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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1.  天国と地獄 《ネタバレ》 
黒澤作品を見始めてまだ間もない頃に見たのだけど、すごく面白かった。最初に見た時、前半と後半で主人公が三船から仲代に入れ替わるのがけっこう新鮮だったし、ハラハラドキドキの展開に一度もだれることなく一気に見れた。犯人を演じている山崎努の若い頃を初めて見たのもこれなんだけど、今の渋みが全くなくてかなり驚いた。でも、「マルサの女」の権藤と同じく、印象に残る役柄だと思う。この映画が事実上黒澤の単純に楽しめる最後の娯楽映画となってしまった感はあるが、黒澤作品の現代劇でいちばん好きな映画である。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-10-20 23:09:28)
2.  天国に行けないパパ 《ネタバレ》 
血液検査で血をすり替えられ、余命二週間と診断されてしまった定年を間近に控えた刑事バートが家族に対し金を残すために自ら殉職を試みるコメディ。だからと言っておちゃらけた雰囲気ではなく、ドラマとしてしっかり真面目に作られている感じで、余命を宣告された主人公が自らの人生を見つめなおす物語として普通に見ごたえのある映画になっていて、ほろっとくるシーンも多く、とても面白い映画だった。時限爆弾を手に立てこもった男を説得するシーンでの「子供の成長した姿を見たいだろう」というバートの言葉が思わず胸に沁みるし、相棒・アーニーに食事を奢るシーンでのバートのセリフも人生を見つめなおしたからこそ説得力のある言葉になっていて味わい深く、見ていてなにか勇気をもらえたような気がした。アクション映画としての面白さももちろんあり、既にみなさん書かれているが、殉職を試みるバートがそのあまり管轄外の区域にまで手を広げ、逃走する犯人の車とカーチェイスを繰り広げるシーンはその味付け程度とは到底言えない本格的で壮絶なカーアクションが凄すぎて、思わず目を見張るほどの迫力で手に汗握る。アクション映画の主人公というのはどんな危険な目にあっても死なないのがお約束のようになっているが、このシーンのバートもそういうふうに描かれているのが見ていてつい笑ってしまう。でも、やっぱり本作の本質は最初にも書いたようなバートが自分自身を見つめなおしていくドラマ部分にあり、今回初めて見た映画だったが、今見るからこそバートに感情移入できる部分もあり、それはたぶん中年になった今だからこそ分かることだと思うし、紛れもない名作だと感じることができるのだろう。もし、10代くらいの頃に見ていたらコメディとしては単純に楽しめてもそこまでよく理解できなかったかもしれないし、気づかなかったかもしれない。やはり映画とは見た年齢やタイミングも重要なのだということをあらためて感じられた。
[DVD(字幕)] 8点(2022-09-04 00:53:33)(良:1票)
3.  デジモンアドベンチャー/ぼくらのウォーゲーム! 《ネタバレ》 
テレビシリーズ一度も見たことない状態だったので、一見さんお断りな映画だったらどうしようかと思っていたが、これが本当に東映アニメフェアの子供向け映画として公開された映画なのかと思うほど緻密に作られていて、ネットの中に現れたモンスターがデータを食い荒らすという展開もリアルにコンピューターウイルスを連想させていてひょっとしたら実際にこんなことが起こるかもしれないと思わせる設定で見事だし、細田守監督の演出もしっかりとしていて大人の鑑賞にじゅうぶん堪えうる作品に仕上がっていたのでかなり驚いた。NTTやペンタゴンなど実在のものがそのままの名前で出てくるのがちょっと子供相手の東映アニメでは異色な感じだが、そうすることでなおも映画にリアリティーを生むことに成功している。それに下の方も書かれているけど主人公たちが戦っているのを知らないで日常生活を送っている一般の人々の描写も細かで丁寧でこれが入ることによってストーリーに厚みが出ているのもうまい。確かにテレビシリーズ見ていないから登場人物たちのバックボーンとかがよく分からない点は少し残念だが、この映画は今まで見た東映アニメ映画の中でもいちばん面白いと思うし、純粋に映画という枠で考えても快作といえる作品だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-12-23 01:03:49)(良:1票)
