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1.  富士ファミリー2017〈TVM〉 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。前作が良かったので見る前は少し不安な面もあったが、そんな心配はなく、むしろ前作を見ているのもあって最初から安心して楽しむことができた。今回も富士ファミリーの面々の日常がコミカルに描かれているが、その笑える中にも前作同様に人間の不器用さや弱さがサラリと、でも、しっかりと描かれているところにこのシリーズの良さがあるし、とても見ごたえのあるドラマになっている。今回、笑子ばあさん(片桐はいり)が幽霊のナスミ(小泉今日子)に聞いた生まれ変わりの合言葉である「おはぎちょうだい」が物語のキーワードになっていて、この言葉がそのまま今回の「生まれ変わり」というテーマにつながっている構成だが、それがなんとも心地よく、見ているうちにこの何でもないような言葉を聞くだけでこちらもなんだか元気に、そして前向きになれる気がしてくる。今回も笑子ばあさんは面白く、冒頭から笑わせてくれていて楽しいのだが、老人クラブで戦時中に白い飯を食べていたと自慢した男(鹿賀丈史)とけんかになった数日後に二人で富士山の見える公園でおにぎりを食べているシーンは思わずしんみりウルっときて、非常に良いシーンだった。また、その直後に炊飯器を開けた鷹子(薬師丸ひろ子)が「炊き立てのご飯ってきれいだな。」と言うシーンを入れるのも印象的で、演出としてもうまかったと思う。その鷹子が有名な占い師になった中学時代の友人(YOU)に再会し、昔のわだかまりを解くエンドロール直前のシーンも良い。また、今回はナスミと新人幽霊(羽田圭介)のやりとりも描かれているが、その会話の中にもサラリと胸にくるような言葉が多く、これも心に残る。そのナスミの分のおはぎを前にした笑子ばあさんの独り言も本気でナスミのことを心配しているのがよく伝わってきて切ない。誰かに必要とされることの大切さや、生まれてきたことのありがたみといったメッセージをストレートに発しているが、今回もそのメッセージがじゅうぶんに伝わり、見て良かったと思えたし、自分はこういう人情喜劇がやっぱり好きなのだろうと感じた。もうドラマとしての続編はないかもしれないが、できればまたやってほしい。見終わっておはぎと炊き立ての白いご飯が食べたくなったことを最後に記しておく。
[DVD(邦画)] 8点(2019-10-13 17:51:39)
2.  富士ファミリー〈TVM〉 《ネタバレ》 
薬師丸ひろ子と小泉今日子、それに片桐はいりの共演にミムラと高橋克実も出ているというこのキャストだけを見れば「あまちゃん」や「梅ちゃん先生」が浮かんでしまうが、もちろんこの2本の朝ドラとは全く無関係なNHKの正月ドラマ。実は木皿泉脚本ドラマを見るのが初めてだったのだが、素直にとても面白かった。富士山のふもとにある小さなコンビニを舞台に、そこを経営する家族の人間模様を描いた人情喜劇で、笑える中にも人間の弱さや孤独といったものをサラリと描いていて、深みがあるし、生きている、ここに存在していることの素晴らしさを感じさせてくれる。そのメッセージがやや直接的すぎる気もするが、じゅうぶんに胸に刺さり心に残った。登場人物の中ではやはり笑子ばあさん(片桐はいり)が面白く、冒頭の食卓を囲んだ富士ファミリーの面々との会話や、幽霊になったナスミ(小泉今日子)とのやりとりが笑わせてくれるのが楽しい。でも、やっぱり、笑子ばあさんとマツコロイド(元は日テレのバラエティー番組に出てきたアンドロイドらしい。)のやりとりが上記のメッセージも出てきて印象深い。鷹子(薬師丸ひろ子)に20年以上同じ日にプロポーズしている雅男(高橋克実)が、ほかの人と結婚するので新居をコーディネートしてほしいと鷹子に頼むのも見え見えなのだけど、それが逆に安心して見ていられる。さっきも書いたが、本当に面白い、見てよかったと思えるドラマだった。続編もあるようなのでそちらも見てみようと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2019-10-06 23:26:58)(良:1票)
3.  フラガール 《ネタバレ》 
