1. 小さな恋のメロディ
《ネタバレ》 まずお話を大変シンプルな構造にしていることに良い印象を持ちました。ダニエルとメロディというローティーン同士の恋に話を絞り、その他の登場人物も描写は非常に制限されています。これにより二人の小さな世界でのお話しという感じが上手く出ていたと思います。基本的に恋敵等の恋愛ものではありがちな要素が入っていないことも同様。二人がまっすぐな気持ちで愛し合うだけで映画になってます。これでもし主人公の年齢が20代そこそこだったら「そんなに簡単に話が終わってもつまんねーよ」となりますが、主人公がローティーンなこともあり、そう感じさせないのがこの映画の面白いところですね。 なぜ子どもは結婚できないかという問いは中々難しい。大人は、法的な問題だとか責任がどうだとか言って胡麻化しますが、ダニエルとメロディが言っている通り、もっといっしょにいたいから結婚するべきなのであって、年齢を重ねるにつれ恋の駆け引きをして、相手のステータスを確認するような恋愛をしてしまう大人からすれば中々痛いところを突いてくる映画です。 [DVD(字幕)] 7点(2015-08-30 23:34:19) |
2. チョコレートドーナツ
《ネタバレ》 骨太な感動作でした。ダウン症とゲイのカップルという二つのマイノリティー要素を取り入れながら、世に未だ蔓延る偏見をそれに伴う悲劇を描いています。マルコの為の裁判が、いつの間にかゲイのカップルの監督責任能力の有無についての話に、敵の弁護士が誘導する様には本当にアタマに来ました。日本ではあまり問題視されていないような話でしょうが、未だにゲイに強い偏見が残っているアメリカ、しかも70年代ですから、そのストーリーも非常に実在感あるものになっています。 最後の新聞記事が同封された手紙の演出は素晴らしいと思います。映画を観ていると当然私たち観客は主人公であるルディとポールに感情移入しながら、世間のアレコレに憤りを感じてしまっている訳ですが、あの手紙のシーンで突然ポールから私に語っているかの様に思えました。だって大多数の人々はダウン症の子どもを養っている訳ではなく、同性愛者でもない。結果としてそういう人たちがマルコを死なせてしまったのですから。逆に言えばあの手紙を受け取った人たちの内の一人でもマルコのためを真剣に考えればマルコは死なずに済んだでしょう。そういう部分でも色々と観た後に考えてしまう映画でした。 [映画館(字幕)] 8点(2014-09-27 22:24:57)(良:1票) |
3. 小さいおうち
《ネタバレ》 基本的なミステリーが上手く機能していて、タキが晩年まで何故あれだけ苦しみ続けたかが氷解する手紙のエピソードは良かったです。その胸中を想像すると「私は長く生き過ぎた……」の言葉がとても重い台詞に思えます。一種の愛憎劇はとても良く出来ていたかと。 でも其処此処に山田洋次独特の演出に驚いてしまった部分もあります。特に驚きすぎてちょっと笑っちゃった場面は、雨の日に時子が板倉にキスをした時に雷が「ピシャーン!!」と轟いた所です。その演出はギャグだろう。 それから終盤の妻夫木演じる若者のエピソードは蛇足と思えました。タキの遺品から細長い手紙が出てきた時点で、観客はタキが時子の手紙を渡さなかったことは明確な筈ですが、その後に妻夫木君に「おばあちゃんは手紙を渡さなかったんだよ!」と驚かせる。多分大多数の人は「もう判っとるわ(笑)」となったんじゃないかなぁ。手紙をチラと見せてエピローグでも十分だったと思います。 [映画館(邦画)] 6点(2014-02-20 23:11:31)(良:2票) |
4. ちゃんと伝える
《ネタバレ》 父親と息子の関係を描いたヒューマンドラマ。園子温印とも言える血や残酷シーンは全くありません。また不用意にカメラを動かさず殆どフィックスで撮っているのも、ダイナミックなカメラの動きが持ち味の園監督らしくなく可也異色作に見えます。恐らくこれは一つの親子(エンドロール後に映画を実父に捧げているので園監督自身かも)を描いたドラマであるからこの様な落ち着いた画作りにしたのでしょう。 本作はタイトルの通り「伝えることの難しさ」がテーマ。厄介なことに身近な家族・恋人にこそ大切なことは伝え難い。また結婚についてとても真摯に厳しく評している作品でもあります。普段、強烈な映画を撮り、色々な人から「極端だ」「無茶苦茶だ」と言われる事の多い園監督の根底の真面目さが解る作品ではないでしょうか。 何とも素晴らしいのが、映画の中でガンを知らさせる人の描き方。二人出てきますが、どちらも告げられた直後は硬直し自失している様で一応話を聞いてもいる。妙な演技のリアルさに唸らされました。 [DVD(邦画)] 7点(2013-10-28 22:27:06)(良:1票) |
