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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 823
性別 男性

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1.  大統領の陰謀 《ネタバレ》 
「ウォーターゲート事件」の詳細や、ニクソン大統領政権下の情勢等に疎いので、はっきりいって“何がなんだか分からない”“誰が誰だかよく分からない”という状態だったが、何らかのパワーのある作品ということはよく分かった。 それを支えているものは、“ジャーナリスト魂”と“報道の自由の精神”だろうか。 面白みには欠けるが、“電話取材”“インタビュー取材”“メモの重要性”“ネタに対する裏付けの根拠”等の取材の基本を忠実に描いているために、こういった精神がきちんと伝わってくるのではないか。 また、基本的にはもちろんジャーナリスト寄りだが、一方に片寄るわけではなくて、なるべく中立に描こうとしている点も好印象。 実際の映像を用いて、相手方の言い分や反論もきちんと描きこまれている。 さらに、映画らしい余計な展開もない点もなかなかの思い切った演出となっている。 サスペンスタッチで描くこともできただろうし、国家の陰謀を大げさに描くこともできたはずだ。 そういった手法を取らないことによって、“面白み”や“派手さ”はなくなってしまったかもしれないが、“真相を追い求めたいという姿”や“圧力等に負けない精神”を虚構ではなくてリアルに感じられる作品に仕上がっている。 単純な面白みには欠けるものの、“目に見えない圧力”は過剰には描けないもののきっちりと描かれているので、そういった面白みは感じられるものとなっている。 地下駐車場でのなんでもない物音、夜道を歩いている際のプレッシャー、情報提供者と話している際の周囲からの視線などの演出が上手い。 圧力に屈するのは簡単なことだが、圧力に対して抗うことの厳しさや、単純で地味な作業が報道を支え、その報道が世界を動かしているということの重みを感じさせる作品だ。 本作を見れば、“報道”に対する見方が少々変わるかもしれない。
[DVD(字幕)] 7点(2009-05-17 22:06:33)
2.  ダーティハリー 《ネタバレ》 
ただのドンパチ映画かと思っていたら、「被疑者の人権」、「法律の壁」など結構ディープな素材を扱っていたのには驚いた。 「被疑者の人権擁護」といった好ましくない風潮の中で、被害者の人権はいったいどうするんだ、被害者を誰が護るのか、法律は被害者ではなく加害者のためにあるのか、という怒りや嘆きが込められていると思う。 そのようなテーマを掲げて、寡黙だが内心に怒りを抱えた全く新しいタイプのヒーローをイーストウッドが好演している。あの仕草、セリフに加えて、独特の雰囲気をかもし出している。陸橋での仁王立ちや、釣り少年を人質を取られた後の早撃ちなど、誰がみてもカッコいいと思うのではないか。 彼のマグナムも印象的だ。普通の銃が「法」の範囲に収まっているものならば、彼の所有する「マグナム」が象徴しているものが、「法を超越したチカラ」のようにも感じる。 「お前は考えているのだろう。この銃に弾が残っているのかどうか。」というセリフは、 犯罪者に対して、「法を超越したチカラ」が存在するのかどうかを問いているようにも聞こえてきた。冒頭の銀行強盗は、「法を超越したチカラ」があると思ったから、「法の裁き」を受けようと思い、スコルピオは「法を超越したチカラ」などはないと思ったから、「法を超越したチカラ」の裁きを受けることになったのではないか。 減点材料としては、ラスト付近のドンパチがやや間延びして緊張感を欠いている印象。あれだけメチャクチャ撃ち合いしていても、どちらの弾もかすりもしないのはあまり良くないだろう。お互いに銃には長けているのだから、何発かは体にかすって傷ついた方がより展開も引き締まるのではないか。 ラストに警察バッジを投げ捨てるのも、善良な市民を救えずに悪人を裁けないのならばこんなもの要らない、着けている意味はないということを改めて総括的に締めくくっているのもよいと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2006-12-31 00:27:04)
