1. エスター ファースト・キル
《ネタバレ》 1作目で提示された未知の「驚き」が、2作目となると既知の「前提」となってしまう。その点で、続編ってのはそもそも不利、何なら、なんでわざわざ続編なんか作るんだよ、ということになっちゃう。 では、なぜわざわざ続編を作るかというと、わざわざ続編を見たがる我々がいるからですね。すみません。 しかし単にそれだけではなく、この「エスター」なる人物を、前作をほぼ完全に踏襲しつつも、少し違う角度から描いて見せたのが、この『ファースト・キル』のモチベーションであるように思われます。 それにしても。 当人がまだ若かった頃にはちっとも面白いと思えなかった漫才師が、その後芸風を変えた訳でもなさそうなのに、今見るとえらく面白かったりして、そこにはいろいろな理由はがあると思うんですが、やはり「芸に年齢が追い付いてきた」ってのも、大きいのではないかと。若い頃にやっても難しいネタ、ってのは、やっぱりあると思います。もちろん、その逆もあるだろうけど。 それとこれとを一緒にするな、と言われそうですが(ははは・・・)、今回も「エスター」を演じるイザベル・ファーマン、ようやく、役に実年齢が追い付いてきたような。って言っても、前作は前作で、別の意味での「役≒実年齢」が物語の意外性に一役買っていた訳ですが、今作は絶妙な特殊効果の助けもあり、全編を通じて不思議な雰囲気をもたらしています。「エスター」という人物が持つ、体格と表情との間のアンバランス。違和感があるのかないのかよくわからない、という違和感。とでも言いましょうか。 正直言うと、シーンによって「エスター」の身長が違うんじゃないの?とか思っちゃったりもするのですが、そんなのは些細なことだとも思えてきて。微妙な違和感は、作品を貫く不安感へと昇華されていきます。 後半の展開は、賛否両論あるところだとは思いますが、ゴジラだって2作目からは怪獣対決ですから、まあ、アリなのでは。前半でいかにも伏線ですよ、とチラ見せしたアイテムを、終盤あわてて再投入する伏線回収も、ご愛敬。 全体的に、表現としては抑制されていて、引いたカメラがかえって邪悪さをあぶりだすような効果を上げています。ただ、「階段」とか「屋根の上」といった平衡感覚を狂わせるシーンをやや無造作に挿入するのが、不安を誘うというよりは視覚的な混乱に繋がっているようで、ちょっと残念な気がしました。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-10-06 06:26:12) |
2. エイリアン:ロムルス
中学生の息子に見に行くか訊くと「行く」とのこと、しかしシリーズを一本も見てないはずなので、とりあえず前日に1作目だけ見て予習する。私は私で復習(?)しながら「やっぱり、この映画、好きだわー」などと思って見ており、何しろ、映画の良し悪しなどではなくただ「好きだわー」ということなので、1作目とこの「ロムルス」を比べる気にもならない。いや、そうは言っても結局は、比べちゃうんだけど。 いや~、この「ロムルス」、面白かったですよ。楽しませていただきました。息子はというと、これまでもさんざんエゲツない映画を見てきたはずだけど、よほど集中していてよほどコワかったのか、中盤以降ずっと、両手を口にあてたまま凍り付いており、どんだけ楽しんでんだよ、と羨ましくなったりもしつつ。 1作目って、「エイリアンが宇宙船の中で暴れる話」と思わせて、しかし実は、そこに至るまでの描写が結構長い。謎めいたモノ、不可思議な現象を次々に画面に登場させ、我々をぐいぐい引っ張っていく。後半、エイリアンが宇宙船内に解き放たれてからも、意外な展開が待ち受け、我々の意識の的を一点に絞らせない。 今さらまたこれと全く同じことはできないので、「ロムルス」ではエイリアンの襲撃、エイリアンとの戦いに、だいぶ比重が置かれてます(さらにちょっと、『悪魔の受胎』テイストもあったりして?)。1作目の、どこかにエイリアンが潜んでいるのではないかという緊迫感、あれって、部屋にゴキちゃんが出て「キャー」とか言いつつも今のうちになんとかやっつけなきゃいけない、と部屋の隅々に目をやりながら殺虫剤片手にウロウロする心境に繋がるものがありますが、今回はモロにゴキちゃん退治のノリ。冷凍タイプの殺虫スプレーです。 