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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2251
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  PROSPECT プロスペクト 《ネタバレ》 
フォーマットは典型的な「トレジャーハントアドベンチャー」。「秘境」から「辺境惑星」に舞台を変え、SF要素が加味されています。様式は王道ですから一定レベルの満足度は担保されているようなもの。あとは如何に旨味やオリジナリティを出せるかが焦点でした。折角のSFですから、まずは設定勝負でしょう。この点は「優」と判断します。アナログ風味のテクノロジーは往年のSF小説の世界。武器(銃)の性能も強過ぎず程よく不便なのがいい。惑星の環境は『ナウシカ』の腐海を彷彿とさせます。お宝は生物の分泌成分の結晶かな。よく分かりませんが価値はありそう。既視感はあるものの、世界観はきちんと構築されておりSFの雰囲気抜群でした。さて、肝心の物語はどうでしょうか。主人公は少女。父を殺した仇と協力して惑星から脱出を試みます。なかなか「そそられる」イントロではないですか。ただどうにも展開不足でした。脱出ポッドを目指す道中には自然環境の脅威なし。野生生物の襲来なし。唯一の障害は惑星に住み着いてしまったとある家族。精神を病んでいたものの凶悪でも武闘派でもありません。結果アッサリ2人は最終目的地まで到達しました。うーん淡泊な。人物造形も同じく。キーパーソンのエズラは仇であり恩人でもあり。その正体は悪人?善人?彼の人間性を際立たせることでドラマに深みが出たはずですが「結果的に悪い人ではなかった」程度の描写に留まっています。いや、もうちょっと掘り下げて欲しい。勿体ないです。結末について。主人公のプロスペクト=展望は開けたのでしょうか。「トレジャーハントもの」の流儀に則れば、主人公のポケットには一つや二つお宝は入っているはず。毒親から解放され借金も帳消しになったのだとすれば、彼女の未来は明るいかもしれません。修羅場を潜り抜けてきた少女の笑顔は「命あっての物種」だけではなさそうです。エズラを殺さなかったのも良ポイント。という訳で物語の評価は「不可」ではないものの「可」止まり。総合評価も「良」には届かず「可」と判断します。 劇中のロケーションはほぼ森林。塵が舞うエフェクトのみで辺境惑星であることをアピールします。本来なら未知の生物とか出したいでしょうに。低予算なのは明らかでちょっと可哀そうなくらいでした。展開に乏しいのもこの辺の事情が影響しているのかもしれません。B級SFとして光る欠片はあった気がしますが、よく見たらダイヤモンドではなく石英でした。そんな映画。採点は5点相当ですが、シーちゃんの凛々しい眉毛に+1点とさせて頂きます。
[インターネット(吹替)] 6点(2023-11-29 20:15:53)
2.  FALL/フォール 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  2人が塔の上で取り残された時点で残り時間60分と知り頭を抱えました。「詰み」の状態からあと1時間も何を見せられるのかと。延々と回想だったり懺悔だったりは御免だなと感じておりましたが、なんと!なんと!!サバイバルサスペンスとしての「展開」が多数用意されていました。しかも『大ネタ』まで仕込む抜かりなさ。いや私もあの時は「そんなの無理だろ」と突っ込んでいたんですよね。思わず声に出して。でも火事場の馬鹿力(米国だとファイヤーフィールドのシットパワーですか?)なんて言葉もありますし渋々納得していたところ。ですから真相が明かされて膝を打ちました。 喩えるなら、エベレスト山頂でフルコースを供されたような驚き。見事なエンターテイメント性に感心しました。さらに素晴らしいのは物語の芯にテーマが一本通っていたこと。それはもうTV塔のように真っすぐと。『チャレンジの価値』『生きるには覚悟が要る』これらを雄弁に物語る終盤怒涛の畳みかけに痺れました。エンディングも申し分なし。この手のソリッドシチュエーションスリラーでは、結構平気でバッドエンドが用意されていたりするので内心冷や冷やでした。絶体絶命の大ピンチで本当に絶命さる脚本なんてクソくらえなんだよ!失礼しました。取り乱して下品な言葉を使ってしまいました。脚本家の皆様の苦労も知らず勝手な事を申しました。お詫び申し上げます。 「どうせ迷惑系配信者の自業自得の災難。設定も出オチみたいなものだし期待できないな」と高を括っていたせいもありますが、予想外にハイクオリティな作品に驚いた次第です。最後に褒めてばかりも何なので、バランスを取るために若干の駄目出しを。クライミングを趣味にする人間があの体脂肪率のワケがない。以上です。
