1. ゾンビランド:ダブルタップ
《ネタバレ》 ゾンビ映画あるあるというメタ的ユーモアが話題となった「ゾンビランド」、10年ぶりの新作。 これだけ間が空いたにもかかわらず、オリジナルメンバー(+ビル・マーレイ)が集結したことがまず嬉しいところだ。 10年というのは結構長い。 前作の公開当時、ロックボトムを演じるアビゲイル・ブレスリンが既に大物子役として大成していたこともあり、丁度人気が出始めた辺りのエマ・ストーンは少々知名度に劣ると言った印象だった。しかし今では4人の中で唯一のアカデミー賞受賞を達成し、大女優になりながらもこのコメディ映画に帰ってきた。 ウディ・ハレルソンは「スリー・ビルボード」などの良作で確実に円熟味を増し、名優として扱われることが多くなったいたが、タラハシーの様なイカれた役を待っていたファンも多いのではないだろうか。ナチュラルボーンにクレイジーなウディも僕は好きである。 子供だったアビゲイルちゃんは妙にリアルに成長。劣化とか言ってはダメだぞ。ちなみに「マギー」でゾンビ役をやってたりもする。 ジェシーについては、前作が昨日公開されたんじゃないかってほどそのままで、なんか面白い。 さて、世界観の方にも続編らしい新設定が加えられた。 ホーマー、ホーキング、ニンジャ、T-800という強化ゾンビたちの出現だ。 しかしながら実はこれらが物語に強く影響することはなく、ギャグの幅を広げるために用意されているのが上手いところだ。 つまり、10年経った続編ながらも、いい意味で代わり映えがしない。 新キャラにしても、マディソンは話を動かす仕掛け&ギャグ要員としての役割に終始し、必要以上に内面が描かれることはない。「バカキャラ」で全てが完結できるようになっており、人気上昇中のゾーイ・ドゥイッチの可愛さとバカ演技で強引に押し通してくる。 他にもアルバカーキやフラッグスタッフといった面々が出てくるが、これらもギャグ+アクションで沸かせた後は意図的に退場させており、スケールを保っていることが分かる。(ルーク・ウィルソン、トーマス・ミドルディチ、ロザリオ・ドーソンなどサブキャラのキャスティングが異常なほど豪華である) 本作は相変わらず4人にまつわる話なのである。 リトルロックの反抗期、ウィチタとコロンバスの痴話げんか、タラハシーの子離れ。 サザエさんの予告みたいになったが、「ダブルタップ」で描かれるのは、数年を経て絆を強めた家族のホームコメディだ。 新キャラも設定もゾンビも、彼らのドラマ以外は全部ゆるーいギャグでいい。 そして「家」を探す旅路は、ホワイトハウスであれキャデラックであれ、家族が揃う場所なのだという答えにたどり着く。 ゾンビだらけの終末世界ながら、のほほんとした「らしい」終わり方が良いではないか。 映像が豪華になり、世界観が拡大されても、描くべき部分やオーディエンスが期待する部分をしっかり見定めており、「ダブルタップ」は非常に心地の良い続編になっていると言える。そしてもちろん存分に笑わせてくれる良作だ。 そういえば、マディソンがゾンビ化する前にコロンバスが手を打とうとするシーンは、2度撃ちということもありコーエン兄弟の傑作を思い出す…とコロンバスやフラッグスタッフ的な想像をしてみる。あと最後のビル・マーレイはズルいだろう(笑) [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2019-12-02 12:23:31)(良:2票) |