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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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1.  ヒックとドラゴン 《ネタバレ》 
卑怯だわぁ。あのドラゴン、まるでネコじゃん。ネコ好きのハートをがっちりキャッチ!みたいな。ヒロインはツンデレだし、クライマックスは怪獣映画だし、ビジュアルは良いし、3Dの効果とあいまって鳥肌が立つような飛翔感だし。色々と卑怯過ぎて降参。お話はオーソドックスな少年とモンスターとの出会いパターンですが、盛り上げ方が大変に上手いです。ドラゴンと共に大空に舞い上がる瞬間、ヒロインの心が転じる瞬間、そして絶体絶命の危機から反撃に転じる瞬間。待ってました!とばかりにバーッと盛り上がるキモチ良さ。その、魅せるCGっぷりは、ピクサー作品をも凌駕する至福の美しさに満ちております。一方で、主人公が最初にドラゴンを傷付けた、その報いのように同じ状態になって物語が閉じるのは、戦う事の痛みを描いていて、ちょっとビターな切ない余韻も残します。情感を持たせながら無駄なく組み上げられた見せ場の数々、一級のエンターテイメントを送り出してきたハリウッド産だからこそ到達できた、至高の娯楽アニメーションでした。【追記】この映画の虜になって回を重ねて結局57回。公開日にこのレビューを書いた時には、自分の中でここまで大きな存在になるとは思ってもいませんでした。映画オタク歴35年半にしてベストワン更新しました。
[映画館(吹替)] 10点(2010-08-07 14:20:05)(笑:1票) (良:3票)
2.  美女と野獣(2017) 《ネタバレ》 
 見始めてしばしは「アニメーション版の単なるベタ移植なら、実写映画にする必要は無いんじゃないかなぁ」と思ってました。ストーリー的に変わったところも無いし、曲も一緒だし、って。  それにエマ・ワトソンはベルのイメージとは違う気がしましたし(エマは永遠の少女みたいな印象で、それなりに成熟した感のあるベルに比べると幼いんじゃないかと)、野獣の顔がハンパに優しさを醸してる、野獣としてのシャープな凶暴さが足らないんじゃないかとも。   でも、映画が進むうちにどんどん惹き込まれていって。キャラクターやエピソードがそれぞれアニメーション版に忠実でありつつ、もっと踏み込んでいる、もっと深いところを探っている印象なんですよね。展開もアニメーション版に忠実であるがゆえの唐突さ、あっけなさがあったりはするのですが(ベル、あっさり野獣に心を開き過ぎ)、1つ1つの事柄にひと手間かけて奥行を与えている、丁寧な仕事してます、という感じで、それが更なる深い感動を生んで。  特に野獣とお城に住まう存在に対して更なる愛情を注いでいるように思え、それぞれのキャラクターが描くドラマが面白く、クライマックスの城に侵攻してきた村人達への反撃シーンの盛り上がりも更にエキサイティングで。  野獣はアニメーション版では正直なところ、ラストで人間に戻った時に「誰だよお前」って思ってしまったのですが、今回は目が一緒なので、ああ、野獣が人間に戻ったんだな、って流れを感じられました。そういうところは実写の強みですねぇ。  エマは、どうしてもハーマイオニーのイメージは拭う事ができませんが、色々な表情を見せて彼女ならではの魅力的なベルを創造していました。  そしてガストンは更にクズっぷりが増して。   美術は2014年のフランス版の退廃美も印象的で魅力的でしたが、こちらは王道の美しさといった風情。画面に溢れる色彩の情報量に目が眩みます。全体的に映像が暗めなのが少々残念。   観終わってみれば、オリジナルのアニメーション版の総てをバージョンアップしてみせました、という印象。これぞ『美女と野獣』なナンバーの晩餐会のシーンやダンスシーンはアニメーション版を超えたとは言い切れないものの、新しいナンバーの追加も含めて全体的に手を加えて厚みと奥行きが生まれています。クラシックとなりつつあるアニメーション版とは別に、今のテクノロジーで更新された実写版を心の底から楽しみました。これが今のディズニーの力なのだなぁ、って実感できる映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2017-04-21 20:55:03)(良:3票)