[インターネット(吹替)] 8点(2023-10-07 02:18:21)
3.  #フォロー・ミー(2020) 《ネタバレ》 
ネタバレ厳禁映画です。予備知識なく鑑賞することをお勧めします。なお結構な精神的ダメージが想定されますので注意喚起しておきます。「ユーチューバーとかインフルエンサーなんて調子のり、いけ好かねえから痛い目を見ればいいんだよ」な方にはいいかもしれません。以下は鑑賞済み、鑑賞する気がない、ネタバレ上等な方のみでお願いします。    当初は一般的な「デスゲームもの」との認識でした。そう予告されておりました。人気ブロガーが配信用に「脱出ゲーム」にチャレンジしたところ、実際は本物の「デスゲーム」でしたオチ。如何にもな設定です。そこで肝心のデスゲームですが、宜しくありません。凡庸なアイデアで謎解きに面白みがなく、全体尺に対してボリュームが不足しています。ゲームとは関係ないところで人が死ぬ始末。これはハズレでしょう。でも想定の範囲内でもありました。「デスゲームもの」で当たりを引くのは、宝くじ並みなのは学習済み。しかしながら、これら不満点が全て消し飛ぶ驚愕の結末が待っていました。脳内ではお馴染み「蒲田行進曲」が再生される有様(もちろん劇中では流れていません)。と同時に襲われる虚脱感と絶望感。ああ観るんじゃなかったと大後悔です。思い返してみれば、なるほどと思ったり思わなかったり。その描写はフェアですか、そうですか。やはり舞台が「ロシア」ってところがミソだった気がします(ロシアだからサワークリームですか)。いずれにせよ見事に騙されました。こういう作品を観ると『水曜日の〇ダウン〇タウン』なんか本当に怖くなります。ギリギリを攻めるエンターテイメントは面白いですが、一線を超えると大惨事です。リアリティショーも同じ危険性を孕んでいると言えましょう。そう、この映画の教訓は「何事もやり過ぎ禁止。匙加減って大事」であります。 正直あまり高い点数をつける気になれませんが、「絶対に忘れない」のは間違いありません。「二度と見ない」も確定ですけど。毒にも薬にもならない映画と比べれば、毒でも薬でもある本作の価値はある気がしますが如何でしょうか。ちなみに、ここで言う「匙加減」が神レベルの傑作サスペンスが存在します。鑑賞済みの方であれば、すぐにピンと来ることでしょう。タイトルは明かしませんが、気になる方は本サイトにも登録されていますので探してみてください。でも探して観ると魅力半減なので、偶然出会うのが理想ですね。平均点は6点台後半です。
[インターネット(吹替)] 7点(2023-08-21 22:26:13)
4.  BLUE GIANT 《ネタバレ》 
原作既読。というより大ファンです。大好きな故に、期待より不安の方が大きかったのですが・・・杞憂でした。大変素晴らしかったです。特にライブシーンの映像表現、そして何より音楽が。身体を震わせるジャズの音圧は自宅では味わえぬご馳走。これは劇場で観て正解でした。ずっと観ていたい(聴いていたい)と思える120分。あっと言う間でした。物語についても原作の魅力を理解しており好印象。やはり「一生懸命」は胸を打ちます。ずっと半泣き状態でした。玉田はもっと評価されていい男です。原作エピソードの取捨選択については概ね納得出来ました。問題はクライマックスの変更部分。これはファンなら賛否両論出るだろうなと。あれはある意味ファンタジー処理だったと考えます。救いがあり感動もありますが甘口に味変しているため、苦味を知る(原作の結末を自分なりに昇華した)ファンからすると「それは違うんじゃないの」と感じるかもしれません。「観客の望みを汲み取り区切りを付けた」変更の意図は理解できるものの、JASSのドラマは続編できっちりフォローしているため、余計なことしたな感は拭えません。熟成する前に出来立てワインを開けてしまったような「勿体なさ」を感じる訳です。まあ、好みの問題でありファンならではの拘りの範疇の話でありますが。 それにしても本当に音楽が想像以上でした。ジャズっていいなと思わせた時点で映画化した意味は十二分にあったと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2023-05-13 17:25:42)
5.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
