1. エレファント
新しい恐怖の見せ方。とにかく緊迫感が物凄い映画という印象。 極力余計な演出を排し、学生達の日常を、カメラが後ろからただ淡々と追っていくだけ。台詞も本当に日常に溢れる、映画的意味の無いそれぞれの個人的な会話。 BGMもほとんど無い。 長回しも程があるのでは?と思うくらい、何も起こらずただ学生達が歩いているシーンが延々と続く。 しかしほとんど何も起こらない分、前置き無く突然登場人物同士の視界が交差した時、思わずドキリとさせられる。それは徹底してリアルな日常音とカメラワークが、作品全体に終始流れる不穏な空気を作り出しているお陰だろう。 登場人物の名前が所々挿まれるのだが、主犯2人もあくまで他の人物と同じ扱いで紹介される。 ありふれた女子高生も、家族に問題を抱える少年も、スポーツ少年、カメラ少年も、そして殺人行為に駆り立てられる犯人のような少年も、みんな同じ子供なのだ というメッセージをこめた演出なのだろう。銃が通販で簡単に手に入ってしまう世の中では、誰もが犯罪行為に走る危険性がある。危険は日常のすぐそばにいる。 キャストの自然なアドリブ演技も素晴らしく、鑑賞後考えさせられる作品だった。 ただ難点を挙げれば、ラストが唐突すぎて、せめて何かひとつ欲しかったというのが正直なところ。それと、初見でほとんど内容が把握出来てしまうので、2回目以降の鑑賞には堪えうるものでは無いと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-05 10:26:19) |