3.  007/ムーンレイカー 《ネタバレ》 
前作「私を愛したスパイ(77)」の予告では、次作は「ユアアイズオンリー」になっていたが、様々な事情から「ムーンレイカー(79)」が製作されたようだ。 大きな理由としては「スターウォーズ(77)」や「未知との遭遇(77)(本作でもパロっている)」のヒットに便乗してSF大作を作ろうとしたのだろう。また、大詰めを迎えていたスペースシャトル計画(81年に初めて打ち上げ)という時勢も影響したようだ。時事問題を取り入れるというのは、ボンド映画の慣例にもなっていて、本作は制作するのに時期的にはまさにぴったりの作品となっている。 要所要所のコメディ的な空気が作品の質を下げてはいるものの、全体としてみると質は高い作品に仕上がっている印象を受ける。特に、冒頭のダイビングシーン(撮影したヤツが凄い)はいまの基準で考えても、素晴らしい出来となっている。サメに飽きたのか、犬や大蛇といった工夫を取り入れており、宇宙にまで舞台を広げるという挑戦は敢行したものの、やはりどことなく既視感を感じられる。いわゆるマンネリ化しているといわざるを得ない。 しかし、一点だけ他のボンド作品に符号しない展開は用意されていた。 それはジョーズの存在である。敵側の女性がボンドの魅力によって寝返るというパターンは過去にも多くみられるが、男性の殺し屋であるジョーズがボンドに寝返るというのは面白い展開であった。しかし、寝返る際の理由があまり明瞭でないことや、最後はボンドを助けてメガネっ娘と宇宙船とともに爆発するという展開を個人的に望んだものの、ご都合主義で結局彼らを殺さないという展開にしてしまうのは、がっかりしてしまう。ジョーズを殺さないメリットがどこにあるというのか。彼は前作で何人もの人間を殺している犯罪者であり(本作では寝返ることが前提のため殺しが成功していないものの)将来的に利用価値の存在である。エモーショナルな展開を描けるはずなのに、ジョーズというせっかくの素材を上手く調理できなかったのはマイナスだ。 その他にも、シークエンスの繋がりが悪い点が目立ったり、不必要に多いボンドガール(リオの局員マニュエラなど)と不必要に多いベッドシーンなどの欠点もある。 肝心のCIAのグッドヘッドはやや魅力や存在感を欠いているのも高得点をつけることに躊躇してしまう点だ。チャーの剣道には別に呆れることはなかった。あれはあれで面白い嗜好ではないか。
[DVD(字幕)] 5点(2006-11-20 00:30:12)
4.  007/私を愛したスパイ 《ネタバレ》 
記念すべき第十作品目ということで、本作は過去の作品の集大成となっている。 過去の作品のよい部分をとりあえず詰め込めるだけ詰め込んだという印象だ。ボンドとロシアのスパイと敵という三つ巴は新しいパターンではあるが、ボンドと同等のライバルの登場という構造は「黄金銃」と基本的に似ている。 冒頭のスキーシーンは「女王陛下」でさんざん描いたもの。二国の潜水艦が行方不明となり二国に緊張が走るというのは「二度死ぬ」と似たパターン(今回は互いに協力する)であり、潜水艦をそのまま大きな船が飲み込むというものは「二度死ぬ」の宇宙船と全く同じアイディアだ。二基の核兵器を盗まれて悪用されるというのは「サンダーボール」と同様だろう。 特殊機能が付属されたクルマ(ゴールドフィンガー)でのカーチェイスには、オートバイ、クルマ、ヘリコプターと怒涛の攻撃をみせるもののいつものパターンを連続して行ったものにすぎない。