21. 人間の條件 第六部 曠野の彷徨
泣いても笑ってもいよいよ今回で最後となる第六部。今まで第一部から第五部まで中たるみなく高い水準の完成度を維持していただけにここの評価を見てちょっと心配だったんだが、今回はクライマックスの梶が美千子のことを思いながら彷徨しているシーンは今まで辛かった分、よけいに梶に感情移入できて素直に感動した。梶に語りかけてくる美千子の声(幻聴)も涙を誘い、思わず、今までよく頑張ったなと梶に思わず声をかけたくなる。そしてこのシーンは今まで梶を演じてきた仲代達矢ももうこれ以上の芝居は出来ないのではないかという名演技で非常に素晴らしく、雪の降る中、梶が倒れるラストシーンでは鳥肌が立った。しかし、今回、不満がないわけでもない。2番の方が書かれているが、彷徨シーンの途中に出てくる饅頭屋のシーンはやや唐突に感じられるし、幻聴として梶に聞こえてくる美千子の笑い声がちょっと怖かった(さっき書いたように語りかけて来る声は涙を誘うのに。)のがちょっと残念。とはいえこの「人間の条件」という六部作にも及ぶ作品全体の感想としては、これを超える戦争映画は二度と出ないのではないかというほどのすごい名作だと思う。この第六部に対してというより、シリーズ全体に対しての評価としての9点。 [DVD(邦画)] 9点(2008-07-03 00:08:13) |
22. 人間の條件 第五部 死の脱出
いよいよ物語も大詰めの第五部。敗残兵となった梶たちが避難民である民間人たちとジャングルをさ迷い歩くシーンをはじめ、岸田今日子演じる竜子の無残な最期など壮絶な展開ばかりで見ていてかなり辛いものがあった。今回は梶はただ美千子の元へ生きて帰ることだけを考えていて、その気持ちはじゅうぶんに理解できるのだが、そのためには人殺しも厭わなくなっており、第一部からずっと見ていると別人のようである。こうなるとちょっと今回の梶の苦悩というのは理解しがたいものになってしまい、もし、梶と再会した美千子がこれを知ったらどう思うだろうなどと考えながら見ていたらまた辛くなってくる。下にも書かれている方がいらっしゃるが、戦争は人を変えてしまうということがこの「人間の条件」という作品の最大のテーマ、メッセージなのではなのかと思える。そんなこの回において唯一の救いと言えるのは中村玉緒演じる少女の健気な笑顔であるが、ラストの桐原の一言はその彼女に強姦をしたというのが、リアルに想像できて怖かった。次で最後だ。 [DVD(邦画)] 8点(2008-06-24 23:47:49) |
23. ニッポン無責任時代
東宝のすべてのクレージー映画の原点となるこの作品。現実には絶対に有り得ないようなサクセスストーリーだけど、植木等演じる平均の能天気で調子がよくてプラス思考のかたまりのようなキャラクターを見ているとついついこちらも徐々に感化されていって、映画を見終えた後にはなんだかすごく元気が出た。上司役の谷啓とのやりとりは同じく谷啓が上司役の「釣りバカ日誌」シリーズの浜ちゃんと佐々木課長のやりとり見てるみたいだったけど、これを参考にしたのかも。 [DVD(邦画)] 8点(2007-08-21 12:54:21) |
24. 二階の他人
山田洋次監督のデビュー作。同時期に松竹に所属していた新人監督だった大島渚監督や吉田喜重監督のデビュー作のような衝撃的な映画ではなく、新居のローン返済の為にその二階を貸間にしている若夫婦の話という庶民的なテーマなのが山田監督らしい。デビュー作ということもあってか山田監督らしさはそれ以外あまり感じられないが、上京した母親のことで兄弟が口論を始めるシーンは「男はつらいよ」シリーズでの諏訪三兄弟の口論シーンを彷彿とさせていた。その母親を演じる高橋とよがいい味を出している。 [DVD(邦画)] 6点(2006-12-07 00:20:16) |
25. ニッポン無責任野郎
このシリーズ初めて見たけど、植木等のキャラがなんとも強烈ですごく面白かった。今ではこのタイプの映画は松竹の「釣りバカ日誌」シリーズくらいしかないけど、それよりも面白いと思う。「ニッポン無責任時代」もいつか見てみよう。 [ビデオ(邦画)] 8点(2006-08-05 12:53:08) |
26. 肉弾(1968)
今まで見た日本の戦争映画でいちばん感動した作品。暗いストーリーでありながら、ところどころに笑えるシーンもあり、見終わってもあまり気が沈むようなことはなかった。つぶやくような仲代達矢のナレーションも印象的だった。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-04-12 02:47:21)(良:1票) |