4.  デーヴ 《ネタバレ》 
昔、テレビの洋画劇場で見ているが、それ以来に再見してみると「大統領の影武者になった男」というシチュエーション以外に何も覚えていなかったので新鮮な気持ちで見られた。もっとドタバタなコメディーという印象が初めて見たときはあったようにおぼえがあるが、とてもハートフルでドラマとしてもしっかりしていて、昔に見たときはまあまあかなくらいの感想だったのだが、実はこんなに面白かったんだということにビックリ。描かれているのは真面目に見てしまうとあり得ないようなことなのだが、そこを突っ込むのはやはり野暮であり、純粋に娯楽映画として楽しむのが正しい見方なのだと思う。予算削減のシーンなどはやはり見ていて痛快で、クライマックスのデーヴの演説も良い。デーヴと大統領夫人とのロマンスもほどよくてちょうどいい感じになっている。黒人のシークレットサービス(どこかで見たと思ったら「ミッションインポッシブル」のルーサー役の人なのね。)もいい味を出していて印象に残るのだが、彼が最後にデーヴに言う「君のためなら死ねる」というセリフは普通なら笑ってしまうかもしれないが、それまでの流れがしっかりしているせいか、思わず感動してしまった。間違いなく本作一番の名台詞だ。(2020年4月16日更新)
[DVD(吹替)] 8点(2006-05-11 14:20:48)
5.  でっかいでっかい野郎 《ネタバレ》 
渥美清は「男はつらいよ」シリーズ開始以前は野村芳太郎監督の喜劇映画に何本か主演していてこの映画もそんな一本。物語は若松に突然現れた風変わりな男 松次郎(渥美清)を描いた内容で、どことなく山田洋次監督が初期にハナ肇主演で手がけた馬鹿シリーズを彷彿とさせている。岩下志麻が語り手となる院長夫人を演じているが、渥美清とのやりとりを見ていてつい岩下志麻が「男はつらいよ」シリーズのマドンナとして登場したらどんなだっただろうと考えてしまった。(岩下志麻のマドンナ役、本当に見たかった。)作品そのものは平凡な出来だし、終わり方も唐突に思えるのだが、やはり渥美清という喜劇俳優の魅力をこの映画でもじゅうぶんに感じることができるし、伴淳との共演も珍しく、ふたりのやりとりは見ていて素直に楽しめた。松次郎が無法松ともてはやされるくだりをもう少し膨らませてもよかったような気がするが、このくだりがあるために松次郎の世話をすることになる院長役で長門裕之が出演しているのが妙におかしく、見ていて思わずバンツマの「無法松の一生」を思い出さずにはいられなかった。劇中では三船敏郎の「無法松の一生」のことを言うシーンがあるが、書いてたらなんだかまた久しぶりにバンツマの「無法松の一生」が見たくなってきた。
[DVD(邦画)] 7点(2012-08-23 14:23:32)(良:1票)
6.  電送人間
福田純監督といえば70年代のゴジラ映画のイメージが強く、見る前はちょっと不安もあったが、怪獣ものと違って特撮よりもストーリーを重視しているなど、作風としては後年の円谷プロのテレビシリーズ「怪奇大作戦」のテイストに非常に近くなかなか楽しめた。電送人間須藤兵長役の中丸忠雄の不気味な演技はインパクトがあって良かったし、この映画では脇役に徹している円谷英二の特撮も怪獣映画とはまた違った印象を残しているのも良かったと思う。ただ、当時から大スターであった主演の鶴田浩二がかなり浮いて見えるのがちょっと残念。
[DVD(邦画)] 7点(2007-07-10 11:21:07)(良:1票)
7.  天使にラブ・ソングを・・・ 《ネタバレ》 
