1. 壮烈第七騎兵隊
序盤はコメディです。しかもなかなかの良質。ヒロイン登場シーンもロマンスコメディとして最良の出会いの見せ方。セリフの掛け合いも楽しい。しかし中盤以降は徐々にコメディ色が薄くなる。なのにセリフの量は減らない。そのセリフがいつもユーモアに富んでいるのがアメリカ映画らしくていい反面、そのユーモアだけで持たせている感も否めない。そして何よりも尺が長い映画でこのセリフの量は疲れる。戦争シーンは凄い。南北戦争も凄いけど圧巻はやはりクライマックスの先住民連合との戦い。広大な土地を大きく映し、そのあらゆる方向から馬群が駆ける様を見せ付ける。同監督『ビッグ・トレイル』(1930年)同様に本物の画に拘っている。しかし『ビッグ・トレイル』同様に本物志向の迫力の画と劇映画らしい語り口との融合がうまくいってないような気もする。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-10-05 15:08:24) |
2. ソーシャル・ネットワーク
冒頭の長い会話が全ての発端となる。喧嘩の腹いせのように始められたサイトは大学の女学生を二人並べて二者択一してゆくもの。「点数を付けるのは難しいが二者択一ならすぐできる」。主人公は複雑な問題を常に単純化し、人生を歩んでゆく。彼が選ぶ先にはいつも「フェイスブック」の成長がある。「フェイスブック」をさらに巨大化させたのはやはり冒頭の会話の相手であった。と、こんな具合に映画も単純に進んでゆくのがいい。ところが共同設立者でもある友人とナップスター創設者と三つ巴のイザコザが描かれだすと誰にも付かず離れずの演出が妙にヤキモキさせられて(いつも蚊帳の外状態のウィンクルボス兄弟の描き方は最高)徐々につまらなくなってゆく。ボート競走の異様な迫力にハッとさせられたりもするが、そこだけ浮いているとも言える。でもラストカットで挽回。実話とはいえ、三者のイザコザをもっと簡略化してほしかった。冒頭の会話と中盤の再会とラストカット、これだけでじゅうぶん映画だ。 [映画館(字幕)] 6点(2011-08-22 16:18:54) |
3. 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
唐突に映される小汚い顔のクローズアップと荒野という魅力的な背景を効果的に見せるロングショット。セルジオ・レオーネの映画だ。イーストウッド、あるいはリー・ヴァン・クリーフが画面に登場するときのかっこいい構図。中でもイーストウッドの右腕越しにイーストウッドと対峙する4人の男をとらえた構図にはしびれた。ドラマの長くかったるい紆余曲折があまり気にならないのは三人の男たちがその紆余曲折の中で徐々に徐々に絡まってゆく様に面白さがあるからだろう。まるでコンビのように連れ立っているイーストウッドとウォラックにしたってその関係性は微妙に揺れ動いてゆく。そしてクライマックスの三角形。あの墓場の配置も素晴らしいが三者が対峙する三角形が凄まじく素晴らしい。映画はなんだかんだ言ってかっこいいのがいい。かっこいいシーン一つで心躍るのよ、私って。 [DVD(字幕)] 7点(2011-01-28 14:51:12)(良:1票) |
4. ソルト
《ネタバレ》 『ニキータ』『アサシン』、あと『ミッション・インポッシブル』とか70年代スパイ映画、とくに時を経て作戦が実行されるというところで『テレフォン』なんかも想起した。他にもロシア大統領暗殺シーン前は『ジャッカルの日』とかいろいろ出てくるんだけどやっぱり「ボーン」シリーズがあらゆる面で似ている。似すぎと言ってもいいくらい。でもこっちは過去を探るといったドラマはなくひたすら戦う。そして圧倒的な強さを見せる。当然特殊な訓練を受けた暗殺者なんだから強いに決まってるんだけど、その強さが半端ない。たった一人でアメリカ・ロシアの精鋭を振り回す。その人間離れした強さを一応納得させるために、幼少からの英才教育に加えて遺伝子的にもその強さの根源を提示してくれているのだが、これけっこう効いているかも。かといって訓練中のエピソードとかくどくど描かなかったのもいい。冒頭の即席の武器を作って逃げるシーンの半分焦りながらも脳みそがフル回転で導き出した動作を完璧にこなしてゆく様、高速道路を走る車の屋根から屋根に飛び移るスーパーアクション、車ごとダイビングする際の車内映像など怒涛にして頑なにアンジーの顔をしっかりと映したアクションが紡がれてゆく。