1. ファンタジー・アイランド
《ネタバレ》 元ネタのTVドラマ、リブート版TVドラマとも未見です。そもそも本邦で放送や配信されていたかも知らない状態ですので、あくまでも予備知識なしでの感想です。 既にご意見のあるように、謎の力を持った島というとTVドラマ「LOST」を想起するところですが、本作については島の持つ謎の力についてはあまり掘り下げず、その力を利用する者たちを描いた感じ。始めのうちはそれぞれの思惑もあって島の力に翻弄される参加者の姿が描かれますが、展開が早いので惹き付けられはするものの何だかバタバタとした感じは否めません。 一人ひとりの「夢」についてのエピソードは解り易く描かれてはいますが、解り易いだけであってイマイチ感情移入出来ないと言うか、それぞれのエピソードを繋ぐにあたってのご都合主義が見え隠れ、と言うか見え見えだったりもします。 ロークは亡き妻を蘇らせるために島を乗っ取った。妻は蘇るが長くは生きていられない。夢の実現は一度きり。だからリゾートとして島を運営し他人の夢を利用して妻を都度蘇らせる。それは解るのですが、そのために入念に参加者を下調べして必要とあれば拉致監禁するってのはどうなんでしょう?元の所有者の手下がゾンビ化して襲って来るのは何故?いじめられっ子の学校の教員が殺人鬼ゾンビ化して居るのは何故どうやって?あげく拉致監禁されていたいじめっ子はいじめられっ子と和解してダブルヒロイン化?等々、やっぱりバタつき加減がハンパないです。 何も考えず疑問を挟まずという条件付きで楽しめる荒唐無稽なダークファンタジーコメディ。そう、コメディと思えば一番楽しめるかもといった感じです。 それにしても行方不明者続出(おそらくは全員死亡)のリゾート。捜査の手が及ばない訳ないです。やっぱコメディですね。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-03-28 10:37:45)《新規》 |
2. ブリジット・ジョーンズの日記
《ネタバレ》 封切り当時に観たつもりでいたものの、改めて確認したら未見。今更ながら、とあるキッカケもあって観賞しました。 王道ですね、ラブコメの。洋画ラブコメのベスト10みたいなランキングでは間違いなく入って来る作品なので当然といったところかも。ラブコメの帝王とまで言われるヒュー・グラントさんが出演してるって点でもまさに鉄板的ラブコメ作品と言ったところでしょうか。 何気にレネー・ゼルウィガーさんがピンポイントで好みの女優さんということもあって、終始楽しんで観られました。まぁ、好みの女優さんがあられもない姿で幾度も登場したり、グラントさんにイイように扱われてる感があるのは必ずしも嬉しがってばかりはいられなかったところですが、彼女の魅力を最大限に引き出している作品という見方をすれば全部アリかなとも思えたりして。 基本、あまりラブコメ系の作品は観ないのですが(何故って感情移入してしまい過ぎるタチなので)今回改めて未見だった有名ラブコメを観賞してみて、やっぱ感情移入(今回はコリン・ファースさんに)し過ぎてしまいラストには涙ぐんでしまいました。いくつになっても単純すぎる自らを反省しつつ、高評価させていただきます。 [インターネット(字幕)] 8点(2025-03-09 12:00:21) |
3. プー あくまのくまさん
《ネタバレ》 発想としては「本当は怖い〇〇童話」みたいなノリかなと。著作権OKだからヤッチマッタ感のみが感じられる作品。 じゃ、原作へのリスペクトのひとつもあるんかな?と思ってみても無駄。そもそもプーさんってぬいぐるみじゃなかったけか?原作をキチンと咀嚼してこそのパロディ。これはプーさんみたいなマスクを被った変態による猟奇事件ってだけです。 そうなってくると、個人的にはスプラッターやらスラッシャーは元々好きではないので登場するおバカキャラ(ほぼ全員)への感情移入の欠片も見当たらないおバカ作品としか見えず、何だか関係ないエピソードが無駄に盛り込まれてたり、とは言えその手のホラーのセオリーだけは辛うじて踏み外していないようにも思え、百歩譲って(譲る必要はありませんが)まぁ話題性優先のみで一発勝負のイロモノとしては成立しているかなと。 兎にも角にも一発勝負なんだから続編作るなよと言いたくなる超ヒマつぶし向け作品でした。(続編観ちゃうかも知れない自分も情けないが) あ、邦題は馬鹿らし過ぎて好きです。 [インターネット(字幕)] 2点(2025-01-31 09:45:36)(良:1票) |