ウーピー・ゴールドバーグと聞くと「ゴースト」とともに思い浮かべる映画。かなり久しぶりに見たが、デロリスを演じるウーピー・ゴールドバーグがものすごくハマっていて、それだけで見ていて単純に楽しいし、旧態依然とした厳粛な修道院に現れた彼女が聖歌隊に入ったあたりからとたんにシスターたちがイキイキとしてくるのが面白く、そこからは一気に楽しめたし、見ていて自然と元気が出てくるのがいい。シスターたちの個性もしっかりとしているが、やはりデロリスの影響で修道院の雰囲気が変わりはじめても、修道院は規律を重んじる厳粛な場所であるべきと考えている修道院長(マギー・スミス)。そんな彼女もやがてはデロリスを認めることになるのはわかりきっていることではあるんだけど、今見るとこの修道院長につい気持ちが行ってしまう部分があった。それから、昔吹き替えで見たときに印象に残ったシスターはロバート(ウェンディ・マッケナ)だったのだが、今になって字幕で見てもやっぱりロバートが印象に残った。映画的には普通のコメディーという印象が昔見たときと同じく強く、物足りない部分もなくはないが、だからこそ安心して見られる映画になっている。クライマックスはローマ法王を前にしたシスターたちの歌だが、これが終わった後、エピローグをやらずにスパッとエンドロールに入る構成で、この終わり方が実に後味良く、気持ちのいい映画だったなあと思わず笑顔で見終えることができた。(2020年12月11日更新)
[DVD(字幕)] 7点(2006-02-26 12:28:53)
8.  天国から来たチャンピオン 《ネタバレ》 
昔、初めて見た時はもっとスポーツ映画という印象が強かったのだが、初見以来久しぶりに見てみるとそうでもなく、どちらかと言えば大富豪に憑依して生まれ変わった主人公ジョーと彼が一目ぼれし、大富豪に憑依するきっかけになった女性・ベティとの恋模様が中心に描かれていて若干この邦題に違和感を感じるものの、それでもやはり心温まる映画で、素直に良作だと感じた。天使の手違いで寿命がまだかなり残った状態で死んでしまい、魂がこの世に戻ってくるというストーリーは現代ではありがちに感じるけど、そのぶんシンプルでわかりやすいつくりで安心して見ていられるのが良い。新米天使や天使長であるジョーダンを振り回すジョーも笑えるし、この二人を演じるバック・ヘンリーとジェイムズ・メイソンが良い味を出していて、中でもジェイムズ・メイソンの紳士的な佇まいと存在感が本作に深みを与えているように思う。ラスト、ジョーとしての記憶を失い、別人として生きることになった主人公を前にしたマックスの表情がなんとも寂しげで切なく、思わず泣けてくるのだが、その後の主人公がやって来たベティと意気投合するのは一応、ハッピーエンドにはなっていて、初めて見た時はとても印象に残っていたのだが、今見ると少し説得力に欠けるものがあるように感じるのがちょっと残念。でも、本作でそれはそこまで気にすることでもないような気がした。(2023年10月1日更新)
[DVD(字幕)] 7点(2005-10-17 01:23:10)
9.  鉄男 TETSUO 《ネタバレ》 
冒頭からインパクトのある衝撃的な映像の連続で、不安を煽るような耳障りな音楽も相まって、それだけで何か得体の知れない映画という感じがして引き込まれた。見るからに低予算な映画ではあるが、それを逆手に取ったような独特な映像表現がそれを感じさせていないのがすごい。真面目にストーリーを追おうとするとハッキリ言ってまったくわからないのだが、頭で考えるのではなく、この映像を素直に体感できればそれでいいような映画なのだろうと思う。塚本晋也は「シン・ゴジラ」とかで俳優のイメージが強く、監督作を見るのがこれが初めてだったのだが、これで一躍注目されたのもうなずける話だ。ただ、男(田口トモロヲ)とやつ(塚本晋也)が対決するあたりからはちょっとだれ気味だったのも事実で、後半はその分失速してしまった印象があるのはちょっと残念。劇中何度か登場するVHSビデオのようなビリビリ砂嵐は今になって見るとなんだか懐かしく思える。(本当にVHSの時代にビデオで見ていたらデッキの故障かと思ってかなり焦ったかも。)既に指摘されている方もおられるように見ていて「AKIRA」を思い出すような主人公の変貌描写でタイトルも「鉄男」(鉄雄)なのが偶然とは思えないのだが、つい、「金田」ってタイトルの映画は存在しないのねという無関係なことを思ってしまった。本作を見たのは先週に見た「桐島、部活やめるってよ」の影響なのだが、逆に桐島を見ていなければずっと見なかったタイプの映画だったかもしれない。ただ、最初にも書いたように確かに引き込まれる映画で、面白かったことも事実なのだが、好みかと言われればだいぶ微妙なので、まあ6点が妥当なところかなと。
