1. ひかりのまち
M・ウィンターボトムとしては珍しく人間賛歌風に描いた作品ではあるが、元々はTV業界で鍛えてきた人なので、その根底にあるものは「情報を伝える」という行為にあるのだと思う。題材は違うし、作風は大きく変えてしまう。M・ウィンターボトムはこれが出来るからこそ、魅力的なディレクター。本作は確かに美しい映像に、M・ナイマンの荘厳な音楽など魅力的な映画だが、ロンドンの平凡な日常を起伏なく演出し、そういった人々に起こる小さな奇跡を世界の人々に発信するという意味で撮られた作品だと思う。私は素晴らしい映画だと思う。 9点(2002-06-09 11:49:49) |
2. ビューティフル・マインド
結構よく出来ていて、正直驚きました。ロン・ハワードの成熟した演出力がピンポイントに組み込まれていて、凄く見やすい。シナリオがしっかりしていて、地味に複雑なストーリーを上手に整理していて映画の土台がしっかりこの時点で築かれている。全体的には申し分ない出来で、私はアカデミー賞獲得も納得の一本です。しかし、ラッセル・クロウが賞を獲れなかったのはおかしい。 9点(2002-05-01 23:32:46) |
3. 陽だまりのグラウンド
<ネタバレあります>ごめんなさい、正直言いまして私は不愉快な映画でした。昨年、同様の時期に「ペイ・フォワード」なる映画を観ましたが、あれと動揺の不快感がありました。昨年は「パール・ハーバー」などといった不評の映画を差し押さえて、私は昨年のワースト映画に「ペイ・フォワード」を挙げました。何故なら子供たちの扱いが安直過ぎるから。必然性のある扱いなら許容範囲ですが、この映画の描き方も必然性のあるものだと思いませんでした。周囲からススリ泣きの声が聞こえる中、私は不愉快な思いがしてたまらなかったです。勿論、感動なさる方がたくさんいらっしゃることを踏まえています。一方では私はこの映画、今は不愉快な映画なのです。 4点(2002-04-30 17:50:14) |
4. 昼下りの情事
巨匠ビリー・ワイルダーが珍しくじれったい演出を施した傑作。ラストの駅での2人のやり取りのジラし方が大変巧く、最後の最後まで見逃せない。ヒロインの父親を演じたモーリス・シュバリエの存在感なしにこの映画は語れません。確かにゲーリー・クーパーは年配の役者ですが、その辺は流石に名優と謳われるだけあります。難なくこなしています。若き日のA・ヘップバーンも美しく、誰しも彼女のシャンプーを洗い流してあがたいと思ったはず。 8点(2002-04-09 18:34:36) |
5. ビクター/ビクトリア
ドタバタミュージカルをブレーク・エドワーズが上手に第一級の映画に昇華させた秀作ですね。中でもゲイのマネージャー(?)を演じたロバート・プレストンのラストの“ビクトリア”は忘れられない熱演です。近年のこういうミュージカル・コメディーは少なくなっていますが、本当に気分のいい心地よい演出で最初から最後まで乗り切ってしまうあたりはお見事。ですが元気の良かった前半に比べ、後半は少し息切れか。 8点(2002-03-19 14:53:36) |
6. 評決のとき
陪審員制度の盲点を鋭く突いてきた映画。私は同時に日本の裁判制度の盲点についても深く考えさせられたような気がする。この映画で称えられるべきは、やはりデビュー作となったマシュー・マコノヒーの驚くべき演技力と存在感で、特にラストの弁論にはやはり素晴らしい。それとジョエル・シューマカーの芸域の広さには脱帽です、よくぞここまで見せてくれました。 8点(2001-12-15 00:10:51) |
7. ヒート
