1. 男たちの大和 YAMATO
《ネタバレ》 以前に見た戦争系邦画のような政治的メッセージの濃い作品を予想していたが、そういう色を感じさせず、万人に受け入れられるという点で成功している。何人かの方が挙げている「プライベート・ライアン」のような作品だ。ある人は戦争で果敢に国のために散った人々に思いをはせればいいし、子供のような少年たちが一瞬で肉片になってしまう戦争の無惨さに目を向けるのもいい。主人公と思われる反町隆史と中村獅童が下士官で、しかも炊事兵と機関砲手という地味な役回りなのもいい。反町隆史が脱出しながらも仲間を助けるために海にとって返す場面や、言葉だけで死の覚悟を語る少年兵を前に悲しそうに視線をそらす演技も良かった。最後のシーンで、国を守るということにおいて、命を捨てた者も、生き残って真面目に働いて世の中に尽くした者も、その価値は等価なのだ、と思わせてくれる。戦闘シーンは最近の邦画では出色の出来ではないだろうか。主人公が撃たれて息も絶え絶えになりながら最期の台詞をかっこよく言ってから死ぬ場面はない。撃たれれば、一瞬のうちに人は肉塊になる。それを踏み越え、歯を食いしばって生き残ってきたことも立派に国に尽くしたことなのだ、と仲代達矢の顔が語る。映画館は高齢者から若者で満員。英霊がいるという神社に年1回参拝する今の首相は、地道に働いて国を支えてきた中高年サラリーマンや高齢者を医療費負担や増税で締め上げていますけど、戦後の日本を支えてきたのは何もあの世の人だけじゃない。父親はとっくに年金暮らしだけど、少し労りたい気分になった。 [映画館(字幕)] 7点(2006-01-02 23:17:40) |
2. 奥さまは魔女(2005)
期待作だっただけに残念。何というかなあ…。何だか脚本が少女漫画みたいなんだなあ…。子供の頃見たオリジナル版のサマンサの記憶って、例えると「天才バカボン」のママ。芯がしっかりした聡明な女性というか。エリザベス=キッドマンのぶりっ子演技は笑う一歩手前で引いてしまう。途中のダーリンとのごちゃごちゃしたケンカだの何だののやり取りも冗長。キッドマンのサマンサは確かにきれいなんだけどな~。ノーラ・エフロンって、「めぐり逢えたら」>「ユーガットメール」の順でだんだんつまらなくなってきて、今回が一番つまらない。ハリウッドのいい脚本不足ってのはホントなんですねえ。原作にオマージュを捧げようとして、ちょっとあらすじを縛られたきらいもあるかもしれない。アメリカでのヒットも今ひとつだったとか。何となく納得しました。 [映画館(字幕)] 5点(2005-08-28 02:58:19) |
3. 男はつらいよ 寅次郎紅の花
テレビでやっていたのを「ながら見」していたけど、気がついたらレンタル屋で借りていた(少し前の話です)。以前はただのマンネリ映画としか思えず、棚の前で立ち止まったこともなかった。どこかで誰かが言っていることでしょうが、いつの間にか見なくなった「日本の風景」がこの映画にはたくさんあることに気付いた。出来の悪い兄を心配する家族。大勢で暮らす小さな家。用事がなくても顔を出すご近所さん。夕方になると晩御飯のおかずの匂いがする台所…等々。現実は「セキュリティ」万全のオートロックのマンションに暮らし、何年も顔も知らない隣人にたまにおざなりのお辞儀をして、PHS発信機を持った小学生が晴れた日曜でも部屋でテレビゲームをしている世知辛い世の中。寅さん映画を見てると、自分もいつかこんな暮らしに戻りたい(たぶん無理なのだが)、と少し懐かしい気分になる。日本人ならいつかふと見たくなる映画だと思う。特にこの作品は渥美さんの病気が分かっていたからなのか、偶然なのか、ハッピーエンドでシリーズを終えたので何度でも見たくなる終わり方になったと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2005-05-24 20:56:52)(良:3票) |
4. オーシャンズ12
