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1.  ブンミおじさんの森 《ネタバレ》 
夏の夜の感じ。背後では虫の声が続き、夕涼みをしている部屋でぼそぼそと語り合う親族一同。そこにふんわりともう一人、すでに亡くなった親族が現われてきてもおかしくないような夜。一年中こういう夏の夜の感じが続いているのなら、さらに毛むくじゃらの猿の精霊となったせがれも、階段をゆっくり上がって来ることがあるかも知れない。ちょっとは驚くが、あとはすんなり状況を受け入れて会話は続いていく。「ずいぶん毛が伸びたのね」。すると次に美貌を失った王女さま(?)と輿かつぎの若者の悲恋っぽい話になり、それを見守るナマズが慰めたりする鏡花にでもありそうな世界に唐突に切り替わる。バックの滝が美しいが、こちら観客はその展開にただ呆然とする。するとさきのブンミさんの話に戻って幽霊との洞窟探検になり、分かりやすく判断すれば亡妻に死の国へ導かれたような図だが、そういうおどろおどろしさはない。いたって淡々とブンミさん死んで、淡々と葬儀に移り、画面では香典の金勘定をやってる。王女さまのおとぎ話の対極のような世界。お寺が怖くて睡眠不足だった坊さんはシャワーを浴びTシャツに着替え(坊さんがシャワー使ってる光景なんてたぶん人生でこれ一回見るきりだろうが、だからってなぜこう丹念に見せられるのか)、さて飯でも食うか、と出かけるところで最後のサプライズが来、観てるものの呆然を残して映画は終わる。ついついこちらは「アジア映画」というものを「素朴な良さがある」「癒しの」世界という心構えで観てしまっていた。題名もなんかそれっぽいし。ところが前衛映画ってやつだった。エピソードのひとつひとつは奇譚として面白いんだけど、それがどう関係しているのかが分からない(前世ってこと?)。もうちょっとヒントくれてたら心穏やかに観られたのに。アジアの映画も、そう「癒し」ばかりじゃなく、むかし見たバングラデシュの『車輪』っていうのは、行き倒れの死体を遺族の村に運ぶように頼まれた男の話で、なかなか目的地の村にたどり着けず(村の名前を間違えていたり、結婚式をやっていて不吉だと追い返されたり)、しだいに死体には蝿もたかり、死者の幽霊が「俺の村を見つけられるかな」とからかってきたりと、なんかブニュエルを思わせるような傑作だった。アジア映画が、「癒し」「素朴」の方向で享受される時代はとっくに終わっていたことを悟らされるこの『ブンミおじさん』ではあった。
[DVD(字幕)] 6点(2012-05-26 10:23:21)(良:1票)
2.  武士の家計簿
ユニークな映画が出来てるのではないかと期待してしまった。小説ではない人文系の書籍をベースにして劇映画にしたってことで、市川崑の『私は二歳』のような風変わりな作品を期待した。同じ才人監督だし。侍たちが並んでソロバンをはじいているなんて、あんまり見たことない図で、事務職としての侍の職場を描いた珍しさなんかいい。それで主人公の「ソロバン馬鹿」ぶりを具体的に展開していくのかと思っていると、それほどでもなく中盤に至り、そうか一家の倹約作戦を細々と見せていくのか、と膝を乗り出すも、その話は大ざっぱに収まり、いつのまにか幕末になってけっきょく歴史をソロリと撫でただけで終わってしまった。原作にあっただろう(読んでないので想像で言っちゃうのが弱いのだが)エピソードを、あたりさわりのない話(父と子の確執とか)に変換して繋いだって感じ。親父の一つ語りの門の片面だけを塗った話、みたいな「何の教訓にも変換されない」具体的な手触りの感じられるエピソードをもっと聞きたかった。原作の人文書そのものから膨らませるのではなく、既存の物語の型に当てはめただけに見えた。もったいない(歴史学の本を劇映画にするのは実際大変だろうとは思います)。ただ最近小林正樹の『切腹』見たばかりだったので、江戸時代のアタマと終わりでの侍の対比となって面白かった。とりわけ刀の扱いの違い。侍が官吏になり士道がソロバン道になっていったが、別にそれは劣化だったわけではなく、それなりの一生懸命が必要だったんだ。息子の祝いの席で出た絵の鯛を持って縁側を(縁「川」に見立て)人々が行くシーンが、唯一映画として生き生き感じられた。
[DVD(邦画)] 5点(2011-12-09 10:23:02)(良:1票)
3.  冬休みの情景 《ネタバレ》 
中国映画はかくも文化大革命から遠く離れたとこまで来たのか。前向き・力こぶ・希望・明朗といった文革時代の表象は、その後の文革批判の映画でも現われていて、いつも底にはそういった傾向があったように思う。でもこれはどこにも力こぶのない映画だ。退屈しきった日常、手応えの感じられない社会、都市部の若者の世界的テーマが、中国の、しかも内モンゴル自治区から生まれてくるとは。ジャームッシュやカウリスマキにも通じるミニシアター系の脱力ドラマ(コメディと言ってもいいんだけど、言い切るのは若干ためらわれ)。上海でなく内モンゴルでこういう映画が生まれるまでに、世界は均一化してるってことか。シークエンスとシークエンスの間に入るかったるいスキャットも含め、ひたすら脱力している。そして(毛糸をほぐして帽子をこしらえた恋人の)親は離婚しようとしてるし、友人とは些細なことで絶交しようとしている。それもいたって淡々とで、一日たてば消えてしまいそうないさかい。子どもは大きくなったら孤児になろうと言うし、かつて文革で団結を叫んでいた中国人民は、今は解散したくてたまらないようだ。解散の日までの日常をぼそぼそとしのいでいる感じ。登場人物が笑顔を見せたのはたぶんテレビを見ていた老人とオバサンが顔を見合わせたとき一回だけで、そのオバサンもなにがあったのか怒って帰っていった。人はどこも別れる準備をしている。町中に響いている音は何なんだろう。旧正月の花火? どこぞの砕石場? それすら空のうつろさを確認しているように感じられる。退屈しきった休暇が終わり学校が始まって、初めて力こぶが感じられる熱血教師が出てきたと思ったら、教室を間違えてて去っていった。休暇ボケだったのだ。「社会に役立つ人になるには?」という問いの前で脱力し続ける学生らの背後で、初めてビートの効いた音楽が鳴ってエンディング。これがどの程度内発的に作られた映画なのかは監督の別の作品を目にするまでは疑問符をつけておきたいが、町の死に切ったたたずまい(とりわけ怒声なしで淡々とカツアゲされる空き地)や白菜売り場の光景など忘れられそうにない。監督リー・ホンチー李紅旗。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-02 10:10:44)
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