最初は「シコふんじゃった。」や「ウォーターボーイズ」、「スウィングガールズ」のようなよくあるタイプの映画かなと思って見始めたのだが、とにかく中盤あたりの紀美子(蒼井優)とその親友・早苗(徳永えり)の別れのシーンあたりからのめり込んでしまい、それまではどこか傍観者的立場で見ていたのにそこから一気に引き込まれてしまった。炭鉱の事故で家族に犠牲者が出て、急遽帰ることを決めたまどか(松雪泰子)たちだったが、小百合(山崎静代)の一言でみんなの前で笑顔で踊ることを決めるシーンももちろん泣けるし、その結果、小百合の父の臨終に間に合わずに責められてまどかがすべて自分の責任ですと東京へ帰ろうとするシーンは、まどかのフラガールたちを思う気持ちが伝わってきてやはりここでも泣ける。このシーンと(前後するんだけど)早苗が父親(高橋克実)からフラのことをめぐって暴行を受け、許せないとまどかが風呂屋で入浴中の父親に殴り込みをかけるシーンは、まどかの非常に情に厚い性格をうまく表現していて、見ているこちらもついまどかを慕いたくなる。だからこそ今まさに列車に乗って東京へ向かおうとするまどかに向かって「私はあなたを心から愛しています。」という手話の意味を持つ踊りで自分たちの思いを伝えるシーンはこちらもフラガールたちと一緒にまどかに思いを伝えている気持ちになって見ることができ、大感動してしまった。(思い出しながらこれを書いていても泣けてくる。)娘のやりたいことについて頭ごなしに否定し、理解しようとしない紀美子の母親(富司純子 初めて登場したときにどことなく東映任侠映画の姉御のように見えてしまった。)がフラを練習する紀美子のところへ早苗からの郵便を届けに来て、フラを練習しているところを見て娘の思いを理解するシーンもベタといえばベタなのだが、二人ともこのシーンでは一言のセリフもなく、二人の表情だけで思いを語らせる演出が利いていて、そのおかげか、この二人にじゅうぶんに感情移入することができ、思わず感動してしまった。本作の中ではこのシーンはいちばん心に残るシーンだったし、このシーンを見るだけでまさにこういうのを映画というんだと実感できる名シーンだと思う。クライマックスのフラのショーは圧巻で躍動感があり、見ごたえじゅうぶんでこのクライマックスも感動的だった。しかし、本作はフラを練習して上達していく過程以上に、フラガールたちと周囲の人々との人間ドラマが深く丁寧に描かれていて、その点で最初に挙げた三作品とは一線を画すような印象があるが、その完成度は高く、人と人との絆の美しさや大切さ、そういったものを見事に描き切っている。正直見る前はあまり期待していなかったが、素直に傑作だと思えるような映画で、本当に見て良かったと感じられる良い映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2016-10-01 16:06:44)(良:3票)
4.  ブラボー!若大将 《ネタバレ》 
若大将が社会人になって3作目。今回は若大将に最初から恋人(高橋紀子)がいる設定だが、冒頭で若大将がふられるという展開は今までなかったので妙に新鮮に感じるし、今までポジティブ一直線だったシリーズだが、今回は上司との衝突で会社を辞めた若大将の屈折や、田能久の金を使い込んでしまう江口などネガティブな部分が描かれていてこのシリーズらしくないといえばそうだが、逆にそれがリアルに感じられなかなか面白かった。前2作でスポーツを描かなかったのが不評だったのか、若大将が大学のテニス部に顔を出すエピソードが学生編を思い出させており、それによって若大将が元気を取り戻すのはこのシリーズはやっぱりこうじゃなくちゃと思わせる展開で見ていて心地よい。今までとは随分毛色の違う作品になっていて、教訓めいた部分もあるのでシリーズの熱狂的なファンから見れば好き嫌いがはっきりと出るとは思うが、ぼくとしてはこの回はけっこう好きだ。最近いろいろ悩んで落ち込むことが多かったので「悩まないやつなんかいないさ。」という若大将のセリフに元気づけられた。少し甘めだけど8点。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-16 13:12:53)(良:1票)
5.  笛吹川
