1. 浮草
《ネタバレ》 やくざな旅芝居一座の世界を描いた作品で、僕ら一般人?には共感が得にくい内容と思いながら観ていた。でも、まっとうに生きようとする若い二人と、ラストの、そんな世界には到底戻れない男女の再出発とも言えない、ジーンと来る再出発の姿を見て、小津さんの言いたいことがわかるような気がした。何故なら、見方によっては、まっとうな世界に戻れない男女とは、人生の折り返し点を遠に過ぎ、大きい人生の変革などもう出来ない、我々のような中年の姿であるかも知れないからである。そして、その二組の男女の行末を温かい眼で見守る杉村春子の視線が、そのまま小津監督のそれであるのだと思った。 8点(2004-01-28 16:28:03) |