1. ボビー・フィッシャーを探して
将棋の羽生さん(この人はチェスも日本トップレベルと言っていい腕前らしい。)が入管法違反の疑いで日本で拘束されたボビー・フィッシャーさん(たしか今では無事アイスランド国籍を取得したと思いますが・・・違ってたら誰か指摘してください。すいません。)を救おうと小泉にあてた嘆願メール、「フィッシャーさんはチェス界のモーツァルトのような存在で、残した棋譜は100年後も色あせることなく存在する。可能ならば日本国籍を差し上げてチェスに打ち込める環境を提供することができないでしょうか?」・・・ということらしいです(以前ネットで見かけてコピーしていた文章を引用。新聞記事か何か。)。いくら才能があってもプロで通用するには人生を賭けたようなトレーニング(それも質の高い)に費やす時間や労力の膨大な絶対量が必要とされ、逆にいくらトレーニングしても才能がなければ通用しないのに自分の才能の限界も判らないまま少年時代に飛び込んでいかないといけないシビアな世界を本作は描いています。考えてみると、どんな世界も同様なところがあり、この映画は人間社会の一面をピュアな形で浮き彫りにしているのではないでしょうか?。芽が出ず無名のまま年を取ってチェス道場のようなところで世間から取り残されたようにチェスを指す人たちが登場しますが、あの姿を見れば映画後半の「もっと肩の力を抜いて」みたいな人間性回復のメッセージはちょっと説得力に欠けるような気さえします。温かい映画というよりも、かなり厳しく切なく痛い映画だと思ってしまいます。主人公と父親の姿は「お受験」やスポーツの特訓をしている当事者にとっては他人事とは思えないのでは?・・・。私は将棋の魅力がほんのちょっとは判るような気がする(気がするだけ)のですが、この映画はチェスの棋譜が判らなくてもチェスの魅力が判るような(気がする)雰囲気を映像上に醸し出しているようで好印象です。そうした魅力を多少なりとも表現しないとなぜあんなに人がチェスに没頭するのかが伝わらないですからね。本作は映像が全体的になんだか朝の陽光に包まれたように(照明あてすぎ?)明るくキレイで爽やかでいい感じです。 [DVD(字幕)] 8点(2006-07-10 22:56:39)(良:1票) |