木下恵介監督が「楢山節考」に続いて深沢七郎の原作を基に手がけた時代劇。戦国時代が舞台になると武将や剣豪を描いたものが多い印象だが、この映画では、ある農民の家族の歴史を通して戦国時代を描いている。母親が戦になど行くなというのに対して、息子たちは親方様のためにと戦場へ赴く。この映画はさっきも書いたとおりもちろん戦国時代が舞台なのだが、「親方様」を「天皇陛下」に置き換えれば第2次大戦を描いた反戦映画のように見えるし、木下監督は間違いなく戦国時代の時局にあの戦争の記憶をダブらせて撮っているのだろう。とにかく重い内容で、見終わった後の無常感ももの凄いのだが、木下監督の反戦メッセージがストレートに伝わってくる秀作で、演出的にも合戦シーンでずっと鳴り響く鈴の音の不気味さや、一家の家の前の橋を通る人馬のひづめの音ははなにかを暗示しているようだ。映像的にも実験的な白黒映像に部分的に色をつけるパートカラー(タイトル前の松竹マークのバックのお馴染みの富士山からもうそうなってる。)も効果的で、白黒画面にポツリと浮かぶ赤い炎などが美しく印象的。クライマックスの行列に我が子たちを説得に来た高峰秀子扮する母親が加わってしまうシーンはこの映画の中でいちばん木下監督のメッセージが込められているような気がした。それにしてもこの映画を見ると戦国時代の戦も近代の戦争も庶民の目からすればあまり変わらないのだなと感じられてちょっと恐ろしくなる。ちなみにこの映画は岩下志麻の実質的な映画デビュー作だが、とてもそれを目的にミーハーな軽い気分で見られる映画ではない。
[DVD(邦画)] 8点(2010-04-29 01:18:48)
6.  風船
三橋達也のダメ男ぶりが「洲崎パラダイス 赤信号」よりパワーアップしていて見ていて本当に腹が立つし、二本柳寛の役柄や森雅之演じる主人公の妻もなんか嫌なキャラクターであるので見ててちょっと鬱な気分になるし、ストーリーも川島雄三監督の映画としては暗いと思うものの、そのような状況下にいても明るく健気に笑顔を振りまいている純真無垢な娘・珠子を演じている芦川いづみの存在があることによって、かなりその暗さが和らいでいる。はっきりいって彼女がいるといないとではこの映画の印象は全く違うものになっていただろう。川島監督の映画としては個人的には「洲崎パラダイス 赤信号」や「愛のお荷物」のほうが好みではあるが、芦川いづみに2点ほどプラスして8点。そうそう、劇中出てきた映画館でかかっていた「ビルマの竪琴」の予告編が楽屋オチ的で川島監督らしい。
[DVD(邦画)] 8点(2008-01-23 00:25:37)(良:2票)
7.  武士の一分
山田洋次監督の藤沢周平三部作完結篇。主演がキムタクということでかなり心配だった本作だが、いつもはテレビドラマやバラエティー番組などでかっこつけた印象のあるキムタクが全く違った一面を見せていて、アイドルではなくちゃんとした一俳優として素晴らしい演技をしているのが新鮮に思える。山田監督もこれまでの二本で相当こなれたようでキムタクに媚びることなく自分の作風を前面に押し出して夫婦愛を描いた傑作に仕上げているのはさすがと思う。キムタク以外の出演者で良かったのはなんといっても妻役の檀れい。初めて見る女優だったのだが、この3本の中のヒロイン役女優ではいちばん良かったと思う。キムタクの相手役女優といえば山口智子や常盤貴子、松たか子など既にテレビでお馴染みの人気女優がやることが多い中で、映画初出演の元宝塚女優というテレビではあまり知られてない女優を起用したのは正解だろう。笹野高史も大きな役はおそらく見たのは初めてと思うが、味のある抑えた演技でとても良かった。3本とも同じ点になったが、個人的には世間的評価の高い「たそがれ清兵衛」より「隠し剣 鬼の爪」や本作のほうが山田監督らしくて好きだな。
[DVD(邦画)] 8点(2007-10-11 07:01:48)(良:2票)
8.  冬の華
高倉健のヤクザものを初めて見たけど、やっぱ健さんはこの頃がいちばんカッコイイと思う。個人的に降旗康男監督の映画あまり好きではないのだけど、この映画はかなり面白かったし、いい映画だと思う。クロード・チアリのテーマ曲とラストの小池朝雄を殺す健さんの表情が切ない。チャイコフスキーのピアノコンチェルトも効果的に使われていて印象的だった。親分を演じる藤田進(50年代から60年代にかけて出演した東宝の怪獣映画や黒澤映画で見慣れているせいか、最初かなり老けて見えたけど。)が良い。カラオケで歌い続けたりオロナミンCを飲みまくる小林亜星もコメディーリリーフ的な存在で笑える。 
[ビデオ(邦画)] 8点(2006-01-29 16:57:16)(良:1票)