4. ファイナル・プラン
《ネタバレ》 今回も無敵のリーアムさん。実戦経験のない元海兵隊爆発物処理班を程よく強く演じていて爽快ですね。 ストーリー的には、少なからず陰のある元軍人が日々の暮らしに疲れ始めた矢先、新たな出逢いによって運命の人と愛し合うに至り、過去の悪行を償い愛を胸に生きて行こうとする。鉄板的で予測可能な内容ではあるものの、スピーディで迫力溢れる演出には目を奪われ、これぞ最強リーアムおじさんシリーズといった感じ。 セガールおじさんの「沈黙シリーズ」みたいに無理無理シリーズ化して、是非是非新シリーズ名を冠して今後も新作をお願いしたいところです。 意外性の無さ故の安心感。ではありますがアクション作品を何も考えずに観たいな、と思うときには最良の1本でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-01-05 22:57:48) |
5. FLY!/フライ!
《ネタバレ》 お約束感満載のファミリー向け感動アニメ。でも、そのお約束感=安心感。様々な危機を乗り越えて夢の旅を続ける姿には童心に還って理屈抜きに楽しむことが出来ました。CGアニメーションも適度に目に優しい色彩と動き。流石の出来映えです。 特に、トリ馬鹿を標榜する私としては主役がトリさんというだけでスタートから満足。出演するトリさんたちを擬人化して受け入れるまでもなく純粋にトリさんとして感情移入出来ました。作り手の鳥類への理解の深さも窺い知ることが出来て満足です。 そんな訳で、イイ歳した爺ぃがトリさんたちがシェフのヘリからの脱出あたりから後は、只管涙腺崩壊させつつ観終えた次第です。世間一般の評価は見ていませんが、思いっきりエコ贔屓の満点献上です。 [インターネット(字幕)] 10点(2024-12-28 17:40:20) |
6. ブロックアイランド海峡
《ネタバレ》 惹き付けられる展開ではあります。サスペンス、ミステリー、ホラー、SF、超常現象スリラー、ヒューマンドラマと、様々な顔で語りかけて来る物語、そして演出。冒頭のトムさんの受難シーンから始まる謎の海域での怪現象。異常な電波?魅力的な始まりでした。 中盤からのトムさん復活低音囁きアピールは雰囲気良いです。海底の謎もそそられます。テンポも良いですね。 ただ、ハリーとオードリーの何気に対極的な性格や思考・行動パターンの姉弟には、始終イマイチ感情移入出来ませんでした。二人とも煮え切らなくて頑な過ぎるからかも。 そして問題は終盤クライマックス。あれ?これって既視感アリアリかも。しっかり摑まってたエミリーちゃん以外はみ~んな空の彼方へ。なんだか嫌な予感。 ラスト。ヒロインが劇中で娘に語った言葉が改めて登場します。これはどう受け止めたらいいのでしょうか?地球上の生物を救うべく調査している存在が居る?まさかのエイリアンアブダクション?作品にエイリアンや人知を超えた存在が登場したら最後、もう何でもありの世界になってしまいます。何だかそんな暗喩、てかストレートに開示されたような気分。 このエンディングを良しとするか否かで評価が分かれそうな作品でした。個人的にはもう少し謎めいて終わって欲しかった。ヒロインの台詞の反芻はどうだったんでしょうか?そこが疑問で、楽しめた割には低めの6点献上します。 ちなみに、「sound」に「海峡」の意味があることを知りませんでした。勉強になりました。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-12-23 09:52:46) |
7. フライング・ジョーズ<TVM>
