2. 天使のたまご(1985)
押井守監督によるアニメーション作品です。まず映像表現についてですが、これは本当に美しいです。『GHOST IN THE SHELL』でも見られた重厚な(重みのある動きの)表現を見ることができます。それと舞台となっている、雨ばかりが降っているヨーロッパ風の街の廃墟の、終始一貫重苦しくダークな雰囲気が個人的に好きです。次に物語の内容については、これは「難解」の一言に尽きます(「詩的な難解さ」というのが僕の印象です)。主要な登場人物は10代前後の少女と20代前後の青年(声は何と根津甚八が当てています)の二人だけで、しかも最初の25分ほどはセリフらしいセリフもありません(その代わり素晴らしいアニメーション表現を堪能することはできますが)。僕自身も一回見ただけなのではっきり言って解釈らしい解釈もできないのですが、どうも僕が見た限りでは、押井守が世界をいかに(閉塞的に)見ているのかと言うことは、この作品から汲み取れるような気がします。なおこの作品は公開当時に大コケしたらしく、好き嫌いがはっきりわかれる作品かもしれませんが、僕自身はこの作品が大変気に入りました。 8点(2002-07-12 17:27:24) |