1作目以降、映画に登場する大抵の施設には自爆装置が備えられてクライマックスではカウントダウンが始まるようになりましたが、今回も、カウントダウンは踏襲しつつ、土星のわっかみたいなヤツ(1作目の空に浮かんでた天体か?)にぶつかるまでのタイムリミットが描かれる。この、迫ってくるわっかが、宇宙船の窓から見えるシーンの、見事さ。美しく、不気味で、怖い。 今回も1作目の「アッシュ」が登場。いや、「アッシュ」は文字通りashと化してしまったので、そっくりさんですね。イアン・ホルムはすでに他界しているはずですが、それでもなぜか登場します。シュワ型ターミネーター同様、量産型なんですねー。シュワ型同様、どうしてこいうい顔を量産しようと思ったんですかねー。 のみならず、今回はアンディというアンドロイドが登場します。コイツが、いつも困ったような顔をしている。アンドロイドだから別に何も考えていないのかもしれないけれど、とにかくこの困り顔が、何を考えているのかわからない雰囲気を漂わせています。普通なら、「無表情」でそういう雰囲気を出すところでしょうが、この困り顔が、彼の独特の存在感に繋がってます。 最初にも書いたけど、1作目と比較しての良し悪しは言いたくない。んだけど、一点だけ言ってしまう。限られた登場人物たちが繰り広げるサバイバル、なんとかもう少し、彼らのそれぞれの顔をしっかり画面に、印象付けてあげることはできなかったものかと。1作目の7人は、ぞれぞれ個性的な顔立ちで、映画はそれをしっかり印象付けていましたと思います。今回は6人ですが、ちょっと印象が弱い。冒頭の舞台が闇に閉ざされた星、ということもあって暗めのシーンが多く、それゆえ宇宙空間に出て光が差し込んでくるシーンが一つの見せ場にもなっているのですが、全体を通して見ると、もう少し彼らの顔をしっかり映し、描き分けてあげる場面があってもよかったんじゃないかなあ、と。五分刈りのアジア系の女性はさすがに目を引くけど、イマイチ目立たないまま死んでいくヤツもいて。ヒロインを演じたケイリー・スピーニーは、あの高身長のシガニー・ウィーバーと対照的で、多かれ少なかれ似たようなシチュエーションに置かれるヒロインを演じつつも、新たな魅力を開拓していたと思います。が、例えばあの、ストロボ光の中、怯えた表情のシガニー・ウィーバー。何かこれに匹敵するような印象的なシーンを用意してもらえたならば。 とか何とか言いつつも、この、どこまでも続くサバイバルと、「画面の奥に蠢くエイリアン」等の、必ずしも残酷描写に頼らない緊迫感(PG12止まり)。面白かったです。満足。 [映画館(字幕)] 8点(2024-09-22 06:32:26)(良:1票) |
3. EVA エヴァ(2011)
《ネタバレ》 ロボット版のニューシネマパラダイス(完全版)、みたいな。 過去を振り切ろうとして、新たにロボットの開発をしようとしてるんだけど、結局は過去に囚われていて。というか、気が付いたら過去に絡め取られている。雪景色がこれまた、美しさを感じさせる一方で、そこには閉塞感みたいなものもあって。なんか、たまらんのです。 主人公と少女の関係は、親子のようでもあり、恋人同士のようでもあり、しかしそれは、「過去」そのもの。そしてその「過去」は、ただ記憶の中だけに、封印されざるを得ない、という切ないラスト。 たまらん、ねえ。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-04-04 22:34:05)(良:1票) |
4. SPL狼たちの処刑台
娘がタイで誘拐され、父親である香港の刑事が行方を追い求める。 節々で格闘アクションが展開されるのはいいんですが、それも細かいカットを積み重ねてキレのいいアクションを見せてくれるのはいいんですが、どうもそのカットがひたすらコマ切れ過ぎて、見てて次第に魅力が薄れてくる。印象として、カット割りでゴマかしてます、という感じ。主人公以外は結構、いい動きしてくれるんですけどねえ。トニー・ジャーの役どころなど、「動けるところを見せるため」以外には何も存在意義が無さそうな。そういう登場の仕方ってのも、悪くないけどねえ。 内容的には、何とも暗いオハナシ。ちょっと狙いすぎか。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-03-31 22:41:16) |
5. 映画 みんな!エスパーだよ!