もし本作が『フォレスト・ガンプ/一期一会』と同じ日本の配給会社だったら『プリディスティネーション/一人相撲』だったに違いない。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-05-05 11:18:43)(笑:2票) (良:2票)
6.  ブラック・フォン 《ネタバレ》 
正統派オカルトサスペンスであり、王道のジュブナイル。同類映画は『イット』でしょうか。諸先輩方からアドバイスを貰い試行錯誤しながら困難に立ち向かう主人公。助言が的外れだったり、役に立たなかったり。現実とあまり変わらない気がします。そこがいい。それでも選択しなくてはいけません。成功しようが失敗に終わろうが最後に決断するのは自分自身です。より重要なのは実行力より決断力かもしれません。少年の成長物語として過不足ない内容で満足できました。惜しむらくは乗り越える壁が少々低かったこと。誘拐犯は小物で人間力は大したことありませんでした。だからこそ自らを大きく(恐ろしく)みせるために仮面が必要だったのでしょう。しかし現実の課題だって、不安から勝手に高く見積もっているだけで、案外そうでもなかったりしますものね。恐怖に打ち勝つ勇気が少年を大人にするのだと思います。
[インターネット(吹替)] 6点(2023-03-25 00:26:28)
7.  PLAN 75 《ネタバレ》 
『病気や生活苦で自ら命を絶つ高齢者が後を絶たない今、政府は高齢者の皆様に安らかな最期を迎える機会をご用意しました。支度金も差し上げます。どうぞ自由にご利用ください。これは75歳以上の国民の皆様のみに与えられた特権であり、あくまで個人の自由意志による選択です。』こう説明されたら納得してしまいそう。一見、選択肢が増えることにデメリットはありませんから。疲弊しきった国民がこのような提案を受け入れない保証などありません。私は与太話でもSFでもなく、未来予想図の一つとして十分なリアリティがあったと考えます。だからこそ恐ろしく、とても不快でした。もしPLAN75が制度化されたら最後です。生殖、労働、納税。国民なら国の役にたってしかるべし。そうでないなら退場を。これを世論と呼ぶのか同調圧力と呼ぶのか分かりませんが、『社会正義』の前に個は無力です。その価値観にいずれ染まる。献血感覚で自死を選ぶ社会になっても何ら不思議ではありません。消費税の例を引き合いに出すまでもなく、PLAN75はいずれPLAN40、いやPLAN0になるはずです。 淘汰されるのは弱者。人の世もまた弱肉強食という自然の理に逆らうことはできません。でも私はボケっとしていても生きていける、いろんな形の幸せを選べるこの国が好きでした。その前提条件は国が豊かであること。その礎を築いたのがまさにPLAN75世代なのですから、義理も人情もあったものではありません。しかし『貧すれば鈍す』とも『衣食足りて礼節を知る』とも言います。余裕が無ければ理想を語るなど無理な話。やはり国が豊かであることは何にも代え難い宝であります。人が人らしく生きるために必要な痛みなら引き受ける覚悟はあります。でも痛すぎて死ぬのは勘弁願いたい。この国から宝が失われつつあるのは間違いなく、本作をフィクションとして割り切れぬ現状に寒気がします。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-02-28 19:20:49)(良:1票)
8.  フォーエバー・パージ 《ネタバレ》 
法治国家が法治を放棄して放置する(ねずっちです!)ご存じ『パージ』からタイムリミットを取り払ったのが『フォーエバー・パージ』でした。フォーエバーは『ヤマトよ永遠に』のような観念的な用法ではなく“永遠に続く”を意味しました。勿論おかしな表現。喩えるならリミテッドエディション好評につきレギュラー販売へ。あるいは年中開催している閉店セールとか、時限目的税がいつの間にか恒久普通税になんて話と同じ。いずれにせよ詐欺の類ですが、割とよくある話です。それだけ“時間制限”が人々の心を惑わす魅力的なギミックである証拠と言えましょう。ですから物語前半のうちにシリーズサスペンスのセールスポイントを捨てた事が不思議でしたが、すぐさま新たな時間制限が付されました。6時間限定で国境開放。生き延びたければ国を捨てろ。なるほどそういう趣向かと納得していたところ、なんとこちらの条件も反故にするという驚きの展開が待っていました。一度ならず二度までも。このある種の“契約違反”が意味するのは何でしょう。“絶対に諦めるな”ですか“約束なんて信じるな”ですか。冒頭の駄洒落に戻りますが、法治国家が一時的にでも法治を放棄した時点で国家と国民との信頼関係は失われていたのかもしれません。通貨が価値を持つのも平穏な日常も、国家が国民と約束した信用の上に成り立つ状態。