潜水艇に変形するクルマは「黄金銃」で変形して飛行機になるクルマのアイディアを海版に変更したものである。海中戦は「サンダーボール」のアイディアの借用だろう。 悪役ジョーズは歴代の悪役でも人気がありそうな「ロシア」のグラントと「ゴールドフィンガー」のオッドジョブを足して割ったような存在だ。「黄金銃」のニックナックが小男ならば、今度は大男と考えたかもしれない。グラントや「死ぬのは」のティーヒーと同様に定番の列車内での戦いも盛り込まれている。サメは「サンダーボール」にも登場する(ピラニアは「二度死ぬ」で登場)。 リバラス号での敵味方ごちゃごちゃになった死闘は「二度死ぬ」の火山での死闘を思い起こされる。ストロンバーグの風貌は、ブロフェルドを思い起こさせるし、彼の海洋基地は「ダイヤモンド」の油田基地にも似ている。あまり工夫もなく堂々と単身で乗り込むところも「ダイヤモンド」をなぞったものだろう。 過去の作品のいいとこどりをするのは悪くないアイディアだと思う。おかげで本作はかなりスリリングな展開となっているが、肝心のボンドとアマソワの愛憎をもっとじっくりと描いてほしかったところだ。アマソワは恋人が英国の諜報部員に殺されたと聞かされているのであるから、ボンドを含めた英国に恨みを抱いているはずである。ラストも緊迫した場面だが、笑いで逃げてしまった感は残念だ。ムーアに愛の深みを求めるのは無理の話かもしれないが。
[DVD(字幕)] 6点(2006-11-20 00:13:42)
5.  007/黄金銃を持つ男 《ネタバレ》 
評判悪いようだが、ロジャームーアのボンドならばこの程度がスタンダートではないか。スカラマンガとの対決後にソレックスアジエイターの取り外しの苦労だけで終われば5点にしてもよかったかなと思っていたが、その後にニックナックと緊張感のない茶番が繰り広げられるのでうんざりする。あれは減点以外の何物でもない。 前作に引き続き、ロジャームーアは女性に厳しく、容赦しない点も描かれている。スカラマンガの愛人アンドレアがボンドに助けを求めてきた際には、危険等を承知でアンドレアを利用し、スカラマンガの元からソレックスアジエイターを奪還しようと企てる。彼女が死んだとしても、あまり感情もないようである。 同僚のグッドナイトを一人の女性や人間と見ていないような対応をしているのも特徴だ。ソレックスアジエイターの取り外し中に太陽光線に遮られてしまい。すぐにグッドナイトが止められないときに見せるイラッとした感じが意外とよい。紳士の中に時折みせる彼の冷酷さは前作に引き続きやはり健在だ。 グッドナイトは使い方としては、「ダイヤモンドは永遠に」のティファニーケースと似た感じを受けた。ボンドのための行動がすべて裏目にでたりとストーリーをかき乱す役割を担わされる。ラストにボスのアジトになぜか薄着で幽閉されているのも同様だろう。シリーズ公式に従ったのかもしれないが、どう考えても効果的ではない使い方だ。 それにしても、相変わらず、ムーアのアクションはお粗末だ。二人の女子高生やペッパー保安官といったギャグに走らなければ、収まらないと考えるのも致し方ないところだろう。 正直、ムーアは演技やアクションなど上手いとは思えない。せっかくのスカラマンガとの対決もあそこまでプルプルと動かれてしまっては、驚くというよりも失笑せざるを得ない。ボンド人形のトリックや三つの乳首による成りすまし、組み立て式の黄金銃といった工夫やアイディアは認めるが、効果的な演出ができていないし、脚本も上手く活かされていないように感じた。スカラマンガに成り済ますのであれば多少は引っ張り、ハイファットを騙した方がストーリーは締まる。ラストの対決もボンド人形と本物の二体だして、本物ではない方をスカラマンガに撃たせた方が面白かっただろう。 唯一の見所はクルマの一回転ジャンプとなっているが、これが見たいのならば映画ではなく、サーカスでも見にいけばよいと思われる。