ドス黒く渦巻く自意識、その滑稽さをそのまま映画にしました、という感じの作品で、気持ちはよくワカル。 だけど、そもそもこの映画の主人公が、そこからの脱却をヒーローらしく目指していたように、我々だって、いつまでもそこに留まってるワケじゃない。 結局、「約束の女性」などというものが、この世にただ一人存在するのではない、というアタリマエのこと。そこに留まるのではなく、その先歩みを進めねばならない、焦り。この映画で描かれている自意識というもの自体、この映画で足踏みすることを拒絶する。 だから、やっぱり、物足りない。 でも、人生において、この映画がドンピシャ当て嵌まる時期、ってのは、誰しもあるんじゃなかろうか。私が素直に楽しむには、いささか遅すぎた。んでしょう。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-02-19 21:39:18) |
6. エレキの若大将
《ネタバレ》 邦衛さんがとても大学生に見えない、というのはさておき(年齢の問題以前に、学生には見えない「何か」がある。ような気がする)、今回は「エレキの若大将」、という、加山雄三ど真ん中のテーマ。 こういう、「私は何でもできます」的な顔をして、実際ホントに何でもできそうな若大将みたいなヒトが、どうもニガテです。さらにそれをまるで鼻にもかけずに当たり前のように何でもこなすもんだから、ますますニガテ。勿論、鼻にかけられても苦手な事に変わりないけど。 そんな若大将こと加山雄三が、映画の最初と最後はアメフト(アメラグ!)で活躍し、中盤はエレキで活躍しまくる、まさに加山雄三の魅力あふれる、彼の魅力以外には何もない映画。 ファンには、たまらんでしょうなあ。ニガテな人にとっても、別の意味でたまらん。 金銭的な事情から大学を去らざるを得ないか、と思いきや、まさに芸は身を救う、というヤツで、ハッピーエンド。なんだか実人生とも被ってるような。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-01-30 13:16:55) |
7. 映画 賭ケグルイ
照明をガンガンに焚いて、非現実的な異界のイメージを出そうということなのかも知れないけれど、基本的に女優をキレイに撮らない(撮れない)というのは、マズくないですかね。最後まで、これと言って目を引くシーンもなく。 ストーリーも、ギャンブルでの戦いに絞られ、絶体絶命ぶりを大仰な演技でアピールするけれど、概ね、想定内。 エキセントリックな装いほどにはハジてけいない印象、、、 [地上波(邦画)] 5点(2021-12-12 14:47:45) |
8. エクソシスト3(1990)
2作目であまりにも脱線してしまったもんで、もうイナゴは見たくない、という人たちのために、3作目は原作者自身がメガホンを取り、これぞ1作目の正統的な続編。という訳ですが・・・やっぱり「続編は原作者が」という時点で、正直、胡散臭いですよねえ。 でも、まあ、結構楽しめました。これも巡りめぐって、ジョン・ブアマンのお陰、ということなのかも。 物語の大半は、悪魔憑きや悪魔払いというより、猟奇殺人鬼モノ。なんならこのままミステリとして終わってくれてもいいくらい。 ただ、刑事が犯人と対峙するくだりは演出にもう少し変化がつけられなかったものか・・・。 残酷シーンが直接には描かれない場面が多く、それもあって、ちょっと単調さを感じる部分もあるのですが、その分、作品の雰囲気はしっかりと保っていて、終盤のオカルトへと繋いでいきます。チラチラと感じさせていた超自然の感覚、ここから、ミステリとして論理方面に舵を切るか、オカルトとして怪奇方面に舵を切るか。 いよいよオカルトへと向かっていくあたりからは、いよいよギアも一段上がり、1作目のテイストを再現する感じ。単なる二番煎じにはせず1.5番煎じぐらいに留めているのが、なかなかよろしいのではないでしょうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-11-14 14:04:09) |
9. エスケープ・フロム・L.A.