9.  フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ 《ネタバレ》 
「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」の前後に見た。ほかの方も書いておられるが空港に現れたガイラが逃げ惑う人々をパクパク食べるシーンは夢に出てきそうなくらいトラウマになったシーンだ。闘っていた2匹の怪獣が海底火山に飲み込まれるラストは子供ながらにとても印象的だった。そして自衛隊のメーサー殺獣車はやっぱりかっこいい。
[ビデオ(邦画)] 8点(2005-05-17 12:24:23)
10.  風雲児たち 蘭学革命(れぼりゅうし)篇<TVM> 《ネタバレ》 
みなもと太郎の歴史ギャグ漫画(未読)をドラマ化した三谷幸喜脚本による今年のNHK正月時代劇。前野良沢と杉田玄白による解体新書執筆のエピソードを描いていて、「黒井戸殺し」同様に「真田丸」の出演者が多い(遠藤憲一に至っては「真田丸」の出演者の中で唯一「黒井戸殺し」にも本作にも出てる。)のだが、原作がギャグ漫画ということもあってか、三谷幸喜らしさは「真田丸」よりも出ていたと思う。冒頭のテロップを読み上げる有働由美子のナレーションからして「真田丸」のセルフパロディっぽいのだが、そこで「これは大河ドラマではない。よって時代考証は大雑把である。」と断りを入れた上で「真田丸」とは違った軽めのテイストを強めた作風になっているのが面白い(フルヘッヘンドのくだりなんて大河でやったら暴動が起きそうなレベル。)し、それでいて、志は同じながらも翻訳に対する考え方の違いから良沢と玄白が対立、決裂し、約20年後に和解するまでが丁寧に描かれており、そのあたりドラマとしての見ごたえもしっかりあったのは良かった。のちに歴史に名を遺すことになる人物たちがチラリと登場しているのも、本作が長大な原作のほんの一部分を描いただけであるというのを実感できる。ただ、そういう人物が登場するたびにわざわざナレーションによる解説入るのはちょっとうざったく感じなくもないが。「真田丸」も「黒井戸殺し」も面白かったのだが、やはり三谷幸喜作品はこういう軽めでサクッと見られる作品のほうが好きかもしれない。
[地上波(邦画)] 7点(2018-12-31 17:58:12)(良:1票)
11.  復讐の歌が聞える 《ネタバレ》 
7年ぶりに出所した男(原田芳雄)が、父が社長を務める会社を乗っ取り、家族を自殺に追い込んだ城戸(内田良平)一味を次々と殺していく姿を描いた復讐劇で、話の筋としては同年に加藤泰監督が同じ松竹で手がけた「みな殺しの霊歌」と似ているところがある。ただしこちらは背景のドラマを丹念に描くというよりは、主人公がどんな方法で一味を殺していくかという見せ場に重点が置かれた作品で、「みな殺しの霊歌」よりも娯楽性が強い。殺しのシーンがバラエティに富んでおり、自殺の替え玉や、標的三人が乗っているセスナを故意に墜落させるのはまあ普通なのだが、ラーメンを食べている標的にコショウといって毒を渡したり、入浴しようとした女性の標的を煮えたぎる浴室に閉じ込めて殺すシーンはつい笑ってしまうし、ゴルフクラブの暴発で殺すシーンもあり、とにかく見た目のインパクトを狙った殺しのシーンが多いのが印象的で、二人いる監督のうちのひとりがのちに「必殺」シリーズを手がけることになる貞永方久監督なのだが、ちょっとなるほどと思える部分もある。(永田靖がレントゲン中に刺殺されるシーンで、刃物がレントゲンに映りこんでいるのはとくに「必殺」っぽい。)最後の標的である城戸は激しい殴り合いの末に殺されるのだが、そのシーンを演じる原田芳雄と内田良平の迫真の演技が見ごたえじゅうぶん。ところで、主演の原田芳雄はこれが映画デビュー作とのことだが、既にギラギラした存在感を放っていて、デビュー作らしい初々しさがなく、元々むさ苦しいアウトロー的なイメージのある俳優だが、それがデビュー作から確立してしまっているのがすごい。(当時27歳だったらしいが、これがデビュー作だとは言われないとわからないかも。)一方の内田良平も悪役を好演しているが、この人はやっぱり「十三人の刺客」の鬼頭半兵衛のほうが悪役としては印象深い。「十三人の刺客」といえば菅貫太郎も本作に内田良平の元部下のトランプ占い師役として出演しており、一緒に画面に登場することはないが、時代劇である「十三人の刺客」とは立場を逆転させて現代劇である本作に二人そろって出ているのが面白い。でも、もう一度言うが、やはり本作はデビュー作にしてそのキャラを確立させてしまっている原田芳雄につきる映画だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2013-07-23 23:29:54)