コアな映画ファンにはイマイチというか駄作という専らの評判なのだが、なんつうか、このへんが映画素人ってことなのかどうか、私はアンジーその人がアクションしてます!ってのがガンガン伝わってくるともうそれだけすげーすげーと喜んじゃうみたいだ。それに「ボーン」シリーズの揺れ揺れ画面なんかよりずっといいと思った。あいつがあれだったのか!ってな米ソ冷戦時代の安っぽいスパイ映画にありがちな終盤の展開は、そういうのもういいよって思ったけど。 [映画館(字幕)] 7点(2010-10-04 19:50:16)(良:2票) |
5. ソイレント・グリーン
時代を考えれば変に近未来の舞台を作るより何もしないほうが結果として良かったのかもしれないが、それにしたって当時じゃ「何もしない」ってのはなかなかの決断だったはず。それともお金が無かったのか。いや、フライシャーはわかってたんだ。背景は映画の側面的なものでしかないということを。そのぶん想像を絶する慢性的食糧難という未来社会がいやというほど映し出されて未来を強調する。その世界の中で俳優たちは現代劇となんら変わらぬ演技をする。妙にリアルで妙にうそ臭い。このうそ臭いリアルに不気味さがあり、またこれが映画なのだという喜びがある。なんともやるせないエンディングが70年代前半独特の後味でどこか懐かしい。と思うのは限られた世代だけですね。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-16 10:12:14) |
6. それでも恋するバルセロナ
マンネリ気味のアレン節もスペインの陽気に当てられて実に意気揚々といった感じ。スペインの芸術家を演じたハビエル・バルデムがウディ・アレンの分身だという文章を多く目にするが、アレン映画の新たなミューズ、スカーレット・ヨハンソンこそがアレンの分身だと思う。短編映画の監督だったっけ。ちょっと芸術家かぶれのところがあって、芸術家ってのは破天荒であるべきなんてありがちな概念を持ってて、だもんで破天荒な行動をするんだけどいざってときに胃潰瘍になっちゃうというナイーブさが露見されちゃう。まじめさがとりえのはずの親友が後に女の本能のままに行動しちゃうのとは違い、自身の芸術家としての才能が開花されていきその喜びをも得ているにもかかわらず、論理的にいろんなことを考えちゃってけっきょく芸術家との別れという現実的な選択してしまうってところからも間違いなくアレンの分身は彼女。冒険して帰ってくる。この一連の行動をひと夏のバカンスにまとめてみたのがまたうまい。芸術家=破天荒という妄想を具現化したようなハビエルとペネロペのカップルがまた最高なんだけど二人ともがまたこの役にはまってるんだ。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-05 14:58:37) |
7. ソラリス
緩やかな水の流れに対する窓ガラスの雨の雫。感情を押し殺したかのような静寂。地球からソラリスへの移動の省略。ソダーバーグは明らかにタルコフスキー『惑星ソラリス』を意識している。意識したうえで、タルコフスキーがソラリスが起こす現象を映し出したのに対し、ソダーバーグはその現象が主人公に及ぼす影響と心の葛藤に焦点を合わせる。亡き妻への固執の原因を事細かに見せる。何度も行ったり来たりする過去のシーンと現在のステーション内のシーンを『トラフィック』でも有効に使われたコントラストの違う画面によって時空を自在に飛び超えてゆく。「ソラリス」を利用した男女の悲しいドラマを実にうまく見せていると思う。タルコフスキー版とは違ったオチもなかなかにショッキングだし、何よりもこの男女のドラマに相応しいオチだと思う。総じて満足できました。しかしタルコフスキー版はこの長々と語られる男と女のドラマを映すことなく男と女のドラマを想像させたし、男の心の風穴がちゃんと描かれていたのだということを忘れてはいけない。 [DVD(字幕)] 6点(2009-10-29 14:05:44) |
8. 続・黄金の七人/レインボー作戦
