1. バーバー
こういう、身につまされて笑えない滑稽さ、みたいなのを不気味な話に仕立てるのが、コーエン兄弟はほんとに上手ですね。ものすごくグロテスクなのに、ものすごく詩的で、下手したら神話的とさえいえるぐらいな描写をしながら、なおかつ、小馬鹿にされてるような、笑うぎりぎりで脇腹をくすぐられてるような感じがたまらないです。この余裕が多分だめな人はだめなんでしょうけれど、僕にはいつも他の誰も与えてくれない、人生についてのある視点、みたいなものを見せてくれてるような気がして、すごく心地よかったり、逆に生きてる事自体の居心地の悪さを思い出させてくれたりして彼らの映画から離れられません。それになによりも、ビリー・ボブ・ソーントンって、ほんと何をしてても、いや、何もせずに画面に居るだけで、なんだか何時間でもだまって観ていられる、そういう人なんですよね、僕にとっては。それにカメラ!ディーキンス!素晴らしく美しい!震えるほど美しいカットが満載です!救いの無い悲劇を喜劇としてみせられる、その凄みを感じるいい映画だと思います。 8点(2004-03-11 02:06:32) |