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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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1.  天空の城ラピュタ
今までに私はこの映画を何度観たのだろう。しばしばよく観た映画を「もう何十回も観た」などと多少おおげさに言ったりするけど、この映画は誇張なく「何十回」と観ているだろう。それでもなお、色あせることなく観たくなる。「深遠」という言葉さえ、この映画の前では陳腐な表現に思える。明らかに人の手による創造物であるが、この作品はひとつの人生である。
10点(2003-10-21 12:35:36)(良:1票)
2.  デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション[前章]
本当は直視しなければならない「日常」の中に潜む「非日常」を、具現化して、切実に茶化して、女子高生たちを中心にした群像劇に落とし込む“くそやばい!”寓話。
[映画館(邦画)] 9点(2024-04-09 20:37:57)
3.  天気の子
梅雨明けした週末、それに合わせるように封切りされていた本作を観に行く。 正直なところ“期待”は半々といったところだった。 新海誠監督の前作「君の名は。」はちょっと異常なレベルの社会的大ヒットとなり、これを受けての次作は、否が応でも注目を集めることは必至で、それは「独善的」なこのアニメーション監督の作風にいい意味でも悪い意味でも影響を与えるだろうと思えた。 案の定、公開前からちょっと節操がないくらいの企業タイアップの乱れ打ちが目立ち、注目度と製作資金の潤沢さを感じる反面、あらゆるしがらみに覆われた相当に自由の利かない映画製作になったのではないかと危惧していた。  酷評も辞さない構えで鑑賞に至ったのだけれど、その危惧は全くの杞憂だった。 善し悪しはまず別としても、そこで繰り広げられたのは、前作以上、いや過去作のどれよりも“独善的”で“独りよがり”な新海誠監督の「セカイ観」全開の映画世界だった。 危惧された不自由さはむしろ皆無だったと言っていい。美しすぎる精巧なアニメーションは無論健在だが、その美しさと表裏一体の生々しくリアルな描写が観る者の心情をじわじわと抉ってくる。 現実の具体的な企業名や商品名が作中の至るところで映し出され、「現実感」を効果的に演出していた。そう、節操なく思われた企業タイアップだったが、監督と製作陣はそれを最大限に活かし、アニメ世界の重要なファクターとして表現してみせている。  タイトル「天気の子」が表すとおり、この国のあらゆる「天気」を表現したアニメーションはあまりにも美しく、それだけでこの映画の価値は揺るがないとすら思える。 しかし、この映画で表された美しさは、いびつで残酷だ。 主人公の少年少女たちは、この美しい世界の“底”で、文字通りに生命をすり減らしながら、喜びと希望を見出そうと奔走する。 それは決して安直な綺麗事ではなく、心身ともに追い詰めされた彼らがギリギリのところで保とうとした生きる「意味」だった。  この映画が描き出したストーリーテリング、そして主人公たちの帰着に対して、受け入れられない人は多いだろう。 彼らの「選択」は極めて破滅的な行為であることは間違いなく、想像よりもずっとカオスで狂気的な映画である。  セカイの“しくみ”も“理り”も関係ない。 彼らは、あまりにも無責任に、あまりにも独善的に、そして「確信」をもって、「大丈夫だ」と言い切る。 ならば、それがすべてだ。 世紀の“わがまま”を押し通す、若い生命の猛々しさと瑞々しさ、最高密度の「青臭さ」に、少なくとも僕は、涙が止まらなかった。  梅雨明けのタイミングで観に行って、なんと“梅雨明けしない”顛末には面食らったが、今、この国の夏に観なければ、あまりに勿体ない映画だ。
[映画館(邦画)] 9点(2019-07-26 23:22:01)(良:2票)
