1. ヘッドライト
《ネタバレ》 文学的なメロドラマとでも申しましょうか、暗くて深い語り口調が印象的。しかし、妻や娘をあからさまに悪く描いているのは、いかがなものかと思います。そうでなければ、もっと悲哀が出ただろうに。ままならない世の中でなんとか生きようとしても、うまく行かない人生模様はよく描けていたと思います。しかし個人的には、もっと明るいお話が好みですねぇ。フランソワーズ・アルヌールはとってもきれいでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-12-28 20:05:33) |
2. 弁天小僧
《ネタバレ》 これも昔の作なので、台詞に聞き取りづらいところがあって残念。また、白浪五人男はすでにおなじみということなのか何の説明もなく出てきますが、現代なら一応説明してもらいたいところでした。中では、日本左衛門役の黒川弥太郎が、貫禄が出ていてよかったです 途中、有名な「知らざぁ言って聞かせやしょう」の場だけ舞台風になるのがすばらしい演出で、ここが一番の見せ場でした。あとは最後、捨てた息子だとわかる場面も、泣かせる展開でいい幕切れでした。 遠山の金さん役で勝新太郎が出ているのですが、出番も多くなくちょっと影が薄い。というか、やはりミスキャストという気がします。別の俳優でもよかったと思いますが、金さん役となると、そうも行かないんでしょうか。雷蔵とのからみは見ていて楽しめますが。 以前見た『切られ与三郎』と同傾向ですが、個人的にはあちらの方が好みかな。しかし、こちらもいい作だと思います。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-04-19 07:24:14) |
3. ベルモンドの怪盗二十面相
《ネタバレ》 ブロカ監督とベルモンドといえば、ドタバタ・アクション映画が多かったと思いますが、これはアクションなし。序盤は、出所したベルモンドがいくつもの変名で詐欺をする様子を描いています。ドタバタは健在ですが、まとまりがなくダラダラした展開です。変装したり声色を変えているところから邦題がついたのでしょうが、怪盗じゃないです。ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド演ずる保護観察官と出会ったことから、泥棒に移っていきます。しかし盗んでからも一筋縄でいかず、ひねったところに落ち着きます。 基本的にドタバタコメディなのですが、前半はあまり笑えず残念でした。泥棒するあたりはそれなりにおかしかったです。終盤はパターン通りという感じで、ロマンスの要素も取り入れていますが、犯罪とのかみ合わせがうまくないと思います。ビジョルドはとてもきれいで魅力的なだけに、残念なできでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-08-19 16:51:26) |
4. ベン・ハー(1959)
この映画には、愛がある。友情がある。信頼と裏切りがある。希望と絶望がある。争いと平和がある。笑いと涙がある。勇気と自己犠牲がある。嘘と真実がある。圧政と抵抗がある。そしてなにより、信仰がある。この映画には、人の営みのすべてがある。これぞ傑作! [映画館(字幕)] 10点(2010-12-03 19:17:25)(良:1票) |
5. 蛇の穴
《ネタバレ》 これはけっこうよかった。記憶喪失・神経症で精神病院に入院した人妻が、退院するまでのお話。病気の原因は今日言う「トラウマ」で、それを探っていく過程がミステリー風でかなり面白かった。実際に夫の顔や結婚したことを忘れたりする症例があるのかどうか、私はまったく知りませんが。ただヒロインが、強度の強迫観念に囚われているというのは納得できました。これが話の中心ですが、精神病院の患者が増えすぎて、とても1人ひとりにきちんと対応できていないという現実も描かれています。看護師の患者に対する態度も、少々問題あり。そうした批判を含んでいるということも評価できます。しかしもっともよかったのは、なんといっても主役のオリヴィア・デ・ハヴィランド。狂気から脱しようとするヒロインの苦しみ・孤独を熱演していました。役柄上錯乱した場面も多いのですが、なかなか迫力があります。この方は『風と共に去りぬ』のメラニー役くらいしか知られていないかもしれませんが、本作や『女相続人』を見ると、かなりの演技派だとわかります。もう少し認知度が上がってもいいと思います。脇役では、担当医のレオ・ゲンがさわやかな味を出していました。知名度は低いですが、逸品です。 【追記】調べてみたら、原作は小説とはいえ、作者の実体験に基づいているようです。となると、記憶喪失になったということなのでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-25 20:38:05)(良:2票) |
6. ペーパー・ムーン
ハートウォーミングな話なんですけど、ベタベタ・メソメソしたところがないのがいいです。2人の距離がだんだんと縮まっていったあげく、最後はああいう風になるのもいい。それもこれも、頭の回転が速くてこましゃくれたアディを演じきった、テイタム・オニールがいればこそ。彼女にとっても一期一会の作品であり、ベストの芝居になったようですね。それがよかったのか悪かったのか。なんにせよ、笑えてホロリとさせられ、最後にはニヤリとさせられる、おしゃれでステキな映画です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-04-07 19:21:34)(良:1票) |
7. ベンジー
何をかくそう、初めて劇場まで見に行った洋画です。大人になってみるとツライかと思いましたが、意外にそれほどでもなかったです。まあ、お話がご都合主義なのはいただけませんが、そのあたりはやはり子供向けということでしょう。特筆すべきは演出で、低いカメラワークや犬の行動で、ベンジー君の考え・感情を的確に伝えているのはおみごと。時に人間目線も取り入れて、その切り替えがうまいと思います。クライマックスの「ストップモーション+カットバック」は、昔は感動したのですが、今回はちょっとくどいという感じでした。また、BGMがほとんど2種類のモチーフしか使っていないのは、けっこうすごいかも。 とりあえず、映画のできとはまた別に、たいへん「好きな」映画ではあります。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-19 13:45:42) |