3. es[エス](2001)
《ネタバレ》 後半の軍人と女助手によって次々と檻の鍵が開けられていく囚人解放のシーンで、檻から出してもらったのになかなか口のテープを剥がそうともせず呆然と突っ立ている光景に、妙にリアリティを感じました。この実験で、看守の役割をふられた側だけでなく囚人の役割をふられた側もその役割に入っちゃうものなのかなあ、と。一個人の人格ってもろい。つか心理実験って怖いな。当然かなり脚色はしているんでしょうが、実話という事実はやっぱり重い。私たちも普段の生活の中で、日本人として、教育者として、男、女としてこうしなければと、ふられた様々な役割を無意識に演じる事で本来の自分の判断基準からずれた言動をしてしまっている事は少なからず誰にでもあると思います。私達はどれだけ自然体の自分を意識できているのでしょうか。今回の様に制服のある役割、言葉遣いに制限のある役割、責任の重い役割等は特に役に入り込む度合いは高くなる様に思います。またその役割に権力が付加していたりすると、人間の本来持っている支配欲とかサディズムが顔を出してしまうものなのかも知れません。かなり怖かったけど、色々考えさせられました。 正直粗も結構あったけど、映像は綺麗だったし所々に繊細な演出も見えたし何より見ていて引き込まれたので素直に面白いと思えました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2003-08-09 05:35:08) |