12.  復讐するは我にあり 《ネタバレ》 
今村昌平監督の代表作の一つで、実在の連続殺人犯を描いた作品。どうも濃そうで今まで敬遠していたが、今回やっと見た。前半の殿山泰司と垂水梧郎を殺すシーンから既に引き込まれた。主演の緒形拳は見事な熱演で主人公を演じていて、リアルすぎて怖い。実際の殺害現場で撮影したという今村監督のこだわったドキュメンタリータッチの演出も映画にリアル感を生んでいる。描かれる人間関係もどろどろとしていて、主人公を含め、主要な登場人物に誰ひとりとして感情移入できないが、わざとそういうふうに描いているようにも思う。今村監督の映画はあまり見ていないのだが、このどろどろとした人間を描くのが今村監督の持ち味というか特徴なのだろう。三國連太郎と倍賞美津子が緒形拳の遺骨を海にまくラストシーンは重々しく、投げた遺骨のストップモーションの繰り返しはこの主人公の執念を表しているようであるが、それがどこか喜劇的な演出であるというのがすごい。難を言えば清川虹子と小川真由美の親子が登場するあたりから少しダラダラ感があったのと、途中から時系列がよく分からなくなるのがマイナスだが、じゅうぶんな力作だと思う。全体的に重々しい映画であるが、川島雄三監督の映画の常連俳優であるフランキー堺が川島監督の助監督だった今村監督の映画に出演しているのはなんだか嬉しい。
[DVD(邦画)] 7点(2012-05-02 15:22:52)
13.  ファンシイダンス
見る前は今見ると滑ってるかもと思っていたのだが、確かに時代を感じる部分は多いものの、軽いコメディー映画としての楽しさは充分にあり、当時まだアイドルのイメージが強かったであろう本木雅弘やこれが映画デビュー作の田口浩正、それに竹中直人が非常にいい味を出していてとても面白かった。田口浩正がトイレで羊羹を食べて食いつぶれるシーン(その食べっぷりがまたすごい。)などは実際に太った体形の住職を知っているからか失礼ながら「あの住職もこんな感じなのかなあ。」と思いつつも笑ってしまった。往年の東宝映画の脇役俳優である和尚役の村上冬樹がすっかりおじいさんになっていたが、彼もまたいい味を出してくれていて良かった。本作は周防正行監督の初の一般向け映画なのだが、葬式に対してお寺での生活を題材にしていたり、宮本信子をチョイ役で起用していたりと、見るからに伊丹十三監督を意識しているのが分かる作風となっているが、これは「マルサの女」と「マルサの女2」のメイキングを演出した周防監督が伊丹監督から受けた影響が大きいからなのではと思う。劇中音楽として使用される「若者たち」のメロディーも妙にマッチしていて印象に残った。(とはいえ、冒頭のロック調に編曲された同曲を主人公がバンドを従えて歌うシーンは少しひいてしまったが。)
[DVD(邦画)] 7点(2009-10-01 14:08:26)
14.  武士道残酷物語 《ネタバレ》 
ある家系の戦国時代から現代までの歴史を7話のオムニバス形式で描いた今井正監督の映画で、各エピソードに登場する先祖代々七人の主人公を錦之助が一人で演じているのが見所。現代のパートでは錦之助は普通の会社員を演じているのだが、今まで現代劇での錦之助を見たことなかったのでちょっと違和感を感じた。それでも七人を見事に演じ分ける錦之助はやはりうまいと思うし、武家社会に対する忠義をこんな手法で描いた構成は新鮮だった。それぞれのエピソードがとても完成度が高いのだが、とくに第4話はいちばん力の入ったつくりで、内容もかなり重苦しいのだが、この話が個人的にもっとも見応えがあった。第3話の錦之助に言い寄る森雅之演じる殿様や、第5話明治篇の加藤嘉もインパクトのある熱演で印象に残る。第6話の太平洋戦争篇だけはちょっと唐突に感じられるんだけど、一話一話に今井監督のメッセージのようなものが感じられる作品になっていて、予告編を見ると主演俳優一人七役ということが最大のウリになっているみたいだが、それだけではない映画だと思う。でも、僕も敢えて他人にすすめようとはあまり思わないなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-01-21 18:47:24)
