1. オールド・ルーキー
次々と大リーグ記録を塗りかえるイチローのニュースに、何となく野球映画を見たくなって見た。淡々とした脚本と演出、大根のクエイド(妻役の女優は好演)で、映画としての出来は平凡であるが、夢のある内容で最後まで見せてしまう。1999年に高校教師から35歳で速球左腕として大リーグ入り、2年後に引退した史上最年長ルーキー、ジミー・モリス自伝の映画化である。 7点(2004-09-03 09:20:18) |
2. オペラハット
当時の不況を背景に、おとぎ話のようなロマンスと社会風刺の中にアメリカン・デモクラシーを描くという、この監督の世界。前作の「我が家の楽園」といい、何か最近こういう世界に素直に入り込めない。イラクや地球温暖化等々に見られる今のアメリカの思い上がり、また、人生ってそんな単純なものじゃない、もっと深くて重くて哀しいという思い。 4点(2004-05-30 08:35:13) |
3. 男と女(1966)
最近、娘が見て良いと言うので、久し振りに見た。単純なストーリーを映像と音楽だけでここまで出来るのは、やはり永遠の名作である。有名なテーマだけでなく、ボサノバも良く、また、海は好きなので、ファースト・シーンから海辺の風景が何度となく出て来るのも良かった。フランス映画はテンポが遅く退屈なのが多いが、やはりこういう味はハリウッド映画には出せない独特のものがある。見た感じは8点であるが、永遠の名作という意味で10点を付けて良いと思う。書き忘れていたが、学生時代に見てからずっと覚えていたセリフ、「運命に任せましょ、愛は私たちよりも強いから」を今回また字幕で確認出来たのも懐かしかった。 10点(2004-03-11 10:32:44) |
4. おもいでの夏
家族休暇で滞在中の美しい島での、若く美しい人妻に惹かれた少年のひと夏の体験を、ユーモアと抒情性たっぷりに描く。冒頭のナレーションに出て来る、胸の震え、混乱、そして、不安、誇り、無力感という言葉が、今の私?には痛いほど分かる。ミッシェル・ルグランの名曲が効果的に使われ、クライマックスでは、その音楽→レコードが切れ、レコードが空回りする音→幽かな潮騒が掻き立てる大いなる静寂→戸外の壮大な潮騒という微妙な音の変化の中で、シーンが進行して行く。映画とは何を描くかだけではなく、どう描くかがどれだけ大事かという、当たり前のことを改めて思い出させてくれる作品である。 10点(2004-02-22 06:26:45)(良:1票) |
5. お茶漬の味
全編を貫くユーモアとラストの情感が非常に良い。見始めてから何度も腹の底から笑った。木暮実千代は今まで歳がいったアネゴ姿しか見たことがなかったのが、こんなに若いとさすがにいい女だと惚れ惚れとして見た。また、笠智衆が主役の小津作品はもう一つ得手でないが、佐分利信はこんな男になりたいとあこがれる男性像で、それも良かった。 10点(2004-01-28 16:47:23) |