5. チェルノブイリ・ハート
《ネタバレ》 ドキュメンタリー映画というのもは多かれ少なかれ作りのバイアスが掛かっているモノなので、原発事故による健康障害の影響の真偽・大小について私は何とも言えませんが(そもそも監督も含め科学的に放射能を論じれる人間がこの映画の中には一人も出てこない。ガイガーカウンターを片手に「正常値より高い値だから危険です」と解説する監督には私にはなんの説得力も感じられなかった)、タブーと言われ続けているチェルノブイリの地の今をフィルムに収めたことには意味があると思います。 もうこれ以上大きくならないと言い捨てられる幼児、手術を行わないと近い将来死んでしまうであろう女の子には胸を締め付けられる様な思いだった。 [DVD(字幕)] 5点(2013-08-29 06:45:04) |
6. チャップリンの黄金狂時代
《ネタバレ》 喜劇王チャップリンらしい名作。私はチャップリンのサイレント映画の定型をぶち壊した「独裁者」や、チャップリン自身を自嘲的に且つ愛情を込めて描いた「ライム・ライト」などのドラマパートの比重が大きい作品の方が好みなのですが、コメディパートの比重が大きい本作もこれはこれで十分に楽しめた作品です。 特に山小屋での騒動は面白い。ドタ靴を美味しそうにペロリと平らげる名シーンや、ニワトリのきぐるみをわざわざ着て暴れまわったり、見ていてアホらしくなるがそれもまた一興。 前述したとおり後半のドラマはそれなりに凡庸な純愛物語に発展していきますが、ここで何かもう一捻り欲しかった気もします。ジョージアの取り巻きを単なるその他大勢にしてしまったり、恋敵が単なる当て馬に過ぎなかったり、もう少し活かす方法があったように思います。 [DVD(字幕)] 7点(2013-03-24 12:39:19) |
7. チェイシング・エイミー
《ネタバレ》 只のロマコメかと思いきや真剣に愛のカタチを考え抜いた話で驚きました。ストレート、レズビアン、ゲイ、ホモフォビア、それぞれの愛に対する本音を赤裸々に描いています。そしてパートナーが性に対して経験豊富だったらどうするのか?という結構ありふれた問題に対して主人公が悩み、考え続け、成長する展開には少し目頭が熱くなってしまいました。 それからキャラクターの性格というか恋愛へのスタンスをアメリカンコミックに投影させて言外で描写していることに驚かされます。ヒロインのアリッサは昔"タコツボ"(アレを吸い付くと離れないという意)という渾名が付いていた程の世間的にはアバズレ女ですが書いている漫画は運命の人に巡り会えずに悩む人々の話です。つまり彼女は本当の愛のカタチを探し求めて、3Pをしてみたりレズビアンになってみたりしたことがそこで判る。主人公の親友のバンキーは最後にゲイであることが明らかになりますが、彼はずっとヒーロー物の漫画を書いておりそのヒーローは親友である主人公のことだった。だから最後に主人公との愛が成就しないと悟りヒーローを殺す話を書いた。主人公は性に対して経験豊富なアリッサを中々受け入れられず拒絶し彼女を傷つけた体験を"Chasing Amy"という漫画として上梓した。真に心を打つ作品とは作者の個人的な感情が吐露されている作品であるという一種の芸術讃歌にもなっている点が大変面白いと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-08 18:56:03) |
8. 地下水道
《ネタバレ》 アンジェイ・ワイダ監督の抵抗三部作の中で恐らく最も有名な一作。地下水道に潜ることを余儀無くされるレジスタンス達。ガスが迫って来る地下水道での閉塞感、焦燥感。暗闇の中でサインを探し求めやっと見つけるも只の落書きだった時の落胆振り。一人一人狂っていく恐怖。そして最後に地上に上がった時の絶望感。決して観て楽しい映画では無いが実話に基いた作品として観る価値のある作品だったと感じる。 [DVD(字幕)] 8点(2012-08-05 09:47:09) |
9. 長距離ランナーの孤独