日常に戻らないパージは単なる暴動に違いなく、信用を無くした社会は地獄に他なりません。本作はまるでゾンビの出ないゾンビ映画のようでした。 『パージ』の中二病的世界は穴だらけの設定ですが、言い訳不要で刺激には事欠かない優れたアイデアでした。しかし本作でシリーズの枠組みを無視した禁じ手を採用した以上、もう続編は厳しいでしょう。商売的に潮時と判断しての焼き畑だったかもしれません。それでも続編を制作するなら同一時間軸でのアナザーストーリーでしょうか。パージを利用した復讐劇とか、現金強奪作戦とか。パージから逃げ惑う人々を描くのではなく、パージ制度を利用(悪用)する側からのサスペンスなら観てみたいです。
[インターネット(吹替)] 5点(2023-02-17 18:52:38)
9.  福福荘の福ちゃん 《ネタバレ》 
本作を評する上で避けて通れない、というより本作の価値を決める最重要要素と言っていいのが「森三中大島の是非」であると考えます。芸人が俳優をする時点でトリッキーなのに、女が男役とはこれ如何に。例えば性転換した元女性役とかなら分かりますが違いますよね。となると何で大島さんなのかと。これって企画段階で出される「こんなん面白いんじゃね」的なネタをノリで実行したのではないかと勘ぐりました。しかし観終えて、何となくキャスティングの意図が分かった気がします。それは「リアリティの排除」。これは劇中の人間凧エピソードや、これでもかと云わんばかりの棒演技からも伝わってきます。中年童貞の生々しさ(えぐ味)を取り去る事でハートウォーミングかつファンタジーなラブコメを成立させたのではないでしょうか。実際福ちゃんがTKO木下とかクロちゃんだったら、ハッピーエンドを手放しで祝えなかったでしょう。性欲の匂いがゼロだからスッキリ、サッパリな風味になったと考えます。反面コクや旨味には欠けるのでドラマとしては物足りないかもしれません。この辺は好みの問題もありましょうが、私はこんなアプローチもありだと思いました。なおコメディとしても悪くありません。思いの外シュールで沢山笑いました。それにしても荒川良々の奥さんが黒川芽以で、大島がモテモテとか、この地域はデブ坊主にとっての楽園ですか。すぐに引っ越すので場所を教えてくださいな。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-08-14 01:28:14)
10.  ブレイブ-群青戦記- 《ネタバレ》 
例えばコレが趣味で制作した自主映画であるならば「良く出来てる」「面白いね」と笑顔で言えると思います。しかし大手配給の一般商業映画となると話は別です。感想は180度変わり「何やってんの」「恥ずかしくないの」と思います。『バックトゥザフューチャー』『漂流教室』『戦国自衛隊』を足して割ったとしか言いようがない本作。しかし、オリジナリティの点で本作を否定するつもりはありません。事実同じような体裁の『サマーフィルムにのって』は傑作認定しています。結局何が気に食わないのかというと、面白い映画からエッセンスを頂戴しているのに、オリジナルを遥かに下回る面白さしか得られていない事に不満を覚えるのです。オマージュするならオリジナルを超えてこそ。少なくともそういう意気込みや熱量がなくては、オリジナルに失礼だと思うのです。元ネタ(あえてそう言います)は本当に傑作で(漂流教室は漫画の方)、広くその魅力が周知されています。ファンも沢山います。ハードルは高いのです。生半可にイイトコロどりをしようとするのが一番いけません。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-07-24 00:58:58)
11.  プラットフォーム 《ネタバレ》 
設定だけみると典型的なソリッドシチュエーションスリラーですが、内容的には『社会の縮図』あるいは『地獄』のメタファーなのは明らかです。言い換えるなら、この世はまさに地獄ということ。辛いっすねえ。そんな地獄の中で主人公は革命を目指します。みんなが思いやりを持って痛みを分け合えば、全員が救われると。その理念は崇高ですが、意に従わぬ者は容赦なく殺しました。要するに確信犯のテロリストです。正義の御旗を掲げている分、むしろタチが悪い気がします。しかし、ろくでもない神様に従うのも癪な話。おそらくメッセージ程度では無視されて終わり。聞く耳を持った神ならば最初からもう少し世界はマシなはずですから。いろいろ考えてみましたが、世界を変える手立ては思い当たりませんでした。システムに組み込まれた時点で打つ手無し。そもそも、そんな神様を創らないように民は注意深く生きなくてはならないのでしょう。