4.  テロ,ライブ 《ネタバレ》 
ラジオ番組の生放送を通じて、テロリストの“要求”に対峙する一人のアナウンサーを描いたサスペンス・スリラー。 というイントロダクションの時点で充分に面白味に溢れ、韓国映画ならではの骨太なエンターテイメントを見せてくるのだろうと想定できた。  が、その“想定”は大いに覆された。 この映画のストーリーテリングは、分かりやすいエンターテイメント性を超えて、観る者を“困惑”させてしまうほどのある意味においての“リアリティ”を追求している。 それは、映画という非現実世界を超越して描き出されたこの社会の“本質”だったように思える。  結論から言ってしまえば、この社会は欲と欺瞞に満ち溢れていて、それが巨大になればなるほどまかり通っているという現実を、この映画は突きつけてくる。 世界は嘘で塗り固められていて、大衆はそれを見て見ぬふりをして受け入れてしまっている。 辛辣に描き出される社会の本質、圧倒的な後味の悪さが、新しく、潔い。   やはり、韓国映画は巧い。 冒頭、分かりやすいまでにやさぐれたラジオパーソナリティーとして登場する主人公が、突如自分の目の前で巻き起こった大事件を機に、流れるように野心みなぎるキャスターの姿へと変貌していく。 その描写は、まさに彼の人生における時流の変化が如実に表されていて、巧みに引き込んでくる。  映画世界内の時間と実際の映画の尺をほぼ同調させた“ライブ感”と、それに合わせた登場人物たちの台詞テンポも抜群だった。 そして、ありがちなシチュエーション・スリラーと思わせつつ、ラストで一気に観客を“想定”の外に連れ出してしまう展開は見事だと思う。   午前9時からのラジオ番組をいつものように気だるく進めていた主人公が、たった数時間後に、そういった現実社会に対する“虚無感”に打ちのめされ、文字通りに“凋落”していく。 そのあまりに絶望的な様に、言葉を失ってしまった。  格差社会が生み出した怨恨、権力者たちの傲慢と裏切り、愛する者の死、この映画が描き出す絶望はどれも重い。 ただ個人的には、演出としてはあまりにさりげなく表された“射殺命令をした声の主”に対し最も重い絶望感を覚えた。酷いや……。
[DVD(字幕)] 9点(2015-02-28 02:01:10)(良:1票)
5.  デストラップ/死の罠 《ネタバレ》 
映画におけるサスペンス作品は、舞台設定と登場人物が限られる程、「上質」になると思っている。  そもそも“サスペンス”とは、ある状況における「不安」や「緊張」といった心理描写を描いたものであり、設定に制約がある程に、その緊迫感は高まることは必然だと思う。  ただし、もちろんそこには、限られた映画世界の中で、緻密な人物描写と研ぎ澄まされた台詞回しが絶対不可欠なわけだが。  この映画は、そういった「上質なサスペンス映画」に不可欠な要素を充分に備えた傑作と言える。  落ち目の舞台作家が、ある日届いた作家志望の青年の作品が引き金となり「殺人」を画策することから物語は転じ始める。  以降、ストーリーの舞台となるのは、作家の豪邸内のみ。後はほぼ作家と作家の妻と作家志望の青年ら限られた登場人物たちが織りなす会話劇で展開される。  二転三転……いや四転五転とするストーリー展開の中で、互いが見え隠れする心理を探り合い、あぶり出そうとする掛け合いこそが、この作品のハイライトだ。  観ている側は、まるで登場人物たちの滲み出ては覆される心理の裏側を、覗き観ているような感覚に陥り、思わず息を呑む。   中盤以降の心理戦は、同じくマイケル・ケインがジュード・ロウと共演した「スルース(2007)」を思い起こさせた。 (というよりも、原作は同じなのではないかと思わせる程だった。少なくとも今作に対するオマージュが含まれていたことは間違いない)  「スルース」は、マイケル・ケインとジュード・ロウの男同士の“妖しさ”が印象的な映画だったが、今作のクリストファー・リーブとの絡みにも独特の緊張感と妖しさが溢れていた。  今作は、クリストファー・リーブが「スーパーマン」になってからの作品であるから、彼がキャラクターに頼らない確かな演技力を持ち合わせた良い俳優であったことを改めて認識させられた。  もちろん、25年の月日を経ても変わらぬ魅力を放ち続ける、ナイトの称号を持つ英国俳優に対する尊敬は尽きないが。