3.  ピクセル(2015) 《ネタバレ》 
 超限定的な名作。  『シュガーラッシュ』『スコット・ピルグリム』同様、ゲーマーでないと本当の面白さが判らないという点では同じですが、ハリウッドメジャーな娯楽映画でありながら、その間口は更に狭く。  新風営法施行前のゲーセンで夜を明かしたようなゲーマーにとっては夢のような映画で、そしてそれ以外の人には理解し難い領域を描いているのですよね。だからそこには単なるノスタルジーではなく今に続くモノが込められている、なんて事だって当時からリアルタイムにゲームの進化を見続けている人間以外にはなかなか理解できないでしょうし、あくまで夢物語でちっとも教訓としてオチてない点からして、ちゃんと映画として見て欲しいなんて思ってもいないのだろうなぁ、と。    8ビットのレトロゲーを(あくまで個性を損なわずに)現代の映像テクノロジーでこの世界に出現させる、その素晴らしき世界を誰が否定できるでしょう? メインタイトルとエンドロールを飾るうっとりするようなフォントの美しさ、ラストのQバートの選択だって、あれはゲーマー的にとっても正しいのです。あくまであっち側はあっち側でしかないのですよ、なんて当たり前の退屈な描き方は望んじゃいないわけです(その点、ちょっと残念だったのは字幕がちゃんとゲームに詳しい人の監修を受けていないっぽかった点。「創世記の香りがする」って訳、その「ジェネシス」はアメリカ版メガドライブの事を指してるんじゃありません?)。  で、んなこたぁフツー理解できないでしょ? ある種の断絶を生む映画ではあるわけです。   結局、映画を映画のみで語る事には限界があるのでしょうね。私にとってテレビドラマ映画やテレビアニメ映画の殆どが理解できないシロモノであるのと同様に。だからこれ、映画として云々でなくて(もはやコレを映画として語る事に意味があるとすら思えません)、当時のゲーマー、当時からのゲーマー限定でお薦め。   ちなみに、でも私はこれらのゲーム、ヘタクソでした。『ゼビウス』ならカンストまで行けたんですけどね。
[映画館(字幕)] 9点(2015-09-16 21:48:14)(良:2票)
4.  ヒューゴの不思議な発明
物語やエピソードは必ずしもちゃんとした流れが作られておらず、例えば公安官から逃げて窓の外にぶら下がるシーンではハロルド・ロイドへのオマージュ以外の、物語的に次に繋がる有機的な展開を与えるような事がなかったりして、話としての弱さを感じたりもするのですが、この映画全体こそが仕掛けられた装置なのでは、と思います。これは「ハードウェアとしての映画」についての映画。人の手によって動かされ、与えられた役割を果たすオモチャや人形のゼンマイ、時計の歯車、汽車の車輪、そしてカメラと映写機のクランク。回転する装置よって紡ぎ出されてゆく世界。あの人形に象徴されるように、物体が人の想いを得る事で心を持つ。映画がただ作品=ソフトウェアとしてのみで完結している視点からは決して生まれ得ない、ちょっとフェティッシュな作品であると思います。この映画がプロの人々が選ぶアカデミー賞で作品賞にノミネートされた理由が判る気がします。観客は与えられたソフトウェアとしての作品に触れているのですが、撮影現場ではハードウェアに生命を吹き込んで初めて映画が動き出すのですから。アタマだけ、感覚や理屈や理論だけで映画が撮れる訳じゃないですもんね。物理的作用の賜物。特殊音響装置であるセンサラウンドがきっかけで映画を好きになった私なので、3DやCGというメリエスの精神の延長線上に存在しているギミックを駆使し、見世物装置としての視点から映画を捉えたこの作品には、とても心躍り、動かされるものがありました。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:20:13)(良:1票)