《ネタバレ》 なんで「沼のサメ」が「空飛ぶサメ」っつう邦題になっちゃうのかは謎ですが、内容的には鉄板の人喰い鮫ネタ。まぁ退屈することもなく観てはいられますが、全く感情移入出来ない登場人物が全く理解出来ない行動に走り無駄に食われていくというお約束感満載のお話でした。 それにしても戦車並みに強靭な皮膚を持つ深海鮫(ホント?)を既視感のあるガスボンベ攻撃でやっつけようとするもアッサリ失敗。挙句エアボートのプロペラでアッサリ調理してしまうとは。ヒネリも工夫も何もない展開には笑うしかありませんでした。てか、この作品はそうやってツッコミ入れて楽しむべきかも。 ちなみに、ヒロインや妹や他の女子たちは、サメ映画お約束のサービスカットなし、というかソフトです。そういう意味では硬派、正統派のサメ映画かも知れませんが、だとすれば尚更にもう少し新ネタが欲しかったところです。昨今何でもありのサメ映画なんですから。 [インターネット(字幕)] 3点(2024-12-19 23:28:48) |
8. ブラック・フライデー!
《ネタバレ》 事態の重大性に気付かないまま、恰もロメロ監督の「ゾンビ」の如く大型店の店内に立て籠もる「主人公たち」。そのシチュエーションにしても件の怪物のビジュアルにしても、過去作品への熱烈なオマージュを感じます。ブラックフライデーにブラックコメディを観る贅沢。いいですね~♪細かなツッコミどころは多々あるものの、これでもかとばかりの展開に大いに笑わせていただきました。 ゾンビばりの感染力で客たちに取り憑いていく?エイリアン。食うのか合体するのかの判断基準は全く示されませんが、実は本作、最近話題のカスハラがモチーフになっているとも思え、無理難題を吹っかけて来る客vs店員のバトル。それに加えて、同じく何かと話題の職場でのパワハラやモラハラ要素も盛り込まれていて、さながら現代社会に対しての皮肉を込めた作りにもなっています。(と思えます) ま、そんなことを考えずとも、多少のグロ耐性は求められるものの何にも考えずに楽しめる作品であり、たまたま鑑賞しての思わぬ出逢いに6点献上です。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-12-12 23:27:06) |
9. 複製された男
《ネタバレ》 原作は未読です。自分的には、原作を先に読むか?はたまた原作を後に読むか?問題というのが長年ありまして、ノベライズ版の小説だったりすればどっちでもいいのですが(出来れば映画が先)、本作のように原作者はノーベル文学賞作家なんていう場合には、やっぱし原作に敬意を表して先に読むべきかと思ったりもします。 つまりは後悔しきり。これは原作を先に読むべきでした。若干ミスリード気味の邦題があるから尚更です。SFっぽ過ぎますって、邦題。 結局、全てはひとりの男の意識下から出ることなく、二人の男は同一人物の思念の産物。いや潜在意識の産物?潜在意識そのもの?妄念の具現化とでも言いましょうか。 とは言え、矛盾も避けられないです。それぞれの妻の存在。妻も同一人物?主人公の意識下で全てが成立しているのであれば当然の如く同一人物かも知れません。作品の全体が彼の妄念そのものであるならば矛盾もないのですが、仮令断片的にでも覚醒している部分があるのであれば、妻の存在は矛盾をはらみそうに思えます。自分以外の者の思念において死亡してしまう訳ですから、彼女自身の意識の行き処はどうなっているのでしょう?そもそも彼の思念が作り出した虚像・偶像だから関係ない? 秘密クラブで裸女のハイヒールで踏みつぶされそうだった蜘蛛。部屋全体を満たすほどに巨大化した蜘蛛。ハイヒールも蜘蛛も重要なアイテムとして作品テーマの一端を暗喩しているのでしょうけれど、かなり解りにくいですね。他の数々のシーンやアイテムも然りです。とてもじゃないけど自説を披露する自信などありません。 心理学的、或いは哲学的なテーマを映像として表現することの難しさを感じさせてくれた一本でした。ジェイクさんと二人の美女の好演に救われた作品のように思えてなりません。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-09-20 11:15:43) |
10. ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ
《ネタバレ》 ニコラスさんの「ウィリーズ・ワンダーランド」の設定にかなり似ていてリメイクか?と思いつつも、元ネタのゲームは2015年初出みたいだし、両作の製作開始発表時期とか見ていくと関係なさそうでもあり、ま、面白きゃいいか、と気持ちを切り替えて鑑賞。結果、「ウィリーズ」とは大いに似て非なる作品として楽しませていただきました。ちなみに元ネタのゲームについては全く知りません。 予告編からすると何だか訳の分からないままに繰り広げられる惨劇、かと思いきや、ひとりの狂ったオヤジの凶行だったとは。主人公の抱えるトラウマは、途中まではサイドストーリー?あんまし本筋とは関係ない?と思っていましたが、ちゃんと伏線回収しました。細かな点も含めて、ストーリーとしては上手く纏められていると思います。 敵役として登場する叔母とその関係者たちが、早々に死亡フラグが立ってアニマトロクスたちの餌食になるあたりは結構痛快な展開。(子守りの女の子だけは可哀そうでしたが)意外と犠牲者は少なく、最初の警備員を入れて作品上は6人?と思いきや、実はアニマトロクスの中には犠牲となった子どもが入っていたとは。そして、彼らに気に入られたかのようなアビーは実は獲物として迎え入れられていたとは。 気になったのは、とどのつまりアニマトロクスたちは何者?という点。マイクの夢に登場する子どもたちの亡霊の意思で動いている?それともイカれたオヤジの技術の結晶?まぁ、作品中では亡霊の仕業みたく推測してますけど断定的ではないし。ありがちな悪魔とか魔物とかの憑依ではないようですね。その辺は説明的になってもよろしくないのでしょうけれど、もう少しスッキリしたかった部分です。 とは言え正直楽しめました。ヴァネッサ役のエリザベスさんのナチュラルな魅力(どう考えても傷が癒えたらマイクとゴールイン)に+1点の7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-09-13 14:14:59) |
11. BLUE GIANT
《ネタバレ》 原作漫画は未読です。公開時、是非とも劇場で鑑賞したいと思っていたものの、諸事情で見逃していて今回やっとネットにて鑑賞しました。 既に投稿されている皆さんのレビューでも例外なく高評価されていることですが、兎にも角にも音楽が凄い。個人的にジャズは好きでもそれ程コアなファンでもない私ですが、ほぼ全編にわたって演奏部分では涙腺が緩みっぱなしでした。 通常であれば小説であれ漫画であれ原作がある作品の場合、「これをどうやって実写化やアニメ化するのか?」といった部分に興味の中心が向かってしまうのですが、本作の場合は逆に「原作ではこの音楽の洗礼をどうやって絵や文章で表現しているのか?」という興味が湧きました。本作に感銘した以上は原作を読まねば、と思った次第です。 その一方で、尺の事情があるのかも知れませんが、特に大きなトラブルもなく一気に突き進むような物語には少なからず引いてしまった部分もあります。主人公無敵な展開。スーパーヒーローものでもお約束の大ピンチは付きものですが、本作ではバンド仲間の交通事故という想定内のトラブル(ただし伏線回収的にクリア)はあるものの後は概ねトントン拍子。登場人物の背景や苦悩・葛藤といったものをもう少し盛り込んでくれれば感情移入出来ただろうし爆泣き出来たことと思います。 ちなみに、原作未読につき回想形式を採用しているのでもしかしたら主人公の末路には悲劇が?と途中まで思っていました。いくらなんでもそれは力業過ぎですね。 アニメとCGのバランス感は、自分的には納得出来る範囲でした。違和感がないかと言えばそんなことはありませんが、あくまでも主役は音楽!と思えば気にならないかなと。 繰り返しになりますが、兎に角音楽が素晴らしい。劇場で鑑賞しなかったことを只管後悔するばかりです。リバイバル上映ないかな? [インターネット(邦画)] 8点(2024-07-16 10:43:15)(良:1票) |