[インターネット(吹替)] 6点(2022-07-07 00:24:47)(良:1票)
12.  笛を吹く男 《ネタバレ》 
『ハーメルンの笛吹き男』の韓国アレンジ版。原作の笛吹き男は犯罪者(人さらい)でしたが、本作の笛吹き男は息子を殺された被害者であり、その復讐劇の体裁となっています。そこで『復讐もの』について考えてみました。 本復讐劇の発端は、原作と同じ『契約不履行』です。笛吹き男(主人公)は鼠駆除の委託業務を履行したのに、依頼主(村長)から約束の報酬が貰えませんでした。理不尽ですが、そう珍しい話でもありません。現実的には泣き寝入りするパターンが多いでしょうか。だからこそ『ハーメルンの笛吹き男』の報復は常軌を逸しており『恐ろしい寓話』なのです。このホラーを『復讐劇』に転換するために、金銭被害以上の実害が必要だったと考えます。復讐の基本は『目には目を、歯には歯を』。被害と報復には均衡が求められます。笛吹き男の凶行(殺人及び子ども誘拐)に妥当性を与えるには、それ相当の痛みが必要でした。そこで一工夫。『戦時下』や『時代劇』という特殊カードを用いて、理不尽・蛮行がまかり通る『閉鎖された村社会』を作り上げました。これは上手いやり方です。社会秩序が保たれていない世界なら「何でもアリ」ですから。ただ個人的な好みを言えば、それでも希望なり救いなりを残して欲しかったと思います。昨今、限度を超えた激辛やデカ盛が流行っていますが、過ぎたるは及ばざるが如しとも言います。刺激過多で観客の心が麻痺していたら、ドラマの旨味(心の機微)が感じ取れず大味な印象になってしまう気がするからです。もっともこれが韓国映画の流儀であり、また魅力であることも否定しません。また同様の苦情(?)は、日本の某有名監督(〇子〇様)に常々抱いていることも申し添えます。 それにしても村長があの有名ミュージシャンに見えて仕方がなく。「青田、お前が旦那を止めろ」と何度も叫んだことは恥ずかしいので秘密にしておいてください。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-17 20:25:44)
13.  ファーストラヴ(2021) 《ネタバレ》 
星空を見上げ、なんて自分はちっぽけな存在なんだろうと感じる事があります。今抱えている悩みが小さなものに思えてきます。本作で多数挿入される『都市の遠景』からも、これと同じ効果を感じました。コトの大小は相対的なもの。たとえば、象は大きいの?小さいの? 環菜や由紀の抱えるトラウマの正体が明かされても、私はさほど大きな傷とは思えませんでした。性虐待の中では軽微なほう。世の中にはもっと辛い思いを抱えて生きている人がいる。おそらく2人もそう考えたのだと思います。これは心理的負担を軽減する知恵ですが、使用法が簡便なゆえに、致命傷をかすり傷と誤認する事があります。彼女らが心に負った傷は、自身が思うよりずっとずっと深いものでした。ここに相対的判断の落とし穴があります。心臓を一突きされた人に比べれば、お腹を刺されたくらい大丈夫、とはなりません。もし傷の深さを正確に把握していれば、もっと早く適切な治療を受けていれば、悲劇は防げたかもしれないのに。幼い子が最初に助けを求めるのは親です。親子関係が機能していないのは、子の成長にとって不幸以外の何物でもありません。 日本における臨床心理学の社会的位置づけは、カウンセラーである由紀自身が何ら治療を受けていない事からも、絶望的に軽視されている事が伺い知れます。2人のトラウマに共通するキーワード『性虐待』についても社会的認識度は低く、世界基準だとアウトな事例も日本では容認されていたりします。文化的な側面もありますし、何でも世界(結局は欧米のこと)が正しいはずありませんが、私も娘を持つ父として素行には気を付けたいと思いました(タイムリーにも、某ロックバンドのアルバムジャケットの赤ちゃんモデルが、性的搾取を理由に訴えを起こしたそうです。超有名な裸の赤ちゃんがプールで泳いでいるもの。何でもありだな!)。 事件の顛末について。殺意を認定するも情状酌量により懲役8年の実刑。妥当な判決に思えます。救護を放棄した責任は重く問われるでしょう。もっとも、彼女にしてみれば、親からされた事をそのまま返したかたち。ピンチに何もしなかっただけ。『因果応報』ですから、個人的にはノーカウント(痛み分け)としたいところではあります。環菜には、罪と向き合い、きちんとカウンセリングを受けて、社会復帰する事を望みます。父親もきっとそれを望んでいるでしょうから。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-10-24 00:27:57)