[DVD(字幕)] 9点(2010-08-12 12:39:19)(良:3票)
6.  ディア・ドクター 《ネタバレ》 
山里の無医村で偽医者として、医療を生業とする主人公。 唯一の医者を神のように崇拝する村人たち。 “嘘”はいつまでもつづくことはなく、偽医者は遂に逃げ出す。  この映画、この監督の凄いところは、人間を決してキレイには描かないことだ。 たとえば、同じプロットであったとしても、主人公にもっと使命感を持たせ、村人をはじめとする周囲の人間にもっと分かりやすい慈愛を持たせれば、涙溢れるとても感動的な映画になっただろうと思う。  しかし、この映画は、そういう安直な感動を否定する。 それは、人間の持つ本質的な弱さや不安定さを、この監督はよく知っていて、認めているからだ。  主人公は、安易な自己満足のために偽医者を演じはじめ、大金を得て、何となく誤摩化し、偽り続けながら生きている。 村人たちは、決して声には出さないが、実はその“偽り”にも気付いていて、ただ“無医村”という自分たちの状況におけるとてつもない“不安”を覆い隠すために、それを盲目的に認めている。 偽っていたのは、主人公の無免許医だけではない。村全体が、互いの弱さを支え合うように、偽ってきたのだと思う。  だからこそ、主人公が無免許医であるということが具体的な形で判明した後の村人たちの反応は、極めて冷ややかで、彼を擁護する者は無い。ただし、彼のことを全否定できる者も同時に無い。それは、偽っていたのが彼だけではないということを、誰もが知っているからだ。  「その嘘は、罪ですか」とこの映画は問う。 もちろん、罪だとは思う。ただその罪には、加害者も被害者もない。「嘘」に関わったすべての人間が、加害者であり、被害者だったと思う。 そして、嘘をつかなければならなかった「状況」にこそ、本当の罪があると考えさせられる。  正直、観終わった直後は、想像以上に感動が薄かったせいもあり、一寸の物足りなさを感じてしまった。 しかしそうではなく、その物足りなさの中に存在する見えない感情こそ、この映画が伝えようとすることだと思う。  鶴瓶師匠の決して目の奥が笑っていない恵比寿顔は、まさにベストキャスティングで、その表現力は最高だったと思う。  そして、前作「ゆれる」に続き、またもや一筋縄ではない人間ドラマを創り上げてみせた、西川美和。その若き女流監督の懐の深さに感嘆する。
[DVD(字幕)] 9点(2010-03-14 14:12:19)(良:1票)
7.  鉄コン筋クリート
2006年の年の瀬。実はもっとも観たかった映画が、この「鉄コン筋クリート」。 年末公開だったのだが、地方都市の性で年明け一発目の公開とずれ込んでしまった。 というわけで、2007年一発目。新年最初に観る映画がアニメというのも悪くはない。  んで。そういう新しい年の“高揚感”的な部分がないと言えばウソになるが、いきなりの最高点。  とりあえず、あの松本大洋の独創的な原作漫画を“カンペキ”に映画化してみせたということだけで、「スバラシイ」という他はない。 しかも、ただ原作を忠実にアニメ化しただけではなく、その物語と世界観が持つ「深層心理」まで確実に表現してみせたこのアニメーション技術には、もはや言葉が無い。 地獄のような町で、どこまでも純真に、だからこそ狂気的に生きていく二人の少年。 その躍動感を、息づかいを、そして無限に混沌と広がる精神世界を、見事に映し出す。 目の前に際限なく広がっていく映像世界には、ただ呆然とするばかりだ。  そもそもが一つの“カタチ”を持たない物語である。すべてを明確に説明することなど不可能だし、意味がないことだ。 ただただぶつけてくる登場人物たちの感情をそのままに受け止めればそれでいいのだと思う。そこに理屈など存在せず、感情のままに揺さぶられる。   一昨年の「マインド・ゲーム」に引き続き、果てしない精神世界を独創的に表現してみせた“STUDIO 4℃”。 ながらく「ジブリ」によって支えられ発展してきたジャパニメーションは、その停滞と同時にまた新たな“チカラ”を得たのだと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2007-01-08 00:16:22)(良:1票)
