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麦酒男爵さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 44
性別 男性
ホームページ http://enjoybeerlife.com/
年齢 51歳
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1.  バベル 《ネタバレ》 
■バベルの塔の逸話を念頭にメッセージを探ると、どうもピタッとハマらない。あの程度のコミュニケーションの不通と快復などありふれた物語だし、バベルの塔なんてわざわざいわなくても、本作以上にそれを描き出すことに成功した映画作品なんて山ほどある。だから、『バベル』というタイトルそのものがミスリーディング、あるいは後付けだと仮定して観ると、そっちの方が僕には理解がいく。じゃあどういう作品なのかというと、平たい表現で恐縮だけれど、「悲しみの連鎖」とか、そいうことについての作品だと思う。■我々は間違いなく連鎖している。ことに悲しみは、連鎖のネットワークの中でいろいろに形や姿を変え、いともたやすく伝播する。本作の場合、一丁のライフルがその媒介を果たした。日本の狩猟趣味の男の妻を自ら殺めさせ、モロッコの幼い兄弟の悪戯を誘発し、米国人夫妻を命のトラブルに巻き込み、彼らの子らを世話する家政婦の生活を奪った。と、そういう話である。■この仮定と、「コミュニケーションの不通」を本作のテーマとして位置付ける試みを較べて、どちらが作品の理解を努める上で徒労感が少ないかといえば、前者だった、というのが僕なりの感想だ。どうしても比較してしまう作品に『マグノリア』があるが、『マグノリア』はカエルのカタルシスでもって、一気に塞がれていたコミュニケーションが流通しだす。その意味で、「コミュニケーションの不通と快復」をより意識して描いているのは『マグノリア』の方であって、本作はタイトルに似つかわしくないほどそれを描いていない。『マグノリア』のカエルに措定するものがあるとすれば、それはあのライフルなんだろうけど、結果的にあのライフルによって「救い」が起こったのはブラピ&ブランシェット夫妻のみで、その夫妻にしたって別にライフルで撃たれなくたって、例えば心臓発作とかでも良かったようなもんだ。■どなたかが書いてたが、連鎖の媒介役が武器であることは象徴的だと思う。武器が招いた悲劇の連鎖、とか、そういうシンプルなことを言いたいんじゃないか、この映画は。僕はそうだとして観たから、バベルの塔が林立する東京で、とある父娘が快復するエンディングは美しいと思った。
[DVD(字幕)] 7点(2009-02-19 00:48:29)
2.  ハーレーダビッドソン&マルボロマン 《ネタバレ》 
■いや~、実に下らない!■と言ったら、製作者への賞賛になるだろうか。■危うく駄作になりかけつつ、なんとかハチャメチャさで乗り切ってしまった感じ。そのハチャメチャを一つ一つ丁寧に思い返してみると、割とよく出来てるハチャメチャもある。■設定がもう少しリアリティあるものであったなら、多少の安心感を持って観れたかもしれない。例えば、黒ずくめの男たちが歩調を合わせて迫ってくる必然性について、それが例え「映画的な」逸脱だとしても、その逸脱自体の必然性を感じられない。■一瞬ジョージ・クルーニーかと思ったあのボスキャラは、実は『プライベート・ライアン』のメタボ軍曹だった。こんなにスマートだったなんて。■ヴァネッサ・ウィリアムスが出演していたこともサプライズだった。この人を見るたびに思うのだが、「天は二物を与えず」なんて、完全にウソである。■僕にとっての更なるサプライズは、冒頭のBGMがボン・ジョヴィだったこと。僕が敬愛して止まないミッキー・ロークとボン・ジョヴィのコラボが実現していたとは、至上の喜びだ。他にもLAメタルの残党どもが楽曲を提供していて、かつてメタル兄ちゃんに憧れた僕としては、居心地のいい映画ではあった。■何を隠そう、ミッキー・ローク目当てでレンタルした一本である。この点数には、僕のミッキー基礎票が加わっていることをお断りしておく。
[DVD(字幕)] 6点(2008-10-10 00:28:41)
3.  バーフライ 《ネタバレ》 
■まずは、ミッキー・ローク、金獅子賞おめでとう!■呑みながら映画を観ると後日内容を思い出せないことが多いので、最近は素面で観るようにしていたが、この作品に限っては、なんか呑まなきゃ悪い気がして、バーボン嘗めつつ観賞した。■主演の二人とも、とってもいい演技だと思う。まぁ、キャラ的にハマるのは当然と言えば当然の二人なワケだが。■二人が出会ってからラストまで、どのくらいの時間が経ったことになってるんだろうか?なんかたった数晩の話にも読めてしまうのだが。仮にそうだとしたら、あれだけ二人の絆が深まり、むしろそれがテーマとなってしまうのには無理があるんじゃないか、とは思った。■私が贔屓にさせて頂いておりますミッキー・ロークは、この辺からセクシー男優から演技派への脱皮をある意味露骨にはかる(当時その目論見は、外れた、というか、握り潰された感があるが)。この度ヴェネチアで随分ロックな言動・行為をしてしまって、ヴィム・ベンダースに「君は男優賞だって獲れるのに」と、ある意味最高の褒め言葉をもって嘆かれてしまったらしいが、「ロックな演技派」ミッキーの原点ともいえる本作、ちょっと感慨深いものがある。■フランク・スタローンが出てたけど、僕はシルヴェスター・スタローンも好きで、この二人は以外にも仲がいいらしく、ファン心理としてそれを示唆する情報を目にすると嬉しくなってしまう。ボクシングに深い縁があるという共通項はもちろんだが、スタローンが『クリフ・ハンガー』のキャンペーンで来日した時、何げにミッキーが同伴していたそうだし、『追跡者』の敵役はミッキーのアプローチによってゲット・カーターしたそうだ。なんとな~くだが、本作の「愛すべきゴロツキ」的役作りに『ロッキー』のそれをヒントにした部分も、少しはあったんじゃないだろうか。■フェイ・ダナウェイは当時50近いはずだが、(脚はもちろん)何とも魅力的なのは、さすがである。
[DVD(字幕)] 7点(2008-09-19 00:37:03)
4.  バンテージ・ポイント 《ネタバレ》 
■←この表示があるにも関わらず、ついつい観賞前にレビューを読んでしまう方、この映画は間違いなくそれをしてはいけない作品の一つである。■アメリカ大統領が暗殺される映画となると、2時間を優に越える大作かと構えてしまうのだが、あっさり90分でスカッと終わってスカッと楽しめた。推理サスペンスは本来、極端に言ってしまえばプロットの構造だけが重要なわけだが、ここまで枝葉末節をバッサリ切ってこの尺にまとめ上げてしまう力技は、『フォーン・ブース』を連想させる。■デニス・クエイド演じるバーンズは、己の「仕事」としてこれを全うしようとしているのに対して、一方のテロリスト側は歴史とか宗教とか、もっと広範な問題意識を抱え込んでいる。端的に言えば、バーンズの敵は自分自身で、テロリスト達の敵は(欧米)世界だ。だから、スアレス(テロ側の頭目)の最期のセリフで、それまでの10数分バーンズに感情移入していた観客は、突然無限の空間に放り込まれたかのような、居心地の悪い思いをさせられるのである。この、何というか、情念の質のギャップみたいなものが、この作品のもう一つのテーマか。■カーチェイスは迫力充分。近年でも出色の出来。■デニス・クエイドは顔が引き締まってて、一瞬往時のハリソン・フォードかと思った。アイェレット・ゾラーは初めて見たが、魅力的な女優さん。
[映画館(字幕)] 7点(2008-03-15 16:17:49)(良:1票)
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