5.  ヒア アフター 《ネタバレ》 
【必ず鑑賞後にお読み下さい】  実はただの恋愛映画じゃないかと。最後に男と女が結ばれるまでを描いているだけ。そして、だからこそとても大切な話で。一人の人間が繋がっていた人。その繋がりが永遠に絶たれた時に心にいっぱいの感情の波が押し寄せて、それを抱えて、その重さを抱えきれずにそれでも生きていて。じゃあ、この世界でひとりひとり、そんな重さを他人と共有できるのだろうか? 自分の重さと他人の重さとを分かちあって生きてゆけるのだろうか? 新たな繋がりを構築できるだろうか?って。そして、その受け止め分かち合って繋がる事が結婚というものなんじゃない?みたいな。主人公が料理教室へ通ったのはあまりに唐突にも思えますが、そこで彼は家庭を築く事を願ったのではないでしょうか。そしてペアを組んだ彼女とは、だけどその重さを共有し、分かち合う事はできなかった、まだあまりに未熟だった、と。人が生きる中で背負った思いの重さ、それをしっかり理解し、受け止めた上で繋がってゆく覚悟を描いた話かな、って。最初はスピルバーグ的お気楽ファンタジーか、「信じる者は救われる」的宗教観の映画かと思いましたが、やはりイーストウッドがそんなに安直なものを撮る訳はありませんでした。死後の世界や死者との対話は、人の心を映すための素材。死んだ人を語る事で生きている人の存在を浮かび上がらせるためのもの。「イーストウッドでオカルト映画?」なんて思ってしまって読みが浅かったですわ。サンフランシスコ、パリ、ロンドンを独自のタッチで描き分けるようなゆとりも見せる(『トラフィック』みたいに露骨なのじゃなくて)イーストウッドですが、最近のシンプルにして深みを見せる老練ぶりは、やはり刮目しない訳にはいきません。しみじみと映画を堪能させて頂きました。
[映画館(字幕)] 9点(2011-02-20 16:35:28)(良:3票)
6.  響 HIBIKI 《ネタバレ》 
 これ、あんまり期待してなかったわさ。「天才の物語」って、いかにもマンガ由来の絵空事って毎度のイメージでしょ?  マンガの世界はホントに天才だらけ、でも映画の世界がイコールである必要はあるの?みたいな。   で、感想。天上界からやってきたような響の孤高の視点が、常識とか慣例とか体面とか言われるつまらないモノを破壊して、そこに隠されていた創造の悦びが露わになってゆく、そのサマが気持ちいいの。  その破壊が暴力ってカタチで表されるのは短絡的にも思えるけど、でも創作とは闘争である、って明確に主張してるんじゃないかな。   響が書いた『お伽の庭』は実体のない、マクガフィンでしかないモノなんだけど、そこに無限の想像が拓けているように感じるわ。それがどんなものなのか、想いを巡らせるコトができる、っていう。   平手友梨奈が素晴らしい存在感で。喜怒哀楽に乏しい、愛想のない状態でメチャクチャなことをやらかして、でもだからこそ、たまに見せる笑顔がとても魅力的。響ってキャラに相応しい逸材だと思ったわ。   月川監督、『君の膵臓をたべたい』や『センセイ君主』に比べると、大人の世界の描写が多くて、そしてそこがちょっとハリボテ感がしてしまうのが残念。文壇とかマスコミとか描くと途端にインチキ臭いし、何よりつまんない画になっちゃう。さすがに高校生を描く部分はいいのだけどね。  ついでに小栗旬は月川作品ではいつもオーラゼロで登場するのが面白いわね。   小説ってモンを書いた事のある、文字で世界を創造して自分を表現してゆこうと苦心した人間にならばよーく判る世界がそこにあって。最初から最後までのめり込んで意外なくらいに楽しめたわ。   ただ、ええ?それで終わり?みたいなエンドロールの出方っぷり。続編は当然あるのよね?