8.  ティム・バートンのコープスブライド
久しく味わうことのなかったアニメ映画の“愛くるしさ”を感じることができる素晴らしい映画だと思う。アニメ映画に必要なのは、目が痛くなる程に目まぐるしい映像世界でも、“難解”という言葉に包まれた複雑な世界観でもない。アニメーションに対する、キャラクターに対する“愛くるしさ”だ。 そのことを、ティム・バートンという特異な映画監督は、“ストップモーション”というもっとも自分らしさを発揮できる秀逸すぎる世界観で、堂々と表現してみせたと思う。 あんなに魅力的な“死体”は、この世でティム・バートンしか創り得ないだろう。
[映画館(字幕)] 9点(2005-11-18 00:21:59)
9.  転校生(1982)
ふと“尾道”へ行こうと思いたち、「それならば大林監督の映画を観なければ!」と思い、初めてあまりにも有名な今作を観た。 いやー、スゴイ映画だと思う。知名度の高い映画なので、内容を知っていた分、今まで敬遠してきたことをうらめしく思う。 大林監督の、まさに郷里への愛情溢れるノスタルジー。可笑しくそれでいて切ないストーリー性。郷里の美しさ、感情の美しさ、過ぎ去った時間の美しさ、あらゆる美しさが合わさり、また違う美しさが映画いっぱいに溢れている。 それにしても、何よりスゴイのは、この映画に主演した“新人”俳優二人の発見である。この映画の、特に主人公の二人の間での台詞がいちいち完璧なのは、もちろん脚本の素晴らしさもあるが、演じる二人の俳優のチカラに他ならない。ほんとに「天才じゃないか」と感嘆してしまう。 良い役者というものは、そのキャリアの発端から“巧い”ということをつくづく感じた。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-08-08 02:30:23)
10.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 
高揚感を覚えながら、この映画を観終えて、二つの「悔恨」を感じずにはいられなかった。 一つは、これほど映画的なエンターテイメント性に溢れた秀作を今の今まで鑑賞できていなかったこと。 そしてもう一つは、今作を描き出したトニー・スコットという映画監督の新作をもう観ることが出来ないということだ。  タイトルが指し示すもの以上に、ストーリーそのものは荒唐無稽であり得ない。下手をすれば相当に陳腐な映画に成り下がっていてもおかしくはないだろう。 でもこの映画は、与えられたすべての要素を最大限まで高め、上質で忘れ難い娯楽映画に仕上がっている。 これぞ長年に渡りハリウッドのエンターテイメントを牽引してきたトニー・スコットの真骨頂だと思えた。  悲劇的な爆破事件において、主人公は一人の女性の亡骸と“出逢う”。 その瞬間、妙な既視感と共に確実に生まれた恋心。この映画のすべては、この時の主人公の感情に端を発する。 即ちこれは紛れもない“ラブ・ストーリー”であり、まだ見ぬ自分が愛した人を、道理も常識もぶっ飛ばして「死」という事実から救い出そうとする破天荒なエンターテイメントだ。 無理もあるし、矛盾もあろう。けれど、そんなことはどうでも良いと心から思わせる映画としての「面白味」に溢れている。  「死体」としての姿がファーストカットとなるヒロインが、主人公に恋心を抱かせたシーンに、観客が「納得」した時点でこの映画の成功は約束されたとも言える。 そういう意味では、殆ど無名のポーラ・パットンという女優を抜擢し、彼女の魅力を引き出したことも、監督のファインプレーだったと思う。  そして、全編通して心理も言動もフル回転を余儀なくされる主人公をデンゼル・ワシントンがドスンと安定感たっぷりに演じている。これも中途半端な俳優が演じていたら、ただただ落ち着きの無いキャラクターになっていたことだろう。  レンタルショップにて、それこそデジャヴを感じる程に何度も何度もこの映画のパッケージを手に取っては、結局棚に戻し続けていた記憶が思い起こされる。 その時の自分に「さっさと観ろ!」とメモでも送ってやりたい。  最後に、愛すべき娯楽映画を生み出し続けたトニー・スコット監督の冥福を祈る。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-07 14:26:25)(良:1票)