[DVD(字幕)] 4点(2006-11-19 23:53:14)
6.  007/死ぬのは奴らだ 《ネタバレ》 
初登場となったロジャームーアボンドの印象は、非常に余裕たっぷりという感じだ。 ちょっと困難にぶちあたったとしても、やや怪訝そうな表情を浮かべるものの、なんなく困難を回避してしまう。その辺りが彼の魅力にも感じ、コメディタッチの仕上がりにもなっている。また、裏切り者と分かったロージーが「(ヤッタ後に)自分を殺せるわけない」とボンドに言ったことに対して、「ヤッタ後だから(殺すのに)未練がないんだ」と言い放つところには彼の冷酷さも窺える。ソリテールに対しても愛情というよりも、自分の行動を読まれてはたまらないという考えから自分の魅力を使って寝返らせようとしているようにも感じられる。 一方、ソリテールに危機が迫った際には、何度か躊躇した後、せっかくの計画を無視しても助け出そうとする熱い部分もみせている。余裕たっぷりの紳士の中に垣間見える冷酷さと優しさと熱さが彼の魅力のようだ。 また、本作は、初期の代表作(特に「ロシアから愛をこめて」)の影響が強いようにも感じられる。敵側からは「ロシア」のように複数のユニークな個性的キャラクターが登場し、ボンドガールのソリテールはどことなく「ロシア」のタチアナに雰囲気が似ている。 モーターボートを使った逃走劇に加えて、ラストの列車内のティーヒーとのバトルは、グラントとのバトルを思い出させる。 往年の国際色豊かな雰囲気を醸し出しているのも歓迎すべき点だ。今回のメインの舞台は、アメリカのニューオリンズとカリブ海となっており、カリブ海を舞台とした「ドクターノウ」にも近い雰囲気となっている。ボンドの上陸を手伝ったクオレルジュニアは、「ドクターノウ」で火炎放射龍に焼き殺されたクオレルの子どもだろうか。 さらに、モーターボートを使った派手な逃走劇や、本物のワニを使うといった工夫が随所にされており評価したいところだ。その上にユーモアたっぷりのコメディ要素をふんだんに盛り込んでいるのも特徴だろう。ペッパー保安官や、ジャズ葬、回転したり降下したりする座席、圧縮ガスの弾薬を使ったカナンガのラストといったように、ややユーモアに比重を置きすぎてしまったようにも感じるが、観客を楽しませる工夫が様々に施されている。 この頃になると、セックスとバイオレンスを描く男の世界という尖がった部分よりも、家族で楽しめるファミリー向けの映画へとシフトしていっているのかもしれない。
[DVD(字幕)] 5点(2006-11-19 23:49:49)
7.  007/ダイヤモンドは永遠に 《ネタバレ》 
前六作に比べて、本作はダントツにレベルが低いと感じられた。 レーゼンビーの降板やコネリーの復活といった迷走振りがそのまま作品に投影され、あらゆる点において中途半端になってしまっている。 我々は、ボンドが様々な困難から奇想天外な方法で乗り切ったり、危機一髪のところで脱したり、ときにはユーモラスにかわしていく姿を見たいのである。 敵も同様に我々の想像を超える奇想天外な方法や派手な方法でボンドを殺そうとするのを我々は楽しみにしているはずである。しかし、本作では、葬儀場で棺に閉じ込められるものの、自力では脱出できず、敵に助けられる始末(ダイヤをすり替えたので殺されないという読みがあったのだろうが、漫談のおっさんは殺されている)。 中盤でのブロフェルドの替え玉を交えたやり取りには多少面白みはあったが(猫までも替え玉を用意している)、その後が正直いただけない内容となっている。エレベーター内でクスリで眠らされた後に地下に埋める予定のパイプの中に放置されるという効果が薄い意味不明な殺し方を企てるのは正直、理解に苦しむ。 ラストにおいても、あのような洋上要塞に潜入するのは困難(普通ならば海から潜るが…)と考えたのか、堂々と乗り込む姿はなかなか頼もしい。