14.  ファンファーレが鳴り響く 《ネタバレ》 
高校生が現実から逃げ出す場合「引きこもり」や「家出」をするのが通例ですが、光莉は実行に移す気力がなかったため「人殺し」に走ったと考えます。矛盾するようですが、持久力を必要とする「引きこもり」より、瞬発力で可能な「人殺し」の方が、ハードルが低かったのだと思います。また月並みではありますが「猫殺し」が予行演習となったのも間違いないでしょう。果たして光莉は、自らを窮地に追い込むことで、強制的に現実逃避を実現しました。ちなみに彼女は「世の中を変えたい」と口にしますが、これは行為正当化の口実と考えます。自分自身を欺ければ、理由は何でも良かったのでは。明彦にしてみれば完全にとばっちりですが、危ないところを助けてもらった恩(実際は逃避のキッカケを与えただけ)、そして彼もまた逃避願望があったことから、彼女の尻馬に乗りました。ヒロイズムの勘違いもあったでしょう。彼は、なまじ「良い子」であったが故に判断を誤ったと考えます。2人の凶行は常軌を逸しており、彼らの中で「現実感」は皆無だったと思われます。現実逃避をしているから当たり前。まさに夢見心地。シンメトリーな橋脚下シーンが印象的です。「夢」と「現」。2つの世界を私たちは行き来しています。どちら側に居るのか、ときどき不安になりませんか?タイトル「ファンファーレ」はパトカーのサイレン音のこと。目覚まし時計が鳴り響きます。夢から目覚めた2人には、「新しい現実」が待っています。 冒頭のダンスシーン、死んだ猫のツクリモノ感は、本作が「寓話」であることを匂わせます。また殺人の導火線として「猫殺し」エピソードが必須でした。いじめ。腐った大人たち。様々な「言い訳」を駆使して、どうにか荒唐無稽な「人殺しロードムービー」を成立させています。これほどショッキングかつ現実離れした内容にせずともテーマを語ることは可能だったはずで、商業戦略的に刺激過多にした感は否めません。特にアパート襲撃はやりすぎでした。喩えるなら、どこぞのバラエティに出てくる激辛料理。味や栄養が二の次になる料理に、何の価値があるのかと。料理人として、それでいいんですか?と思うのですが。園子温監督あたりの悪い影響もありそうです(決めつけ失礼)。 エピローグについて。2人が犯した罪に対して適正な罰が与えられた形跡はありません。「心神耗弱」「未成年」。減刑に使われたであろう刑法の「チートカード」は悪質で、光莉が忌み嫌っていたはずの「社会のルール」に守られた無慈悲な結末と言えるでしょう。『殺すのなんて簡単なんだからね』は、犯罪加害者には適用されません。とはいえ、映画は因果応報に厳しい世界です。明彦には「報い」が待っていました。当然光莉にも、しかるべき報復があると考えてよいでしょう。守るべき者が出来た今、より厳しい仕打ちが予想されます。その時、彼女は初めて自らが犯した罪と向き合うのかもしれません。明彦の同僚は「罪を背負って生きていけ」と述べました。そう、これが私たちの社会が望む「更生」の姿であります。令和日本版『ボニー&クライド』で描かれたのは「破滅」ではなく「絶望」でした。
[DVD(邦画)] 6点(2021-09-16 01:28:39)
15.  フード・ラック!食運 《ネタバレ》 
肉に特化した飲食店紹介&グルメウンチクでお馴染みCSテレビプログラム『肉専門チャンネル』を手掛ける寺門ジモン氏が原作・監督だそう。バラエティ番組の映画化は『ゲームセンターCX』や『ゴッドタン』等で前例がありますが、本作の場合『肉専門チャンネル』とは切り分けられているようです(焼肉だけに)。とはいえ、登場する店にモデルがあるのは明白で、『肉専門チャンネル』の視聴者や焼肉通なら「ああ、あのお店のことね」と見当がつく仕様と思われます。 主人公は廃業した焼肉屋の倅で、現在はフードライター。食運(よい食事にありつける強運)の持ち主で、オープニングエピソードでは下調べなく飲食の名店を見つけ出し、さらに「頼むべき一品」を勘で注文してみせる離れ業をやってのけます。そんな彼に託された任務は、新規グルメサイトを立ち上げ『本物の焼肉の名店』を掲載せよというもの。相棒は土屋太鳳さん。まさにグルメ漫画のパイオニア『美味〇しんぼ』を彷彿とさせるキャラ設定です。当然、主人公の特殊技能を活かして隠れた名店を見つけ出していく話かと思いきや、さにあらず。『おふくろの味再現』とか『主人公が過去に犯した過ちの懺悔』という、当初誘導されていた目的地とは違う着地点に向かいます。フリとオチが合っていないというか、羊頭狗肉といいますか(牛肉なのに)。おそらく実名でなくとも特定の店の礼賛は差し障りがあるのでしょう。そのため『実家の味探し』という無難な体裁をとったと思われます。