12. FALL/フォール
《ネタバレ》 高所はあまり得意ではない私。アンテナ塔を登り始めた後は終始絵にかいたような「手に汗握る」状況でした。こんなに手汗を感じた作品は一体いつ以来だろうか?思い出せないぐらい久々の超緊迫感に包まれました。何だかベタ付くような嫌な汗。純粋に怖くて不純物が体内から流れ出したのかと思ったりして。運動したり辛い物を食べて噴き出す汗とは明らかに違う汗。観終わって一番感じたのはそのことだったりしました。 肝心の物語については、ベッキーのお父さん(相変わらずカッコいいジェフリーさんに出会えて嬉しいです)以外は感情移入できない登場人物ばかりで、アンタらいったい何やってんの?何考えてるの?みたいな行動・思考のオンパレード。どう考えてもあまりに非現実的な流れなので、リアル「手に汗握る」状況なのに基本的には終始傍観者のノリで「んなワケないだろ!」とかツッコミまくってました。 実は幻覚でした系の演出が途中に挟まる構成はちょっと異色で面白かったですけれど、基本的にはご都合主義ばかり。猛禽を素手で倒してナイフもなしに食っちまうというあり得ない演出には苦笑でした。いくら首を抑えても両足で切り刻まれてしまいますって。だいたいからして殺されたトリさんが可哀そう過ぎてヒロイン憎し。尚更に感情が離れてしまいました。 救出シーンの割愛はある意味正解かも知れません。おそらくヘリでしょうけれど、それを描いたらまたあり得ねー世界の追加になってしまったでしょうし。 不満点を挙げればまだまだ出そうですが、そのくせ眠気を感じることもなく観終わった私。楽しんで観ていたことは否定出来ません。なので点数的には5点献上します。手に汗握り過ぎて思考がとっ散らかってしまいました。 あ、蛇足ですがもう一つだけ追記。「取り残された」と何回かベッキーとハンターは発言してますが(原語では確認していません)、この状況はどう考えても「取り残されて」ませんから。梯子のせいにしてはいけませんね、言葉は正しく使いましょう。てか、あくまでも自ら招いた状況だということを理解していないというか…。益々感情移入不能になりました。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-06-19 14:49:30) |
13. PLAN 75
《ネタバレ》 少子高齢化で社会保障制度が破綻した国家が「PLAN75」という窮余の一策によって問題の解決を図る、というシナリオは、斬新とは言わないまでも近未来SFのひとつのアイディアとして「今の時代だからこそ」生きて来る設定と言えないことはないと思います。ただ、(元の短編作品は未観賞ですが)長編作品としての掘り下げ方はもう少し何かあったのではないかと思えてしまいました。 登場人物は老いも若きも日本人も外国人もそれぞれに悩み疲弊し、眼前に迫る課題に対しての何らか答えを見つけようと煩悶する。やや削ぎ落した感のあるエピソードではあるものの、主演の倍賞さんは勿論のこと出演者の好演に支えられ、重過ぎず軽過ぎず観る者に(一人ひとりの今のライフスタイルや年齢に応じて)現実味をもって迫ってくるものを感じました。倍賞さん演じるところの主人公の最期の選択には、単に尊厳死を否定することだけではなく、それでは老いても生きることにおける希望とは何か、ということを考えさせられました。 にも関わらず何か絵空事のようにも感じてしまう。その理由のひとつには、「PLAN75」が(もし現実化するのであれば)今まさに必要な施策であって、いつだか分からない未来将来の話だとすれば実効性の低い施策にしか思えず(放っておいても近未来には人口ピラミッドは推移するので)、同時に対象年齢の者にとっては、仮令漠然としたものであっても「死」を現実のものとして受け止めてでもいない限り、さして喫緊の課題にはならないだろうと思えてしまうということがあります。 端的に言わせていただくのならば、興味深いけれども今ひとつ我が身のこととは思えず感情移入しにくいということかも知れません。年齢的には十分片足突っ込んでいる私ですが。 真面目に現代の社会問題を捉えた作品であることは間違いないとは思いますが、何か釈然としない思いが残り6点献上に留めたいと思います。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-04-18 10:12:34)(良:1票) |
