1. 無頼の谷
《ネタバレ》 前置きを簡潔に済ませて主人公が復讐相手探索の旅に出るのですが、これが実にあっという間。筋書をダイジェスト説明しているようなものです。一方で、敵の拠点に到達してからは、今度は一転してスローペースになって、特に女ボスとのあれこれはやたらねっとり描写される。よって、最後に向けても迫力が盛り上がりませんでした。大体、こういった役にディートリッヒ姐御を当ててしまうと、こういうぶらっと現れた(それも何か頼りなさそうな)男によろめきそうな気がしないんですけどね。 [DVD(字幕)] 5点(2023-07-17 20:07:40) |
2. 復讐の荒野(1950)
《ネタバレ》 父親が地主で一大ボスなのですが、その父親に娘として愛されながらも、堂々と自分の意見も通すヒロイン。そこにふらりと現れる、格好良いながらも言動は割と勝手で最低な男。これは、ウエスタンの体をとりながら、ほとんど「風と共に去りぬ」の世界です(!)。そこに幼なじみの男とか父の再婚相手の女とかも上手く絡んで、濃厚なドラマを形成しています。全体としては、本来なら連ドラ向きの素材を2時間弱に押し込んでいるので、やや早回し気味の感は否めませんが(絞首の場面などはいかにも唐突です。後で劇的に生かされてはいますが)、それでも、一つ一つのシーンが無駄なくつながっている構築力には、味わい深いものがあります。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-03-23 02:02:05) |
3. 不死身の保安官
《ネタバレ》 いや、これは、面白すぎです。西部事情など何も知らない英国紳士が、銃販売の営業にやって来る、という導入部分からしてニヤニヤしてしまいますが、その後もその設定をフルに使い切っています。その中で、「ワルの二大集団の対立の解決」「先住民との関係の調整」という二大ミッションを達成しつつ、一番大事な(?)「ヒロインとのラブロマンス」も成就するという(作中の人物としても作品の制作としても)難題をクリアしています。しかも一つ一つのネタの仕込みが、いちいち丁寧なのです。最初に下っ端が退治される酒場のシーン、カメラの長回し左右往復で引っ張っておいて、対面してからは相手のワルぶりを画面上も台詞上も強調しておき、いざ事が起きるのは一瞬。このネタ振りと落とし方。コメディはこうでなくてはいけませんよ。そういった例はほかにもたくさんありますが、そのどの場面でも、主人公のブリティッシュ魂が一貫しているのが、作品の強度と、そして笑いを確保しています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-03-19 23:00:57)(良:2票) |
4. 武器よさらば(1957)
《ネタバレ》 戦争を一応ネタとしつつ、描写の対象はほとんどそれとは関係ない、主人公2人のイチャイチャルンルンベタベタキャッキャウフフ(たまにメソメソ)をひたすら追いかけているだけ。これぞメロドラマ、と言いたいが、ここまで何も工夫がないと、それはメロドラマとは言いません。輪をかけてまずいのは、主人公の男に、最初から最後まで、およそ魅力というものが一切ないこと。常時何かあるとニヤニヤ笑っているだけだし、何かと言い訳ばかりしたがるし、よく見ると(見なくても)自分から能動的なことは何一つしていない。これほど魅力のないラブロマンス(一応)の主人公も珍しい、というくらいです。ジェニファー・ジョーンズも、「慕情」のわずか2年後とは思えないほどの老け方で、こちらも残念。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-05-17 00:24:46) |
5. フォート・ブロックの決斗
《ネタバレ》 ウエスタンの体裁をとってはいますが、実際には、カウボーイ上がりの社会内出世物語です。大体、この主人公は、最初から金のことばかり口にしています(笑)。銃撃戦も決闘もほとんど登場しません。それはそれで面白いのですが、逆にそっちの方に振れているわけでもなく、中途半端感が漂っています。また、この展開なのだったら、キーポイントの女性2人をもう少し効果的に使ってほしいところでした。最後はまあ、定石通り敵役との対決にはなるのですが、それも迫力が今ひとつです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-11-16 02:31:30) |
6. フレンチ・カンカン
常時ごちゃごちゃと騒がしく進行する上に、内容的に意味のないやりとりばかりなので、見ていて疲労感だけが残る。肝心の最後のカンカンも、狭苦しい場所で多人数のダンサーがちょこまかと踊っているだけという印象で、肉体の躍動感が感じられなかった。 [DVD(字幕)] 4点(2021-06-17 00:24:22) |
7. 無頼の群
《ネタバレ》 とりあえずは正統派復讐モノの出だし。ただ、序盤は主人公がうろうろしているだけで、なかなか本題に入らない。いざ追跡に入った後も、何というか、あまり格好良くない。復讐モノはそれまでの逆境を跳ね返すところにカタルシスがあるので、もうちょっとその辺を体現してくれないと・・・。●ただ、オチはなかなかトリッキーで、それまでの世界が逆転するという意味において、ミステリーの風味すら漂っています。ここでかなり救われていますが、それならもうちょっと伏線の張りようもあったような。ただ、「シェーン」系の話を裏から見たら実は、という観点で見てみると、テーマとしてはなかなか面白いものを秘めています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-05-26 00:07:38) |
8. プラン9・フロム・アウター・スペース
設定からして、これはもしかすると「グレン」や「花嫁」を上回る、真の意味でのぶっ飛び最低映画を体験できるのではないか?と期待したのですが、単につまらないだけでした。 [DVD(字幕)] 3点(2019-08-01 23:56:18) |
9. プーサン
表現したいものは何となく分かりますが、全体的に雑然としていて未整理で、思いついたシーンを並べて終わったという感じになってしまいました。ところで、若い頃の八千草薫って、烏丸せつこに似ていたんですね。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-01-21 02:50:18) |