このあたりの気配りは流石。劇中で否定したグルメウンチクを後でフォローする気遣いも見られました。寺門氏が料理店から好かれるのには、ちゃんと理由があるのですね。とはいえ、看板の『食運』が物語に絡んでこないのは解せませんし、『過ちの懺悔』は本人が満足しても観ている方はモヤモヤする消化不良な結末でした(グルメ映画なのに)。正直人情劇として出来が良いとは思いませんが、腹が立つレベルではありませんし、『焼肉』の奥深さは伝わってくる内容でした。おそらく寺門ジモン氏的には満足しているのではないでしょうか。キャストも豪華でした。最後にオマケ。オープニングクレジットについて。白米を背景に白字で監督名という寺門ジモン氏の“謙虚さ”、私は好きです。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-08-05 21:55:46)
16.  プリズナーズ 《ネタバレ》 
ネタバレしています。未見の皆様ご注意ください。  タイトル『プリズナーズ』は、主にキリスト教に対する“囚人たち”を指すと思われますが、私はこの分野で語るだけの教養を有していないため、キリスト教を一般的な“価値観”(ルールあるいは思想でも構いません)に置き換えてみることにします。それでも大筋は変わらないと考えます。 『囚人たち』は、特定の誰かではなく全ての人々を指すもの。社会生活を営む人間は、必ず所属するコミュニティ共有の価値観に“囚われて”生きているからです。これが前提。しかし本作では圧倒的多数が支持する価値観(=法律)に沿わない者が現れました。誘拐犯と主人公です。ここで注目したいのは、彼らが価値観を無視した理由。2人とも自らの内なる価値観を優先させたのです。そう、私たちは単一の価値観のみに縛られている訳ではありません。時に相容れない複数の価値観に囚われて生きています。要は、どの価値観を優先させるかの問題。誘拐犯の価値観は論外ですが、主人公が優先させた価値観は多くの人々の共感を得る事が出来るでしょう。“我が子の命を守る”は金科玉条。水戸黄門の印籠クラスの威力を持ちます。しかしながら、同等以上の価値を有するのが“私はあなたを殺さないので、あなたも私を殺さないでください”の対人相互不可侵の約束。人が群れて暮らす上で最初に必要だった原始のルールで、いわば基礎の基礎。最上位に置かれる“価値観”です。ですから、主人公が優先させるべき価値観を逆転させたと感じた時、私たちは「遣り過ぎだ」「それは無い」と判断した訳です。 因果応報が尊ばれるのが映画の世界。対人相互不可侵の大原則を破った主人公がキツイお仕置きを受けるのも道理です(注:これまでの主人公の行動に従えば、真犯人の目星がついた時点で問答無用で拘束すればいい話。映画のルールに則って、彼はあえて罰を受けたと見て取れます)それでも主人公は相手の命を奪う一線は越えていなかったので、彼もまた一命を取り留めたのでしょう。もっとも、普通ならあの笛の音は気づかない。気づけない。気づいた警官こそ法律の象徴であり、彼が蔑ろにした価値観に他なりません。見ようによっては、なんとも皮肉な結末と言えそうです。
[インターネット(吹替)] 8点(2021-06-30 20:41:51)
17.  淵に立つ 《ネタバレ》 
この家族に起きた悲劇について「どこかで引き返せたか?」を考えたとき、思い当たるポイントは無数にあります。何時でも最悪を回避できたと思う反面、決して逃れられぬ結末であったとも感じます。それは「姿勢」に所以する問題だからです。「何を(誰を)守りたかったのか?」の問いに対する答え。妻は「隣人」であり、夫は「自分」であったと考えます。そこに「家族」の視点は感じられず、犠牲者が出たのは道理でありました。 さて、ここで注目したいのは、夫の人間性です。過去に犯した罪の告白により、その劣悪な人間性が明るみとなりました。実質的にこの時、家族は崩壊したと考えますが、なぜ夫は秘密を墓場まで持っていかなかったのでしょう。苦難を共有することで夫婦の絆を感じていたから赦してもらえる気がした?いや、彼は自身に対して“嘘を付き過ぎた”のだと思います。「自分は悪くない」そう自身に言い聞かせてきた結果、夫の中で嘘は真実に変わったのだと思います。罪の重さを強く感じていたが故の刷り込みならば、彼は極悪人でもありません。誰の身の上にも起こり得ること。罪に対して適正な罰を受けるのは、加害者の為でもあることがよく分かります。 夫はもとより、妻も不貞という罪を犯しました。すなわち夫婦にとって八坂は“罪”又は“罪悪感”の象徴と見て取れます。罪悪感は自身に内在するものですから、何処か外で見つけようとするのは無理な話。罪が昇華されない以上、最後は罪悪感と共に心中するしかなかったと考えます。 最後に古舘寛治氏について。正直、役者としての魅力が今まで分からなかったのですが、本作で初めてその本領をみた気がします。存在感を出さないことの凄みとでもいいますか。観客が自身を登場人物に置き換えようとしたとき、これほど都合のよい器もありません。ほんと、お見逸れしました。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-04-10 11:25:08)(良:1票)