11.  テキサスの五人の仲間 《ネタバレ》 
BS放送分を取り敢えず録画していて、いつの時代のどんな映画かほとんど分かっていない状態で鑑賞をした。 この映画において、その鑑賞のプロセスはとても幸福なものだったと思う。 古い映画だけに、少しでも予備知識が入ってしまっていたなら、この映画の素晴らしい娯楽性を完全に堪能することは出来なかったろう。  テキサスきってのギャンブラー5人が集い年に一度のポーカー・ゲームに興じるホテルに、旅の夫婦と息子が辿り着く。夫は無類のポーカー狂で妻と息子の制止を顧みず、ポーカーに混ざり全財産をつぎ込んでしまう……。  原題は「A Big Hand for the Little Lady」。訳すならば「淑女の大いなる一手」といったところだろうか。 このタイトルも洒落ているが、珍しくも“邦題”に対しても「ウマい!」と言いたくなる映画だったと思う。  ポーカーというトランプゲームは、玄人が突き詰めていくほどに「運」というよりは「ハッタリ」が勝負の行方を左右するギャンブルであり、そういう観点からすれば映画ならではの“騙し合い”を描き出しやすい題材ではあると思う。 しかし、故に数多くのギャンブル映画の題材になってきたし、そもそも観客には疑心が伴いやすいので映画として“ウマくダマす”ことが非常に難しいとも言えると思う。  そんな中にあって、40年以上前の映画でありながら、映画の中の住人たちはもとより、現代人の観客まで“気持ちよく”騙してくれるこの映画の娯楽性は見事なもので、「傑作」という呼称に相応しい。  勝負において感情を表に出さない勝負師を「ポーカーフェイス」と表すが、もっともポーカーフェイスが巧くない者が、実は最もポーカーフェイスが巧かったという、言葉にすると矛盾に溢れる逆転の顛末が爽快だった。 「スティング」を彷彿とさせる爽快感を携えた逆転劇に素直に感嘆できたことは、映画ファンとして幸福以外の何ものでもない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-04 14:33:03)(良:1票)
12.  デス・プルーフ in グラインドハウス 《ネタバレ》 
まったく“とんでもない”映画だ。 アクション?サスペンス?ホラー?映画のどのジャンルに当てはめようとしても、すべてに「?」を付けたくなる。というか、こういう風に論じようとすること自体が馬鹿らしく思えてくる。 つまりは、ハリウッドにおける永遠の悪童クエンティン・タランティーノが、またもや“大馬鹿映画”を作り上げたということに他ならない。  冒頭から延々と繰り広げられるのは、典型的な女子の駄話。実際その教養もなければ、オチもないガールズトークは、映画の大半を占める割合で展開される。 そこには退屈を覚えるというよりも、一体なんなんだこのシーンは!?と唖然としっ放しになる。 ただ何故だが眼は離せない。それはおそらく、「あー、こんなイケイケギャルたちの話に混ざりてー」という無意識の妄想が生まれているからだろう。  そんなイケイケギャル映画だった映画世界は、ミステリアスな雰囲気を携えて登場したカート・ラッセルが、狂気の殺人鬼(変態)に豹変した瞬間からオゾマしい恐怖映画に転じる。 その豹変ぶりは本当に「突然」で、作品中の惨劇シーン同様、激しい揺さぶりに酔いそうになる。  場面が変わり、また別のグループのガールズトークが始まるのだが、今度はいつ次の「恐怖」が訪れるのかと先の揺さぶりが止まらず、先には無かった居心地の悪さを感じずにはいられなかった。  