加山雄三が主演した若大将シリーズに、「ハワイの若大将」というそれはそれはツマラナイ作品がありますけれども、劇中で若大将がワイハーの海でサーフィンに颯爽と乗ってみせるシーンがあり、こういうのを見ると、「いやーさすが若大将、さすが加山雄三」とか思っちゃう。「颯爽と」とは言っても何となく変なので、実は撮影上のトリックがありそうな気もしてくるのですが、いや、トリックがあるのならもうちょっと上手く乗って見せるのではないか、と。 で、それに負けじ、などと考えた筈もないのだけど、こちらの作品では我らがスネーク様もサーフィンを派手に乗りこなし、やっぱりさすがはスネーク様だなあ、と。でもこちらは明らかに特撮ですね。若大将の方がスゴイじゃないの。でもそこがスネーク様らしいところ。 ジョン・カーペンターというヒトは、毎回、見事にバラバラの題材で作品を作り、しかしその割にはさほどバラバラな感じがしないのですが、この作品に関しては、自身で続編を撮っているばかりか、内容もほぼ前作と同じ。 今回は小悪党のスティーヴ・ブシェミが脇を固めつつ、やはり前作のように、「そう来たか」という、クセのある大御所が名を連ねる。ピーター・フォンダ、それから、ロバート・キャラダイン・・・えっ「ロバート」? こういう映画なら「デヴィッド」ではないのか? それはともかく、前作に引き続いて、混沌の世界、無法地帯。「カーペンターらしさ」というのがどういうものなのか、何せ作品がバラバラなのでよくわからんが、「らしさ」があるとしたら多分こういう感じのモノなんじゃなかろうか。それを誰も止める人がいないと、こうなってしまう、という例。苦笑を浮かべながら、劇画世界を楽しむべし。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-31 09:52:36) |
10. エンドレス・ラブ
さて、トム・クルーズはどこに出てくるでしょう。という映画。チョイ役で、ムキムキだけど顔ほあまりイケて無くって、声が妙に甲高くって、出演してると知らなけりゃ、気付くのは高難度。 いきなり冒頭からブルック・シールズと相手役の誰だか知らん俳優とがラブラブで、ホントにこのままこれがエンドレスで続いたらどうしよう、と思うところですが、幸いにもそうは問屋が卸さず、ある事件をキッカケに関係が崩れていく。いやその前から、彼ら2人を含めて全ての関係に、不安定性が潜んでいたのだけど。 という古典じみた悲劇の世界を現代に持ち込んで、あくまで現代劇の枠は守りつつも、どこか運命論的なものを感じさせます。だから、まあ、どうというコトもないオハナシ、と言えばそうなんですけど、印象的なシーンがいくつもあって(言葉を変えれば、ブルック・シールズがとても美しく撮られている、おそらく実際の10倍くらい美しく撮られている、ということだな)、惹きつけられます。 で、結局、教訓としては、トム・クルーズの言うことなんか真に受けちゃダメよ、ということですね。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-10-17 13:09:36)(笑:1票) |
11. エンド・オブ・ステイツ
「エンド・オブ・ステイツ」だなんて、邦題はずいぶん大風呂敷を広げてますけれども、正直、それほどのオハナシでも無いような。 大統領が襲われて、その容疑者としてジェラルド・バトラーが追われる身となる。で、おそらくウラにはこういう陰謀があるのだろう、と思ってたら、まあ大体その通り。で、見てりゃ大方、想像がつくその真相を、わざわざさらにセリフで説明してくれるもんだから、どうにも野暮ったい。 しかしアクションの方は、主人公がトレーラー奪って逃走しながらカーチェイスを演じたりして、こういういかにも安っぽい発想を大事にしているのは、嬉しくなってきます。爆破シーンなんかも、爆発がドドドドドンと連鎖的に起こって、これってあたかも、花火大会の最後にこれでもかと連続して花火が打ち上げられるような、ちょっとしたお祭り騒ぎの賑わい。 ただ。 クライマックスの屋上での死闘。この場面が、全く屋上らしく見えない、っていうのが、これはちょっと致命的に気分を壊してしまうものであり、非常に残念でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-10-10 22:26:30) |
