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1.  妻よ薔薇のやうに
原作ものではあるが、登場人物がみな弱さを持っていて、それを肯定していくという成瀬の匂いの強い話。正妻は長野から送られてきた金で衣装をあつらえるような鈍感さを持っていながら、短歌の世界では一応名を成している歌人。外で見かけた幸福そうな一家もそれをそのまま感動できず、一度短歌に凍結してしまわないとならない性分。旦那は旦那で、もういい年なのに夢追い人。金鉱探しで一生を棒に振ってしまいそうな感じ、しかもそれをうすうす予感しているようなところもある。妾は妾でそれを見抜いていて、そっと溜め息ついたりしている(この時代、妾というものはただただ可哀想な弱者か、女狐のような悪者として描かれがちだったと思うんだけど、この英百合子はちゃんと一人の女性として立体感を持って存在していた、どちらかと言えば「可哀想」サイドだけど)。みんな不幸へ不幸へと傾いていてそれを自覚しながら引きずり込まれていく。成瀬の世界をひとことで言えば「ずるずる」。流されていく弱さを個々に見ていくとどうしようもないんだけど、しかしその弱さの総体をどこか肯定している。それが明るい印象を残している。こんな世界観ってあんまりないんじゃないか。
[映画館(邦画)] 8点(2012-04-26 10:09:43)
2.  
戦前の日本のリアリズムは、ちっとも戦後のイタリアに負けてなかった。演技、顔の表情も素晴らしい。背景に土地を含む構図も見事。いくつかの場面を思い返してみよう。風見章子が友だちを見送る場面、川原で木を拾っているその荒涼とした風景、遠くの舟との呼びかけあい。表情を抑えているところがいい。夏の水運び、つまずいて転んだりは決してしない、そういうときは桶を置いて休むのだ、それだけ水は大事に扱う、リアリズムの精神はこういうところで発揮される。雨乞いの太鼓をずっとバックで鳴らし続ける。収穫、苦しい場面を続けざまに押しつけるのではなく、仕事の喜びもちゃんと伝えてくれる。年貢(?)を運んで、その家で恐縮してご馳走になりながら帯の値段を尋ねる場面とか、火事のエピソード(長いショットで丹念に撮った迫力、知らせるのに田圃まで遠いいの)、人の家に飛び火してしまったことの疚しさのほうが先に来る、こんなところに村社会が見えてくる。セリフがよく聞き取れないのだが、父と婿の確執も重要そう。不完全なフィルム状態のままでも、傑作と言っていいだろう。
[映画館(邦画)] 8点(2010-01-07 12:01:09)(良:1票)
3.  鶴八鶴次郎(1938)
しっくりいかない・どこか食い違いつつ腐れ縁が続く男女の物語ってとこは、『浮雲』にもつながる成瀬の定番だ。意地っ張りの純情、喧嘩友だち。うじうじ嫉妬に悩みながら、長谷川一夫が路地から路地へボーッと歩いていくロングの場など、成瀬のサインを見ているよう。その先に旅回りの日々のわびしさが、これまた成瀬の好きな世界。似合わない芸道ものの話でありながら、隅から隅まで成瀬の世界になっている。それと明治から大正にかけての寄席芸が見られるのも楽しい。コマから水が飛び散るのや、火のついた棒を投げるのや。山田のドタドタと体が左右に振れる歩き方が印象的だが、あれは着物着たときの自然な歩き方なのだろうか。山田五十鈴って大スターでありながら、それほど主演作を持っていない不思議な人だ。といって「名脇役」とは呼ばれないし。名脇役藤原釜足は、このころからフケをやってたんだなあ。
[映画館(邦画)] 7点(2010-01-04 12:04:03)
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