《ネタバレ》 自分でも何故だか良く分からないけど素晴らしい映画だったと思う。物語は基本的に、無軌道な一人の若者が盗みを働いた為に感化院に入れられ、感化院で自分のランナーとしての才能に目覚め長距離走で一位を目指す。それだけです。しかし最後のゴールの手前で主人公は立ち止まってしまう。周りは「走れ!走れ!」と叫んでる中で。何が彼を立ち止まらせたのか?彼の記憶がフラッシュバックする。彼は誰かにマニピュレイトされることが耐えられなかったのだろう。そしてその気持ちは感化院では抑えられていたが、長距離走で極限状態まで追い詰められたとき、彼の原始的な感情として噴出した。だから彼は立ち止まった。その後の院長を一瞥し薄らと笑う表情に彼の生き様の全てを観た気がしました。全く言葉で語ることなく、観客に主人公の心情を理解させる、これこそ本当の"映画"だと思う。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2012-04-15 12:00:30) |
10. 地球最後の男
古典ホラー映画としては面白いし、リメイクされ続ける位魅力的な設定なのは分かります。ただ今観ると、画面が余りにも古く感じてしまったり、突っ込み所が多い事も確か。この位の点数が妥当かな。 [DVD(字幕)] 6点(2010-10-03 23:34:19) |
11. 沈黙の聖戦
《ネタバレ》 先の読めるストーリーとお色気シーンが次々と展開するのは、いつもの「沈黙シリーズ」といった所でしょうか。今回は"タイ呪術VSタイ仏教"や"飛んでくる矢を刀で叩き切るセガール"を楽しめます。いつもより少し多めのお色気シーンの連発も個人的にGOOD。人質の娘は最後までビキニとホットパンツだったな 笑。 [地上波(吹替)] 4点(2010-07-28 22:57:29) |
12. チェ 39歳 別れの手紙
《ネタバレ》 29歳の革命に続き、質の良いドキュメンタリー映画みたいに思いました。史実の話なのでこれでいいのですが、この映画は前作もですがゲバラの人生を坦々と描いているのみでエンターテイメント性には少し欠けるといった印象です。ゲバラが人間的に完成し尽くされていることが原因の一つかもしれませんね。だって少しは欠点があった方が人間って面白いと思いませんか? 偉人を取り上げた映画なら、私は「アマデウス」や「レイ」の様な人間的にダメな部分を多分に含んでいる人物の方が面白いかなあと思います。 まあソダーバーグはゲバラが如何に優れた革命家で、自分の意思を貫いたかと云う事を徹底的に描きたかったんでしょうね。それはそれでアリですけど。 [映画館(字幕)] 4点(2009-02-14 01:12:27) |
13. チェ 28歳の革命
《ネタバレ》 デル・トロの演技には賞賛に値するものだったと思いますが、いかんせん他に褒めるべき点が見つかりません。確かにチェ・ゲバラの生涯を単々と丁寧に描いて行ったのは良い点だとは思いますが、最後のサンタクララでの市街戦も特に見せ場が無いまま終わってしまうので、ややエンターテイメント性に欠けるといった印象でした。 二章に期待という意味も込めて6点とさせていただきます。 [映画館(字幕)] 6点(2009-01-30 01:45:14) |
14. 地球が静止する日
《ネタバレ》 全てが消化不良といった印象を受けました。ヘレンとジェイコブの親子愛、クラトゥの人間に対する感情の揺れ、副大統領の存在価値、全てが中途半端かと。折角のSF大作なのですからもっと観客を意識した作りにして欲しかったです。余りにも全体が単調に過ぎます。 [映画館(字幕)] 4点(2009-01-30 01:39:39) |
15. チャーリーとチョコレート工場
《ネタバレ》 ティム・バートンが持つ独特の世界観が好きな方なら十分に楽しめる映画だと思います。私はどうも苦手で、ウンバ・ルンバや飴細工の工場などゴチャゴチャしているだけにしか思えませんでした。夢が無いのかなあ。 チョイ役である筈のクリストファー・リーに何故か凄い存在感を感じました。 [映画館(字幕)] 5点(2008-09-23 14:05:35) |
16. チアーズ!
こんなにキリスティン・ダンストって可愛かったっけと思った一本。最後の展開も中々お約束を通してくれていて安心して観れました。 [地上波(吹替)] 7点(2008-08-12 00:55:32) |
17. チャップリンの独裁者
《ネタバレ》 ギャグとシリアスの配合量が絶妙で、只のコメディや戦争映画になることを上手くさけているといった感じでした。至る所でチャップリンの演技が光ります。 [DVD(字幕)] 7点(2008-08-12 00:00:35) |