1. 天地明察
原作未読。個人的には断然、関孝和派なもので、こういう作品でも見れば、多少は渋川春海なる人に好感を持つきっかけでもできるかな、と思って見てみましたが・・・。長くてイマイチでしたね。貞享暦も結果的にはイロイロ問題の多かった暦の様だし、本作を見終わった今でも、やはりこの時、関孝和が改暦に携わっていたらどうなっていたのだろう、という歴史における「たられば」を考えずにはいられません。まあ、そういうことを脇へ置いたとしても、本作は、作りが安っぽくていただけないです。豪華俳優陣ですけど、演出が悪いんでしょうねえ、これは。「たかが碁打ち」というセリフが何度も出てきましたけど、そうはいっても、江戸時代、将軍の前で碁を打つ家柄ですから、それなりのはずだし、春海は当時の錚々たる面々に教育を受けているのですから、彼自身、非常に教養ある人のはず。そういう、知性・品性・格式・威厳・・・が、全く感じられないのは致命的です。なんといっても、個人的に許せないのは、猿之助の演技。関孝和は、彼の生い立ちを考えれば、もっと内省的で、あんな芝居がかった人柄じゃないことくらいド素人でも想像できます。あれじゃあ、世紀の天才が、聞いて呆れるってもんです・・・。ところで、岡田君は、来年の大河、大丈夫なんでしょうか? [DVD(邦画)] 4点(2013-11-02 21:36:03) |
2. 天使の分け前
ある新聞で記者が「ケン・ローチって辛気臭くて嫌いだったが、本作品は例外的に面白く好き」と書いていた。「え~っ!?」と思って、「辛気臭い」を広辞苑(第五版)で引いてみたら「思うにまかせずくさくさした気分である。じれったく、いらだたしい」とある。これは、第五版だからか? で、ネットで他辞書を調べると「気がめいるさま」というのがあった。多分、前後の文脈からして記者のいうのはこれだろうな、と思うし、私の中での「辛気臭い」の日常的な認識もコレだ。で、やっぱり「え~っ、、、」なんであるが、よく考えると、広辞苑のいう意味では、確かにローチ作品は「辛気臭い」のかも知れないな、とも思った。人が思うようにいかない現実に悩み、葛藤する様を描き続けているのだから、まぎれもなく辛気臭いのだろう。だけれど、だからといって、決して見ている者たちを滅入らせる作品ではなく、そこには必ず希望や救いがあるのだ。だから、記者の言う「辛気臭くて嫌いだった」というのは、やっぱり共感できないのである。・・・で、本作だけれども、ローチはやっぱりローチだった。ローチ作品を見ていると、逆境から抜け出すのは、本人の意思+「人の力」が欠かせないと言いたいのがよく分かる。人生や世の中には「どうにもならないこと」「不可抗力」は必ずある。それを跳ね返すのは、結局自分自身でしかないけれど、それをほんの少しだけ支えたり見守ったりする周囲の人の小さな力が欠かせないのである、ということを忘れてはいけないと改めて教えられる。「運命論なんか嫌いだ」と言い放つエリートより、「人生はままならん」と一見くたびれた風の、肩を落としながらも踏ん張れる人の方が、よほど魅力的。・・・しかし、これで、本当に「銀座テアトルシネマ」は閉館となってしまった。本当に哀しい。自分で思っていた以上に今、寂しさを感じています。ああ、ミニシアター、頑張れ! [映画館(字幕)] 8点(2013-06-02 15:54:17)(良:1票) |
3. TEKKEN 鉄拳(2010)