前作の方がおもしろかった気がするなあ…。ギャグが何だか「楽屋オチ」みたいで見てる方が気恥ずかしくなる感じもあった(ジュリア・ロバーツとブルース・ウィリスの絡みとか)。それにスペシャリスト12人? の集団なのに、何かにつけてわらわら集まって話し合ってるだけで、それぞれが何の特技の持ち主なのかさっぱり分からない。ストーリーは二転三転して楽しめるが、何となく「某インド人監督症候群」(←勝手に名付けました)が感染してる気がする。だって、最後のアレ、ちょっとずるくないですか。あんなんで成功するなら、わざわざ12人も集める必要ないでしょうが。あの父との再会もちょっと強引すぎるんじゃないかなあ…。 3点(2005-01-16 01:44:48)(良:2票) |
5. オーバードライヴ(2004)
《ネタバレ》 ロックギタリストが津軽三味線に魅入られ、演奏でバトルする…「クロスロード」みたいなお話を想像して見に行った。でも、この映画、音楽とそれに魅入られた人にまつわるお話なのに、三味線という弦楽器だけでなく、根本的に「音楽」という存在自体に対する敬意みたいなものが欠けている気がする。ひどいのは主人公と対決する悪魔の(?)三味線弾きの扱いよう。あの役の人はどうやら有名な本物のプロらしい。そんな人にあんなヘンテコなメイクまでさせて、道化にする必要があったのだろうか。所々に出てくる狂言回し役のような歌うおネエちゃんや挿入されるアニメーションも意味不明で見ている側の集中力をそぐ。ベタなギャグも滑りまくっていた。主人公が津軽三味線に引き込まれる動機も不純だし、あんな適当な練習でギタリストの運指が短期間に三味線に適応できるのかな。ただし、悪魔の三味線弾きをはじめ、演奏の技は本物。それだけに、世界に誇れる日本の弦楽器の神髄をもっと見せてほしかった。リスペクトした上で、それをコメディで扱うなら「スクールオブロック」や「クロスロード」みたいな肩の凝らない音楽映画になったと思うが、この作品はただ茶化しているだけに思えた。見ていて不愉快にすら感じた。 1点(2004-11-06 15:48:06) |
6. 大阪物語(1999)
実家の大阪を離れて十数年…。気になっていたのでやっと見た。こんな情けないおっさんに美人で性格のええかみさんがおって、しっかり者の娘がいて…。でも、情けないお父ちゃんもええ所があったんやね。にんげん、誰でも無駄に生まれて無駄に生きてるわけやないと。今日もええ天気や。神様が空から見てはる。がんばらな。こんな感じですか。ごちゃごちゃした大阪の街並み(東京はただ人が多くて疲れるだけなんだが)が何だか懐かしかった。でも、大阪もどんどんミニ東京化してますよね。大阪に住んでる人がこの映画見て「何か懐かしなぁ」と思うようなことにならなければいいですが。 6点(2004-10-25 14:31:30) |
7. オンリー・ユー(1994)
マリサ・トメイは好きな女優なので、点数甘めです。彼女はこの映画で米国のプレスから「オードリーの再来」とかもてはやされたんじゃなかったかな。マリサのショートカットの黒髪に大きな黒いひとみ、恋の舞台はローマという風に「ローマの休日」にオマージュを捧げているのは明らかだけど、こっちはドタバタコメディにハッピーエンド。ロバート・ダウニーとまだ売り出し中だったマリサが主演なのでB級感は残りますが、演技派のマリサのコメディエンヌぶりと美しさに降参する。恋と美食に人生をおう歌し、おおらかでお人好しのイタリア人たち。美しい風景。結構楽しい映画です。それにしても主役の2人はやっぱりイタリア系なんだろうか。マリサ・トメイは美人(しかも個性派かつ演技派)女優だと思うのだが、今ひとつ主役級の女優にはなれなかった。どうしてかなあ…。 7点(2004-03-23 16:54:29) |
8. 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
強行犯の事件ばかりじゃなくて、たまには贈収賄とか知能犯捜査とか、今問題の警察内部の腐敗などで息の詰まるような展開を見せてほしい。まあ、作風に合わないかもしれないと思うけど。どんどんスケールが大きくなって、事件との釣り合いが取りにくくなってる。このままでは「○○警察」などの二の舞に…。 5点(2004-03-08 08:29:13)(笑:1票) |