1. 日本の悲劇(1953)
《ネタバレ》 戦時中の最中で自らの命とわが子を生すために、他人から罵倒されるような真似をしてまでも生き延びた女は、戦後の時代でも同じように生き続けた。そんな女に育てられた子どもは他人に馬鹿にされ、見下され、その結果女への恨みを募らせ始めた。確かに親を捨てた子どもたちも悪いが、子どもに対し恩着せがましい態度を取り続けた母親も悪い。だが、この作品の中でどちらのほうがより悪いというのは描かれていないし、実際、どちらにも同じくらい非はある。しかし、この物語の中で起きたような出来事はなぜ起きたのか、その発端を探れば原因は見えてくる。一言で言ってしまえば戦争のせいである。戦争さえなければ、あの家族には父親もいたし、親子が離れ離れに暮らす必要も無かった。娘が強姦に合うこともなければ、息子が勉学一直線で母親と縁を切るような事もなかった。だが、起きてしまった戦争に今更非難しても意味が無く、またあの親子を非難するのも違う。この作品はまさに、日本という国で戦争が齎した最も悲しい現実を描いたリアリズムの物語である。日本人だけでなく世界中の人々の目と心に残さなければならない真実である。これはまさに日本の悲劇だった。 [DVD(邦画)] 9点(2007-11-22 00:46:35) |
2. 虹の女神 Rainbow Song
《ネタバレ》 岩井俊二監督がプロデューサーという立場からどの程度製作に手を加えたのか、詳しいことは何一つ知りませんが、それでもあの構図の撮り方や色彩の鮮やかさ、そして照明の美しさから考えると、かなり深いところまで監督が手を加えているような気がしました。映像的な部分で言うと、ひとカットひとカットの画がとても丁寧に作られているのに感動しました。手持ちの移動ショットや長回しのショットが、淡々と語られる平凡な台詞の掛け合いに臨場感をプラスさせていたように思いました。終始、そんななんともない物語が流れていきますが、この作品はそのなんともない感じに深い共感を僕は覚えました。片思いの切なさや、夢に対する不安と期待など、青春真っ只中な主人公たちの心が想像しなくとも勝手に感情へと深くしみこんできます。鈍感な主人公を愛す、純粋な心を持った女性。彼女の優しさや弱さが素晴らしすぎます。観ているこっちとしては何で気付かないんだとイライラしっぱなしです。しかもそれが延々と、リアルに描かれ続け、それでも主人公は気付かず、彼女が最後に直球とも言える賭けをするものの、やっぱり主人公は気付きません。この時点で観ているこっちはその後何が起きるかわかっているから主人公の愚かさを呪います。また、悔しくもあります。だからなのか、ラスト、彼女の想いが思いがけず主人公に伝わります。純粋で鈍感すぎたがゆえに気付けなかった主人公。そんな彼の鈍感な部分も、不器用な部分も、みんなみんな好きだと綴った手紙。もっと早くこの手紙が渡っていればと悔しくなる反面、想いが主人公に届いてよかったと嬉しくも思います。主人公の青年にも、女の子にも僕は無意識のうちに激しく感情移入していました。こんなことは滅多にないような気がします。この映画は僕は今出会えたのがベストだったような気がします。こんなにも共感した作品はあまり他に覚えがないです。主演の市原君と、草野樹里さん、あと蒼井優さんの三人の演技は素晴らしいの一言に尽きます。脚本、役者、映像。多くの要素が本当に素晴らしい作品でした。 [映画館(邦画)] 9点(2006-11-16 23:31:20)(良:1票) |
3. 21グラム
誰かが誰かの21グラムを奪う。今のこの世の中、今この瞬間も世界のいたる所で数多くの21グラムが奪われ、そして人知れず数多くの血と涙が流れている。その反対に、今この瞬間にも数多くの笑顔と共に数多くの21グラムが誕生し、さらに誰かが誰かの21グラムを救い、そして涙を流している。失われる21グラムと生まれる21グラム。同じ21グラムの筈なのに、その本質にある根本的な重みはあまりにも違い過ぎる。悲しみに満ちた21グラムと喜びに満ちた21グラム。いつかは必ず失われるけれど、誰が何と言おうと奪ってはいけない重み、それがこの世で最も重い21グラム。 [DVD(字幕)] 7点(2005-06-06 19:10:16) |
4. 二十四の瞳(1954)
平和と子供達を心から愛し、戦争と意味のない死を心から憎んだ、高峰秀子演ずる主人公。そんな彼女の優し過ぎるほど温かい心は、僕の心にも強く、そして深く残った。 9点(2005-03-13 16:42:46) |
5. 人間
広大な海の上で4人の男女が遭難した。食料が無くなり、水は山ほどあるのに一滴も飲む事が出来ず、真夏の太陽が肌を焼く。空腹と暑さに苦しみ、生きている心地のしない状況で、2人の人間が豹変した。その変わり行く姿はもう人間とは言えない姿だった。新藤兼人監督は、人間という生き物の最も恐ろしい面を、怖いくらいにリアルに描いた。そんな新藤監督に拍手! 7点(2005-03-10 22:30:01) |
6. ニューオーリンズ・トライアル
