1. NANA
原作を読んでいるかいないかで評価が分かれる作品。なぜならこれは完全なる実写化を試みた“だけ”の映画だからだ。脚本・演出はほぼ原作通りで、役者陣も人によってミスキャストではあるが服装も人物設定もまんま原作通り。原作を未読である場合、それぞれのシーンで胸が熱くなることはあるだろう。しかし原作を知っている者からすると多少ジーンとすることはあっても漫画を読んで初めてそのシーンを見たときの衝撃には及ばない。となると「どこまで原作に近づけているか」という点しか注目できなくなってしまう。私がまさにそれだった。原作を知らない者のほうが純粋に映画として楽しめただろう。この実写化は原作のコアなファンを相当意識して作られたが、面白く見てくれるのは原作を知らない層だった、というのは皮肉な話である。但し原作ではいくら頑張っても表現できないもの、それは音楽である。バンド物語という側面を持っている今作品はライブのシーンが重要であり、どんな曲を歌っているかという点は原作を知っている知っていないにかかわらず興味をひくことは必至である。また中島美嘉、伊藤由奈という2アーティストが役名でシングルをリリースするというクロスオーバー的策略によって、実写化の長所を際立たせようとしたことは評価に値すると思う。原作を知らなければ高い点数をいれたかもしれないが、私は原作を熟読していたため今作品には3点以上いれる気にはなれない。 [映画館(邦画)] 3点(2006-07-24 05:37:08) |