1. NINE -ナイン- (2005)
《ネタバレ》 デニス・ホッパーって安い作品にちょくちょく出る人なんです。たぶんお金に困っているのだと思います。私にとっては永遠に「地獄の黙示録」のジャーナリスト役なのですが。 それはともかく、これはしまりのない企画倒れでした。なんか安っぽい音楽をえんえんと流してスロモ映像をかぶせるとか、いいかげん飽きます。リアリティはないですけどこういう密室スリラーはリアリティを失ったら価値が激しく下がってしまいます。 「職業には配慮した」と声の主が意味深なことを言っていたわりにはそれがあんまり生かされていませんでした。ほめるところはダンサーの子がナイスバディだったくらいです。デニス・ホッパーはやっぱりお金に不自由しているのだと思います。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-05-07 14:09:22)(笑:2票) |
2. ナンバー23
《ネタバレ》 シューマカーはこういうの向いてないんじゃ…。ジム・キャリーを使ったのもよくなかった。 途中まで悪魔系の話かと思っていたら、フツーに記憶喪失って。 あまりにも夫をかばいすぎる妻の行動についても、「あなたは立派な夫で父親よ」と言われるほどのシーンを何も見せられていないため「えっそうなの」。 13年前に結婚した相手は実は妄想性の精神病患者で自殺未遂歴があり殺人も犯していた…と知ったらフツーはどうするだろう。 とりあえず子供を連れて逃げる、ではないのか? [DVD(字幕)] 4点(2008-07-22 16:49:49) |
3. ナイト・ウォッチ(2004)
《ネタバレ》 最初のうちは、「おお、これはなんかすごいかも」と思って見ていたのだが…終盤になると、正直「寒い」という気持ちが芽生えてしまった。 ストップモーションとか、スロー再生とか、CGとか、一点から始まってクギが落ちる瞬間まで撮るとかいう驚愕映像とか、そういうのは、映画が「おもしろい」と思えるかどうか、とは直接結びつかないのだなあ。 んで、何が「寒い」かというと、脚本と演技だ。 アントンが実の子の存在を確信して急に父性愛に目覚めてしまう、とかいう安い展開、その子が人質に取られてアントンが身を投げ出す、とかいうさらに安い展開。…これが、ロシア語じゃなくて英語だったら、どんだけチャチに見えるだろうか。何割増しか、言語に救われている面がある。 また、息をつかせぬ展開と説明の無さで、中盤までわざと分かりにくくしているのはいいのだが、後から説明めいたセリフや場面がドンドン出てくるのがなんだかなあ。とことん脚本が安いのである。 演技、これはもう、あなたがアントン役の俳優に耐えられるかどうかで、映画の評価を左右してしまう。私はダメだ!キモい、暗い、下手だ! 「実写にする必要がどこにある」と言いたくなるような作品だ。 [DVD(吹替)] 3点(2007-06-02 18:10:46) |
4. ナイロビの蜂
《ネタバレ》 志の高い、作り手の側の意気込みが伝わってくる作品である。決して駄作なのではない。 しかしなあ。個人的にはいただけない。 原作モノだそうだが、この作品は、映画として楽しむことが困難なほど「政治的メッセージ」を強烈に発しており、引き裂かれた夫婦の物語としての完成度よりも、そちらを優先しすぎている。アフリカに対するあまりにも強い思い入れにより、旗色を鮮明にしすぎている。 この作品は、映画として完成させるならやはり「夫婦愛」の物語でなければならない。 ところがこの作品の人物設定はとっても強引。そもそもテッサという人物設定に無理があるのだ。 レイチェル・ワイズ。この人はまじめすぎる。 役者の仕事とは、「脚本に書いてあるとおりに演じること」と信じているようだ。 その結果、できあがったキャラクターはどこにも存在しないようなけったいな女性となってしまう。本作のテッサもしかり。脚本どおりの役者などというのは、アニメのキャラクターと一緒ではないか。それなら実写で撮る意味などない。 人間には2種類あって、〝自分の幸せを追求する人〟と〝人類愛に燃える人〟に分かれる。 もちろん後者はわずかな数しか存在していないため、通常は生きている間は「変人」と言われる。彼らは〝人類愛〟以外のことはすべてゴミにしか見えないようにふるまうからだ。テッサはこれであるといいたいのだろう。 イラクで拉致された遠山さん、彼女もその1人である。ところが、解放後の彼女はどうだったか。「またイラクに戻ってくる」と泣きながら口にした彼女。もちろん誰の目から見ても「強がり」である。現実には〝人類愛〟の人にも当然恐怖はあり、超人ではなかったことを知らしめた。 一方レイチェル・ワイズのテッサは、「ニューオーリンズ・トライアル」の時と同じく「目的のためには手段を選ばない恐いもの知らずのスーパーウーマン」になってしまった。だいたいがジャスティンをたらしこんで強引に結婚したのも自分の目的のための計算ずくということでしょ。後追い自殺するほど「夫婦の絆」とか思いつめているのはまぬけなジャスティンだけ。だってこの女は「手段を選ばない」タイプの「人類愛」の人だということになっているんですよ。遠山さんを知る私たちにはリアリティなど全く無い。「そんなすごい女の人ほんとうにいるのかなあ~」という呑気な感想しか浮かばない。いただけない。 [DVD(字幕)] 5点(2006-11-12 23:46:36)(良:1票) |
5. ナチュラル・シティ
