2. 月夜の願い/新難兄難弟
《ネタバレ》 長いが昔の自分語りをさせていただく。仕事で中国深圳に滞在していた約4年間、楽しみは香港まで出てきて日系デパートの書籍店で本を買い、茶餐廳(香港式喫茶店)でミルクティーを飲み映画館で映画を見て帰る月に一度の休日であった。携帯がようやく普及、ネットはもちろん無く「冷房の効いた(涼しすぎる)映画館で暑気を乗り切る」文化がギリギリで残っていた時代。ジャッキーかMr.Booか霊幻道士くらいしか知らなかった自分が香港映画好きになったのはこの経験が大きい。現地で見る香港映画は(地元民対象というのもあったろうけど)10本中9本はこのサイトでいうなら4点とか3点くらいのものばっか。作品というより映画館の雰囲気を楽しんでた感もある。そんな自分の香港映画ライフにインパクトを与えてくれたのがピーター・チャン(あとドニー・イェン)。90年代の彼の描いた作品群「都市情縁」「君さえいれば/金枝玉葉」「ラブソング」はドンパチ/カンフーとはまた違った切なさはかなさ、暖かさという点で香港映画の新たな魅力を世界中に発信させてたと思う。でようやくレビュー。この作品、ベタベタすぎるほどのベタな人情もの/ロマンチック・コメディなんだけど監督の手腕=ドタバタ/人情劇の緩急使った演出力があるからこそ、この荒唐無稽なタイムスリップ・ファンタジーが成り立っているのだと思う。「ラブソング」が好きな方、これもおすすめ。- そして最後に照れくさいけど、かっこつけた述懐で終わらせて欲しい。トニー・レオンが彷徨いついた若き日の父親が居たあの世界は、まさしく自分Nbu2にとっての20年以上前の香港映画の映画館と同類=ノスタルジアであった、という事を。つらい事もたくさんあったけど笑って過ごしていた日々、映画館で映画を見た体験・あの時代は戻ってこないが、素敵な記憶は残る。ちょっと高めの点数なのはそういう事ですので、ご容赦ください。 [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2021-01-18 17:52:21)(良:1票) |