1. ピンクのルージュ
艶笑喜劇の国、イタリア映画らしい、基本的に女の強さやしたたかさと それに振り回される男のお話を8話詰め合わせた軽~いコメディ・パックといったところでしょうか。 4人の女優がそれぞれ2話ずつ登場する8話からなるオムニバスです。 エロティックというほどの作品でもなく、あえてそれらしいのはシルヴィア・クリステルの第1話くらいです。 ルイジ・ザンパという監督はなじみが無いのですが、 なぜか脚本には名だたる名監督達の作品の脚本を手がけてきたトニーノ・グエッラの名が。 グエッラさんにとっても息抜き的な作品だったのかもしれません。 4人の女優の中でも、パワフルなコメディエンヌぶりを存分に見せてくれたモニカ・ヴィッティの2話が面白い。 特にロベルト・ベニーニとしゃべくり合戦を繰り広げるお話が一番笑ったかな。 最後のラウラ・アントネッリのお話も面白かったです。軽く笑えて暇つぶしにはちょうどいい映画です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-11-14 16:36:25) |
2. ピンチクリフ・グランプリ
「チェブラーシカ」などと同じく人形アニメらしい素朴な手作り感が魅力なのは勿論のことですが、細部にまでこだわりが感じられるキャラクターの動きから、テーブルや棚に置かれた、あるいは壁に掛けられた室内の日用雑貨などに至るまで本当に良く出来ています。 それらの中で一番素晴らしかったのは、レースのオープニングイベントでのバンド演奏です。ここは作者もきっと自信がおありだったのでしょう。1つ1つのキャラクターが楽器を演奏する表情に手や指の動きが実に自然で、楽しいバンド演奏をたっぷりと見せてくれます。そしていざ、レースがスタート!もう人形アニメであることを忘れてしまいそうな迫力でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-08-06 20:35:22) |
3. ビッグ・ガン
マフィアなど悪の組織から足を洗おうとするが上手くいかず・・・という男のドラマは映画としてはかなりよく見られる話であり、アラン・ドロン自身も「暗黒街のふたり」でも犯罪組織から足を洗おうともがき苦しむ男を演じています。本作は組織から足を洗おうとした結果妻子を失い、アラン・ドロンが復讐に燃える男を演じるという作品ですが、アラン・ドロンはやはり何かから追われる男の役が本当によく似合うし、感情を爆発させず心の内に秘めた何かを感じさせてくれる佇まいがまたいい。この復讐劇の結末、つまりドロン演じる男の運命はこれしかないというところに行き着きますが、基本的に何をやっても絵になる人であり、それは本作のラストもまた然り、なのです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-02-04 15:35:54) |
4. 110番街交差点
これは隠れた力作じゃないでしょうか。暗黒街だった頃のハーレムを舞台に、白人マフィアとハーレムを牙城とする黒人ギャング、これら組織の構成員に警官まで殺害し組織のカネを奪い逃走する黒人グループ。そして捜査に乗り出す白人と黒人の刑事2人。白人と黒人、追う者と追われる者、視点を切り替えながら絡み合う対立軸、ハーレムの人間模様を迫力あるタッチで描き出す。ヤフェット・コットー、ポール・ベンジャミンなど、名作と位置付けられる有名な作品でも印象に残る存在感を示した黒人俳優達の競演も見逃せない作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-29 20:10:17) |
5. ひまわり(1970)
オープニング、青空の下一面に咲くひまわりとマンシーニの音楽の美しさに心を奪われました。(ただ途中、マンシーニの音楽が壮大すぎてちょっと雰囲気と合ってないかな?という気もしましたが)そして物語の途中、その美しく力強く咲くひまわりに隠された悲しい秘密が語られます。エンドクレジットでもどこまでも続く一面に咲くひまわりが映し出され、この作品は終わります。エンドクレジットの最初にアップで映し出されるひまわりは観る我々に戦争の悲惨さを訴えかけているかのように感じました。戦争によって人生を大きく変えられてしまった男と女を演じるマストロヤンニとローレンの名コンビによる名演が実に見応えのあるメロドラマであると同時に反戦映画としても素晴らしい作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-12-22 11:44:14)(良:1票) |
6. ピクニックatハンギング・ロック
《ネタバレ》 実際にあったという今でも謎のままの少女たちの失踪ミステリー。幻想的で神秘的な映像美に引き込まれます。寄宿学校の少女たちが楽しいはずのピクニックに出かける天気のいい午後。しかし、今にも何かが起こりそうな言い知れぬ不安げな空気が漂う。少女たちを呑み込まんとするかの如くそびえ立つ岩山、少女たちの抽象的な会話、そして効果的に盛り上がり、時折荘厳さを漂わせる音楽。それら全てが神秘的で、不安げで、はかなげである。作品全体に漂うこの雰囲気こそがこの作品の大きな魅力となっている。そして少女たちに何かが起こった。何かに導かれるように岩山の奥に消えていく少女たち。本当に神隠しにあったのか、それとも事件だったのか。一人生還した少女の口から何があったのか語られることは無く、作品は真相を探ろうとも推理しようともしない。真相は闇の中だが、それがまた、この作品をより神秘的なものにしていていいのだと思う。 [DVD(字幕)] 9点(2008-11-24 14:57:04) |