[映画館(邦画)] 8点(2018-09-19 21:00:58)
7.  百円の恋 《ネタバレ》 
 試合後、鏡でボコボコになった自分の顔をしばし見てから部屋を出るシーン、あそこで終わってくれ、頼むから外で男や家族が待ってたりしないでくれ、って思ったんですけどねぇ・・・  ほら、泣いて弱さを見せるのは「世界一まずそうなステーキを食べるシーン」で一度やってるわけじゃないですか。あそこだけでいいんじゃないんですか?と。  1つのドラマとして結論付けて〆ておきたかったのかなぁ。そこが個人的には残念。   でもね、やっぱり安藤サクラが凄いんですよ。  『ペタル ダンス』やNHK『野田ともうします』での普通なカンジから『その夜の侍』や『愛と誠』でのかなりヘンなカンジまで自在にこなして、今、最もカッコいい女優だと思ってるんですけど、これはその集大成みたいな作品で。もう冒頭のダルダルな状態からクライマックスの闘いまでめちゃくちゃカッコいい。   妹と喧嘩して寝巻のまま家を飛び出した、そのパンツ透けてる大きなお尻のみっともなさから、闘争心剥き出しにしてリング上の相手に向ってゆくまで、クズな男ども(ホント、この映画、登場する男は全員クズっていう)をぐいっとねじ伏せてゆきます。  クズの中でのたうちまわって這い上がる美しき女神、こんな役、他に誰がこなせるでしょう?  映画の、70年代の安っぽい邦画風だったり、安直な『ロッキー』や『ランボー』のパロディみたいになっちゃってたりする部分までも救済してしまう存在感。   昔から「脱いでぎゃーって叫んでれば評価されちゃう日本の女優」みたいな風潮はありましたが、彼女こそは脱いでぎゃーって叫んで圧倒させる本当に凄い女優。凄まじいプロ根性ではありました。
[映画館(邦画)] 8点(2015-02-11 23:23:08)
8.  ビッグ・アイズ 《ネタバレ》 
 カラフルな映像の中からやがて浮かび上がってくるのは2つの色。青と赤。  青は冷たく赤は熱い、というイメージですが、ここでは青は孤独の象徴であり、だけど一方でヒロインの創作の源となるヒロインの世界の色。赤は陽性ではあるけれど、その青の世界に浸食してくる、ヒロインの世界を様々な形で乱す色。  画面の中の青と赤の置かれ方がとても気になる映画です。   サラリサラリとした軽い語り口の中に織り込まれたヒロインの芸術に対する思い、繊細さ、弱さ。芸術の価値を辱めてゆく無遠慮な俗物。ティム・バートンがシンパシーを抱くのも当然という感じで、心が色彩という形に表現されて映画に昇華されているのがとても沁みてきます。   白塗りジョニー・デップもヘンなテンションのヘレナ・ボナム=カーターも出てこない、久々にその世界を堪能できるティム・バートン作品でした。
[映画館(字幕)] 8点(2015-01-25 19:21:07)
9.  100歳の少年と12通の手紙 《ネタバレ》 
予告編を見た限りでは昔からある伝統的とも言える「病気の少年の悲しい映画」かと思ったのですが、色々とヒネってあってなかなかに魅せてくれました。人の一生をたった12日間で駆け抜ける映画、世界は病院と教会とおばさんの家だけ。期限の迫った少年が唯一心を開いた赤の他人な口の悪いピザ屋のおばさん、彼女が語るホラ話と容赦のない人生の教訓は、少年だけでなく、彼女自身にも、映画を見ている観客にも様々な「生」の姿を投げかけてゆきます。ほんの束の間、親となり、師となり、先輩となり、友人となり、そして最後は娘となって少年を送るおばさん、その短い間、狭い世界に「人生」が詰まっています。そして、最も重要なポイント、その最後は死である、誰も等しく死を迎えるという事実を、神という存在に力を借りて描きます。感傷的ではなく、かと言って残酷でもなく、そして「信じる者は救われる」的な安易な救済でもないカタチで「死」という防ぎ様のない到達点に向き合うこの映画、少年が生きた最後の12日間の視点の中に、自分のこれまでの様々な経験を見出す事ができました。ここまで生きて、あともう、人生に残された仕事はそう多くはない自分ゆえ、この映画の語る「折り合い」が素直に納得できるような気がしました。