[DVD(邦画)] 6点(2021-01-28 23:53:14)
10.  天使にラブ・ソングを2 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。1作目を見てから一週間ほどで本作を見たが、実はちゃんと見るのがこれが初めてだということに見ている途中で気がついた。それはともかく、前作とは逆に修道院側がデロリスに助けを求める冒頭からまあ続編だとそういう展開になるわなという感じなのだが、前作と違ってデロリスの母校である高校を舞台にしたことで、前作と少し毛色の違う映画になった印象でストーリー自体はまあ悪くないと思うし、史上初めて続編映画の監督をアフリカ系アメリカ人が手がけた意味で歴史的な映画でもあるらしく、そのためか立場や差別などにも重くならない程度にふれているなどちょっとした社会的側面も出ていて、そのあたりは興味深く見ることができた。しかし、前作に比べると別にシスターでなくても、デロリスでなくても成立するような感じが否めないし、素行の悪い生徒たちがデロリスによって変わっていくという本作要の部分もドラマとしてあっさりしすぎているように感じてしまってかなりの物足りなさが残るし、生徒の一人であるリタ(ローリン・ヒル)の音楽活動に反対している母親が最後に彼女を認めるという展開も見ていて容易に予想がつき、安心して見られる反面、予定調和な感じも強かった。さっきも書いたようにストーリー自体は決して悪くはなく、単品として見た場合はそこそこだと思うものの、やはりシリーズものの2作目として見てしまうと前作ほどの面白みは感じないという典型的な続編の感想になってしまうのは仕方のないところか。でも、成功したいなら周りをよく見てという言葉は胸に残るし、主要登場人物たちがバックで歌うエンドロールも良かった。(このエンドロール、たぶん民放のテレビ放送ではカットされる部分なんだろうなあ。なんか惜しい。)
[DVD(字幕)] 6点(2020-12-17 23:57:54)(良:1票)
11.  DEATH NOTE デスノート the Last name 《ネタバレ》 
前編に比べて映画オリジナル要素が多いとは聞いていたが、とくに後半のクライマックスシーンはなかなか見ごたえのあるものになっていたと思うし、ラストシーンも月(藤原竜也)の家族の月に対する思いがちゃんと描かれていたのが良かった。本作の前半部分の「さくらTV」のくだりなどであるオカルト的なシーンはやっぱり少しひいてしまうところもあるが、レム(ピーター)のデスノートを手に入れた高田清美(片瀬那奈)が看板ニュースキャスターの西山冴子(上原さくら=この人をキャスティングしたのはテレビ局の名前が「さくらTV」だからか。)を殺して自分が後釜になる展開がちょっとドロドロしてて驚いた。前編でちょっと出ていた弥海砂(戸田恵梨香)が本格的に物語に絡みはじめるのだが、彼女が月の家にくるシーンはなんか笑える。今時のアイドルを知らない月に変なところで共感してしまった。絶対に共感なんかしたくないキャラなのに。L(松山ケンイチ)の存在感も良かったが、総一郎(鹿賀丈史)の心中を察するとちょっと辛いものがあって彼の気持ちがよく分かる。前編と合わせて全体的に考えると見る前の想像よりはずっと楽しめる映画だった。ただやはりこの内容で2部作5時間近くも使うのはちょっと長いような気もする。
[DVD(邦画)] 6点(2010-12-29 14:55:59)
12.  DEATH NOTE デスノート(2006) 《ネタバレ》 
