2. ドッグヴィル
《ネタバレ》 この映画の鑑賞は人間や世界の「観察」といった趣があります。そう考えると箱庭的なけったいなセットも違和感ありません。壁がないのは、これはまともな家など必要ない動物実験(人間=犬)みたいなもの、ということでしょうか?。エゴや打算や悪意や偽善にまみれた人間の生々しい姿が現実よりも浮き彫りにされるのが「観察」できます。小説のネタのために人間観察の「実例」として主人公の女性を扱うあのヘタレ男は監督自身の戯画化ではないでしょうか?。監督はたしかに悪趣味で女優イジメのサディストかもしれませんが、私はこの人メチャクチャ真摯という印象が強いですね。写実的で外見リアルなくせに世界が狭い映画が多い中、なんと豊かな象徴的フィクション表現、なんという世界の広がりでしょう。観察」の結果の解釈は観察者によって大きく異なるでしょう。ラストの言葉のように、「ここには答えはない」のです。まあ、以上のようなことは後から考えたことで、とにかく映画が感覚的に面白かったんです。好みなんです。動くカメラの画面酔いも、暗く鬱陶しい展開を見る苦痛も、高尚ぶったセリフや雰囲気も、私(ナルシー)にとっては全てが快感です。エグい。痛い。ど~せわかったつもりの自己陶酔でしょうけど。ラストの「傲慢」な復讐に溜飲が下がるように持っていくやり方はやはり悪趣味とは思いますが、悪魔的快感に凄げぇ・・と震えました。アメリカという国や死刑制度抜きには語れない映画(意図的なのかやっぱり「ダンサー・イン・ザ・ダーク」との共通点多いなぁ・・。)かもしれませんが、あまり語る能力がないので無理するのはやめときます。 [映画館(字幕)] 9点(2004-09-10 23:30:45) |