[映画館(字幕)] 8点(2010-12-23 22:24:43)(良:2票)
10.  秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jp は永遠に~ 《ネタバレ》 
夜中にやっているのをたまに見たり、あとTOHOシネマズのマナー広告ではお馴染みな「鷹の爪団」ではありますが、ほとんど動かないフラッシュアニメを、わざわざ劇場で見る価値はあるのかいなと、ずーっと思っておりました。いやいやいやいや、これがどうしてなかなか、いや、ハッキリ言えばかなりのもので。登場人物の基本的な知識があるのが大前提ではあるのですが、ほとんど動かないソレが描き出す世界の面白さと意外な感動に、すっかり満足させて頂きました。映画内に広告が挿入されたり、画面右側の予算ゲージが映像の質と連動していたり、もちろん基本バカなのですが、バカがきっちり突き抜けて感動領域にまで到達しちゃうのですから凄いです。時事ネタも色々と散りばめてあり、時代性と言うよりももう少し細かい、即時性が出ているあたり、この動かなさゆえの優位点だなぁと感心しました(一方で大々的に予算を消費してしまう山崎貴@白組のハデなCGも挿入されますが)。物語面では、博士は最初から全部計算していたならば、なんで兵器を行使した時点で無効化するシステムを組み込まなかったの?みたいな疑問は湧きますが、有効である事が大前提であるという科学者としての意地があったと理解しておきましょう。さして動かないフラッシュアニメもまた「CG」、『アバター』がナンボのもんじゃい、日本には『鷹の爪団』がいるわ!とすら思ってしまった六本木の夕方。
[映画館(邦画)] 8点(2010-01-18 17:48:00)(良:1票)
11.  彼岸花 《ネタバレ》 
「親の心、子知らず」「親はなくとも子は育つ」そんな映画。自分の意思とは別のところで大人となり巣立ってゆく娘への複雑な想いを、情感とユーモアを交えて描いてゆきます。佐分利信が頑固親父でありながら、気が付けば周囲の女性達に振り回されっ放しなのが可笑しくもあり、哀しくもあり。祇園の母娘なんぞ、耳に心地良い関西弁で最高ですなぁ。さて、小津作品で毎回反復される「画面奥に切り取られた空間を横移動する人」「椅子のある空間、ない空間」が今回も当然の事ながら登場するのですが、も、もしかしてそれって結構深い意味があるのでは?なんて今になって気付き始めたり。「画面奥に~」は家に対する外側、つまり社会の象徴、「椅子」は畳の床続きの状態が、人と共有される事で家族を象徴する空間なのに対して、一人で腰掛ける状態である事で個人を象徴してるとか? うう~ん。漫然と映画を見ていないで、もっとアタマ使って見ないとあきまへんなぁ。それはともかくとして、この映画は時代と共に変わりゆく意識を描いておりますが、今は逆にこの頃の意識に立ち返る必要も出てきているんじゃない?という世の中でして、個人主義も行き過ぎると大切なものまで失いかねないのではないかなぁ、と同窓会の面々の表情を見ながら思うのでありました。
[DVD(邦画)] 8点(2006-07-11 01:17:15)
12.  陽のあたる教室
リチャード・ドレイファスが老けまくっちゃった!という衝撃が強い映画ですが、それはともかく、文句を挟む余地もないなぁ、って感じで感動的でした。教師として夫として父として成長してゆくホランド先生の30年、時代時代を映してゆく生徒達の姿を素直に見られて。脚本の分配に多少バランスの悪さが感じられる部分もありましたが、全体的には満足です。ホランド先生、最初に夢見た生活とはかけ離れていたけれど、とても幸せな人生でしたね。
[映画館(字幕)] 8点(2003-12-20 15:50:05)
13.  ビッグ
