1. 瀧の白糸(1933)
《ネタバレ》 世間の映画館が全てデジタル映写機になり、35ミリフィルムの活弁付きで観られる最後のチャンスかもしれない (詳細はブログにて)[映画館(邦画)] 10点(2015-06-13 17:24:01) |
2. ダークナイト ライジング
《ネタバレ》 初めてシリーズを通しで鑑賞。 伏線職人のクリストファー・ノーランらしいエンディングで、二回も見直しちゃいました。そしてその後に止まらない涙がドドーッと。 (詳細はブログにて)[DVD(吹替)] 8点(2013-08-04 11:01:59) |
3. ダフト・パンク エレクトロマ
70年代のSF臭が見事なまでに再現されていて、むせ返りそうなほどにクラクラする。 (詳細はブログにて)[DVD(字幕)] 9点(2008-11-02 23:01:35) |
4. 大日本人
《ネタバレ》 [DVD(邦画)] 9点(2008-05-17 14:51:42) |
5. 太陽はひとりぼっち
《ネタバレ》 極めてシステマチック。極めて論理的。この映画は見事なほどソナタ形式の音楽として「聴ける」。この、全体を統一する伽藍のような美を心行くまで堪能しました。 普段はアート系映画を観る際、自分の「画を観る能力のなさ」に悲しくうなだれてしまうワケなんですが、今回ばかりは「まだオイラにゃ構成を聞く能力があらァね」って自信持っちゃったよ。 というワケでいきなりネタバレ解説ですが、全体はソナタに倣って3部構成+プロローグ&コーダになっています。序盤(序奏)/1日目(提示部)/2日目(展開部)/それ以降(再現部)/最後の夜(コーダ)、という分かれ方ですね。 主題は自然的・非論理的・女性的な世界観と、都会的・合理的・男性的な世界観に分離されてます。それぞれを背負ったキャラクターとして、ヴィットリア(モニカ・ヴェッティ)とピエロ(アラン・ドロン)が配置される、と。 第一主題と第二主題が交互に現れては呼応しあって、互いの距離を近づけて行く。これはまさにクラッシックでのソナタの構築法であって、一番盛り上がるお約束になっている展開部が「株大暴落とその後」に当たっているあたりニクいニクい! 二つの主題は共にビシッと立ちすぎていて、両者が変奏を重ねてひとつのメロディに繰り込まれても多分楽しくないだろうな…と大体予想がつきます。 このあたりはセリフを聞く必要もストーリーを追う必要も全然なし! なぜなら画面いっぱいに広がる、雲や、路上の雑踏や、犬たちの群れこそが重要な劇伴となって主題を装飾し、流れをサポートしているからです。 一番判りやすい雑踏を例に挙げると、最後の方で「また会おうね~」と言って別れた二人。ヴィットリアが屋外へ出ると、息の詰まりそうな雑踏に呑まれてしまう。彼女がいる世界の路上は、提示部では常に無人でした。「無人」という、言い換えれば「ゆとり」という伴奏が、画面で彼女をサポートしていた。第二主題との掛け合いによって「彼女の画面」の装飾はどんどん崩れていく。路上にはチラホラと人が登場し始め、いつのまにか息も詰まるほどの雑踏になって彼女を圧倒し…これと同時に、電話でリズムを律せられていたピエロが電話を受けなくなるのを描き、彼の主題世界も崩れた事を現します。 画面そのものが伴奏であり、主題であり、それが古典的な美しい構成をもって、決められた手順通りに反復され、予定の結末(この映画の場合は和声崩壊)に至る。この、病的なくらいのクラッシックな完全性は、何というかラストに訪れるメランコリーな演出を帳消しにしてしまうほどに美しい。わくわくと胸躍らされるモノがあるのですわ。 予想通りの場所で「FIN」が出た時、初めてサン=サーンスの『オルガン』を聞き終わった時のようなため息が漏れました。話は60年代の終末観にあふれてたかもしれないが、監督の意図とは別に天国へ行かせていただきましたよ。 まったくもう見事な演奏。名盤でした。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-03-02 23:14:18)(良:1票) |
6. 007/カジノ・ロワイヤル(1967)