《ネタバレ》 複雑に交わりあうストーリー。一体どこから惑わされ始め、どこで騙されていたのか検討もつかない。もう一度ストーリーを頭の中で整理すると、結局、冒頭から既に騙されていた事に気付く。所詮、2人の目的は金だとばかり思っていた僕は、ドップリズッポリ画面に釘付けになり、終始結末への期待と興奮で身体が震えていた(外は気温0度)。久しぶりに映画で興奮し、緊張感を全身で味わった。この濃厚かつ丁寧な脚本の素晴らしさには本当に拍手したくなる。さらに豪華なキャストにも思わず拍手したくなる。レンタルショップでこの映画のパッケージを見た時、思わず手が伸び、「うおっ、なんて豪華!」と言ってそのままレジへもって行った初めての作品となった。こういう行動はミスが付き纏うが、今回は大正解だったと言える。 9点(2005-01-27 17:03:27) |
7. 偽牧師
ニヤニヤしながら停止ボタンを押しました。 8点(2004-12-05 22:18:35) |
8. 担え銃
たった24分で満腹です。 7点(2004-12-05 22:16:53) |
9. NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE
対象年齢を明かに間違えた。周りは子連れの親子ばかり。上映中だと言うのもお構い無しに会話をし、一つ一つのギャグにツッコミと感想を言ってくれる子供達。隣でイビキをかき、寝始めた友人。ポップコーンをやたらとガツガツ食べる中年男性。映画を観るのに、これ以上は環境が悪化しそうに無い程の悪状況で、怒りと虚しさと孤独の中での映画観賞。話の内容は・・・語る力が残ってない・・・ただ、田中麗奈が可愛かった。ただそれだけ・・・ 6点(2004-08-28 18:06:33) |
10. 二百三高地
父のお気に入りのこの作品、口うるさく「観ろ!観ろ!」言われての拝見。正直あまり期待はしていなかったものの、観賞後の今、父に深く感謝しております。こんな歴史を今の今まで知らずに生きてきた事を恥じております。この作品、実に素晴らしい。どこが素晴らしいかは僕が書かなくても他の方が書いておりますので省略。そして父はこの作品をあまりに気に入り過ぎて僕の名前を「マレスケ」にしようとしたのです。それを母がなんとか止めて現在ふつうの名前で生きております。以上・・・母に感謝。 7点(2004-08-04 15:12:21)(笑:2票) |
11. 人情紙風船
山中貞雄監督の作品をはじめて拝見させて頂きました。観る切っ掛けは、やはりこのサイトでの平均点が異常なほど高かった事と、レヴュアーさん達の感想の中で絶賛を受けている、そんな作品を観ないわけにはいけないと思い、そして日本最高傑作と言われるこの作品を観て見たい、という思いからTSU○AYAでビデオを借りた次第であります。そしてビデオをセットし、再生ボタンを押すと、物々しい雰囲気からストーリーが始まり出しました。すると、いきなり画面に映る映像に驚きを感じました。なぜなら画面の向こうに移る風景や背景がまるでその時代の街を本当に映したかのように、全てがリアルだったからです。これほどまでに鮮麗された映像の時代劇は観た事がありません。そして映像だけでなくストーリーもとてもリアルだった。この映画の中に登場する人々の思考は、現代人の心理とほとんどが同じで、その人々の考えや思考に共感とまでは言えませんが、結構理解できました。しかし、前評判が高過ぎて、自分の中で期待の風船を膨らまし過ぎてしまいました。ストーリーの重苦しさ、苦しみがどうも僕にはつら過ぎて、直視する事ができませんでした。この映画を最高傑作だ!と感じれない自分自身にすごく腹が立ちます。あぁ残念だ・・・ 7点(2004-07-27 23:46:20)(良:1票) |
12. 2001年宇宙の旅
僕は自分の理解力のなさは理解しております。これまでいくつもの作品を理解出来ず、その度に自分のIQの低さを呪いました。そして今回も・・・結局この作品の存在感に圧倒されるばかりで、この映画の持つ本質を理解する事が出来ませんでした・・・残念。でも、この映画はまた20年後くらいに観たいと思います。その頃この映画は生誕50周年・・・きっと話題になる。かな?その頃には僕も宇宙旅行!そしてハルに出会うかも・・・怖い怖い・・・ 6点(2004-06-26 21:16:07) |
13. 28日後...
《ネタバレ》 ストーリーがいい!!予告編だけでも十分楽しめるくらい、興味を引くストーリーだった。一番心に残ったのが最後、HELPではなくてHELLOだったのがとてもよかった。暗いストーリーの映画だったのに観終わった後、とても明るい気持ちになりました。 7点(2003-09-29 16:57:23) |
14. ニューヨークの恋人(2001)
メグ・ライアンはずっと綺麗なまんまだね。ヒュー・ジャックマンはまさに紳士って感じ。ストーリーもよかった、面白かったです。でも最後はちょっと物足りなかった...残念...最後期待してしまった俺が悪い。最後以外は全部満足です。 8点(2003-06-03 21:24:52) |
15. ニュー・シネマ・パラダイス
長い年月が3時間にしっかり詰め込まれてました。 切り取ったフィルムはちゃんと残っていたなんて・・・涙 観終って、もう一度思い返した時また涙が出てきました。 9点(2002-12-24 14:59:38) |