家からたたき出されて、なんとか宿を見つけて迎えた最初の夜のシーンが好きです。不安で孤独で銃声や悲鳴まで聞こえてきて、たまらずに泣き出すって。うわー、トム・ハンクス上手い!って感じ。友達の男の子もやたらに上手かったんですけど、彼と同レベルの子供を演じられる、という事で。内面が子供のトムのリアクションは、最初のうちこそはづかしー、って感じなんですけど(白にキラキラなタキシードとか、ヤングコーンかりかりとか、キャビアおえええとか)、そのうち、ヒロインと同じように、彼が他の大人よりも魅力的な人間に見えてきます。大人になって捨てたり忘れたり見失ったりするものの中に、実は大切なものがあるのかもしれませんね。ラストの寒くて淋しい色彩が印象に残ります。
[映画館(字幕)] 8点(2003-12-20 14:51:38)(良:1票)
14.  病院坂の首縊りの家 《ネタバレ》 
最後の市川=石坂金田一作品は、色々と盛り込んでいた前作の『女王蜂』から一転、虚飾を一切排除した、鉛色に沈んだ映画でした。悪く言っちゃえば、とってもジミ。若い人々のドラマを中心にした事で、世代の移り変わり、去ってゆくものの淋しさを感じ、シリーズの終焉にセンチメンタルな気分。一貫して人の業と、その悲しみを描いたシリーズだけに、この最終作はその終わりに相応しいドラマを描いて幕を閉じたと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2003-11-22 14:08:13)
15.  ビブリア古書堂の事件手帖 《ネタバレ》 
 文学的なるものの映像化、という点で、とてもよくできた映画だったと思うわ。  文学世界を映すような、静かでしっとりした映像にウットリ。   過去部分の、東出昌大と夏帆のドラマの、ひたすら抑制された演技、淡い色調、明確なコントラスト。どれもとても美しく。  それに対して現代部分の、黒木華と野村周平のドラマはモノトーンとカラフルの対比、静と動の対比で面白く。  ここまで気持ちいいレベルのライティングの映画って、なかなかないわ。   そういう、技巧を凝らした世界の中で文学について奥行き深く探ってゆくような作風がとても楽しく、また心地良く。   肝心のクライマックス部分、真実が明らかになる部分が、なぜかとても陳腐になってしまって、あそこさえなければ今年のベストテンに入るくらいに良かったのに、って感じで本当に残念。なんであの伏線が張ってあった仕掛けをオチにしなかったのかしら? アレだけで十分で、その後のカーチェイスと堤防のアクションは完全に蛇足、アレで映画がすっかり弛緩しちゃったわ。   それでもここ最近の邦画の中ではかなりハイレベルな作品ね。他が酷いの多過ぎなのだけど。  そうそう、これを見る前に森田芳光の『それから』を見ておくべきなのかもしれないわ。アタシは見た事がないのだけれど・・・
[映画館(邦画)] 7点(2018-11-01 20:21:15)
16.  羊と鋼の森 《ネタバレ》 
 ピアノの調律師の物語ということで、当然、音がとても重要になるのですが、その点はキチンとしている映画でした。  散りばめられた環境音と、その中から立ち上がってくるピアノの音。その音色こそが主役だということがわかってる、そんな音響デザインが良かったです。   主人公は人並み外れた、天才的な才能の持ち主、みたいなマンガ的な(でも、よくある)設定ではなくて、ごくフツーの人で、学び、間違い、悩み、不器用に道を進んでゆく、っていうのもいいです。   調律師が音に真剣に向き合う、その繊細さ、調律された1音1音が奏者の手によって旋律を奏でてゆく、その美しさ。  音が世界を表現してゆく過程を、人の拘り、努力を通して描く、しっとりと流れて染みる映画でした。   ただ、間を取り過ぎている感じで、リズム感なし、みたいな状態になってしまっているのはちょっと残念ですか(リズムについても言及してる映画なのに)。スローなだけでリズムが無い訳ではない、と言えない事はないのかもしれませんが、スロー過ぎると流れが崩れる部分が出てくるわけで。  そのスローさの中では主人公もトロい、じれったい人間、みたいに映ってしまいますし。とりあえず、物を貰ったら「ありがとうございます」は先に言っておこうよ、みたいな。その言葉が出るまでに時間がかかり過ぎるので、結構失礼なヤツに見えますよ。   不満点が色々無い訳ではないですが、真面目に作られている映画なので、そういう点をちゃんと見るべきかな、と思いました。   ちなみにピアノの音が森を映すのは、主人公があくまで森に生まれ育ったがゆえの独自の心象風景ですよね。都会生まれの私には、ピアノの音は街や人を映すものだったりしますし。