しかし、カセットテープのトリックもイマイチ腑に落ちず、その後もある部屋に閉じ込められるが、なんと偶然みつけた出口からそのまま何の工夫もなく出て行ってしまうという流れには呆れるほかない。ガイハミルトン監督の前作「ゴールドフィンガー」でのボンドは何もできなかったことが面白い効果を生んだと感じたが、本作では悪い効果しか生まなかった。 また、最大の問題は、ラストのブロフェルドの扱いだろう。ブロフェルドと本格的に争うのは本作で最後(ユアアイズオンリーの冒頭にも登場するようだが)となるはずだが、この決着では納得がいくはずがない。はっきりとブロフェルドの死を描くことは避け、またどこかで利用しようと考えたのかもしれないが、ボンドの最大のライバルのラストとしては物足りなさすぎる。冒頭では執拗にブロフェルドを追い求めるボンドのテンションの高い姿が描き出されるが、ラストに至っては信じられない急降下をみせている。ゲイ二人やレズ?二人といった悪役は出ていたり、ハワードヒューズのモデルも登場するものの、尖った感じや挑戦的な部分が少なすぎると感じた。
[DVD(字幕)] 3点(2006-11-19 23:41:12)
8.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
スコッセッシ監督の作品は良作が多いけれども、それほど自分にピタッとはまるようなものは少なかった。しかし、本作は彼の作品の中でも全く異なる印象を受けた。かなり自分にピタッとはまった。これほど丁寧に、繊細にかつ念入りに人間の孤独、心の闇を丁寧に描いた作品にはそうお目にかかれることはないだろう。一見するとテンポが悪いようにもみえるが、じわじわと一人の孤独の男が心の闇に支配されていくような感じも受けて、ぞくぞくする興奮を覚えた。トラヴィスは元々から狂っているわけではない。特殊な存在ではなく、どこにでもいるただの普通の寂しい男だ。寂しさを紛らわせるために、タクシードライバーを始め、働いているうちに道で見かけた女性に恋もしたりもする、やはり普通の男だ。ベッツィにとっても、彼のような不器用ながらも直球を投げてくるタイプの男は珍しかったのだろう。二人は少しはよい関係になるが、ありがちなコミュニケーション不足や、女性に対する接し方の経験不足から、あっさりとふられてしまう。振られた痛手が導く「自分が認められない、自分を受け入れてもらえない」気持ちと、さらに汚れた街、孤独な街がトラヴィスの心を一層、孤独にし、闇に染めていき、狂気へと駆り立てていく。しかし、どこかにまだ心の中に自分を必要としてくれる人がいるのではないかという希望は消えていない。それが忘れられない20ドル(アイリスの存在)である。トラヴィスの一方的な思い込みではあるが、やはり彼は完全な狂人ではなく、救いを求めている人間らしいところも垣間見れる。救いを求めたとしても、心の闇に支配された男はそう簡単に変われるものではない。狂気は実現へと進んでいく。狙撃する対象は、別に誰でもよかった。大統領候補でも、ギャングでも。この世界と、自分の環境が少しでも変わり、自分という存在が誰かに認められ、自分の孤独が少しでも癒されればよかった。しかし、大統領暗殺の犯罪者から一転して、トラヴィスはヒーローに祭り上げられた。アイリスの両親からも感謝され、新聞にも取り上げられた。自分の存在を誇示するように、新聞の切り抜きを自宅の壁に貼り付けるものの、彼は変わっただろうか。少しも自分の心の乾きは潤されることはなかった。ベッツィと復縁のチャンスがあっても、自ら孤独から逃れる機会を拒否している。やはり、孤独な男はいつまでも孤独でしかないのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2006-07-29 02:18:13)(良:3票)
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