14. ブラック・フォン
《ネタバレ》 サイコホラーとしては随分とライトな作品。誘拐され監禁されているとは言え、陽の光が入る広々とした地下室、緊縛されていることもなく出入口は施錠されてもいない。犯人が時折り訪れて暴力を振るうということもない。つまり、差し迫る恐怖という状況は演出されていません。なので恐さは殆ど感じられません。 そしてオカルト或いは超常現象的なことが大上段から振り下ろされています。具体的には、ひとつには妹の持つ母譲りの予知能力。父親は否定(と言うより嫌悪?または恐れている?)しているし先生も刑事も最初は全否定しているものの、結局は素直に受け入れている。事件の解決に向けた決定打ですね。 もうひとつは、よりいっそう重要な要素である黒電話から聴こえる亡霊の声。これはフィニーの特殊能力とも受け取れますが、フィニーの脱出劇はこれなしには実現しなかった訳で、妹の予知夢に基づく警察の急襲によって恐らくは救出出来たのでしょうけれど、犯人が死んでいなければスムーズだったとは限らない訳で、ふたつの超常現象・特殊能力があって初めて無事一件落着と言って良いのでしょう。 超常現象や超能力ありきの物語はある意味何でもありの世界ですから、そういう意味でも結構ライトな安心して鑑賞出来るサイコホラーと言えるでしょう。と同時に、そのあたりの変化球がお嫌いという方には「んな訳ねーだろ!」的な受け入れ難い展開とも言えるでしょう。私は肯定派なので評価は高めです。 ただ、ちょっとだけ気になったのはエンディング。フィニー兄妹の成長物語、そして父親も含めた家族の物語としてのハッピーエンドと素直に受け取れば良いのかも知れませんが、何と言ってもフィニーは殺人を犯した訳ですし、果たして正しい成長を遂げたのか?周囲から恐れられる存在となってしまった彼の将来に闇はないのか?全く触れられなかった犯人像と絡め、必ずしも清々しい余韻だけを残した作品ではないのでは?特に未読ですが原作はジョー・ヒルさんということもあるし…と思ってしまった次第です。 もしも続編を作ったならば、その中でフィニーは仮面を被り…?! なんてのは妄想かな? [インターネット(字幕)] 7点(2024-03-24 12:19:11) |
15. プリズナーズ・オブ・ゴーストランド
《ネタバレ》 この世界観は決して嫌いではなく、第一印象としては寧ろ好きな分野と言うか好感を持って受け止めました。シチュエーション的に、あるいはビジュアル的に好きなパートはいくつもありました。しかしながらその反面、受け入れ難い描写も多々あり、監督を始めとする日本人スタッフが作り上げた作品とは思いたくない部分もありました。 つまり、個人的には極めてツギハギ感のある作品という印象で、あたかも狙っているかの如く、B級時々Z級感を醸し出すべく用意した具材をゴチャ混ぜにして繋いだという感じでした。そして、その中心を成す線上で、敢えて日本文化や歴史観を蔑んでいると言うか貶めているとでも言いましょうか。 意欲的なファンタジーホラーあるいはファンタジーサスペンスと言うべきかも知れませんが、個人的にはシニカルでダークなコメディとして理解しています。もっとハッキリとした方向性を見せて欲しかった。ニコラスさんをもっと魅力的で感情移入出来るようなキャラに仕立てて欲しかった、といった感想です。残念。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-12-28 10:22:15) |
16. ブラッド・レッド・スカイ