原作の漫画は未読で少年ジャンプももう10年以上読んでいないのだが、ジャンプに載っている漫画が原作にしてはちょっとブラックでカルト的な感じ。2部作の前編ということもあってか冗長な部分もあるのではないかと思っていたのだが、冒頭から最後まで飽きることなく見れたし漫画原作だからかリアリティのない展開でもさほど気にならない。主演の藤原竜也は未だに七原のイメージが強いせいかこういうアンチヒーロー的な役はピッタリだと思う。松山ケンイチは初めて見るけど、はまり役でなかなかの存在感を放っている。金子修介監督らしさは夜の街中での群衆の描写が「ガメラ3 邪神(イリス)覚醒」でもこんな感じだったなあという気がしてなんだか嬉しい。(思わず怪獣でも空から降ってくるのではと思った。)リュークのCGも思ったほどしょぼくなかったのがいい。しかし、結末は後編に持ち越されるのは分かっているが、この前編でももうちょっとすっきりしたエンディングで終わって欲しかった気もする。月の妹を演じた満島ひかりは金子監督が参加していた「ウルトラマンマックス」でのアンドロイド・エリー役の印象が強いのだが、ここでは普通の女の子を違和感なく演じていてちょっとビックリした。
[DVD(邦画)] 6点(2010-12-21 17:54:22)
13.  点と線
松本清張初期のベストセラー小説の映画化作品。松竹以外の松本清張原作映画を見るのは初めてだったが、よく出来たミステリー映画としてはそこそこ面白かったものの、どうも主役の刑事(南廣)が一人で息巻いていて一人浮いているような気さえして感情移入できなかった。それに、人間ドラマにあまり深みがないのも残念に感じ、全体としてはやや物足りない。出演者に目を向けると、高峰三枝子は汚れ役のイメージしかなく、とくに「犬神家の一族」の松子夫人の印象が強いのだが、本作ではちょっとだけ松子夫人の原型と感じられるような役を演じていて、ひょっとしたらこの映画がきっかけであの役に起用されたのかと思ってしまった。ただし、貫禄もインパクトも松子夫人の方がやっぱり上に感じる。その夫を演じる山形勲は東映時代劇の悪役という印象がなんといっても強く、この映画でも悪役を演じているのだけど、こういう役はやっぱりはまるなあ。ただ、山形勲を時代劇でしか見たことがなかったせいか、最初は誰だか気がつかなかったけど。のちに「砂の器」で素晴らしい演技を見せる加藤嘉が本作では刑事を演じている。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-12 15:00:00)
14.  でんきくらげ
大映は倒産直前に「軟体動物シリーズ」と銘打った映画を連作してたみたいで、増村保造監督による本作もそんな1本。去年1年間に10本も増村監督の映画を見ているせいか、かなり久しぶりに見る増村映画という気がする。うーん、渥美マリ演じるヒロインはいかにも「増村映画のヒロイン」という感じだし、クライマックスのヒロインの行動やラストの選択も増村監督らしいと思うし、見る前に思ったよりは面白かったのだが、正直これまで見た増村監督の映画と比べると何か物足りない。渥美マリはせりふ回しは確かに棒読みだけど、それが不思議と見ていて苦にならないしそんなに悪くないと思うのだが、「妻は告白する」や「清作の妻」などの増村映画の顔的存在の若尾文子や、「巨人と玩具」の野添ひとみ、「痴人の愛」の安田道代、「盲獣」の緑魔子といった強烈な印象を残すヒロインたちにくらべれば全然普通の印象しか残らないし、増村監督の演出もなにかいつもに比べて平凡に感じてしまったのは残念で、増村監督としてはこういう題材の映画は得意なはずなのに、圧倒的な「何か」が足りていないような気がする。
[DVD(邦画)] 6点(2009-10-28 18:32:36)(良:1票)
15.  ティファニーで朝食を 《ネタバレ》 
高校生の頃にテレビで初めて見て以来、四半世紀ぶりかも知れない再見。オードリー・ヘプバーンと聞いてすぐに思い浮かぶタイトルが今でも「ローマの休日」とこの「ティファニーで朝食を」なのだが、本作はやっぱり今見ても昔見た時と同じくなにかイマイチに感じる。確かに全体的なお洒落さはとてもいいし、ヘンリー・マンシーニの音楽、とくにオードリー演じるホリーが歌うシーンをはじめ、「ムーンリバー」のメロディーがいつまでも耳に残る(やっぱいい曲だと思う。)のだが、話としては凡庸な感じであまり面白さを感じないし、ホリーのキャラクターにもあまり惹かれるものがなく、ポールとの恋物語にもそんなに魅力は感じられずに終わってしまったような感じ。