1. 8月のメモワール
ただ、触れるか触れないかの..そんな些細な出来事にカッとなった時の自分が恥ずかしくて耐えられない時がある。怒りが収まった後で、そんな自分に悲しくなる時がある。そしてこの作品を観て、父親が言った言葉が胸に突き刺さった。 人に優しくありたいと。自分の立つ瀬に拘るよりも、人を思いやろうと。その為に自分の命が危ぶまれ様と後悔しない生き方を送りたい。 そして、もし自分にこんな父親が居たら...自慢にしたい。「私の父はこんなに素晴らしい」と。 今の私には教訓になる作品だった。 9点(2004-11-17 01:50:10) |
2. ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど
昼メロ+戦争+サスペンス…まるでお子さまランチの様な、欲張りワンディッシュ映画。そして、私のBest紅茶映画。何と言っても、さり気ないセリフが素敵です。甘過ぎてかなわん…と思い始めると、戦闘場面の緊張感はなかなかのスリルで○。「紅茶って水っぽくて渋いから嫌い」なんて言ってるそこの貴方!コーヒーも良いけど、この作品で紅茶の楽しみ方勉強しましょう! 6点(2004-06-14 00:22:48) |
3. パウダー
確かにこの作品には『愛』がないかも知れない。だが、『愛』そのものを直接的にせよ間接的にせよ描いている訳でないとすればどうだろう。 パウダーは生まれ落ちたその日から、『愛』を受けられない。そこに『愛』自体を否定する要素を創り出している。 生長して、ある悲しい事件によって彼の存在が明るみに出る。そこから、外界との接点が強制的に持たれる。ここからが他作(『感動作』と称される作品)との相違。イジメや迫害を受けながらも、心の通う『友達』が出来、そこから麗しい感動劇が繰り広げられる…と言う件を想定している人の眼には、なんとも救いのない作品に映ってしまうだろう。唯一、彼の能力に惹かれ、理解を示そうとする人物はいるも、彼を救う手立てとはならない。これはある意味、人の感情や現実に忠実且つ、素直な作りだと思う。同時に感動を、涙を目的とする作品ではなく、物語を通して観る側が“考える”事を目的としている様にも思える。愛は作品そのものの形とならず、そこから『愛』とはどういうものかを考え、そして自分のものにする。或いは、自分の持つ『愛』を再確認できる―その過程に存在するだけの作品。 ラストの破綻ぶりは自分もガックリ来たが、そこに至るまでに得られたものがある事を評価とします。 7点(2004-05-23 20:56:44)(良:2票) |
4. パリ、テキサス
砂漠と群青の空…鮮やかなコントラストにひたすらと歩き続ける男があった。その不器用さ故、ただ歩き続け、「パリ」と言う名の目的地を漠然と追う。そして、男は眠らない..何も得られない現の夢を彼は彷徨う。 塀の上に整然と並んだ靴…一つ、また一つと“家族”が持ってゆく。出来た隙間を詰める姿は、必死に記憶と時間の空白を埋め合わせようと藻掻いている様にも感じられる。 …再び近づく親子の心..それは、嵌める事の出来ないパズルの1ピース。スペースを見付けても、周囲と交わる事は叶わない..それこそ4年の歳月が彼に気付かせた新しいピース。 弟夫婦の哀しみは、灯りが鏤められたLAの宵闇の様に重く、胸を刺す。 彼にとっては、約束の地「パリ」は架空の安息でしかないだろう。母子が映る窓をひっそりと眺めて、再び向かうのはやはり、砂漠にポツリと存在する『夢』だろうか..。 9点(2004-05-22 17:52:13)(良:1票) |
5. バベットの晩餐会