12. エルム街の悪夢3/惨劇の館
第2作でせっかく大幅に脱線、迷走したのに、第3作ではウェス・クレイヴンがお目付け役で帰ってきて軌道修正、わざわざヘザー・ランゲンカンプにまで再登板願うという念の入れよう。再登板の必然性がどれほどあったかはともかく、とりあえず余程、第2作を「無かったこと」にしたかったんだろうか。 とは言ってももちろん第3作は第3作なりに、妙なコトになっちゃってます。 第2作は悪夢というより夢遊病、でしたが第3作は曲がりなりにも一応は悪夢テイスト。さすが、夢の中ならどんなデタラメな事が起きたってしょうがないよね、とばかり、支離滅裂、ワケのわからな事象のオンパレード。もはや、フレディが犠牲者をもてあそんでいるのか、フレディが映画の製作陣にオモチャにされ、もてあそばれているのか。 だもんで、そりゃまホラーらしい残酷さに彩られているとは言え、ほとんど悪乗りみたいなギャグの要素もあって、一種のブラックユーモアが溢れてます。 一部ではコマ撮りも用いられていたりして。そう、コマ撮りって、「あり得ない」非現実を現実のものにしてみせる有力な手段、と思いきや必ずしもそうではなく、(余程巧みに演出しない限り)どうしても「これはコマ撮りです」という独特のユーモラスな非現実感を感じさせてしまうんですよね。だから、時間も予算もかけられないホラーとは、あまり相性がよろしくない。それだけに、こうやって「ユーモラスで悪いかよ」と、堂々とブチかましてくれると、かえって目を引くものがあります。 正直、フレディの来歴みたいなものは、「サーカスの怪人」で言及される怪人二十面相の正体並みにどうでもいいのだけど、そういった点も含めて、長期シリーズ化の準備はこの第3作でほぼ整ったのかな、と。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-08-08 17:40:27) |
13. エルム街の悪夢2/フレディの復讐
ウェス・クレイヴンの手を離れた第2作、そのせいなのかどうなのか、早速、迷走してくれてます。さすがです。 フレディは一種の地縛霊なのか、次に引っ越ししてきた少年をターゲットにする、という設定、しかし地縛霊ながら人に取り憑くらしく、少年を襲うのではなくむしろ、少年と一体化してしまう。周囲で発生する殺人事件の犯人は、自分ではないのか。 という、ジキルとハイドみたいな、あるいは狼男モノみたいな、趣向になってます。 そうなると、最後、無事フレディを倒して自分の中から追い出すことが出来ちゃったりしたら、自分は単なる殺人犯になっちゃうんですけど、大丈夫なんですかねえ。 ってなわけで、だいぶメチャクチャなオハナシなんですが、この第2作のスバラシイところは、あまりにメチャクチャなので、とても現実のオハナシだとは思えない、つまりこの映画はもしかして最初から最後までずっと主人公の夢の中なんじゃなかろうか、とすら思えてくるところ。この曖昧さが良い。いわば怪我の功名、失敗作が失敗したら一周回って成功作になる、ってヤツですね(?)。 しかしこの作品、全体的に役者の演技不足でどうしても淡白な印象を受けてしまうのですが(特にヒロイン)。このエルム街シリーズ、若い出演者が多いのでロバート・イングランドが色々アドバイスしてあげていたらしいけど(・・・ご苦労さまです)、この第2作の頃はまだ手が回ってなかったんでしょうか? [インターネット(字幕)] 6点(2021-08-04 07:16:06) |
14. エンド・オブ・アース 地球最期の日
