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1.  ネバダ・スミス 《ネタバレ》 
惨殺された両親の復讐に執念を燃やす若者が、その途次に彼を気遣ってくれる大人たちとの交流を通じて成長していき、最後には復讐や殺人の虚しさを悟るという物語。 混血にも16才にも見えない役者が主人公を演じるのには目をつぶるが、首をかしげたくなる場面が多いので高評価はできない。 冒頭、悪漢三人がマックスと会話するが、悪漢の一人が不用意に本名を名乗ってしまう。そして家を訊いたあと、何故か、マックスの馬を脅かして追い払うようなことをする。不審がられて当然の行為。マックスもすぐ家に帰ればよいものを、随分と遅れて帰宅。両親の遺体を埋葬せず、家ごと焼却するという暴挙にでる。三人はマックスの父の馬を奪っているのだから、4匹の馬の足跡を追えばよいはずだが、3匹の馬の足跡を追い、人違いをしたあげくに馬と銃を奪われる始末。未熟さゆえんである。ようやく悪漢の一人目を探したとき「首に切り傷がある」というが、画面で首のアップがなかったので観客にはわからない。銃を持っているのに、最後は何故かナイフ対決となり、刺殺して終了。悪漢の妻からも感謝される。二人目は刑務所の中にいると判明。わざと銀行強盗で捕まり、同じ刑務所へ。悪漢が脱獄に失敗して半死状態になっているのをわざわざ助けて、後に共に脱獄し、射殺するという手の込んだことをする。このとき脱獄に利用した女を見殺しにしてしまう。三人目を見つけたが、油断させるため一旦仲間に入る。馬車を襲って金塊を強奪する計画で、いざというときには裏切ると予想していたら、全員見殺になるまで見守ってから行動開始。悪漢の手足に三発命中させ、「殺す価値もない」と立ち去る。この人、あまり成長していない。子供の手本になるような行動はしない。やることは無法者と変わらない。銃を教えてもらったり、読み書きを学んだり、女性から慕われたり、親父に助けられキリスト教を知ったりと盛りだくさんの挿話があるのに生かされていない。復讐のために払った犠牲の大きさが見えてこない。マックス・サンドがお尋ね者となり、本名を隠してネバダ・スミスと名乗るようになる。それが映画タイトルだが、その意図はよくわかりません。
[DVD(字幕)] 5点(2012-12-09 23:22:43)
2.  ネバーエンディング・ストーリー 《ネタバレ》 
ファンタジーの金字塔。物語が入れ子構造で、物語と現実が交差する。本を読むと物語の主人公になれる魔法のような本があったら。この設定が”神がかり”で、想像の翼はどこまでも飛翔する。少年が本に出会ったのは偶然ではない。母親を失くした喪失感、学力優先の授業、学友からのいじめ。現実のなんと厳しいことか。少年は慰みを本に求めていて、ファンタジーの住民だったのだ。”無”によって消滅の危機にあるファンタジー王国を救うために勇士アトレイユが出発して冒険物語が始まる。美しくて壮麗な景観がファンタジーの世界へと誘う。次から次へと襲う試練と危機で飽きることがない。仲間である王国の住人達は見ていて楽しい。特にロックバイターは個性的でお気に入りだ。”無”の放つ刺客ともいうべき黒狼の存在が不気味で、緊張感を与えている。物語に弛緩箇所は無い。アトレイユは自分の本当の姿が映る鏡の前に立つ。そこに現れるのは本を読む少年の姿だった。自分が子供だったとして、本の中に自分のことが書いてあったらどれだけの衝撃を受けるか、計り知れないものがある。ここから物語は少年と一緒に進む。アトレイユは武器を持たず、試練は精神的なものが多い。悲しさに捉われると沈んでしまう沼。自分の本当の姿が映る鏡。勇気がゆらぐと通れない門。これは少年がアトレイユと同じ精神状態となり、一体となるための工夫。やがて少年は知る。王国は人間の空想の世界の産物で、人間の夢と希望で作られている。希望を失い、夢をあきらめかけている人間の心の空しさ、絶望が”無”の正体であることを。アトレイユも知る。自分の冒険の旅は、実は人間の子供を王国に連れてくるためのものだった。そして、それは成功した。王国を救うためには人間の子供が女王に新しい名前を付ければよい。それは新しい空想物語が始まることを意味していた。少年は母の名前(実はムーンチャイルド)を叫び、王国は再生された。少年はファルコンに乗って現実世界に戻り、いじめっ子に仕返しをするが、これは蛇足。成長した少年がいじめっ子と堂々と渡り合う姿を見せれば良い。技術的には、機械仕掛の創造物の顔の表情が豊かなのに驚く。日本の特撮では見受けられない精巧さだが、四足動物の動きは再現出来なかったようでカットされている。キーアイテムのアウリンの活躍が少なくて残念。アトレイユの冒険の旅も又壁画に描かれていたという凝った構成には脱帽。
[DVD(字幕)] 9点(2012-08-08 03:08:40)
3.  猫の恩返し 《ネタバレ》 
ハルは高校生。学校を遅刻してツイてない一日。帰りに小箱をくわえた猫を救う。それが猫の王子だったために、贈り物をもらう。ねずみ、猫じゃらしなど有難くないものばかり。片思いの町田君は彼女と歩いている。落ち込んでいると、猫の国に招待される。王子の嫁になれとも。断る間もなく使者は消える。どこからか声が。「猫の事務所を訪ねなさい」訪ねると男爵猫バロン、ブタ猫ムタ、カラスのトトがいた。「猫の国はまやかし。自分の時間を生きられない者が行くところ」と警告を受ける。そこへ使者が来て、無理やり猫の国へ。猫に変身してしまい。花嫁にされそうになるが、バロンとムタが助けてくれる。危機になると白猫が脱出口を教えてくれた。迷路を抜け、塔に登るが、猫の王により、塔は半崩壊。そこに猫の王子登場。ハルではなく、白猫を嫁にすると宣言。小箱は花嫁へのプレゼントだった。白猫はハルが子供時代に助けた猫と判明。こちらの方が本当の猫の恩返し。猫の国に長く留まると帰れなくなってしまう。やっとのことで塔の上の出口に出たが、そこは現実世界の空の上。三人で墜落するが、トトが仲間のカラスと共に助けてくれた。無事に帰還。早起きし、朝食を作る毎日。町田君も気にしなくなった。成長したのだ。問題点:①猫の国が良いのか、悪いのか分からないまま進む。②危機感がない。白猫はかつて人間だったが戻れなくなったという設定なら良かった。③危機感がないので、脱出できても喜びがない。④脱出するのに他力本願。自力で苦労しながら頑張る姿がない。⑤頑張ってないので、成長もあまりみられない。⑥「自分の時間が生きられる」というテーマが見えてこない。もし宮崎駿が監督をしていたら、最後のカラスの螺旋階段を降りるシーンなどは、華やかな一大スペクトルとなり、大きな感動をもって見れたことでしょう。作画上の欠点は、キャラの表情や動きにタメや誇張がないので、のめり込めないこど。宮崎アニメのキャラがどれほど活き活きしているか、見直して勉強してほしいです。そして良い作品を作ることが、宮崎監督への恩返しでしょう。
[DVD(邦画)] 6点(2009-10-12 16:49:44)
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