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1.  それでもボクはやってない
周防正行監督といえばコメディー映画の印象が強いが、(と言いながらこの監督の映画でこれまで自分がまともに最初から最後まで見たのって「Shall We ダンス?」1本しかないのだが。)痴漢冤罪事件を描いたこの映画は周防監督本人が公開当時某番組で語っていたように全く笑えない硬派な社会派映画。とにかく作り込みがかなり徹底されていて、主人公(加瀬亮)を通して痴漢冤罪被害者の現実が淡々とリアルに描かれていてとてもみごたえがあり、そして見ていてとても怖かった。はっきり言って今時の日本映画でこれだけ社会性が強く、作り手である監督のメッセージがストレートに伝わってくる作品は(とくにこのような大手のテレビ局などが絡んだ大々的に公開される映画では)珍しいのではないだろうか。結末もいかにもありがちな甘いものではなく現実的であり、(裁判長を演じる小日向文世の演技が冷徹で淡々としているのも妙なリアルさがあって怖い。)ここにいちばん周防監督の力強いメッセージを感じることができる。この映画を見ると実際に痴漢冤罪に苦しむ人たちのことを考えさせられるし、なにより自分も電車に乗る(満員電車に乗ることはあまり無いが。)ので気をつけたいという意識が自然と一層強くなった。出演者も実に適役で、中でも主役の加瀬亮はもちろんだが母親役のもたいまさこの抑えた演技が特に良い。
[DVD(邦画)] 8点(2009-09-23 14:46:32)
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