初めて見た時はラストの雨の中猫を捜すシーンが印象に残っていたが、今回見るとその前のタクシーの中でのポールの一言でホリーが我に返るという展開がなんとも甘く見え、その後の猫を捜すシーンも自業自得のように感じてしまった。オードリーは清楚なイメージから脱却したかったのかも知れないが、このホリー役は別の女優のほうがしっくり来たのではないかと思ってしまった。企画段階ではマリリン・モンローが考えられていて、原作者カポーティも推したというが、本当にマリリン・モンローが演じていたらどうだっただろうと思ってしまう。でも、「ムーンリバー」はオードリーが歌うのを前提に作られた曲だというし、何より、オープニングのホリーがティファニーの宝石を眺めながらパンを食べるシーン(結局、「ムーンリバー」を歌うシーン以外ではこのシーンが今回見ていちばん印象に残ったシーンだった。)はオードリーでないと絵にならないような気がして、そう考えるとやっぱりオードリーで正解だったのかもしれない。それからもう一つ、ミッキー・ルーニー演じる日本人カメラマンの表現が現在では差別的と言われるようだけど、それ以前にこのキャラは全体的に見て雰囲気からかなり浮いているような気がしてそこが気になった。(2022年6月16日更新)
[DVD(字幕)] 6点(2005-10-20 19:45:46)
16.  テルマエ・ロマエⅡ 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。前作とは脚本家が違っているが、基本的に前作とやっていることは同じで、見る側であるこちらも2作目ということで慣れた面もあるのか、前作で見ているうちに飽きが来てしまったルシウス(阿部寛)が古代ローマと現代を往復してカルチャーショックを受け、見た物を古代ローマに再現するという前半部分が前作よりも楽しめたし、風呂だけを再現していた前作と違ってグラディエーターたちのために温泉街そのものを再現するというのが楽しいし、見ていて純粋にワクワクできる。ルシウスが現代で受けるカルチャーショックの部分で笑えたのはやはりラーメン屋のシーン、初めてラーメンやギョーザを食べたり、ビールを飲んだりするルシウスのリアクションがいちいち面白く、そして微笑ましくもあった。店主役の白木みのるも良い味を出している。(もちろん、ラーメンの味ではない。)今回はコロッセオに相撲文化を取り入れてグラディエーターたちの戦いを平和なものとしているが、(人気グラディエーター役に曙を起用しているのがなんかすごい。)今回も終盤近くに力士たちが古代ローマにタイムスリップする展開となり、力士とグラディエーターの絡みが見られるかと思ったのだが、そこは肩透かし。前作ではルシウスと真実(上戸彩)以外の人物がタイムスリップして歴史に関わるのに単純さや安直さを感じてしまったが、今回は素直に力士とグラディエーターの本格的な絡みが見たかった。それに前半でコロッセオに相撲文化を取り入れたのなら、ここで力士たちが古代ローマに行く理由はすぐには分からず、力士たちがタイムスリップしているのを忘れた頃に曙と一緒に温泉を掘り当てたというのには少し唐突感があった。どうせならここで初めてコロッセオに相撲を取り入れる展開でも良かったのではないかと思う。しかし、後半のシリアスな部分は前作ほど気にならずに見れたのは良かった。前回も今回もメタな部分が多いのだが、エピローグで売れっ子になった真実の描いた漫画が実写映画化されるというのは彼女のサクセスストーリーとしてのハッピーエンドの後味の良さと、最後になってこの映画自体を映画の中に登場させるのはちょっとさすがにやりすぎだろうという気持ちが入り交じり、なんか複雑な気分になってしまった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-07-26 00:45:13)
17.  テルマエ・ロマエ 《ネタバレ》 
