1. 八犬伝
《ネタバレ》 曲亭馬琴が「八犬伝」捜索する<実>の世界と、八犬士の誕生し玉梓の怨霊と戦う<虚>の世界を、実に丁寧に組み合わせた娯楽映画。 長尺ですが飽きることなく楽しめました。 馬琴が芝居小屋の奈落で「四谷怪談」の作者、鶴屋南北と交える、虚実の論争がこの作品のキモだと言えるでしょう。 馬琴の妻・お百を演じた寺島しのぶさんの最後のセリフが最高です! [映画館(邦画)] 9点(2024-10-27 11:19:46)(良:1票) |
2. バビロン(2022)
《ネタバレ》 映画についての映画であると同時に素晴らしい青春映画だと感じました。 クライマックスの様々な映画のショットが重なっていく、イメージの奔流が素晴らしい。 サイレント映画時代のハリウッドが実際にあれほどの無秩序な狂騒状態にあったかどうかはともかく、 夢と欲望が渦巻く中で一度は成功を掴みながら、人間の尊厳を失うことを良しとせず別の世界へ行ってしまう者。成功の称賛に酔いしれ破滅する者。かなわぬ愛のために破滅寸前の体験をする者。栄華を極め、狂騒とそれなりの折り合いをつけていながらも未来に失望し、自ら死を選ぶ者。 強烈な個性を叩きつける登場人物の生き方を見ながら、度合いはどうあれ多くの人々が経験した青春期の狂騒の熱を、自分と友人たちはどう過ごしていたか。憧れのあの娘は…。あいつは、あの娘は、今どうしているのか?今の自分はどうなんだ?そんな思いが沸きあがります。 主人公が妻子を連れて撮影所に帰ってくることができたエンディングが、ハッピーエンドのようでほろ苦い。自分の青春を登場人物に重ねて、胸がつまるような作品でした。 [映画館(字幕)] 9点(2023-02-18 18:07:51) |
3. バンブルビー
1987年が物語の舞台となっていて、映画としての手触りがとても80年代風なのはそのせいかと思って見ていたら、バンブルビーのラジオからウィアードサイエンスが聞こえてきて、その瞬間にガツンと気がつきました。 この手触りはジョン・ヒューズ監督作品のものだと。 主人公と母親の関係、再婚相手の義父との関係、その連れ子である弟との関係、彼氏志望の男の子との関係など、それらの手触りがとても優しい。 ラストの誰もケガしないカーチェイスなど、面白くて優しくて。 まさにジョン・ヒューズ監督のタッチ。 VFXも素晴らしく、スぺクタクルでありながら、とてもよくできた人情コメディだと感じました。 [映画館(字幕)] 9点(2019-03-23 18:46:05)(良:1票) |
4. 白鯨との闘い
《ネタバレ》 人間が踏み込めない領域が存在し、さらに人間が踏み込んではいけない領域がある。前者はクジラが暮らす大海原であり、後者は遭難した男たちが生きるために取らざるを得なかった行動。それらへ無自覚に踏み込んでゆき、奇跡的に生還した者たちの実話に基づいた物語です。 『白鯨』は映画でしか見ていなかったけれど、本作を見たおかげで原作を読みたくなりました。アメリカ人の文学的素養の元ともいえる小説で映画『ディープ・インパクト』の作中でロバート・デュバルが「最近の若い奴は、『白鯨』は知ってますよっていうけど、映画で見ただけでちゃんと小説を読んでない」ってグチるアノ「白鯨」を。 [映画館(字幕)] 8点(2016-01-19 01:25:21) |
5. パシフィック・リム
《ネタバレ》 東宝チャンピオン祭りの頃のゴジラ映画の様な、スカスカのプロット。 カイジューとのバトル中にヘリコプターなどの通常兵器が参戦しないのも、 チャンピオン祭り並み… (多分)映画史上最も盛り上がらない、主要登場人物の自爆。 なんでこんなんなっちゃったのかなぁ…。 [映画館(字幕)] 3点(2013-08-29 21:19:07)(良:1票) |