[映画館(邦画)] 7点(2018-06-13 21:17:57)
17.  昼顔(2017) 《ネタバレ》 
 見終わった後の疲労感も含めて、ある意味、戦争映画。恋愛という名の闘争の物語。愛が敵を生み、愛によって闘い、傷つき、ぼろぼろになって、そしてじゃあ、誰が一体勝者だったのか?という。   人と人とのふれあいと摩擦、そのヒリヒリとした緊迫感と共に、様々な要素がその舞台を創造してゆきます。ホタル、星空、川の流れ、バス、自動車、自転車、電車、線路、オートロック、指輪・・・。それぞれが意味を持つものとして帰結してゆくのが面白いです。バスは繋がりを示す一方、自動車は不穏な存在、みたいに。頻繁に登場する料理が心理を映しているのもポイントで。一人暮らしであっても自分のために欠かさない料理はヒロインの生を示し、その失敗は乱れた心を示して。   上戸彩の、決してキレイではないドロドロとした感情を表す演技をカメラや演出が上手く拾ってゆきます。最初は細かいカット割や動き回るカメラが煩わしく感じられましたが、慣れてゆけばそれにも意味があるのだと。   ただ、場を盛り上げようとする音楽がやかましく、またアレンジを変えてインストで3回は流れる金井克子の『他人の関係』が自分の世代からするとふざけているようにしか思えないんですよね(振り付けのビジュアルが頭に浮かんじゃうし)。曲のタイトルが場面の意味を示しています、っていうのならば安直に過ぎると思いますし。音楽に関してはどうにもセンスが悪いとしか感じられませんでした。音楽全面差し替えしたらプラス1点、みたいな。   あと、ヒロインが身の上話をしたのはオーナーに対してのみなので、ウワサ話が広がった時点でオーナーに疑惑を持たなかった(ように思えた)のが疑問でした。   幾らかひっかかりはあるものの、役者の存在感と全編に張り巡らされた技巧によって、ドロドロとした不倫物語が見応えある愛の闘争の物語へと昇華された作品でした。
[映画館(邦画)] 7点(2017-06-20 20:18:15)(良:1票)
18.  ピートと秘密の友達 《ネタバレ》 
 ディズニーらしいシチュエーション、王道のファンタジー。ただ、このジャンルはもう無数に作品が存在していますから(『E.T.』『スプラッシュ』『ショートサーキット』『ハリーとヘンダスン一家』『マイティ・ジョー』『アイアン・ジャイアント』『ミラクル7号』etc...)、それらに比べてこの映画ならではの優位点、個性があるかというと、ちょっと弱い気がします。個性としてはカントリーミュージックくらい?   少年ピートとドラゴンのエリオットの関係は短い時間ながら濃密に描かれ、ゆえに森を離れてからのエピソードの数々が涙を誘います。ですが、楽しい時間が少なくて、物語の行く末に不安を抱かせる時間が長いので、最終的にはそこから解放されるものの、もう少し楽しい描写をいっぱい入れてあった方が良かったんじゃないかな、と思いました。  また、ピートとエリオットに絡んでくる事になる人間側のドラマはとても薄くて、設定を全然ドラマに昇華していないのが残念な感じ。父子家庭、不仲な兄弟、現実主義的なヒロインとかつてドラゴンを見た父。そういう設定が置いてあるばかりでキャラに魅力がある訳でもそれぞれが有機的結合をしている訳でもないという。ブライス・ダラス・ハワードなど『ジュラシック・ワールド』と同じキャラと言われても納得してしまえるような人物造形。   それでもちゃんとファミリー向けの心温まるファンタジーとして成立しているので、印象は悪くありません。人が侵してはいけない領域があるというメッセージもはっきりしていますし、ラストカットなどは「そうあって欲しい、いや、そうでなければおかしい」と思い続けた映像をきっちりと見せてくれますし。   公開3日目、冬休み期間中の日曜朝の日劇で観客数30人ほどっていうのはディズニー作品としてかなり淋しい状態。こういう王道ファンタジーにお客さんが入らないのは淋しいな・・・