《ネタバレ》 アサイラム製のヘッポコ量産型パニック映画。こんなのをサイトにわざわざ登録してもらっても、どうせケチョンケチョンに貶すだけでしょ、と言われそうですが、さにあらず。ホメようと思っているのです。 とは言え、ヒドイと言えばもう、間違いなくヒドイ。太陽の異変によりこれでもかと大災害が巻き起こる、という特大スケールの物語設定は、淡々と流されるナレーションの解説と、わずかばかりのエキストラと、素人じみたCGとでもって、ショボショボと描かれるのみ。もう、CGがショボいのが当たり前になっていて、たまに出来のいいCGが出てくると、「きっと何か別の作品を流用してるんじゃないの?」と、ついこちらも疑いの目で見てしまう。 しかし、そんなヘッポコ作品ではあるけれど、クライマックスがコレ、なかなか、いいんですねえ。まず、絶対絶命のところを「空から助けに来る」というのが、いいじゃないですか。それまでとは別の方向に活路が開かれる、という意外性。しかも、ヘリから降ろされた縄梯子につかまって脱出する、ってのが、これまたいい。助けが来たからといって安心させず、最後までハラハラ、「最後の頼みは腕力」というワケで、見てる方もついつい力が入ってしまう。 このシーンだけでも、充分、見て良かったと思いましたよ。いや、このシーン「だけは」の方が正しいかな。 それにしても、アチラの映画は、ラストは「家族の再会」で決まり、なんですねえ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-06 22:08:36) |
15. エレファント・マン
特異な容貌故に見世物にされてきた青年、その彼をこうやって商業映画の題材として描く、という事自体に、メタな要素を感じざるを得ないのだけど、それを意識しつつも、どうもこの映画には、以前から醒めた印象しか持ち得ないのです。今回久しぶりに見ても、それは変わりませんでした。 結局のところこれは、メーキャップ技術の限界を示した映画、としか思えなくて。 微妙な、デリケートな問題、であるが故に、その「作り物」感が、まずもって、気持ちを門前払いしてしまう。 かつて初めて見た頃と違って、今ではネットで調べれば、モデルとなった男性の実際の写真を簡単に見ることができ、確かに、似せようと努力していることはわかるのですが。 ストーリーも人物描写もシンプルで類型的なものとし、あの神秘性を感じさせるマスクも勿体ぶらずに脱がせて素顔(のメーキャップ姿)を画面にさらけ出させて、この「作為の無さ」という作為が、ドキリとさせる面も、これまた確かにあるのですが。 しかし、結局のところ、メーキャップでは描き切れない以上、違和感を拭いきれない以上、その姿はやはり、あのマスクの向こうの神秘に、封印するしかなかったんじゃないか、と思えてしまうのです。 ところでこの映画のテーマ曲、聞くとどうにも、童謡の「叱られて」を思い出してしまうのですが。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-04-17 15:04:21) |
16. 江戸川乱歩の陰獣
この作品の頃というと、犬神家のヒットで横溝ブーム到来、ってコトになるのかな。犬神家やら八つ墓村やらが、一種の社会現象、ドリフのネタにもなって当時は子供にも馴染みがあった、と言う記憶があるのですが、その頃作られた、乱歩原作のこの映画。ヘンタイ要素もあって、ちと分が悪い。 でも、画面に視点を惹きつける力、ってのは、むしろ一連の市川&石坂作品よりもコチラの方が上では。 謎解き作品として見れば、乱歩の原作が、妖しさを秘めつつも中篇というコンパクトな設計の中に見事に論理を張り巡らた乱歩屈指の傑作であったのに比べると、映画の方は間延びした感、無きにしもあらず。ですけど、この映画は、謎解きよりも妖しい雰囲気の方に、主眼を置いていて。 だから、終盤は、真相解明のカタルシスよりも、ヘンタイ度アップで盛り上がります。 シリーズ化しそうな感じが全くしないのも、イイじゃないですか。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-03-07 08:32:56) |
17. 永遠の0