18.  フリー・ファイヤー 《ネタバレ》 
“総弾丸数〇万発!”みたいな派手な銃撃戦を想像しておりましたら、これが真逆でした。足を撃たれて機動力激減、出血多量で意識朦朧。みんな物陰に身を潜め、地べたを這いつくばって威嚇射撃。エンタメな“ガンアクション”とは程遠いグダグダな銃撃戦でした。ある意味リアルっちゃあリアルな殺し合いは、画的にはとても地味で、当然面白くはありません。しかし、かといってツマラナイというワケでもなく。個人的には、グダグダ感にむしろ魅力を感じてしまいました。結末も見事にグダグダで。ダンディ坂野の笑いを芸として肯定できるタイプの御仁なら、あるいは楽しめるかもしれません。教訓は『ビジネスに私情持ち込み厳禁』『命あっての物種』です。大事なことですね。勉強になります。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-02-25 23:52:31)
19.  PLAN6 CHANNEL9 《ネタバレ》 
主人公が経営するパンクショップを訪れるお客がみな強烈!只今仕事さぼり中『マウンテンリバー山川』、マジでデスする5秒前・おかまのモジャ毛シンガー『ブーメランいとう』、1000日修行の前に一発かますぜ『釈尊いしみね』等、奇天烈キャラが勢揃い。もう名前からして反則でしょう。そんな個性豊かなお客さんに似合う服を見立てる際に、ロックを歌うのが主人公の流儀というワケ。この設定も結構クレイジーですね。ちなみに歌唱の時間は、一休さんにおける『ポクポク』に該当するのでしょうか。サブカル系シュールコメディならではの独特な空気は、楽しめる(受け入れられる)人を限定するでしょうが、こういったジャンルの中では比較的まとも(まとまっている)作品と感じます。パターンは決まっていますし、面白ポイントや、言わんとしている事の意味は解るので。しょーもないモノの中にも、あるいはしょーもないモノの中だからこそ、光るものは見つけ易いワケで、例えばお客の悩み相談に対するマヒルの回答に、意外と価値があったりします。ラスト、クズ夫がカッコよく見えるのも、それまでが酷過ぎたから。何事もギャップって大切ですね。ちなみにタイトルはエド・ウッドの「プラン9フロムアウタースペース」のオマージュではなく、主人公が見立てた洋服の数=6着と、来客人数=9人に由来しています(嘘。テキトーです)。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-09-25 18:52:42)
20.  ファインド・アウト 《ネタバレ》 
記憶と証拠、主観と客観、どちらが正しい?精神を病んだ者が主人公となるこの手のジャンルは、どちらに帰結するパターンも既存作品で目にします。ですから早々に見切るのは厳禁なのですが、それでもあらゆる可能性を排除せず、終盤まで物語を引っ張り、緊張感を持続させられたのはお見事でした。流れる水の如く出任せを言う主人公、何か裏のありそうな刑事。細かなミスリードが上手だったと思います。ただし、主人公の“決めつけ捜査”が功を奏しまくる展開は、流石に無理筋だった気がしますが。さて、特筆すべきは、ラスト主人公が下した決断です。私なら、あそこまで腹を括れない。というより、“犯人憎し”の感情よりも、“物証の確保”を優先させる気がします。それくらい、自身の言い分を信じてもらえないのは屈辱ですから。しかし、よくよく考えてみると、あの選択がベストだったのでしょう。着せられた濡れ衣を逆手に取ったすっとぼけ。かつトラウマと今後の不安材料を一掃して一石二鳥。おまけに、事件の真相を告げる証拠を警察に送り付け、溜飲も下げると。保身に走る警察は、揉み消すこと請け合いですもの(ちょっと警察を悪く描き過ぎでお気の毒ですが)。テンポの良さとスピード感、結末のカタルシスで、結構な粗を目眩まし。これもテクニックのうちと考えます。
[インターネット(吹替)] 7点(2020-08-30 22:58:29)
030.13%
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