[映画館(字幕)] 7点(2016-12-25 19:59:03)
19.  美女と野獣(2014) 《ネタバレ》 
 物語は大して面白くありません。  ベルの家族の描写に多くを割き過ぎなんですよね。序盤は「いつになったら野獣出てくるんだ?」って状態ですし、中盤はベルと野獣とのコミュニケーションがそんなには描かれておらず、クライマックスは兄達が悪党引き連れてやらかすアクションスペクタクル!になっちゃうし。そのアクションスペクタクル部分は『進撃の巨人』か『ジャックと天空の巨人』か、って感じでちょっとやり過ぎてて映画のカラーそのものを変えてしまっている感じですし。  もっと「美女と野獣」に時間を割り当てて貰いたかったところなのですが。   ヴァンサン・カッセルとレア・セドゥというキャスティングもちょっと新鮮味に欠けちゃう感じ。   一方、さすがゴシック&デカダンの国おフランス製、その退廃的な美術のウットリするような美しさ。もうそこだけで満足しちゃったりして。  人を寄せ付けない森、荒廃した城、その深く沈んだ色、散りばめられた無数の枯葉、そこに置かれる鮮やかなベルの色、泉の色、バラの色。  それこそは「美女と野獣」に相応しい鮮烈なイメージの世界。   ディズニーのカラフルで夢見る愛のお話しの世界とは全く異質で、ダークな要素を多分に含みますが、一方でディズニーのアニメーション映画があったからこそのデザインや映像、作品そのものの在り方も見受けられます。  製作が決定しているらしいディズニーの実写版『美女と野獣』がこの作品の存在を前にどのような映像を出してくるか楽しみです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-11-09 22:18:39)
20.  瞳の奥の秘密 《ネタバレ》 
カメラはフレームの中のフレーム、鏡に映った顔、影が一部を塞いでいる等、凝った映像を見せる一方、スタジアムのシーンではダイナミックに駆け巡って。脚本は過去と現在を行き来しながら混乱はなく、ドアやタイプライター、写真立てなど、物語を動かす小道具を散りばめて。その饒舌なテクニックの披露は素直に面白いと思いました。だけど、なんかひと味足らないと思ったんですよね。例えば、瞳は嘘をつかないとか、情熱だけは変わらないとかって抽象的なセリフと、写真立てに愛する人の写真を飾っていれば、そしてそれをずっと続けていれば愛の証しですみたいな記号、それじゃ納得できないんですね。具体的に愛の情熱を映像として見せて欲しかった訳です。それを打ち砕かれた男、秘め続けた男、それぞれのココロがそーんなには響いて来なかったというのが正直なところ。ミステリーであるという大前提がそれを許さなかったのでしょうけれど(その、重要な二人の男すら物語の最後を迎えるまでは信用できないのがミステリーですからね)、どうせ事実とは異なる映像も混じっている映画なのですから。主人公に小説を書きたいと思わせた動機、その悲劇に囚われ続ける事になる発端、そこがどうも弱い感じがしてしまい、それは被害者の生きた証しが生々しく伝わっては来ないからなんじゃないかな、って。ミステリーとしては面白く出来てる映画ってところで、それ以上のものには思えなかったな、と。
[映画館(字幕)] 7点(2010-10-25 17:09:20)(良:2票)
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1220.87%
2421.67%
31234.89%
431912.67%
548419.23%
654521.65%
745518.08%
829811.84%
91827.23%
10391.55%

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