そして再びカート・ラッセルが登場し、いよいよ始まりそうな次の恐怖に身構えた途端、映画は唐突なUターンの如き展開もとい“転回”を見せ、「女性至上主義」の圧倒的なカーアクション映画へ文字通りに突っ走る。 一体何が起こっているのか判然としないまま、映画は怒濤のエンディングを“ぶちかます”。 「THE END」のテロップが堂々と出た瞬間、馬鹿笑いを止められなかった。  「クソ映画」であることは間違い。けれど、クエンティン・タランティーノは多大な労力を注いで、端から「クソ映画」を撮ろうとしているのだから、文句のつけようが無い。 「カッコいい!」とか「エロい!」とか一瞬でも思ってしまったなら、その時点でタランティーノの完勝であり、観ている側は潔く完敗を認めるしかない。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-01-22 15:39:01)(良:1票)
13.  天使と悪魔
「教皇選挙(コンクラーベ)」の表裏で渦巻く思惑と陰謀。暗躍する秘密結社“イルミナティ”の存在。宗教と信仰で重ねられた歴史の中で埋もれてきた「謎」を解き明かすプロセスは、とても興味深く、未知の領域に引きずり込まれる感覚はエキサイティングだった。  映画作品としての前作「ダ・ヴィンチ・コード」は、キリスト教そのもののタブーをピンポイントでえぐり出しいた分、特に信者でない者にとっては、逆に今ひとつ衝撃性に欠ける部分があったというか、ピンとこなかった。 しかし、今作は宗教と信仰のもっと根本的な部分、即ち人間そのものの不完全さを物語の核心として描き出しているので、随分と移入しやすかったのではないかと思う。  宗教の歴史的な謎解きに留まらず、そこに「殺人」、更には「陰謀」という要素を絡め、一つの壮大なサスペンスへと昇華していく。 そしてその中で、信仰と科学の「対立」による軋轢と、そこから導き出される「融和」を巧みに描き出す。  原作を未読なので、例によってこの“映画化”が成功しているのかどうかということは、実際のところ判別できない。 ただし、“映画”単体としては、物凄く良い映画だと思ったし、純粋に楽しめた。  この映画を、文芸作品とか歴史作品などとして捉えることは間違いで、そんな見方をしては決して楽しめない。 この映画は、娯楽であり、崇高なエンターテイメント映画だと思う。  重厚でサスペンスフルな展開に身を委ね、バチカンの教会や彫刻の多さに感嘆し、ユアン・マクレガーのマルチぶりに賞賛を送りつつ、「結局、宗教って何なのだろう」と漠然と問う。そうやって楽しむ映画だ、と思う。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-16 00:46:35)
14.  点と線 《ネタバレ》 
時刻表を利用した計画殺人の妙自体は、今となってはさほど目新しくはないが、事件の核に女の憎愛を据えるドラマ性は、さすがに文学の巨匠松本清張の原作であると言える。卓越した映像美も手伝い非常にスリリングに展開する映画世界が秀逸。心中に始まり心中に終わる様式美も見事。
8点(2004-05-14 12:10:09)
15.  テープ
よくもまあ、これほどどこにでもあり得そうなある種の「口論」を一つの映画として昇華させたもんだ。ということに率直に感心する。87分という映画のワクそのままに繰り広げられる3人の男女の密室劇、心理劇に引き込まれる。平たく見ればただの言い争いであることに間違いはないが、ギリギリのところで観客を退屈させない展開力が巧い。3人の男女の間で交わされる欺瞞、後悔、嫉妬、怒り、本音…。濃厚な心理の駆け引きは非常に身近な事象でありながら極めてスリリングである。「これが地なのでは?」と思わせるイーサン・ホークのキレっぷりも見事。
8点(2004-03-27 02:04:05)
16.  DISTANCE/ディスタンス