15.  古畑任三郎ファイナル 今、甦る死<TVM>
久しぶりの新作。三谷が同時期に放送された「新撰組!」の続編の脚本とこのスペシャルの放送後に公開された「THE 有頂天ホテル」の監督・脚本をやっていたため、やっつけ仕事的内容の駄作を覚悟して見たのだが、なかなか楽しめたので満足。ゲストが石坂浩二だからか、珠代という人物が出てきたり、吉田日出子が手毬唄をうたっていたりと、ところどころに金田一耕助シリーズを意識した演出があるのがちょっと嬉しい。
[地上波(邦画)] 7点(2006-03-31 20:03:58)
16.  フィールド・オブ・ドリームス 《ネタバレ》 
「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」を見たら久しぶりに見たくなって25年ぶりくらいに見た。「声」に従って生活の糧である畑をつぶして野球場を作ろうという突拍子もないことを言い出した主人公レイ(ケビン・コスナー)に対して反対するどころか後押しする奥さんが素晴らしいし、出来上がった野球場に現れた亡霊の野球選手たちが試合をしているのをレイ一家が見ているシーンは郷愁を感じられるのが良い。それに、ジェームズ・アール・ジョーンズが良い味を出しているし、なんといってもバート・ランカスターの登場シーンがとても印象的で、なぜかこのシーンだけで泣けてくる。この映画のテーマは野球そのものではなく、誰でも持っている夢というものをテーマとし、叶えられなかった夢を叶えようとする男たちのファンタジーという印象が強いのだが、レイが亡き父ジョンとキャッチボールをするラストシーン、レイはこのキャッチボールを通してようやく父との確執を解くことができた。やはりこのラストシーンは本作がそれに加えて野球を通した父と息子の親子関係、これをいちばん描きたかったのだと感じるし、このキャッチボールのシーンは本当に自然と感動してしまって、このラストシーンだけでやっぱり本作は紛れもない野球映画の名作なのだと確信することができた。中学時代にこの映画が大好きという野球好きの先生に薦められて見て以来の再見だったのだが、その時は正直あまりピンと来ずに終わっていたのに、今見るとすごく良い映画だった、見直して良かったと思えた映画だった。やっぱり、映画の見方って年を経るごとに変わるものなんだなと改めて思う。(2019年3月9日更新)
[DVD(吹替)] 7点(2005-09-08 12:24:37)
17.  フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) 《ネタバレ》 
初めて見たのは小学生の頃。けっこう怪獣映画としては異色な映画ではあるけど面白かった。フランケンシュタインが怪物ではなくただの巨大な人間なのでバラゴンとの対決シーンはウルトラマンを彷彿とさせていた。
[ビデオ(邦画)] 7点(2005-05-17 11:54:59)
18.  ブラック・レイン 《ネタバレ》 
見るのは二十数年ぶりだったのだが、あらためて見ると内容としてはよくある刑事アクションの域を出ていないと思うし、主人公ニック(マイケル・ダグラス)の汚職警官としての一面ももう少し丁寧に掘り下げたほうがドラマとしても深みが出たと感じる。しかし、やはりこれがハリウッドデビュー作にして映画での遺作になった松田優作の存在感には今見ても圧倒されるし、初めて登場するニューヨークでのレストランのシーンもそうなのだが、やはりチャーリー(アンディ・ガルシア)を殺す駐車場のシーンの演技が初めて見たときと同様に物凄く印象に残り、きっと今でも存命ならば間違いなく世界的に活躍出来ていただろうにと思うと本当に惜しい。それに、演出面では日本人が見ても異国感のある大阪の街も印象的で、それでいて外国映画にありがちな日本人から見て違和感のある日本というのをあまり感じさせていないあたりにリドリー・スコットの手腕の高さを感じることができ、この2点のおかげで引き込まれ、最後まで面白く見ることができた。今回見るうえで不安だったのが、今となっては高倉健と若山富三郎の共演を東映任侠映画で何回も見ているので、そのイメージに引っ張られないかということだったのだが、全く気にならずに見れたのは良かった。この若山富三郎演じる菅井がニックに戦時中の空襲時の体験を語るシーンが印象に残り、「ブラック・レイン」というタイトルの元にもなっているのだが、このシーンをはじめ菅井が英語を喋るシーンは吹き替えになっている(今回見て気づいた。)のがちょっと残念。脇役陣の中では初めて見た時もそうだったのだが、神山繁演じる大橋部長の嫌味さが今見ても印象に残る。(2022年5月22日更新)