《ネタバレ》 これはもう、原作の悪い所がそのまんま出ちゃったなあ、と。 原作自体、正直、これを小説として読むことはできず、情報の少なさをフィクションと著者の感想とで水増ししたルポルタージュ、として受け止めてしまったんですけれども、映画化にあたっても、原作の基本構成は変えられず、結局、特攻というものに対する感想を述べ続ける映画になってしまいました。いや、映画らしい味付けも確かになされているんですけどね。染谷将太復帰の場面を視点を変えて繰り返し描く場面なんかもちょっとした面白さがあるし、井上真央が染谷将太をいったん拒絶する場面なんかも原作の弱さを補っているとは思います。 ただやっぱり、いちいち挿入される現代パートが、ひたすら胡散臭さにしか繋がっていなくって、こればかりはもう、どうしようもありません。 CGによる描写は、意外によくできていたなあ、と感じる部分もあるのですが、ただ残念ながら、あの戦闘機なり軍艦なりに、肝心の「生身の人間」が乗っているようにはどうしても見えない、ってのは、やはりイタいです。 [ブルーレイ(邦画)] 5点(2021-01-04 17:56:57)(笑:1票) |
18. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
『破』でそれなりに盛り上がってきたものを、続く本作では「それはともかく、はい、14年後」とか言ってご破算にしてしまうあたりに、エヴァンゲリオンという作品の本性を見せられた気が。 登場人物の風貌を見る限り、14年という歳月を感じさせるものは殆どありませんが、内容的には14万光年くらいはかけ離れてしまった印象で、でもまあ正直、『破』の続きが気になってた訳でも何でもないので、文句はございません、はい。 という訳で、今まで以上に、ワカッタようなワカランようなよくわからないオハナシが展開されて、その分、映像面では最もやりたい放題、最も見応えのある作品になっている、気もするのですが、ワカランもんはワカラン訳で、映像を楽しむしかない。 中間部は、同性愛的な雰囲気も若干漂わせて、しっとりとしており、派手な爆発シーンだけが見せ場じゃないよ、というのが伝わってきます。 最後は「つづく」とか言ってるけど。本当に「続き」なんでしょうな? [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-08-14 16:24:00) |
19. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
年上の女性や勝気な女性にイジメられてみたいマゾな気持ちが8割くらい、それでも女性を守りたい気持ちが2割くらい。といったところでしょうか。昨今の男性の願望としては、まあ、標準的なものでしょうね(・・・?) 「序」がイマイチ見どころに乏しい作品だったのに比べると、ようやく物語に起伏が生じ、映像にも見応えが出てきて。正直、細かいところは何が何やら・・・ではあるんですけど(スミマセン、歳なもんで)、物語にエンジンさえかかれば、私のようなオジサンも含めて、観る者をグイグイ引っ張ってくれます。 やはり頑固で理不尽なオヤジくらい、物語に貢献する存在は、なかなかありません。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-10 18:06:06) |
20. エクストラクション
タイトル等を除いたら80分に満たない、小品といってよさそうなサスペンス・アクション。世界のネットワークに壊滅的な被害を与えうるシステム「コンドル」の争奪戦、みたいなオハナシなんですけれども、作品自体のいかにもこじんまりとした佇まいからは、そういった「世界的な危機」感は殆ど感じることができません。なにせ、小品。 ブルース・ウィリスの名前が筆頭に来ようが何だろうが、このテの映画において彼が主演ということはないだろう、という予想に違わず、実際は彼の息子役のムキムキ男と、彼の同僚というのか恋人というのか他人というのか、のムキムキ女が活躍する映画になってます。活躍ってったって、短い作品の中、そんなに見せ場は多くありませんが・・・。 最後は、意外な真相というか、さほど意外でもない真相というか、一応背景らしいものが明かされて、これも、この短い作品においては肉付けが足りずに骨組みだけが提示されたような印象、無きにしも非ず、なんですが、纏まりという点では、悪くないですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-08 11:53:11) |