1作目が傑作で続編はいまひとつというのが一般的評価なのだろうが、私は1作目よりもこの続編のほうが好きかも。バカバカしくって。元来1作目だってけっこうバカバカしいはずなのに妙に落ち着いているというか大人びているというか。比べて続編の弾けっぷりときたら。話がワールドワイドな展開になってたり大袈裟な銃撃戦があったりと調子こいてるなってのが笑えるというか、ある意味で続編らしい続編だなと。さらに続編にありがちな「縛り」を感じないのもいい。弾けすぎたための破綻を恐れていない。何よりも嬉しいのが1作目の一番の見所でもあったロッサナ・ポデスタのコスプレがさらにパワーアップしているところ。小悪魔ぶりもパワーアップしている。 [DVD(字幕)] 6点(2009-09-30 16:00:38) |
9. 相続人(1998)
《ネタバレ》 邦題がネタバレになっちゃってるんですけど、まあばれててもいいというか、どっちにしろすぐばれるというか・・。だいたい離婚した弁護士、しかも女たらし、で敏腕、しかも強引なやり口で警察を敵に、となると大まかな流れも予想できようってもの。実際今あげたものは全て伏線となっている。しまいには「ジンジャーブレッドマン」の童話(うまくやってると思ってたら最後に裏切られるお話)。そしてクライマックスに向けて接近するハリケーン。結末でドッキリではなく結末を必然とするための伏線を楽しむ映画。遊んどるがな。というのは言いすぎにしても少なくともアルトマンは観客を煙にまこうとかびっくりさせようなんて考えていない。 [DVD(字幕)] 6点(2009-09-08 13:42:35) |
10. 双生児
原作からは「双子の成り代わり」というシチュエーションだけを借りただけの全くのオリジナルストーリーなんだけど、正直、原作よりも面白い。しかも乱歩小説の映画化の際にこぞって描こうとする乱歩的世界観を、いくら原作から逸脱しているとは言え、はなから作り出そうとしていないってところが素晴らしい。塚本晋也はメジャー作品であろうが、監督・脚本・撮影・編集をこなすことで思い通りの作品に仕上げてゆく。貧民窟に住む者たちのド派手な衣装もまた監督のアイディアなのだろうか。色彩豊かな衣装が良い意味での荒唐無稽さを出している。「成り代わり」から発するサスペンスを軸にしながら、復讐と愛憎のドラマは見事に純愛へと昇華する。84分か。テンポがいいなあとは思ったけど、凄い。 [DVD(邦画)] 7点(2009-07-31 16:52:40)(良:1票) |
11. それから(1985)
藤谷美和子は一番良いときの藤谷美和子で演技じたいは下手っぴなんだけど雰囲気があっていい。小林薫は一生懸命に嫌な男を演じていることが前面に出すぎている。あのロボットみたいなわざとらしい動きはどうにかならんか。松田優作は原作とはイメージがずいぶん違うが作品の世界には合っている。役柄上のおさえた演技も藤谷美和子同様にいい雰囲気を出している。社会の常識だとか倫理といった社会通念から外れることの弊害があっても自分の心に正直に生きようとする主人公に私自身を見る、なんて言うとかっこつけすぎですが、原作は漱石の小説の中で最も大好きな小説です。原作ではその社会通念に押しつぶされようとする圧巻のラストシーンが市電を舞台としていたので、この映画で途中に挟まれる市電内の奇妙な描写はてっきりラストシーンへ向けた伏線とばかり思っていたのですが、そうではなかったことがちょっと残念。「自分に正直に生きる」ことよりも「激しくもしとやかな恋愛」がメインに描かれているような気もするが映画としては正解かもしれない。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-07-22 14:42:01) |
12. ゾディアック(2007)
未解決の連続殺人事件を描いた韓国映画『殺人の追憶』が時代の闇を描いていたように『ゾディアック』もまた60年代後半から始まる(ベトナム戦争真っ只中からキング牧師とJFK暗殺から始まる)アメリカ史の闇が描かれていたのかもしれない。フィンチャーが『ベンジャミン・バトン』を撮ったことでそれは確信めいたものに変わる。物語のメインはゾディアック事件に翻弄される男たち。彼らは犯人というより「暗号」に翻弄されていたのかもしれない。そして皆が皆、人生を狂わせてゆく。法と規則から離れた存在の挿絵漫画家が最後まで異常な執着をみせてゆく。「暗号」の謎に。誰かが解かなきゃいけない。そう思い込む心理は、真実が露見しない社会の中で生きる人たちの心理なのかもしれない。しかししかし、フィンチャーは社会派ではなかった。殺しのシーンの怖さは尋常じゃない。ものすごく怖い。これがあるから長尺に耐えれた。これがあるから重さを感じた。フィンチャーがどう考えているのか知らないけれど、これがあるからアメリカの闇という壮大さは消し飛んで小さな犯罪に収束する。つまりフィルム・ノワールなのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-21 15:04:58)(良:1票) |