実は子供の頃、土曜の午後に偶然テレビをつけたらこれを放映してて、「140センチ」云々以降は観てました。つまりオチがわかっちゃってるので食指が動かなかったんですな、今まで。 今回初めて通して観て、一流の無駄使いに超一流の脱力をさせて頂きました。この監督たちは、この世の何が無駄か、よくわかってらっしゃる。無駄でないモノがひとつもない(笑)。 本作がティム・バートンに与えた影響の大きさも量り知れないですなぁー。幼少のバートンは、絶対あの敵に自分を重ねて観ていたに違いない。オイラも、あのガラス越しのパントマイム芸だけはしっかり記憶してましたからね。あの頃の彼のパントマイムは絶品だと思うなあ。 だが、音楽がこの上なくダメダメ。 映画そのものには大変よくマッチしているが、シナリオ/映像があれだけ頑張ってるんだから、劇伴も本家「ボンドのテーマ」&スパイ物の音楽全般をちゃかすアレンジを駆使してほしかった。新作の「カジノ〜」ではボンド史上最もエキサイティングなアレンジをしてるので、比較しちゃってなおさら情けない感じ。●2巡目追記:これ、進行が違うだけでアレンジになってるわ! 脱帽しますた! 1点上げ! もちろん全体としてはすんばらしい。『地下鉄のザジ』が小粒に見えて来るほどの懲りようですわあ(向こうは音楽も凄いんだが)。 個人的にはサスペンダー対ガーターベルトのミサイル戦が超ツボでした。60年代バリバリのサイケな雰囲気も悪くない。バグパイプ軍団のわけのわかんなさや、ベルリンへ行く時の無茶苦茶さ(あれって単に表現主義のパロディしたかったからベルリンにしただけじゃないの?)、スーパー安っぽい夢の中でかかる情けない歌…支離滅裂なドラッグ感覚が散りばめられながらも、話の本筋からはギリギリ外れない。観客を本気で置いて行くわけではない。A級ならではの舵取りの絶妙さに映画職人の腕と意地を見た感じ。 このスノッブさが、現代の映画から消え去ったのは悲しい事かもしれない。本物のゆとりが、まだ本作には残っていて、もう自分たちには(画面を見つめる以外に)手が届かないと痛感させられるのが悔しくてならない。こんなくだらない作品、その気になれば現代で作れないはずがないのに、絶対お目にかかれない。 しゃーねーわ、泣きながらオースティン・パワーズでも見直してみるか…。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-24 07:39:31) |
7. 対話の可能性
まだヤン翁が無名だった頃、本作の日本初上映の時に身近なファンを誘って観に行って、全員が全員腰を抜かしました。当時の感想は「うあー!」しかない。 (詳細はブログにて)[映画館(字幕)] 9点(2007-06-10 20:28:53) |
8. ダック・シーズン
最初からお芸術エンジンがフルスロットルで炸裂。この時点で、ここの平均点である5点が確定したんですが…実はサッカーゲームのシーンは相当に笑ったし(場内でも爆笑者が数人ほど)、泡立て器や夢のシーンの笑うに笑えないシチュエーションとか、花瓶のカケラを集めながら語る一人芝居…けっこういい場面あるぢゃーないの。 ダメダメな感じでスタートしてから、いいネタを小出しに繋いでいくという「いつの間にか体に染み込んでくる」感じの不思議な映画です。知人がみんな口をそろえて「観客席の座り心地は札幌で最上」と言うミニシアター《蠍座》で鑑賞したのも相まって、とても心地よくエンディングを迎える事ができました。こういう「リリカルな脱力」ってモノはなかなか観れるモノではないので、大いに楽しませてもらいましたよ~ん。 ただ、マヌケな映像のバカっぷりを楽しみながらも、キチンと分析していく事もできる画になっているところが、善くも悪しくも《メキシコ映画》ですねえ。この秋くらいに気付いたんですが、メキシコの芸術映画の作りはドイツのソレによく似ています。理由は不明、でもジャーマン・シネマ系が好きな人なら乗れる要素は大いにありそうです。 脱力催眠波に捕われる事なく、脳をフル回転させて映像をねじ伏せつつ観るのが正しい鑑賞姿勢かと(笑)。 [映画館(字幕)] 8点(2006-11-23 23:34:21) |
9. 太陽(2005)