《ネタバレ》 セット感漂う不自然な照明。役者陣の力んだ演技。二流感いっぱいのへんな音楽。(「到達不能地点」とは段違いだ。あれは日本人だけども。)これらが「今私は映画を見ている」感じから抜け出せなくさせる。総じて「TVチック」。 Rがそれほどまでにリアを愛してしまった理由。それがなによりも(照明が変だとか音楽が変だとかよりもなお)この作品の質を下げているし、ブレードランナーとは程遠いものにさせる。 いつも白い服を着て何もねだらずわけも聞かず余計なことをしゃべらずどこにでも文句を言わずついてきて俺の記憶で頭がいっぱいの女。なんですかこれは。「純粋無垢でないと愛せない」ってことだろ、おまえなー。 大人になっても「純粋無垢」な女というのは「鈍感」ということだ。 でもRは「鈍感」な人間の女が好きなわけではなく(それだとただの「バカ」にしか思えないので)、純粋無垢な子供を異性愛の対象にする趣味もないので、アンドロイドだから躊躇なく愛せたんですということなのだ。つまりRという男はないものねだりの子守唄男だった。そして私はRが女性に求める不可欠なものとして純粋無垢を持ってきた、その設定が陳腐だなあと思っている。その意味で韓国の女性のみなさん、こんな映画許しちゃならねえ。 その昔 リドリー・スコットはショーン・ヤングに「拒否」のメッセージを持たせた。彼女はアンドロイドのくせに「Noを知る女」であり「なぜ」と問う女だったのでそれこそが「感情の芽生え」であり人間に近づいた証であった。「ナチュラル・シティ」のヒロインはその名のとおり「ドール」である。アイボとどこが違うというのか。「ドール」を心底愛する男ならコメディでないと成立しない。 しかしユ・ジテ偏重の韓国映画界はどうしたものか。妹の旦那にそっくりなのだが本当にハンサムなのか。(彼は後ろ斜め45度から見るとハンサムと言われていたのだが) [DVD(字幕)] 3点(2006-06-24 00:09:28) |
6. 南極日誌
《ネタバレ》 満員電車に乗っていると、サイコになってしまいそうな時がありませんか。私はしばしばあります。すべて動物には、適正な分布密度というものがあるのでしょう。それでこの映画の冒頭。雪原をゆく隊列。6つの人影と赤いボート。彼らのほかには何も無い。これだけで、か弱き人間の姿が愛しく見えてくる。彼らとて、同じはず。他に何もないからこそ、本来はお互いを愛しく思うはずなのだ。そこに異変が起こり、状況はしだいに「イベントホライゾン」と化す。しかしここでは、化け物が直接的な危害をおよぼすことはなく、すべて「何か」を見たり聞いたりした人間の成せる行動によって破滅が進んでいく。古い日誌が見つかったとて、小屋に死体があったとて、それらが直接襲ってきたわけではない。すると、「すべては妄想幻覚」という見方もできることになる。一方で日誌が見つかる以前の平和な状況下でも「異物」の描写場面が挿入されており、「南極には何か(魔物)がいる」という見方を完全に消せるわけでもない。観客に委ねている部分も多いといえる。 隊長の最後の謎の言葉、「お前が俺を止めるべきだったんだ」とは何を意味しているのか。隊長以外の5人のうち、それぞれの役目を考えると、副隊長は補佐、救助のプロ、食料担当、町役場勤務はビデオと機械担当、下っ端のミンジェには定かな役割が設定されていない。つまりミンジェに振られた役割は「息子」の代わりということであろう(隊長にとって)。自分のヘタレさに負けて自殺した(と隊長は思っている)息子を許せず、息子を鍛える代わりに隊員たちに異常なまでのマッチョを求める隊長。その隊長を止めることができるのは、「死んだ息子」の代わりであるミンジェしか居なかった。 ラスト到達不能地点(なのか本当に?)での日没シーンの恐怖といったら、ここの場面を撮るために作った映画といってもよい。圧倒的な「無」、あるのは雪だけで、生き物は自分一人。しかももうすぐ真っ暗になって当分(自分が生きている間中)日は昇らない。なんという「無」の恐怖。「孤独」を「恐怖」と感じさせる描き方は秀逸であった。 「遊星からの物体X」のラストはまだしも「2人」であったので、ここまでの恐怖感は描かれていなかった。ホラー要素は不要という見方もあろうが、「謎」を盛り込んだ内容は私的には好感がもてる。日本人による音楽も秀逸。それにしても韓国映画は資金力があるなあ。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-16 22:38:43)(良:3票) |
7. NOTHING ナッシング
あらら。このどうしようもなさを分析しようではありませんか。一番の敗因は「シリアスにしなかったこと」だと思う。これさあ、カナダの人は笑って見てたわけでしょ。なんたるお笑い沸点の低さよ。お笑い文化の発達した日本では、これで笑えというほうが無理だ。これ、たぶん本人はブラックコメディと思ってるよ。全然笑えないよねえ。ナタリさんの場合、「不条理」+「シリアス」はウケたけど、「不条理」+「笑い」はみごとコケた。この人は「シリアス」向きなんだよ。どうしても「不条理」+「笑い」をやりたいなら、松本人志か「ベリーバッドウェディング」のピーターバーグに弟子入りするしかないと思う。あと、あまりにも狭い内輪で作ったのもいけないと思う。キューブリック並の奇才でもないかぎり、やはり製作陣内部の批判者(異分子)は必要なのだと思う。仲良しグループだけで作っっちゃうと、こういう自己満フィルムになるわけね。劇場版予告が詐欺といえるほどの誇大広告ぶりで悲しみを誘う。 [DVD(字幕)] 2点(2006-02-11 00:11:52) |