13. その土曜日、7時58分
シドニー・ルメットの最高傑作と言ってしまおう。時間を遡ってある時点から別の視点でリスタートする。別の視点で見せることで謎めいた物語を徐々に露にしてゆくというのはよくあるが、これはこれからの展開以上にそれぞれの過去までも露にしてしまう。何故そんなことになってしまうのかだけじゃなく、何故そんなことをするのかが解かってくる。しかも説明なしに。最後には全ての人物の行動や成り行きを何もかも納得させてしまう。完璧なシナリオにまず脱帽。イーサン・ホークのダメ弟が少しイライラさせてくれるのだがこのイライラが頂点に達するまえに時間が逆回転するもんだから、あまり不快感を覚えることもない。むしろこのダメ弟のダメ弟ぶりが、また顔だけが男前ぶりまでもがこの坂道を転がるように落ちてゆく物語に説得力を与えていることが判明したときは脱帽したうえに頭を深々と下げざるを得ない状態となること必至。全くもって天晴れ。そしてこの洗練された語り口。老人の作る映画じゃない。 [映画館(字幕)] 7点(2009-02-03 14:47:32) |
14. その後の仁義なき戦い
『仁義なき戦い』を頂点とする実録ヤクザものも、この頃には人気も廃れていたと思うのだが、深作とは違った味付けで全く新しい『仁義なき戦い』を作り上げていると思う。後半、終わりそうで終わらない展開にヤキモキさせられるが、例えば根津甚八がラストあたりで白いスーツを着込んでピストルを大量に隠し持ち、その姿を延々と鏡に映しているという、ここにきてえらく無駄に長いなあと思わせられるシーンがあるんだけど、そのシーンが、もうカタストロフィーに溢れまくっててけっこう好きです。ホント、この映画は終盤がいい。前半は松崎しげるが鬱陶しいってのもあるんだけど。あと、原田美枝子がいい。この頃の原田美枝子がただ好きだっただけかもだけど。実際テレビシリーズの「北の国から」は、純の学校の先生役で出てた原田美枝子だけが目当てで見てましたから。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-02-28 15:10:21) |
15. SONNY ソニー
ニコラス・ケイジ初監督作から勝手にイメージしたものとは大きく逸脱したもので驚いた。オープニングこそごくありふれた色調だったが主人公の住む世界に入ってゆくごとに独特の色を配してゆく、いわゆるアート系の作品の臭いを持っている。戦争から帰還し家の扉を開けるオープニングシーンもただのお話のオープニングというのでなく、ちゃんと物語のキーとなる「自分の殻」の象徴として登場し、エンディングにもリンクしている。俳優の演技が作品の評価を左右するほどの人物偏重の描き方は監督が俳優だからでしょう。でも俳優陣はその重責を全うした演技を見せてもいます。とくにジェームズ・フランコの表情の作り方は絶妙です。ただしやっぱり脚本の盛り上がりの無い構成や、先にあげた人物偏重の描き方が不満に残る。 [DVD(字幕)] 5点(2006-07-21 14:57:51) |
16. 訴訟
《ネタバレ》 実際にあったフォードの欠陥車における訴訟が元になっているようですので社会派が根底にはあるのですが、父と娘の関係修復のドラマがメインのお話となっています。ビジネスライクな弁護士事務所と正義を重んじる弁護士というわかりやすい対比と、企業対個人のありがちな図式は物語をスムースに進行させる反面、法定ものにはあってほしい緊迫感を著しく欠くものとなっている。正義を貫く姿が偽善にすぎないかもしれず必ずしも依頼人を幸せにはしていないという娘の指摘に深いドラマ性を期待したが、それ以上深く入ってゆくことなく父娘のドラマも予定調和から外れることなくハッピーエンド。ハッピ-エンドはオッケーですがそこにいくまでが簡単すぎるんだなぁ。エンディング曲がたしかシンプリーレッドだったと記憶してますがこれもちょっと違うような。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-02-17 14:15:27) |