《ネタバレ》 旅客機と言う閉鎖空間。凶悪で狂暴なハイジャック犯。早々にあぶり出され始末されてしまう航空警察。逃げ場もなければ闘うことも出来ない乗員・乗客。我が子を案ずる病弱な母親までもが躊躇うことなく射殺されてしまう。しかし、その母親には秘められた特殊な能力が備わっていた。彼女は不死身だったのだ。何故ならヴァンパイアだから。 いいですね。シチュエーションが大変魅力的。乗客の中にセガールさんやブルースさんのような超人的戦闘マシンがいて犯人たちを壊滅させる物語でもなく、機内で感染爆発が起きて絶望的な状況に陥るものの特異体質の乗客が感染することなく危機を救う物語でもなく、ギリギリ自己制御可能なヴァンパイアと機知に富んだ幼い息子が活躍する物語というのは新鮮でした。 しかも、犯行グループ抹殺のみならず、乗員・乗客で最終的に助かるのは善意のイスラム教徒と幼い子どもだけという絶望的なエンディングにもビックリ。あたかもハッピーエンドの如く迎えるエンディングながら、考えてみれば墜落事故に匹敵するとんでもない悲劇。踏み込んだ特殊部隊までもが全員犠牲になってしまうとは。 我が子の為ならどんなにでも狂暴になる母親ナディアのヴァンパイアっぷり、知性に溢れた愛息エリアスの冷静な判断力、テロリストに仕立て上げられ重傷を負いつつも勇敢に振舞うイスラム系男性のファリード。出演する人物も魅力的です。アメリカとドイツとの合作とはなっていますが、ハリウッド製のパニック・ホラーとはひと味もふた味も違う魅力を感じた佳作でした。 強いて言うなら、ヴァンパイアに咬まれた者がヴァンパイアに変わる様がかなりゾンビ映画的なあたりは、ヴァンパイアものがお好きな方には違和感があるかも知れませんね。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-12-25 11:22:08) |
17. フラクチャード
《ネタバレ》 緊迫感とミステリー感に溢れ見応えのある1本、と言いたいところですが、残念なことにかなり早い段階で「夢オチ」若しくは「妄想オチ」、それとも「実はみんな死んでましたオチ」だろうという予測が容易に立ってしまいます。 「残念ながら二人とも…」という台詞まで流れてしまうと、これはもう確実に少なくとも二人が死亡していることが確定してしまう訳で、その二人が実は冒頭の親子三人ではなかったということは終盤まで判らないものの、サスペンス或いはミステリーものとしてはあまりにストレートな演出かと。 サム・ワーシントンさんを始めとする出演者の演技力に加え、何と言っても娘役のルーシ・カプリちゃんの愛くるしい演技が素晴らしく(特に表情)、冒頭に述べました通り見応えはあります。何となく既視感はあるもののストーリーも魅力的。それだけに、もう少しミステリー然とした構成(観客を混乱させる)、或いはホラーテイスト(ホラーとしては作られていないのかも知れませんが)を強めにして欲しかった。そんな気持ちからやや低めの6点献上です。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-12-17 11:18:03) |
18. プリデスティネーション
《ネタバレ》 タイムパラドクスものは好物であるにも関わらず未見でした。遅れ馳せながら鑑賞。 タイムパラドクスには大雑把に分けて二つのパターンがあると常々素人考えしている私。二つというのは、ひとつは過去を変えると未来が変わるパターン、もうひとつは過去を変えても新たに時間軸が分岐して並行世界が加わるというパターン。 しかしながら本作は、その二つのパターンのハイブリット的構造になっていて、二次元的に表現すれば劇中にも登場するように自らの尻尾に食いつく蛇のようなループ構造なのですね。それによって主要な登場人物が皆同一人物であることによる矛盾を解消しようという試み。いや逆かも。主要な登場人物が皆同一人物であることによって矛盾を解消しているのかも。原作がしっかりしているだけに流石の展開ですね。 ただ、そうは言ってもひとつの矛盾を解消しようとすれば新たな矛盾が生じてしまうもの。大きな疑問のひとつとして、輪廻することによって切り離された過去と新たな時間軸の接合点についてが今ひとつ理解出来ませんでした。