(↓)の方にありましたけど、パチーノとデ・ニーロはそんなに仲悪くはないと思いますよ。もちろん“私生活”では。でもそれ程、二人は対決する運命にあったという説得力のある演技なんだと思います(いや、思いたい)。まぁこれは正しくマイケル・マンらしい力作ですよね。ただパチーノもデ・ニーロも無理矢理の競演って感じがしたし、挙句の果てには対決までさせなくても良かったんじゃ?と思った。ハッキリ言って、この映画に主役にあの2大スターを持ってきたからと言って、作品全体のクオリティの向上にはつながっていないと思う。ある意味「ディック・トレイシー」でのパチーノとD・ホフマンの共演(あの年功序列もへったくれもないという、パチーノがホフマンに自分の靴磨きをさせるシーン)みたく失笑をさそう共演にして欲しかった。まぁマイケル・マンの映画としては「インサイダー」の方が役者の使い方も、ストーリーも、女性キャラの使い方も上ですね、私の中では。 7点(2001-12-02 10:47:36) |
8. ヒッチャー(1985)
これはある意味映画を観ることに対する勇気を試される映画です。衝撃的なシーンの数々、暗がりの序盤から物語は一気に加速していき一旦話しは終結するかのように見せます。しかしここでこのヒッチャーは終わらない。荒削りな演出、ルトガー・ハウアーのターミネーター的な怪演、これが全て構築した傑作がここにある。 9点(2001-08-15 21:33:02) |
9. ひとりぼっちの青春
なんとも壮絶で悲壮なメッセージ、未来への希望も期待も予感させない終末。絶望とか悲観といった言葉がピッタリなんだろう。同年「真夜中のカーボーイ」に対抗し、9部門にノミネートされながらも助演男優賞{ギグ・ヤング}のみの受賞に留まった。それはおそらくあまりに悲観的な視点で描かれていたからだろう。「真夜中のカーボーイ」も決して明るい映画だとは言わない。しかし本作の方が明らかに絶望感が漂う。そんなメッセージ性が強くも、暗い物語性とは裏腹にそれらをあざ笑うかのように展開される耐久マラソン・ダンス。なんとも皮肉な構図である。やり場のない精神状態、行き場のない絶望感、これらがオープニング・シーンで象徴したのだろう。 10点(2001-07-21 22:59:49) |
10. 羊たちの沈黙
20世紀サイコ・サスペンス映画の金字塔として称えられてもよい名作であると思う。またこのタイトルのつけ方も巧いとしか言いようがない。原作も秀逸らしい(まだ未読です)が、これまた上手い具合に練られた脚本をベースに敏腕監督ジョナサン・デミがサスペンス、サスペンス、サスペンスで押し通した演出も見事。ただこういう静かな雰囲気の映画が苦手な方はダメな映画かもね。でも俺は好きだよ、この映画。 9点(2001-04-29 20:05:51) |
11. ピースメーカー
先日初めて観たのだが、予想してたより結構面白かった。ただ最後の追跡シーンとかジョジクルが車の上を渡って追跡するシーンとか、何の意味があるのか判らないシーンが多かった。あとやたらラストに二人をくっつけちゃう展開が鼻に付く。 6点(2001-04-02 14:15:37) |
12. ビッグ
あのおっさんと一緒にハンクスがキーボードを踏んで遊ぶシーンがものすごく印象に残っている。いや~ホントに頼むからトム・ハンクスよ、この時代を思い出してオスカー狙いのチョイスはやめてくれ。 8点(2001-03-20 23:06:32) |
13. 評決
酔いどれのポール・ニューマン、明らかに賞を意識していたのでしょうか。正直言って、あまり似合ってません。ただ「ハスラー2」でもらうなら、こっちでオスカーをもらうべきだったと思う。 7点(2001-03-20 16:52:22) |
14. 陽のあたる教室
私は“お涙頂戴”とは感じましたが、この映画が描いていることはとても素晴らしいと思います。ドレイファスもgoodだし。(←これはオスカーものと思った)「ペイ・○○○○○」の“お涙頂戴”よりは良い! 9点(2001-03-19 23:45:27) |