日本映画で舞台が古代ローマで登場人物が古代ローマ人と聞くとちょっと無茶なと思ってしまうのだが、その古代ローマ人のキャスティングを濃い顔の日本人俳優のみでかためるというアイデアは非常に秀逸で、まったく違和感を感じさせていないのがすごく、この時点でもう成功と言える映画ではないだろうか。前半は主に現代にタイムスリップしたルシウス(阿部寛)が現代の風呂文化にカルチャーショックを受け、古代ローマに戻って現代で見たものを再現するというよくあるカルチャーショックコメディになっていて洋式トイレのシーンなどエピソード自体は面白いものの、短時間に3回ほどルシウスが古代ローマと現代を行き来するのを見ているうちに飽きてしまった。テレビアニメ化もされているが、(未見。)これを描くならむしろ映画よりもテレビの連ドラやアニメのほうが向いているだろう。でも、本作はこの前半部分が最大のみどころで、ルシウスのタイムスリップに巻き込まれる形でヒロインの真実(上戸彩)が古代ローマにやってくるあたりからシリアスな話になり、勢いが失速した感は否めなかったし、さらに現代にいた真実の父(笹野高史)や真実の実家の温泉の常連客である老人たちも古代ローマにタイムスリップするという展開はムリヤリ感があり、そこで彼らが戦争で傷ついた兵士たちを癒すための風呂作りに協力するというのも単純で安直な感じ。最初にも書いたが阿部寛、北村一輝、宍戸開、市村正親が演じる古代ローマ人は本当にはまっていて、前半のルシウスのカルチャーショックと合わせて、彼らのはまり具合もみどころなのだが、同じような濃い顔立ちでありながら古代ローマ人役ではない竹内力がある意味いちばんインパクトがある。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-07-24 16:40:47)
18.  電車男 《ネタバレ》 
公開当時は「世界の中心で、愛をさけぶ」や「いま、会いにゆきます」なんかと並んで話題になっていた映画だったのだけど、見たのは今回が初めて。(ドラマも未見。)ネット掲示板の実際のやりとりから生まれた実話という触れ込みだが、実話の映画化だと思わずによくあるラブコメ映画として見ればそれなりに面白いと思うものの、あまり映画向きの題材とも思えず、見ていてドラマのほうが面白そうと思ってしまったのも事実で、電車男(山田孝之)とエルメス(中谷美紀)の関係と並行して掲示板利用者たちの日常も絡めた群像劇にしてしまったほうがもっと面白かっただろうと思う(ドラマではそうなっているような気がする。)し、そうすることで深みも出たのではという気がする。主人公の電車男はアニオタ、ゲーオタという設定だが、あまりそれらしい描写がなく、説得力に欠ける部分があるのもちょっとと思ってしまう。(百式(と書かれた)Tシャツを着てるならせめてエルメスと聞いたときにララァのモビルアーマーを想像するとかしてほしかったなあ。と言いながら自分も一年ほど前からガンダム初めて見てる初心者だけど。)それに森田芳光監督の「(ハル)」を先に見ているとどうしても書き込みの内容をナレーションでしゃべってしまうのは演出として勿体ないように思えた。電車男を応援する掲示板利用者のメンバーの一人に瑛太演じる引きこもりの青年がいるが、「嫌われ松子の一生」を先に見ていると中谷美紀の出ている映画で瑛太がこういう役なのはなんか笑ってしまう。
[DVD(邦画)] 5点(2020-04-04 23:39:34)
19.  DESTINY 鎌倉ものがたり 《ネタバレ》 
山崎貴監督が三丁目の夕日シリーズと同じ西岸良平の漫画を映画化した作品。ということで、やや二番煎じものなのかなと見る前は思っていたが、見る前に原作の漫画をいくつか読んでいた三丁目の夕日と違って、原作を知らずに見た(家に一冊だけあるので今度読んでみよう。)ためか、舞台となる鎌倉が人間と魔物が普通に共存している場所という荒唐無稽な設定で、前半はここを舞台にした人情喜劇といった趣で、それなりに面白く見れるし、三丁目の夕日シリーズになかったミステリーの要素もある。主人公である堺雅人と高畑充希の演じる新婚夫婦である正和と亜希子も微笑ましく描かれ、何よりそんな日常に魔物という非日常が普通に紛れ込んでいるというのが三丁目の夕日シリーズとの最大の違いで、これを受け入れられるかが本作を楽しめるかの肝なのだが、割とすんなり受け入れられた。(同じ監督、同じ原作者ということで三丁目の夕日のような映画を期待してしまう人は多いと思う。)脇で出演している役者たちも三丁目の夕日に出ていた人がチラホラ居るのだが、堤真一と薬師丸ひろ子が夫婦役ではないところとかはひねってあって見る人の期待をわざと裏切っている感がいいし、三丁目の夕日でもじった名前の人物が登場していた吉行和子が出ているのは狙ったキャスティングだろう。