そしてもうひとつ、同一の世界に住む他の存在と時間が共有されていること。勿論、個々人が時間を占有することは(多分)無いと思われ、時間を共有している他者が如何に「爪痕」を最小限に抑えようとも並行世界は同時多発的に増殖しかねないような?何より「爪痕」を抑えるのは何のためなのか?考えれば考える程、素人考えはループし続けてしまいます。 こんな風に悩み考えて何度も鑑賞出来る作品はそうそう多くはありません。納得は出来ずとも傑作であることには変わりなし。9点献上します。 [インターネット(字幕)] 9点(2023-12-11 10:35:50)(良:1票) |
19. フィフス・ウェイブ
《ネタバレ》 遅れ馳せながら鑑賞。既に皆さんのレビューで書き尽くされている感があり、敢えて語ることもあまりなく…。SF作品としては相当問題ありですね。ご都合主義もここまで来るとぐうの音も出ないと言うか。 リック・ヤンシーさんによる原作のヤングアダルト小説三部作は2018年に完結していますが、映画版の方はどうなるのでしょうか?原作未読ですが、600ページ近い長編の第1作を映画化した結果が本作と考えるに、2作目も3作目も同じようなギクシャクした展開で引っ張られてしまいそうで期待は薄いような…。 殺戮シーンとかをもう少々抑えめにして、完全にお子様向け作品にした方が良かったですね。であれば、この断片的で整合性や合理性に乏しい作品も、単にアクションや特撮を楽しむ娯楽作品として評価されたかも知れません。 唯一の見どころ、大好きなクロエちゃんの頑張りに+2点の4点献上します。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-10-24 11:15:25) |
20. PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星<TVM>
《ネタバレ》 一見すると(既視感は脇に置いておくとして)ビジュアル的にはかなり頑張って作られていると思います。 海水温の上昇でプランクトンが死滅し、捕食する魚類が激減、結果海の食物連鎖の頂点に立つサメはエサ不足から人間を襲うようになる。氷河が全て融けて地球上の98%が海水に覆われるのかどうかは諸説ありそうですが、一応理に適っているかのように感じさせてくれます。サメたちのビジュアルも過去のサメ映画と比較して遜色はないと思います。使い回し感も然程感じることなく鑑賞できます。 つまりお膳立てはまずまずということです。が、そこはやはり低予算作品ならではの弱みと言いますか、じっくり見て行くといろいろ思い至ってしまいます。 深い海の上を泳いでいるはずなのに、どう見ても浅瀬で四つん這いになって泳ぐふりしているのがマル分かりだったり、カットの始まり部分で台詞の語り出しに微妙な間があったり、要は演出上の粗と言いましょうか。それでOK出すなよ、みたいな。 他にも脚本の問題なのかそもそものプロットの問題なのか、リーダーの博士が自己主張が強烈で人の話に全然耳を貸さない独裁者で感情移入出来なかったりとか、ロケットでCO2の削減装置?を打ち上げてたった半年で完全に水没してた自由の女神が上半身出すほど海面が下がるか?とか、そもそも世界観が狭過ぎて、いくら地球全体が水で覆われてるとは言えアメリカ以外の研究施設だって残ってるだろうに他との調整なしにたった1基しかないロケット打ち上げるか?しかもサメ電源で、とか。気になる点は多々あります。 そして、サメ映画としてのメインであるところの母ザメの正体がイマイチ不明瞭です。突然変異なんでしょうけれど、そこは「ありき」で話が進んで行きます。いきなり進化はないだろうに。 予想外の設定で驚かせてくれるある意味見応えのある作品ですが、あまりに緊張感が薄くシリアスなのかコメディなのかどういうスタンスをもって臨むべきか迷ってしまう作品。でも、結構好きなので甘めの6点献上です。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-09-11 11:23:49) |