から遊離し、孤独化し、どうにもならない社会の壁の前に荒んでいく。  書かれた法律と生きた法との矛盾、そこに警官は、自らの法を打ち立てようとする。 この映画での老警官キルビンスキー(ジョージ・C・スコット)がそうであり、「ダーティ・ハリー」のハリー・キャラハン刑事がそうであった。 そして、西部劇に見る、保安官と同じ姿がそこに見られるのだ。  しかし、自らの正義感に生きたキルビンスキーも、退職後は、楽しみにしていた、フロリダの娘夫婦の家庭にも受け入れられず、虚脱の中に自殺する。  この映画が、西部の大都会を舞台にしていることは、非常に示唆的だ。 無法地帯で、法を執行しようとした、かつての西部の英雄の姿は、今日では、大都会のジャングルの中に消え去る、小さな悲劇としてしか描きようがないのだ。  貧民街での夫婦喧嘩をやめさせようとして、精神病の夫に、犬のように撃たれ、「こんな馬鹿な------」と呟やきながら死んでゆく警官ロイ(ステイシー・キーチ)。 その彼は、妻に去られて、黒人との新しい愛に希望を見出したばかりであった。  その彼を抱いて、階段の上から見下ろすヤジ馬に、「毛布ぐらい投げてくれよ!」と叫ぶ同僚のガス(スコット・ウィルソン)の姿から、アメリカ社会の底辺に挫折する警官の、もっていきようのない、空しい訴えが響いてくるようなラストだ。  尚、この映画の原題は、ローマ時代に治安を守った、百人衆からとったものだが、映画の中で、キルビンスキーがロイに、「ローマの最後の日までだよ」と、皮肉を込めて百人衆に言及するところに、本来の寓意があると思われますね。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-24 09:52:36)
2.  1000日のアン 《ネタバレ》 
英国チューダー王朝のヘンリー8世は、一目惚れした若い娘アン・ブリンを手に入れるため、世継ぎを生まない王妃キャサリンと強引に離婚してしまう。 正室に迎えられたアンにも王子ができないまま、あんなにも情熱的だった王の心は、遠のいてしまった。 そして、離婚を拒んだアン・ブリンは、奸計をもって断頭台へと送られてしまう-----。  16世紀の英国チューダー王朝の悲劇を描いたチャールズ・ジャロット監督の「1000日のアン」は、絶対的な権力をふるった、リチャード・バートン扮するヘンリー8世とジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド扮するアン・ブリンの愛憎の葛藤を、舞台の格調そのままに映画化した作品だ。  リチャード・バートンをはじめ、並みいる古典舞台劇の名優たちを相手に、当時、新人だったジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドが、女の意地、喜び、悲しみを朗々と謳い上げ、オスカーにノミネートされるほどの演技を披露している。  世継ぎの男子を生まない女に用はない、欲しい女はどんなことをしてもモノにする。そして手に入れたら飽きる、男の幼さ、男のずるさをシェークスピア劇で鍛え抜かれた、名優リチャード・バートンが実に巧みに演じていて素晴らしい。  この名優に対して、ビュジョルドは一歩もひけをとらず、出会いの時の愛苦しさから、命を懸けて王の横暴に抵抗し、するべきことをなして泰然と運命を受け入れ、断頭台の露と消える王妃の誇りを演じて、これまた素晴らしい。 小柄で童顔のビュジョルドが、膨大な量のセリフをこなし、アン・ブリンを演じ尽くすさまに、ほとほと感心してしまう。  彼女が死を賭して、王位継承権を残してくれたとも知らぬ幼い娘が、宮廷の庭で、教えられたとおりの歩き方を練習しているラストも、切ない印象を残してくれます。
[DVD(字幕)] 8点(2020-09-27 10:01:59)(良:1票)
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