エンドクレジットが流れ出すまでに、一言でも「美味しかった…」と云う言葉を探していたが、それは“言葉”と言う形を取らずとも、晩餐の場に満ちた“気持”と云う形で表され。バベットの“誇り”は尚のこと輝き。テーブルを囲んだ人々の顔には“至福”が満ち。そして、観る人の心に淡色の感動をもたらした。 ゆるうり..と流れてゆく中盤には、まるで“色”を持たぬ様に静かに、彼らの村を支える北海の如く頑な空気を漂わす。それは、信仰心であり、己自身を縛る“想い”。姉妹の元に突然流れ着いたバベットは革命の糸。その一夜、人々の心に変化を織りなす為の…。 今まで観て来た「シェフ」が活躍する映画の中で、彼女ほど格好良いと思ったシェフはいなかった。それと同時に、彼女ほど厨房で美しく見えた人はいなかった。今後、私の中でこの作品を上回る作品を見付けるには時間を要するだろうと思う。 10点(2004-05-22 17:35:14)(良:1票) |
6. バッド・インフルエンス/悪影響
あるスキャンダルで転落してしまったR・ロウ起死回生の作品。 J・スペイダー演じる主人公がロウ演じる『危険な男』によって破滅に追い込まれると云うサイコ・サスペンスなのだが、コレがなかなか好演です。スペイダーはダメっぷりが嵌り過ぎなくらいピッタリ。申し分ないエリートで、美しい婚約者までいるがどこか悶々とした毎日を送る。そこへ、現れる男アレックス~まるで、マイケルの脆くなった心を見透かし、影の様に近寄ってきた“悪魔”だ。それ以前のR・ロウはどこか頼りない印象の役が多かった気がするのに対し、このロウは一味も二味も違う。執拗にマイケルを追いつめるアレックスの不気味さに、私も思わず全身泡立つ程「こ、恐ぇ!気色悪ッ!」 ラストはもっと高揚させて締めて欲しかったけど...。 あッ、そうそう(笑)D・ドゥカヴニーがエキストラで出ていたりします。懐かしの「ウォーリー君を探せ!」 より発見は至難の業!ファンの方、お暇な方は是非探してみて下さい。 6点(2004-04-18 22:41:26) |
7. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
「結局、何をそんなに期待していたのだろう?」とDVD購入してまで観ている自分に「???」状態(実は特典ディスクのNGシーンが一番面白かった人です/笑)J・デップの大立ち回りには笑いも含みつつ『何でもこなせるカメレオンアクター』を観せて貰い眼福。 ヒロインを射止める主役級な扱いながら、デップにすっかり喰われているO・ブルームの良いところは何処だったのか?K・ナイトレイが想像していた程美しくなかったのも、ちょっとガッカリの材料でしょうか。 やぁーってくれたなっ、ブラッカイマー!と云う事で3点進呈。次からはディズニーと組まないでね。 3点(2004-02-19 23:34:26)(笑:2票) |
8. ハンテッド(2003)
『鬼ごっこ』と云えば、T・L・ジョーンズ…(鬼役がよく似合う) 殺人マシンと化してしまった男を、彼の元教官が追うと云う物語。聖書の一説で始まるこの作品に、サスペンスで多用される『常套手段』を感じてしまったが、殆どその必要性が理解出来ずにいた。ラストへの伏線として観ていれば「ああ、なるほど」と思わせられなくもないのですが...。全体としてステレオタイプな作品であるが、飾り気を一切排除している処が良い。 戦場で英雄になった男が、ストレスから狂人になってゆく過程は少々甘く感じたが、人間性を失っていないハラムの虚しさ孤独感は惹き付けられる。そして、ハラム(元教え子)を見付け出せるのは自分だけと確信していながら、彼を手に掛ける事に戸惑いを隠せないL・Tの悲哀もまた、魅力的でした。 格闘場面では銃撃戦などを用いず、派手さを欠いていても、肉弾の迫力を描き切れていると思う。が、終始激しいが静寂を帯びているナイフでの殺し合いには「アクション映画」を観るつもりだった人にとって賛否別れる処だと思います。 この作品は、一度観ただけでは理解不能なシーンやカットが多い。その為、観る度に発見があって面白い作品だと思います。 ただ、ヒロイン役だと思わせておいて、結局は殆ど見せ場のない『取って付けた』様な設定のニールセンがちょっと可哀想な扱いです。なので、-1点(笑) 9点(2004-02-03 21:35:40)(良:1票) |