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1.  2/デュオ
演技は俳優一人の技術の問題のように思われがちだが、(一人芝居でもない限り)良い芝居が出来るかどうかは相手役にもかかっていて、役者同士がお互いに感情を動かし合うことで生っぽさが生まれるんだということを改めて感じさせられた。西島秀俊と柳愛里の距離感は設定の上なのだが、実際の恋人同士にしかみえず、また少しずつ変化していく関係性も、虚構っぽさがない。特に喧嘩のシーンの掛け合いは、痛々しいほどにダメカップルのもので、こちらの感情までかき乱された。もしもあのシーンに台本があったとしたら、いろんな意味で驚嘆ものである。この映画において監督がどういう演出を行ったのか、非常に興味深い。そして西島秀俊は元々エリートなのに、どうしてこう、ヒモとかイヤーな男がはまるんだろう。本作はストーリー自体に面白味があるとは思えないが、逆にストーリーをこねくりまわさずとも、人間を「リアル」に描くだけでありきたりな話が途端にドラマになるのだということが提示されている。ヒューマンドラマというジャンルにおいて特に、質の高い映画だと思う。とはいえ、個人的にマイナスだったのが各俳優のダイアローグシーン。監督は何を意図したのかわからないが、あの手法でかえってせっかくの「リアル」が胡散臭くなった気がした。
[DVD(邦画)] 8点(2010-09-23 00:31:39)
2.  ディア・ドクター
西川美和監督のすごいところは、人間の感情というものが複雑であり、矛盾を抱えたものであることを、2時間前後の、ストーリーも成立している作品のなかでちゃんと描けてしまうことだと思う。画一的に「善い人」、「悪い人」と、簡単に分けられないのが人間。本作のキャラクターそれぞれに、嘘やわがまま、嫌なところ、素敵なところがちゃんと見出せる。監督は、現代の医療が抱える問題の中に、愛情を主にした、人間ドラマを巧みに融合させている。作品の性質上、刑事の語りなどにどこか説明的とも思える箇所はあるが、それでも充分リアル。あまりにキャラクターが普通の人たちすぎて、役者さんたちはこの脚本を演じるのが難しかっただろうなあ。でもだからこそ、主要キャストはベテランばかりなのかもしれない。感情の読みにくいつるべの小さい目が、こんなにも生かされる作品って、そうはないでしょうな。
[映画館(邦画)] 8点(2009-07-03 17:23:20)(良:2票)
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