2. 椿三十郎(1962)
《ネタバレ》 ご都合主義的な展開だが、1時間半の程よい尺でテンポよく観られる。 子供の頃観た記憶では、三十郎がとにかく怖かった。久方ぶりに再見すると、腕っぷしに加えて可笑しみを醸す武士像がなかなか良い。豪快さと繊細さが相まって魅力的な人物像となった。三十郎と浮世離れした城代夫人の対比も面白く、夫人が干し草に寝転ぶシーンや三十郎が四つん這いで夫人を背中に乗せるシーンなど、音楽や城代家老のセリフを含めほのかなユーモアが全編に漂う。“穏やかに”の精神を貫く夫人役・入江たか子は好演。 要所に出てくる椿の花は効果的。特に赤い椿と白い椿の合図は機転が利いた展開。ウグイスがさえずる中で白い椿の花が落下・・・大目付らの策謀失敗とともに半兵衛の死を暗示している。 三十郎と半兵衛、結局二人は鞘に収まらない刀であり似た者同士。両者の決闘は必然的で、無駄のない短時間決着は見ごたえがある。現実はあれほどの血しぶきにならないだろうが。 捕らわれた四人を救出した後、わざと縛られた三十郎の説明を半兵衛があっさり信用するとはお人好し。また、最後に吐く半兵衛のセリフ「貴様みたいにひどい奴はない・・・」もちょっと弱気で味気ない。好敵手としてもっと厳しい態度・強気の言葉が欲しいところ。 [映画館(邦画)] 7点(2017-04-30 16:02:57) |