1. フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ
<<ネタバレあります>>円谷さんは、この作品以前にゴジラシリーズの行き詰まりを予感していたんじゃないでしょうか。前年の「フランケンシュタイン対地底怪獣」同様、怪獣の大きさの設定をゴジラの半分程度にし、よりダイナミックでスピード感ある映像作りに挑戦したのが本作だと思います。本多監督との息もぴったりで、例えばL作戦準備からメーサー車によるガイラせん滅戦までの描き方も、本編・特撮ともまことにテンポが良く(伊福部マーチも忘れてはいけません!)、本多・円谷コンビのもっとも油ののった時期だったことがうかがえます。唯一残念なのはラストでいきなり海底火山の爆発を持ってきたところで、これは唐突の感あり。背景的に多少伏線を張っておいても良かった気がします。この作品にはガイラが人を食うシーンがあります。私がこの映画を初めて見たのは10歳のとき、映画館だったのですが、あれは怖かった。夜布団に入っても、窓の外にガイラがいそうな気がしてなかなか寝付かれなかった記憶があります(同級生の友人は夢の中に出てきてうなされたそうです)。でも、そういうシーンや火炎の中で人が粉々になるシーンを描くのが怪獣映画じゃないんです。散々怖がらせておきながら、悲惨な死体の様子は見せず、打ち捨てられた花束で象徴させているところを、現代の怪獣映画ファンはよく見ておいて下さい。本多監督の描いたのは直接的でグロテスクな映像ではなく、感覚的でシンボリックなものですが、血まみれの死体がないのがこの作品を物足りなくしているということはまったくありません。 9点(2003-06-05 02:56:37)(良:2票) |