1. ポルノグラフィックな関係
《ネタバレ》 まずこの作品がエントリーしていたことに驚きました。 フランス語でしっとりと描かれる大人の男女関係です。 子供もいて離婚経験のある40代女性が人肌恋しさに大胆な広告を出します。 ここでアメリカなら逆手に取って脅迫されるか、ホテルの一室で惨死体で発見されるのが普通です。 でも、全然そうはならない。 現れた男性はごく優しい普通の人でした。そんなアホな。 男性はヘンタイでもなく犯罪者でもなく、金目当てに脅迫もしてきません。そんなアホな。 ああ~私はFOXドラマの見過ぎなんでしょうか。 インタビューで女性側がいろいろウソをついていることとその理由を想像してみることや、別離後の二人が外見を変えていることも、面白いですね。あのころの自分を早く忘れたい。もう、あの人と会っていたときの自分ではない。もしもどこかで偶然会ったなら、気がつかれないか、「見違えた」と思わせたい。「あの後の相手の人生には、きっと色々な出来事が起こっていたのだな」と思わせたい…。 結局のところ、男性の意気地なしが原因で別れてしまうのですが、長所は短所でもあるのですね~。 「優しい人」は「優柔不断」でもある、と。 そうでなければ、とっくに他の女が目をつけて妻か恋人がいるにきまってます。 秀逸なラストでした。きっと誰にでも経験がありそう。街角で見かけた元恋人を、黙ってやりすごす…。なんてせつないんでしょう。そんな時の相手は、かっこよく華やいで見えるものです。 女性の年齢をかなり高めに設定したことでリアリティが出ましたし、ヨーロッパの知らない俳優が演じていることも見る側にとっては条件が良いと思います。 ひとついえば、インタビュアーはどういうシチュエーションで質問にこぎつけたのかという疑問が残るが、こういう大人のロマンスをもっと作ってもらいたいものだ。 多くの大人に鑑賞後のせつない気持ちをぜひ味わって欲しいですね。 [地上波(字幕)] 9点(2010-06-15 17:10:56) |
2. ぼくのバラ色の人生
《ネタバレ》 画面がカラフルでとてもかわいいです。幸せな気分になりそうな配色です。 でもそれは目くらまし。これはすごく巧みな脚本です。唸らされる。 この予定調和の無さ加減といったら、爽快です。期待を裏切り続ける展開は見事。 始めは息子可愛さに大目に見ていた母親のほうが、退学後は手のひらを返したように冷たくなるとか、会社をクビになった父親のほうが妙におおらかになったりだとか。 ここに描かれているのは「子供だから許される」ということのないむき出しの世間です。日本やアメリカでは有りえないでしょう。 そして親たちの態度がとても奇妙だと思いました。ここの親は、ちょっと見にはフランス人らしく子供も一人前扱いして主義主張を尊重しているのかのように見えますが、実は全然まともに子供を相手にしていません。子供のすることはひたすら受け流しているみたい。カウンセラーもそうです。 リュドの奇異な言動に対して、「ああもう」とかいう「個人的な反応」をするだけで、フォローというものが全然ないですね。やりっぱなし、という感じ。 フランスではこれが普通なんでしょうかね。それとも意図的なものでしょうか。 ラストはグズグズになってしまい、残念です。大人になったリュドの近況で終わればよかったのではないでしょうか。完全なニューハーフとして生きる「彼女」の。 ともあれなかなか面白く見られます。リュド役の子のふてぶてしさには苦笑しますが、だから「虐待」というふうに見えないのかもしれません。隠れた良作です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-03-15 17:15:24) |
3. ぼくの美しい人だから
《ネタバレ》 ありえない大人の童話である。 43歳(の役)にして頭の上におリボン。ムダ毛なんて気にしない。スーザン・サランドンでなければできないなあ。 2人の間に階級や価値観の違いによる葛藤はあるにはあるのだが、そこをすべて「愛こそすべて」で済ませていることがちょっとゆるいかなあ。もっと決定的な対立があってそこを乗り越えてくれないとなあ。エピソードが足りない気がする。 それにしても勘の鋭い女の人ってこわいですね。ちょっとしたことを絶対見のがさないからなあ。私なんて何一つ気がついたこともない。個人的にはそんなに強力にお互いを見詰め合わないほうがいいんじゃないかと思います。疲れてしまう。 [DVD(字幕)] 6点(2006-10-01 21:07:58) |
4. BODY/ボディ
《ネタバレ》 その筋では酷評されるだけのこの作品、けっこう好きです。なによりマドンナが画面にでているだけで緊張感あるし。ウィレムデフォーの骸骨ぶりは、すでに「ハンサム」とは程遠いものですが。全身にハリをしてもらっているマドンナの悩殺笑いが印象的。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-23 19:09:58) |
5. ボーイズ・ドント・クライ
《ネタバレ》 実話に添わなくても、映画として成立させる方向にしたほうがよかったと思う。 べつにドキュメントじゃなくてもいいじゃない。前半あんなにおもしろかったのに、後半サドグロ。せっかくの前半の「青春グラフィティー」はどこへ。 クロエとうまくいってるように見えたけど、やっぱり男に行っちゃって、あーあ、せつないよね、ってなことでもよかったじゃないかあ。それでも充分終われるじゃん。なにが悲しくて前半のよさをこわすのか、観客は逃げ出したくなる。こういう終わり方をするなら、最初からもっと不幸な描き方をしてくれ。なんか約束が違う。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-11-02 22:59:07) |