うっわ、ノルシュテイン実写化(笑)。 いやホント、あの幻想的な空襲シーンを見れただけでも「ロシア映画観たァ~」って気になります。もう美術に関しては文句のつけようがない。 スタニスラフスキー・システムをわかってる者としては、各人の役作りは役者本人の投影であるのがわかるため、安心して見る事ができました。もちろんオイラも桃井かおりの役の作り込みには首を傾げたんですが、もう少し考えてからでなければ結論は出せないような気がします(少なくとも、この映画独特の時間経過表現と、人間宣言後に皇后が登場する事を考慮すべき)。 そして音楽! バッハのチェロ独奏曲を世界で一番、重たく悩ましく弾いちゃうロストロポービッチ爺さんの演奏っすから、腹に響かないわけがない(CD持ってますけど、体力消耗するのでそうそう聴けません)。ちなみに音楽評論家・吉田秀和はバッハのチェロ独奏曲を「奏者と神のみが聴く、最も孤独な音楽」と評しました。まさにこの映画のモチーフです。他のBGM全体は基本的に無調音楽で、緊張感あふれる使われ方をしていました。こういう素晴らしい劇伴は今後も増えていって欲しい。というか、やれ(命令形)。 本作はレビューが大変だというのが予想できたので、事前にチェホフの『かもめ』『ワーニャ伯父さん』をセッセと読んでロシア演劇を予習してから劇場に向かいました。でも付け焼刃はダメですね。それぞれの演技が意味するものが、まだ観えてこない状態です。そもそもスタニスラフスキー方式で昭和天皇なんていう奇っ怪な人間像(いや人間以上ですらある)を演れんのか? …ってな根本的な疑問もあります。ここで表象される天皇=太陽像は、読み解くのがとてつもなく難しい。 オイラには、まだまだハードルが高かった「演劇作品」でした。ただ、美術・音楽・演出の力で何度も観れるモノに仕上がってますから、今後しつこくチャレンジする事になるでしょう。 今は、とりあえず目の前に展開されるモノのみを評価して、この点数で。 [映画館(字幕)] 9点(2006-10-07 01:33:47) |
10. 大列車強盗(1903)
過去のエジソン社のフィルムを漁ってみると、本作の「最初の劇作品」という評価が間違いなのがわかる。コレ以前に戦争映画もあったし、チャップリンの原型みたいな作品もある。処刑シーンを再現した残酷映画もあり、トリック映像もあり、1891~1901 という時代はアメリカ映画にとって百花繚乱、要するに何でもアリだった。 全ては過激な競争の結果である。ハードメーカーであるエジソン、リュミエール、ミュートスコープの三つ巴の戦いがあった。ソフトメーカーはこの三者以外にメリエス、パテ、ゴーモンらが加わった。加えてハードを販売したいエジソンは、安い興行料金でキネトスコープ上映を普及させたい興行主とも衝突した(一作25セントで覗かせたらしい…ニッケル=5セント)。 この泥沼の戦いの中から様々なビジネスモデルが立ち上がっては倒れ、それに沿った作品が生まれては廃れていく。どれほど熾烈な争いだったかは、百年後(1991~2001)のパソコン戦争を思い出せば理解できなくもない。ジョブズが敗退しビル・ジョイが下野しリーナスが理想主義に走る中で、全てをビル・ゲイツが握る結果になったのは、リュミエールと同じ視野だったからだろう。 全ての戦いが決着し、リュミエールのキネマトグラフが勝利を確定していた 1903 年。『映画』は安いお金で、誰もが楽しめるという姿になった。ニッケルオデオン時代の到来だ。ソフト側のあらゆる試みもここに決着を見る。客寄せのための、個人志向の強いケバケバな人体切断も映像奇術も役目を終え(ポルノは結局役目を終えないが)、エジソン社は新たな時代の幕開けとするために「観客」のための作品を作った。ハード競争での敗北を認め、「これからは上映の内容で勝負しよう」と宣言した。それが『大列車強盗』という作品の持つ、歴史的な意味だと思う。 この一連の流れは考察に値する。映画史は同じ事を繰り返していないだろうか。後のVHS対ベータの時代がスプラッタ映画ブームに重なる事。いまネット配信の熾烈な争いの中で、見るからにヤバいCG映画ばかりが出回り始めている事(いや『アンデッド』は評価してるよオイラは)。 『大列車強盗』を懐古趣味に走らずじっくりと鑑賞すれば、ブームに流されざる一本の竿とする事ができる。そうして欲しいと切に願う。10分だしね。 ●追記:いや、いつか改定します…本作の歴史的位置付けはそんなに甘いモンじゃないな…。 [インターネット(字幕)] 5点(2006-09-23 11:05:24) |
11. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
《ネタバレ》 コメディとはいえ自分的にはちょっと笑えず、泣けるシーンばかりが光っていた気がします。 ちょび安に親の死を告げようとする左膳。縁側に座って、 「おい安坊…(すんごい間)…なんだい、それ金魚かい?」 「うん」 「小さい金魚だねえ!」 もう、ここで泣かないわけにはいかないっすね。 いい映画でした。時代を超えたテーマ性があって、これからきっと何世紀が過ぎても古びない作品であり続けるでしょう。 でもオイラは心を鬼にして低評価にします。林不忘の原作の方が面白かった(まだ『乾雲坤竜』の巻しか読んでないですが…)し、ぶっちゃけオリジナル左膳も時代を超えたテーマ性が強い。本作を見た不忘が、自分の名をクレジットを外させた思いは何となく想像できました。 『ターミネーター』は最初ランス・ヘンリクセンがロボット役としてキャスティングされていたそうですが、そのまま作られていたら丹下左膳のイメージにかなり肉薄してたんじゃないかな。それくらい、残忍で猟奇的でアウトローな剣豪像。 青空文庫でタダで読めます。順序としては本作を楽しんだ後で、オリジナルに触れる方がいいでしょう(逆だとオイラのような評価になるかも)。オススメ。 [DVD(邦画)] 2点(2006-08-19 08:14:55) |
12. 太陽の帝国(1987)
《ネタバレ》 信じるもの、心惹かれるものがことごとく壊されて行く少年期。絶対の強者なき流動的社会。極東のエキゾチックな混合文化。《世界一冷酷な状況観察者》J・G・バラードはそこで誕生した。スピルバーグが頑張って与える彩りも、最後には全て無に還っていく。この虚脱感、そして虚無感。ラストはまさにバラ色の絶望と呼ぶにふさわしい。この後、成長した彼が「世界の破滅」ばかり描き続けたのは、こうした理由のある事だと納得できる。彼の小説には決して悲惨さはない。彼は反戦家ですらない。他の同世代の子供達と違い、バラード少年はこの時、傷ついたのではなく悟りを得てしまったのだろう。スピルバーグは、求道者が老僧へ教えを乞うように、バラードから悟りを授かりたかったのかも知れない。後に『シンドラーのリスト』を撮った時の彼の視線は、バラードのそれに、かなり近い。 …てゆーかそこまで入れ込んだんならだよ、儲けた金で『ハイライズ』とか『結晶世界』とか『残虐行為展覧会』とか『コカイン・ナイト』とか『コンクリートの島』とか映画化してやれよ~! いまだにバラード作品の映画化はクローネンバーグの『クラッシュ』だけっつー悲惨な状況なんだからさー。 ●追記:そう思ってたら、ナタリ監督の次回作が『ハイライズ』ぅ? 大道具費削減王ナタリか…また『クラッシュ』みたいにババかもな…健闘を祈る。 [映画館(字幕)] 8点(2006-05-06 05:50:01) |
13. 丹下左膳(2004)<TVM>
面白かったっす。面白すぎて、いま原作を読み始めたところです。ふむふむ、左膳の赤い襦袢は、原作から既に女物を着用してるんですな~。 …どうでもいいんですがコレ映画の豊川悦司版と間違って借りてました(レビューまでしっかり入れてた)。TVMだと知って内容的にも納得だし、展開の軽さに愛着が湧きます。かなり面白かったと言えます。 ●追記:名作の誉れ高い戦前の大河内傳次郎版を観ました…コッチの中村獅童版が活劇講談なら向こうは人情落語。それくらい天と地の差がありました。原作の左膳のアウトローっぷりがよく出てるのはコッチの方です…アウトローを強調するためか政治性が強くなっていて、観る人を選びそうですが。 それでも獅童版には傳次郎版を凌駕する魅力を感じます。それが一番巧く出ているのは《殺陣》。隻腕の左膳が主人公の物語なのに話が「壷の争奪戦」ですから、斬り合い時に壷を持つ左膳がどう剣を捌くかが非情に興味深い。獅童の殺陣はそのあたりを考え尽くした、片腕ならではの荒っぽさや美学がありました。 こりゃ、他の左膳映画も観たくなってくるなあ。 [DVD(邦画)] 7点(2006-05-05 23:05:46) |
14. 第七の封印