17. 空の大怪獣ラドン
当時の特撮怪獣モノって独特のレトロ感があって好きです。この作品も例にもれずですが、それって特撮であることとかミニチュアの町の再現から成るものじゃなくて、きっと怪獣が出てこない部分で描かれる風景や家屋のセットからくるような気がします。そういう意味でもこの作品は炭坑の現場、工場、事務所、集合家屋、そしてその住民たちの独特の生々しさに溢れていて、ラドンそのものよりも強烈に印象に残っています。かといって、ラドンがダメってことじゃなく、むしろ幼少の頃からゴジラやガメラよりも、ただ飛ぶという行為だけでとてつもない破壊力を見せつけるラドンが好きでした。はっきりと見えるピアノ線は電線がひっかかってるんですよ、きっと。学者や警察を交えた会議はシリアスなくせして怪獣の存在にあまり驚かずに淡々と進むのは怪獣映画全盛期ゆえでしょうか。それはそうとラドンって、プテラノドンだったんですね。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-02 15:46:33)(良:1票) |
18. 続・激突!/カージャック
スピルバーグの描く「身近な恐怖」の原点が『激突!』ならば、スピルバーグの描く「ヒューマニズム」の原点は劇場用デビュー作となる今作だろう。裁判所の決定により奪われた子供を取り返すべく法を破り奔走する男と女。子を想うがゆえの実際にあった事件にスピルバーグが心を動かされたことは、その後の彼の作品を見れば理解できる。主人公二人が法を犯す行為はもちろん誉められた行為ではないが、子供が待っているという残酷な嘘をつき、さらには二人を射殺しようとする法の番人と、どちらが人道上の罪にあたるかは一目瞭然。そうやって人間らしい主人公二人に感情移入させ、人間を見ずに罪だけを見る法の矛盾を露呈させてゆく。アメリカン・ニューシネマをなぞっただけのありきたりな作品とも言えるが、大量のパトライトの行列やラストのキラキラなど、印象的な画が映画を見たという満足感を与えてくれる。私が一番印象に残った画は、二人組のよその管轄の警官が出動するシーン。あんな美しい空の画はそうそう見れるもんじゃない。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-08 17:58:02)(良:1票) |
19. 捜索者
鱗歌さんもご指摘しておられるオープニングとエンディングが印象的。真っ暗な部屋の中から切り取ったようなドア枠から映し出される画はまるで映画の中の映画。美しい情景が映され、ジョン・ウェインが馬に乗り颯爽と登場。さぁ始まり始まり~。そしてエンディングもこの逆で、映画の終わりを告げてくれる。憎しみと殺戮の世界が虚構性を強調され、後味の悪い余韻を引きづらせない。映画が大衆娯楽であるための心遣いである。それでも、ハッピーエンディングの中で一人寂しいジョン・ウェインの後姿に、別の余韻を感じずにはいられない。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-01 15:42:50)(良:1票) |
20. ソウ
出だしから完全に観客を引きつけてしまう設定のアイディア勝ちといったところでしょうか。そういう意味では『CUBE』に近いタイプの作品。大掛かりな機材を使った仕掛けが現実感に乏しいが(『CUBE』は非現実感をも武器にしているぶん有利)、そういったマイナス面を力でねじ伏せる勢いがこの作品にはある。それよりも気になるのはアダムに対する意味ありげな描写。想像力を膨らまさせるのはいいのですが、これらの描写はあきらかに何かの伏線として描かれているはずなのに結局、作中で明確な答えを出してくれない。なんとも、消化不良感を残します。メッセージは『CUBE』同様とって付けたようでムリがあるので無視してよいのでは。どこにムリがあるかと言うと、娘を人質にとった時点で他人を殺してでも生きたいと思わせる罠と真逆の罠になってます。父親としては自分の命を捨ててでもって思うでしょ。ハラハラドキドキドカーン!と楽しむ映画です。 [DVD(字幕)] 6点(2005-04-18 16:01:17)(良:1票) |