1. 僕の彼女はサイボーグ
《ネタバレ》 妻投稿■カク・ジェヨン監督の妄想三部作の最終章。多分彼は中坊そのまんまの自室にあるダッチワイフからヒントを得て脚本を書き続けたに違いない。タイムパラドックスがどうとかいう問題はSF作品なら重大な問題だろうが、中坊の妄想に要求されるサイドストーリーにはどうでもいい問題なのである。その証拠にこの映画、設定の整合性やストーリーのバランスは最低限の配慮しかされていないが、綾瀬はるかが横向きに街路を歩いて胸が強調されていたり、未来の女子高生の制服(綾瀬はるかの友人が制服で強調された胸を手で押さえながら走ってくるシーン)や、綾瀬はるかとメイドのダッチワイフ的な歌声とシュールな首振りといったシュールな光景といった「画」にかける拘りが物凄く強い事が見て取れる。「好き」を職業にする事は非常に難しいと「自分探し」を批判する人が良く口にしているが、「妄想」を職業にする事はもっと難しいと思う。妄想の上に芸術を塗りたくれば一応相応の作品は出来るのだろうが、妄想そのものを作品化して受け入れられるには、自らの妄想を的確かつ徹底的に分析する必要があるに違いない。「花ざかりの君たちへ」や「イケメンパラダイス」を存分に楽しんだ私としては、この監督は素晴らしい監督だと思う。 [DVD(吹替)] 9点(2011-03-01 21:02:11) |
2. ボウリング・フォー・コロンバイン
《ネタバレ》 妻投稿■突然だけど一時期「なんで人を殺してはいけないのか」という質問が日本で流行りましたよね。それに明確に答えられない大人を辱めるか、そんな質問をする子供を非難するか、当時の世論はどっちかだったと思う。ちなみに私の答えは「そういう選択を人類がしたから」。だから人が選択するのをやめさえすればいつでも「人殺しオッケイ」になるのだと思う。■実はそういう結論に私が達したきっかけがこの映画だったりする。作中のアメリカ人は銃を持つか持たないかという選択を迫られている。つまりは「自分が人を殺す」という状況を想定しているのである。私にはそれが衝撃的だった。日本だったら「人の生殺与奪を個人が握るなんてとんでもない」という「良識」が社会を支配しているらしいから。・・・けど、考えてみれば日本だって国民の大半は死刑にノリノリだし、「一個人が死ななければいけない理由」なんて(「うざい」とか「きもい」とか)社会にいくらでも転がっているようにも見える。■実は犯罪率は減っているという事実、やたら不安をあおるメディア、カナダとの比較、福祉制度と貧困の絶望(チャールトン・ヘストンの部分の趣旨はよくわからなかったけど)など、映画の言いたいことはたくさんあると思う。だけど日本人がこの映画から受け取るべき事は、「人を殺してはいけない倫理なんて明日には吹っ飛びかねないはかない倫理」だという事と、「暴力は相手を支配するためではなく、相手を痛めつけるためにあるわけでもなく、確実に殺すためにある」という事の2点ではないだろうか。ムーアの編集でイカレポンチの集まりみたいに描かれているアメリカ人だが、この2点は日本人よりはるかによく自覚していると思う。■9条、銃刀法法違反…私は賛成だ。でも平和ボケはしていても、人の痛みに鈍感になったツケは、この映画が否が応でも教えてくれる。■マイナス点は、マイケルムーアがこの解決策を「敵を作る」ということに求めていることかな。 [DVD(吹替)] 7点(2009-12-18 21:58:36) |
3. 僕の彼女を紹介します
妻投稿■チョン・ジヒョンてめえ調子に乗ってんじゃねえぞ。何女子高のイケメン教師を手錠で拘束して連れまわしてんだよ。何凶悪犯を車から引きずりだして得意そうに踏みつけてんだよ。いかにもたこにも「愛とは支配」を地で行ったその挙句に最後は泣き狙いやがる根性が許せない! そこに直れ! 説教してやる! ・・・・・追記:旦那は大喜び・・・。 [インターネット(字幕)] 6点(2009-05-03 21:55:54) |
4. ホテル・ルワンダ
《ネタバレ》 この映画を見ている日本人がルワンダ人に何も出来ない。そりゃそうだ。「怖いね」って夕食を続けられるくらいの鈍感力がなければ生きてはいけない。この映画を見て多数の人間が鬱状態になって何にも出来なくなるのは困るし、「何か出来る事はないか」と危険地域イラクに行った方々を、日本政府と日本人は「偽善」だ「迷惑」だと糾弾したではないか。つまり我々は夕食を続けていい(らしい)のである。でも、日本人が日本で生活していて、この映画と同じような場面に出くわさない可能性は皆無だろうか。戦前では関東大震災の時の朝鮮人虐殺(人数は全く違うが)があったし、最近だって民兵のアジトのレイプ小屋レベルの狂気は障害者雇用企業や外国人雇用企業、カルト宗教施設なんかであった。あの時、行政、警察、そしてそれに気づいた周囲の人々はどうしたのか。何が出来たのか。新聞や本によると見て見ぬふりをした人たちが多かったのではないかと思う。理解しようともせずに認識の低い政治家の発言に同調して虐めた例もあったと思う。先進国の人間は「大虐殺」の前にポカンとしているが、主人公の友人の民兵のボスみたいに一人の人間に優しさと残酷さが同居していたり、政府軍大佐が「何でみんな俺の言う事を聞くのか、それは強いからさ」という台詞が本当なのは日本もルワンダも同じだ。この映画を見て、夕食を続けて、その後に僕らが出来る事は皆無ではない。皆無であってほしいが。・・・・・・・でもあの賄賂好きの政府軍の隊長、約束守ってもらえなかったのね。 まあ、ざまあみろだけど。 [DVD(吹替)] 9点(2008-10-27 01:08:30)(良:1票) |
5. 香港国際警察/NEW POLICE STORY
《ネタバレ》 傷ついた犯人を前に警官隊に銃を突き付けられながら、「銃で撃たれて出血がひどい、早く助けてやれ!」とわめくジャッキー。今までの残酷なシーンはこのためにあったのだ。ジャッキーは今までも時計台から飛び降りたり、バスにぶら下がったり、ヘリコプターにぶら下がったり、ビルから滑り降りたりと不可能に見える事を次々とやってのけたヒーローだが、この映画ではどうしようもない怒りや憎しみや悲しみをも乗り越えたのだ。 [地上波(吹替)] 10点(2008-01-27 00:06:01) |