《ネタバレ》 演劇風の映画ばっかり撮ってるベルイマンですが、この作品のエンディングみたいに強烈な映画的ロングショットが入ったりするともう最高。というかこの、ほぼ全キャラが「死の舞踏」を踊りつつ死神に引っ張られていく風景は圧倒的でした。それまで際立っていたみんなの個性もなくなり、まさに地獄に落ちた亡者のように没個性的な描かれ方をしてますね。本作はテーマとして「死」しか扱ってないと思うんですが、そのために非常に歯ごたえのある(ある意味、消化しきれないほどの)作品に仕上がっていると思います。 …あのマヌケ面の死神がいい味出してるような、やっぱマヌケなような、ちょっと微妙なとこはありますが…あんなとこでノコギリ使うなよ! オイラ笑っちゃうから! [映画館(字幕)] 7点(2006-04-20 03:46:46)(良:1票) |
15. ダイブ 深海からの帰還
これが登録されてるなんて気付きもしなかったよ。コレはかなり海洋科学通向けの、濃い映画です。決して一般の人にはお勧めできませんが、現実にある技術のみでレスキューを試みる、リアルな深海救出モノとしてはおそらく最高の出来です。もう『アビス』なんて捨てちゃって下さい、ってくらいです。ストーリーは、いわゆる飽和潜水事故モノ。お約束の「空気が足りないッ!」ってなシーンがあるんですが、それを解決するために、ヘリウムの代わりで○○を混ぜるという…画面の前で「おしっ!」って叫んじゃったもんね。しかもこのガス変更を提案するのが(潜水基地の遥か海上にある母船にやってきた)主人公の奥さんで、泣きながら訴えるという…奥さん、この代案の危険性も十分知ってて、それでも言ってるわけで。もらい泣きできまっせ。持つべきものは科学マニアの奥さん…じゃなかった、よき家族だってのを実感。ただし○○は非常に扱いが難しくて、予想通りの展開になって行くのですが(汗)。専業ダイバーが、どんだけ危険な世界で仕事してるのか、深海つう場所が近いようでいてどんだけ遠い世界(そう、距離の問題だけじゃないんですよ)なのか、実感できるんじゃないでしょうか。ハリウッド世界とはちょっと違う、ホンモノ志向でドキドキハラハラしたい方にはお勧めです。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-06-04 04:28:19) |
16. 大魔神
《ネタバレ》 なにわ君さんのレビューに釣られて見てしまいましたよ。結果は「うーん! 弁士が欲しい!」。時代劇というより伝奇物語の造りなんですよね。だからノリノリのナレがないのが寂しい。まあここまで絵ができてると、自然にナレが聞こえてきますがね…なぜか国枝史郎風の… 「嗚呼、いかに極悪非道の謀反人と云へど、あまりと云へばあまりの仕打ち! 地面に伏したる小笹は死中に居るのも忘れ、よよと泣き崩れたのであった」 「かくなる上は滝より落ちてこの身果てんと絶壁に駆け寄る小笹に、お姉やめてよと竹坊が追いすがる。ところが正にこの時だ。一陣の陰風がもつれ合う二人を諌めるように吹き抜けると…見よ! ガラガラと崩れ落ちた岩戸の奥に、魔神の像がすっくと立って二人を見下ろして居るではなゐか!」 「霊光一閃里へ降りた魔神の像には、花房忠文が十年親しんで来た穏やかな面持ちは微塵もない。その形相、もはや身も竦むような鬼神の顔だ! 般若の面だ! これぞ誰知らぬ者のない封じ込めの魔神、阿羅羯磨の現し身であった」 「これは殺生な、手前も城へ入れて下されい…と往生際も悪く御成門を叩く侍供を尻目に、ようよう追いついた魔神が門も人もまとめて叩き潰す。その上へ屋根の瓦をぶちまけた大魔神、正々堂々御成門からの入城と相成った」 …う。ちょっとノリ過ぎました(とか言いながら手を入れてたり)。 7点(2004-10-23 03:04:58)(笑:1票) |
17. タイムライン
《ネタバレ》 当然というかクライトン最低作の『コンゴ』よりは点を高くするけど、あまりオマケはしないぞ。まー作者自身B級ムービーの原作となるよう書いてた感じがするし、今回のメインはSF部分より入り組んだ時空のパズルなんで、そこはキッチリ描けていたからいいか。だがしかーし、役者の演技の時代考証が甘いんで、『バンデットQ青春編』というイメージが始終ついて回った。本気でクリーズかコネリーが出てくるんじゃないかと思ったよ(ていうかメインキャストは原作読んどけっ。中世貴婦人のキスの仕方とか、下手な演技指導より詳しく書いてあるぞ!)。あと、若い俳優を中心に揃えた結果、役者の面構えがあんまり殺伐としてない。