1. ダンサー・イン・ザ・ダーク
<ネタばれあります>セルマの生は閉じられた闇の中にあり、その闇の中に鮮やかな色彩と調和の世界を創り出し、まさに「闇の中で踊る」ことによって現実の生を保ち得ている。それは目の病に直接的に起因しているというよりも、子供の頃に下されたその運命の宣告ゆえではないか。その宣告が彼女の生に対する認識に決定的に刻印され、自らの生き方の可能性を制限している。後半、死刑の宣告が、失明に関する運命の宣告と同じ構造の、より深刻なバリエーションとして真の闇へと彼女を導いていく。最後のシーンでは、実は人間の生そのものが闇から生まれ闇へと葬り去られる束の間の幻影にすぎず、セルマの心の中できらめく調和の世界(心の声)こそ永遠不変のものではないかという劇的な価値の逆転がなされる。肉体の終焉による制限された生という意味においては、どんな人間もセルマと同じ運命を背負っているが、もしその時が訪れたとしたら私はセルマのように最後の瞬間に魂の永遠性を信じることができるだろうか。 8点(2002-05-02 09:08:40)(良:1票) |