(旦那役が「家族はつらいよ」シリーズはじめ、吉行和子と夫婦役の多い橋爪功というのが気が利いていて楽しい。)後半は亜希子がふとしたことから死んでしまい、霊体になってしまうという展開だが、やはり正和との別れシーンは泣かせてやろうという山崎監督らしい演出が鼻につく。しかし、本当にここで終わっていれば良かったものの、終盤30分は黄泉の国へ行ってしまった亜希子を連れ戻す冒険ものになってしまい、予告や宣伝などでもここが一番の見どころのようにされていたが、そこからはどこか洋画やアニメで見たような展開と映像で、既視感がすごくてもうお腹いっぱいという感じだし、それにこの部分はちょっとファミリー向けを意識しすぎていて特撮ヒーローもののようになってしまって、前半の雰囲気とかなり乖離があるものになってしまっていて、はっきり言ってバランスが悪い。同じように亜希子がよみがえる結末でももっと違った描き方があったと思うし、三丁目の夕日のように最後まであくまで人間と魔物が共存する鎌倉での日常を描いた映画にしたほうが良かったのではとも思う。三丁目の夕日シリーズは嫌いではないが言われているほどではないと思っているが、見終わってつい三丁目の夕日のほうが良かったと思えてしまった。(評点おなじだけど。)それともう一つ、主演のふたりは本作の前に朝ドラと大河にそれぞれ主演しているが(「真田丸」、「とと姉ちゃん」)、本作の主題歌は「とと姉ちゃん」の主題歌を担当していた宇多田ヒカル。これで本作劇伴担当の作曲家が「真田丸」で音楽を担当していた服部隆之ならとつい思ってしまう。
[DVD(邦画)] 5点(2018-09-11 01:08:25)
20.  出口のない海 《ネタバレ》 
山田洋次監督が「釣りバカ日誌」シリーズ以外で久しぶりに脚本のみを手掛けた佐々部清監督による戦争映画。ハデな戦闘シーンを描かずに主人公以下登場人物たちのドラマを描いているのはいかにもホームドラマが主の松竹らしいし、回天という非人道的な兵器を後世に伝えたいという作り手の気持ちはわざわざ主人公がセリフで言わなくてもよく分かる。「釣りバカ日誌」シリーズは末期は脚本の適当さが目立っていたが、さすがに本作はそこまでの適当さはなく、脚本も演出も真面目で良心的。しかし、回天の存在を後世に伝えることに注力しすぎたのか、ほかのドラマ部分は薄いし、なにより主人公である並木(市川海老蔵)の野球への思い入れの強さがほとんど伝わってこないのが良くない。見る前はもっと野球を中心にストーリーが展開する映画だと思っていただけにここが薄っぺらいのは本当に残念。また先に書いた回天の非人道性も出撃時に故障(実際に多かったのかもしれないが。)が頻発するというありさまではかえって間抜けに見えてしまい、回天の恐ろしさというものもあまり伝わってこないのは映画を製作した目的がそもそもじゅうぶんに果たされているとは言えない気がする。出演者が現代的にしか見えない若者ばかりだったり、「この戦争は負ける」という並木のセリフは現代の戦争映画なので仕方ないと思うものの、主演の海老蔵の演技はやる気があるのかと疑いたくなるほど下手(「一命」のほうがまだ演技は気にならなかった。)で、ドラマが薄っぺらいうえにこれでは並木に感情移入することができない。海老蔵だけではなく「嫌われ松子の一生」や「十三人の刺客」ではさほど気にならなかった伊勢谷友介の演技もなにか微妙に感じた。それと、物語の語り手が途中からいきなり変わるのは違和感を感じる。映画としてもなかなか微妙な印象だが、テーマ自体は決して悪くはなく、存在意義もある映画だとは思うのでまあそれを考慮して5点。でも、山田監督が自ら手掛けていたらどんな映画になっていただろうという思いはある。本作と同じく回天を扱った映画である松林宗恵監督の「人間魚雷回天」をずっと見たいと思っているのだが、なかなか機会に恵まれないのが残念。いつか絶対に見てみたい。
[DVD(邦画)] 5点(2017-03-18 22:20:30)
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