これだと騎士モノとしてのインパクトがねー。ド・キュア卿なんか、ロン・パールマンあたりを期待してたんだけどねー。原作ではモロにビル・ゲイツをモチーフにしていたドニガー社長も、もう少し線の細い神経質キャラにして欲しかったかな。城攻めは迫力があったが、剣闘も白兵戦も騎馬戦も見せ場がない状態。端的に言ってこの原作が映画化されるのはみんな判りきっていたワケで、「消化ムービー」というのが一番正しい呼び方かもしれない(オイラ自身、クライトン未見作品を消化しただけという意識がかなり強い)。ま、そんなのクライトンファンは先刻ご承知なんだけどね。どうにかならんのかね、この「予告された駄作」みたいなフザケた商業展開は(こーゆーとこ、キングに似てるなあ)。 ●追記:いまわかりました。これ、「人の話を聞かない野郎たち」が織り成すご都合主義ありーのアクションコメディタッチで撮れば良かったんだ! 逆立ちしたってドナー監督にやれるとは思えないけど…原作ファンも怒り心頭だろうけど…そうでないと2時間に納めるには複雑すぎるよ。 3点(2004-08-23 02:40:55) |
18. タイタス
《ネタバレ》 もっと点数上げてもいいかも。『グラディエーター』でガックリ・ムカムカ来た後だったので「オレの見たかった古代ローマはコレだーっ!」と、大変楽しく(?)観たおぼえがあります。とにかくオープニングの秀逸さ。泥だらけのローマ兵にバイク部隊が並んでいる絵造りだけでもう満足。街頭の選挙演説シーンになる頃にはおなかいっぱいアタマもいっぱいで、映像がただ目から後頭部へ抜けていくだけの状態でした。当然そっから後の残酷シーンも感覚がマヒしてボーッと観てた。オイラ的にはかなり相性がよくてトリップできた作品だったなあ。ただ、終わりごろにタイタスがレクター博士の演技になっちゃうのはご愛嬌っていうか興ざめっていうか…アンソニー爺さん、あーたにゃそれしかないんすか?(泣) 7点(2004-08-08 01:33:46) |
19. 卵の番人
実は登録要望を出した時に、一瞬悩みました。該当するジャンルがないんです。「コメディ? いや違うな、恋愛はゼロだしグルメじゃないしサイレントっぽいけど違うし、アクションないし…」ないないづくし。ドラマだってあるかどうか。キャッチコピー的に「売り」になるようなモノを一切合財排除してますな。こんな奇妙な映画(映像的には極めてオーソドックスなんだけど)は初めてかも。でも、やがて訪れる、必然的な、でも衝撃的な、暖かくて寒くて悲くて希望がほのめかされているラストには、もう涙せずにはいられない。何が何でこうなって泣いてしまっているのかわからなくて腹を立てている自分が、気付くと冒頭と同じシーンを見つめていて、やがてエンドクレジットに流れ込んでいき、その不思議な感覚は今でも忘れられない。あえてジャンルをこじつけるなら、これは「大人の童話」ですね。老人と子供の区別をなくしてしまう童話。さすがはサンタクロース発祥の地、というところかな。 9点(2004-06-13 01:21:19)(良:1票) |
20. 大誘拐 RAINBOW KIDS
キャストの演技の拙さを憂うコメントが多いですけど、「それは見る場所を間違ってるゾ!」と声を大にして叫びたい。オイラも映画を見てから原作に触れたんですが、そこで初めてキャスティングの素晴らしさ、役作りの完璧さがわかりました。とにかく、この映画で見るべきは「串田執事=天本英世」「女中くら=樹木希林」「四男大作=岸部一徳」「次男国二郎=神山繁」「和歌山TV重役=藤木悠×中谷一郎(刀自を見て嗚咽を漏らすシーンのみ)」だッ! まるで文字と一体化したかのように原作の持ち味そのままの演技。まさに《神が降りてきた》状態だと思いまっせ。他の柳川一族や村人たちももちろん素晴らしいす。そしてこの100%な脇役に囲まれて、北林谷栄と緒方拳の名演が光らないわけがない! 誘拐犯3人組が演技で勝てるわきゃないっすよ。むしろ彼らには、泥まみれで山林を駆け巡った頑張りに「お疲れ様」と言いたい。私的には9点。でも、もっと評価されていいと思う映画なので10点にしてみました。(我ながら久々に熱苦しーコメントだ…)●2004/12/3:サービス期間終了 9点(2004-04-17 18:22:38)(笑:1票) |