一番笑えたのはスティーヴです、スティーヴ! 誰かが「Hey,Steve Fox!」(みたいな)セリフを言うんで、どこにボクサーが? と画面を食い入る様に見るものの見当たらず・・・。見当たらないわけだよ、こりゃ。オリジナルとは似ても似つかぬ、何やらセコいブローカーに成り下がったおっさんスティーヴ!! これはヒドいを越えて可笑し過ぎです。・・・平八もなぁ、、、。なんだかショボい。ゼンゼン強そうじゃないです。そして「Heihachi Mishima is dead」と、どこかで聞いたセリフが・・・。まあ、格闘シーンで見られたのはエディとブライアン、あとおまけでロウくらいでしょーか。一番酷かったのは、やっぱ一八でしょうな。「どりゃぁ」を楽しみにしていた一八プレイヤーはボーゼンだったのでは? メインキャラがアンナの私としましては、アンナの格闘シーンがなかったのは残念なような、ホッとしたような。なんせ、ニーナがあれでは、、、。ストーリーは期待していなかったんで別にアレでも不満はないんだけれども、やっぱ、格闘ゲームの映画化とあれば、格闘シーンに期待しちゃうわけですよ、ゲームのプレイヤーとしては。特典映像での出演者のインタビューがこれまた突っ込みどころ満載な代物。しかしながらこの作品、プレイヤー同士ワイワイ突っ込みながらでも十分見られるので、そういう意味では堂々の及第点です。ヒドイのだと無表情・無口になってしまいますもんね。一応、まあまあ笑わせていただいたので、それなりの点数で。 [DVD(字幕)] 3点(2010-09-21 22:51:47) |
4. デルス・ウザーラ
エンドマークの後、1分くらい経ってから、ジワ~ッと涙が出てきた経験はこれが初めて。デルス! カピタン! 地味だし淡々としているが秀逸な作品。ザ・ベスト・オブ・黒澤映画ではないだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-03-13 15:42:25) |
5. デビルスピーク
《ネタバレ》 トンデモ映画に出会いました。私的には久々のヒットです。巷で言われている通り、内容は「キャリー」オトコ版。ただ、「キャリー」よりエグくて、しかもかなり笑えます。製作者は多分大マジメに作っているだろうことが伺えるんだけど、それが却って可笑しさを増している。冒頭の首チョンパで予感はしたんだけれど、大当たり。特に、復讐シーンのクーパースミスの顔! 横から見るとおでこが丸く突出していて、職場にいる男性にそっくり(ゴメン、○○さん)。復讐シーンばかり何度も巻き戻して見ては、涙流して笑ったよ。BGMがまた大仰で良いんだよな。クリント・ハワードなんて名前、この映画で初めて知ったが、こんなにたくさんの作品に出ていたなんて(兄の七光り?)! これからこれらの作品に彼を探す楽しみが出来た。 [ビデオ(字幕)] 2点(2007-10-11 15:04:34) |
6. 点子ちゃんとアントン
他の映画を見に行ったときの劇場予告で黒柳徹子氏のキンキン声のナレーションに毒され、ついこないだまでDVDを店先で見ても、到底見る気がしなかったのだけれど、勇気を出して見てみたところ、「もっと早く見ておけば良かった」と若干後悔。子供が主役の映画は、自分の中でもかなり好き嫌いがハッキリ別れるのだが、この映画は好きです。ドイツ映画っぽく、ちょっと暗い雰囲気は漂っているけれど、点子ちゃんもアントンも、とても可愛く、すんなり心に入ってくるキャラに描かれています。特に、点子ちゃんが夜の地下街ショウウィンドウの前で歌い踊るシーンは秀逸。感動します。後半は、若干都合よくまとまりすぎな感もなくはないけれど、それを差し引いても、良い映画だと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2007-09-25 12:23:39)(良:1票) |
7. デカメロン
人間なんて、聖人だろうが凡人だろうが所詮は食ってヤッて垂れるだけの生きもの、ってこと。異議ナシ! [ビデオ(字幕)] 7点(2007-07-27 10:01:39) |
8. テス
美人は得だ、というのは必ずしも真ならず、という映画ですね。話自体は悲惨極まりないのに、見ていて暗さをあまり感じなかったのは、それでもやっぱりナスターシャ・キンスキーの美しさによるものでしょうか。それにしてもエンジェル、迎えに来るのが遅すぎるよ(怒)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-03-25 00:32:32) |