「ワンダフルライフ」ではあざとさを感じたが、今作では是枝監督の技法であるドキュメンタリー的フリーな作風が効果的に物語りに反映していたと思う。無差別殺人を犯した新興宗教家たちの加害者遺族たちの集いという題材は、非常に斬新で興味深いものだった。配役も良く、作為的なセリフを一切廃した展開には非常にリアリティがあった。
8点(2003-12-17 13:28:16)
17.  天国と地獄
なんといっても映画全体に広がるねっとりとした暑さが印象的だった。なんだか観ている方まで汗が噴出しそうな映像に包み込まれた。その映像感覚がサスペンスフルな展開に絶妙にマッチして映画の濃厚さにつながっていた。三船敏郎、仲代達矢ら往年の名俳優の存在感もさることながら、現在の名俳優山崎努の出世作としても印象深い。
8点(2003-11-30 13:42:29)
18.  ディープ・ブルー(1999)
“人喰い鮫”を描いた映画と聞いて世界中の誰しもが思いつくのは、もちろん「JAWS/ジョーズ」だろう。 しかし、人喰い鮫の“モンスター映画”とジャンルを更に絞るならば、今作はかの名作をも凌ぐ。 高校生の時に今作を映画館で観て、その想像を超えた面白さに驚いて以来、その考えは今なお揺るがない。  かの名作の存在に怯え、誰もビッグバジェットで同じ題材の映画製作に挑まなかった中、持ち前の大仰なエンターテイメント性を全面に打ち出し、挑んでみせた監督のレニー・ハーリンを褒めたい。 他のモンスター映画の傑作を見ても感じるが、誰が撮っても同じだろうと安易に考えてしまいがちなこの手の娯楽作品ほど、監督の手腕が大いに影響するもので、今作はまさにその顕著な一例だと思う。  遺伝子操作によって生み出された“マンガ”のように巨大で凶暴で利口なサメ自体のキャラクター性とビジュアルも凄いが、この映画で特筆すべき最たるポイントは、モンスター映画における「生き残りの固定概念」が通用しないということに尽きる。 その辺のモンスター映画であれば、映画の冒頭で登場人物が一通り紹介された時点で、誰が死んで誰が生き残るだろうということは何となく分かるものだ。 しかし今作は、誰がどの順番で死に、最終的に誰が生き残るという予測が立たない。 僕自身そうであったように、序盤のある人物の死に対して「え!いいの!?」と、大いに面食らってしまうハズ。 (特に1999年の公開時においては、あの人があのタイミングでヤラレるというのは反則にすら思えた)  そして、いちいち登場人物たちの“ヤラレ方”が豪快なのも良い。 これが最も「ジョーズ」とは異なる部分かもしれないが、襲われそうな恐怖を感じさせることよりも、巨大な人喰い鮫に襲われるまさにその瞬間の迫力を優先している。問答無用に殺される登場人物たちも、“喰われ甲斐”があるというものだ。  そういういかにもモンスター映画の宿命的なB級ノリに相応しい豪快さが、この映画を何度も観たくなる最大の理由だろうと思う。
[映画館(字幕)] 8点(2003-11-26 00:24:08)(良:1票)
19.  ディアボロス/悪魔の扉
VFXも特殊メイクもなく生身の人間の形のままで「悪魔」を演じてみせたアル・パチーノの存在感が圧倒的であった。不穏な空気に包まれた世界観も秀逸で、ストーリーの風味にとても合っていた。逃れられない絶対悪に最後までゾクゾクさせられる。
8点(2003-11-08 11:32:26)
20.  デイライト
人気スターのわりのコケてる作品が多いスタローンであるが、今作の出来栄えは良かった。「ポセイドン・アドベンチャー」を彷彿とさせるパニックアクションで、迫力あり感動ありと見応えががあった。この手の映画が好きな人には秀作とも言える作品に仕上がっていると思う。いまや「ロード・オブ・ザ・リング」で人気者のヴィゴ・モーテンセンが出ていて、最初の方であっさり死んでしまう。
8点(2003-10-06 13:28:34)
0160.62%
1592.28%
2762.93%
31415.44%
41716.59%
52439.37%
637214.35%
752720.32%
852220.13%
929611.42%
101706.56%

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