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-03-31 11:40:05)《更新》
19.  舟を編む 《ネタバレ》 
辞書編集という地味目の題材で、見る前は少し不安もあったのだが、見始めるとそれが興味深く、最後まですんなりと面白く見ることができた。また、主人公のマジメ(松田龍平)が自分の意見がうまく言えないようなもどかしい人物なのだが、辞書編集という仕事を通して生きがいを見つけ、変わっていくさまがとても感情移入できるし、主人公の周りの人物もみんな個性的で面白く、それも本作を飽きずに面白く見られた要因ではないかと思うし、松田龍平をはじめ、辞書編集部のメンバーを演じる俳優陣が全員ハマっていたのも良かった。笑いどころも多く、中でもマジメが惚れたかぐや(宮崎あおい)に宛てて習字でラブレターを書いているのにはすごく笑ってしまったが、見ていて同じ三浦しをん原作の「ウッジョブ 神去なあなあ日常」でも強烈な告白シーンに笑ってしまったので、原作を知らないながらここで同じ原作者であることを強く感じた。異動前に西岡(オダギリジョー)が自分の体験から考えた「ダサい」の用例も思わずクスっと笑ってしまう。ただ、15年間の出来事を描いているためか、マジメとかぐやの恋愛やタケ(渡辺美佐子)の最期などもっとじっくりと見たかった部分もあったのは確かで、その辺は原作やアニメだとどうなんだろうと感じてしまうのも事実。演出としては平凡な印象があるが、松本(加藤剛)が亡くなるシーンを直接的に描かなかったのは正解だったと思う。一つの辞書を作るのには細かな作業と長い年月が必要ということがよく描かれていて、そのあたりを知るにはとてもいい映画だ。劇中に登場する猫の名前がなんとも松竹らしい。
[DVD(邦画)] 6点(2019-11-10 17:33:08)
20.  古畑任三郎vsSMAP<TVM> 《ネタバレ》 
SMAP全員がSMAP役として犯人を演じた「古畑任三郎」の正月スペシャル。今回は犯行までの描写にじっくり一時間近くをかけているが、それによって「古畑任三郎」ではなく、SMAPが主演の犯罪ドラマのようになってしまった面は確かにある。しかし、その犯行内容は練りに練ったもので見ごたえがあり、古畑(田村正和)の登場が遅いことをあまり気にせずに見ることができたのは意外に良かったし、エレベーターの仕掛けの面白さや、SMAPが殺人事件を起こす発端となるのが中居やキムタクではなく草彅というのが印象的で、事件自体も犯行に参加する予定のなかった草彅が飛び入り参加していなければ解決は難しかったなど、本作では草彅の役回りがけっこう大きい。中居が殺人の標的になる男(宇梶剛士)に「SMAPは終わらせない」と言うシーンがあるのだが、今になってこのセリフを聞くとなんだか切なくなってしまうのも仕方のないところ。でも、見ていて安心感が出てくるのはやはり古畑の登場後なのはSMAPのドラマとしてではなく「古畑任三郎」の一篇として見ているからだろう。西園寺(石井正則)の初登場作品だそうだが、時系列的には次回の緒形拳の話のほうが先なのか、とくに初登場という感じはしない。本作で古畑がSMAPに対して同情的な言葉をつぶやくのは「刑事コロンボ」にもあった展開を参考にしているのかもしれないが、ドラマ性重視というよりは犯人がSMAPだからという気がした。もう少し言わせてもらえれば思っていたより楽しめたのも事実だけど実在人物が一部架空の設定でそのまま出てくるエピソードとしてはイチローの話のほうがこのシリーズらしさもあって面白かったかな。それにSMAP全員を一度に出すよりは連ドラ版で一人ずつ犯人役として出たほうが良かったとも思う。キムタクはこれ以前に連ドラ版に犯人役として出たことがあるのだからそれは不可能ではなかったはず。
[DVD(邦画)] 6点(2019-09-26 18:14:01)
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