1. HERO(2002)
《ネタバレ》 ワイヤーアクションは「グリーンディスティニー」でお目に掛かっていたのでそう驚かされなかったが秦軍の一糸乱れぬ押出や宮殿内の人の数は秦王(後の始皇帝)の権力を象徴して確かに人を圧倒するものがありました。話は秦王に近づくために刺客が仕組んだ話とその嘘を見抜いていく秦王の駆け引きの中で進行していく。決してどんでん返しと言うほどの意外性はないけれども策を以て秦王に接近していく刺客の凄みとそれを迎え撃つ秦王の知力・胆力には感心させられ、最後の決断にはやはり感動の涙を抑えることは出来ませんでした。ただ、刺客が秦王を討てる距離にいながら討たなかったのは「長年の戦乱に明け暮れた中国を統一できるのはこの人しかいない、それが唯一人民の苦しみを終わらせる方法だ」と悟るからである。刺客のこのときの判断は正しいと思った。しかし私達は「焚書坑儒」をし「不老不死」を求め「万里の長城」に人民を大動員し一代で滅び去った秦王朝のこの後の歴史を知っている。私はこの秦王に毛沢東を重ね合わせずにはいられなかった。中国を統一し、その後「大躍進」で四千万人を餓死させ、「文化大革命」で二千万人を死に至らしめ、一億人を迫害したと言われる毛沢東はこの後、どんな評価を歴史に刻まれることになるのだろうか。中国人はこんな見方をしないのだろうか? 9点(2004-02-12 01:03:21) |